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マールス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マールス
軍神
ネルウァのフォルムの紀元2世紀頃のマールス像
カピトリーノ美術館所蔵
シンボル , 啄木鳥
配偶神 ウェヌス
ユーピテル, ユーノー
子供 ロームルス, レムス
ギリシア神話 アレース
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マールスラテン語Mārs) は、ローマ神話における戦と農耕の[1]日本語では「マルス」や英語読みのマーズ(Mars)と呼ばれる[1]

概要

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元の名はマーウォルスマウォルスMāvors)であるらしく、また、マーメルスマメルスMāmers)とも呼ばれていた[1]

ギリシア神話アレースと同一視され、軍神としてグラディーウゥスグラディウスGradīvus、「進軍する者」の意)という異称でも呼ばれる[1]。しかし、疫病神のように思われて全く良い神話のないアレースに対し、マールスは勇敢な戦士、青年の理想像として慕われ、主神並みに篤く崇拝された重要な神である[1]。聖獣は、聖鳥はキツツキである[1]

神格

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サンドロ・ボッティチェッリ作、ヴィーナスとマルス

マールスは他のローマ神話のどの神とも違い、ローマ建国時に既にローマにいた神であった。3月の神であるのも、気候がよくなり軍隊を動かす季節と一致する。また、これが農耕の始まる季節に一致している[1]。当時のローマ暦は、新年は農耕の始まる3月におかれた。主神と同様に扱われたために、ローマ建設者とされる初代ロームルス王の父親という伝承まで残されている[1]

旧来の学説では、ローマ人が農耕民族であったため、マールスも元々は農耕神(草木の精霊)で、勇敢に戦い領地を増やしたロームルス王と像が重なり、後に軍神としても祭られるようになったと考えられていた[1]。また、元は地下神であったため、地下に眠る死者との関連づけから軍神モートになったとする説もあった。しかし現在では、インド・ヨーロッパ語族比較神話学の進歩により、マールスは本来軍神であり、三機能イデオロギーの第二機能(戦闘)を担っていたと考えられている。しかし、マールスの名前はインド・ヨーロッパ語族とは関係のないエトルリア人に崇拝された神マリスを原型としている。

マールスからは「マルクス」「マルケッルス」「マリウス」「マルティヌス」といったローマ人名が派生し、それらをヨーロッパ各語にアレンジした人名が使われている。

マールスは、天体火星とも同一視されている。ルーヴル美術館所蔵の彫刻ボルゲーゼのアレス英語版」は美術分野でデッサンによく使われる石膏像に取り上げられており、本来ならアレースであるところを「マルス」と呼ばれて親しまれている。スペイン語では火曜日を「martes」と呼ぶが、本来は「軍神マルスの日」を意味する語である。

また、マールスは、男性の武勇や闘争心を表す比喩として用いられたり、軍神の代名詞として用いられることも多い。ウェヌス(ヴィーナス)が「愛」「女性」を象徴するのに対して、マールスは「武勇」「男性」「火星」の象徴として用いられることも多い。性別記号で男性は「」と表記されるが、本来はマールスを意味する記号である。

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル 『ギリシア・ローマ神話事典』 大修館書店

関連項目

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