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マニラ・ライトレール1100形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マニラ・ライトレール1100形電車
Second Generation
1100形電車
基本情報
運用者 ライト・レール・トランジット・オーソリティ(LRTA)
製造所 現代精工アドトランツ(電気機器)
製造年 1997年 - 1998年
製造数 4両編成7本(28両)
(1101 - 1128)
改造所 フォイト・デジタル・ソリューションズ(電気機器)
改造年 2019年 - 2020年
改造数 4両編成6本(24両)
運用開始 1999年
投入先 マニラLRT1号線(LRT Line 1)
主要諸元
編成 4両編成(Mc + M + M + Mc)
軸配置 Bo′+2′+Bo′(2車体連接車
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750 V
架空電車線方式
最高運転速度 60 km/h
起動加速度 1.0 m/s2
減速度(常用) 1.3 m/s2
減速度(非常) 2.08 m/s2
編成定員 最大1,358人
車両定員 330人(着席78人)(先頭車)
349人(着席82人)(中間車)
車両重量 37.4 t(先頭車)
36.5 t(中間車)
編成重量 105,700 mm
全長 26,500 mm(先頭車)
26,000 mm(中間車)
全幅 2,590 mm
全高 3,740 mm
3,950 mm(集電装置含)
車体高 3,300 mm
床面高さ 920 mm
車輪径 660 mm
固定軸距 2,310 mm
主電動機 誘導電動機
主電動機出力 125 kw(登場時)
170 kw(機器交換後)
出力 500 kw(登場時)
680 kw(機器交換後)
制御方式 VVVFインバータ制御
保安装置 自動列車停止装置(ATS)→自動列車保護装置(ATP)
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6][7]に基づく。
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1100形フィリピンの首都・マニラライト・レール・トランジット・オーソリティ(Light Rail Transit Authority、LRTA)が運営するマニラ・ライトレール・トランジット・システムで使用される電車の1形式。韓国の鉄道車両メーカーが初めて製造したライトレール(軽電鉄)向け車両(LRV)である[8][5]

概要

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1984年12月から営業運転を開始したフィリピンマニラの通勤鉄道であるLRT1号線(LRT Line 1)は開通以来利用客が増加し、1994年の段階で1日の利用客は403,000人に達し、従来の連接式電車による2両編成では積み残しが多発し遅延が日常的に発生するなど輸送力が限界に達していた。更にマニラ首都圏における自動車量増加による渋滞大気汚染により、LRT1号線の重要性は更に増した。そこで、1993年に採択されたフィリピンの国家計画「フィリピン中期開発計画」の元、施設の更新を始めとした輸送力増強プロジェクト(Phase I)を実施が決まり、その一環として輸送力増強用の新型電車を導入する事になった。当初は開業時に導入された第1世代の車両(1000形)を増備する計画であったが、輸送需要が想定を上回る事が確認されたため、新たに4両編成の電車の導入が決定した。これが1100形と呼ばれる車両である。製造は1996年10月28日に受注を獲得した韓国現代精工(現:現代モービス)とスウェーデンアドトランツ(電気機器)によって行われた[9][10][11][12][13]

最初に導入された1000形は3車体連接車であった一方、1100形は2つの車体を用いた2車体連接車に変更され、これを4両繋いだ4両編成で運行する。そのうち先頭の2両は車体の一方に運転台が設置されている一方、中間の2両には運転台が存在しない。これにより固定軸距や台車間距離が1000形から延長した他、車体幅も拡大したため、導入に際して一部のプラットホームを削る工事が実施されている[14][13]

車体はステンレス製で、新造時から冷房装置が屋根上に搭載されている[注釈 1]。また主電動機も1000形の直流電動機から交流誘導電動機に改められており、1台車ごとの搭載数も2基に変更されている。制御装置はマニラ・ライトレールの車両で始めてVVVFインバータ制御方式を採用している[6][13][15][1][5]

運用

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輸送力増強プロジェクトに基づき1997年から製造が行われ、1998年12月からマニラへの輸出が始まり、1999年の営業運転開始までに合計28両(4両編成7本)が導入された。だが2001年以降、予備部品の確保が滞った事で運行を離脱する車両が多発し、LRT1号線の運賃値上げも重なり2005年まで利用客が減少する事態に繋がった。2004年以降予備部品の供給状況に改善が見られたものの、2013年の時点でも14両が部品不足により走行不能の状態となっていた事に加え、2両が事故により運行を離脱している事が報告されていた[14][16][17][18][19][20]

その後、2018年にはオーストリアに本社を置くフォイト・デジタル・ソリューションズ(Voith Digital Solutions)が、制御装置や主電動機、主要回路の交換や自動診断の結果を表示するディスプレイの追加などの更新工事を受注し、2019年から2020年まで実施されている。これにより、車両の延命に加えて1100形の運用復帰によるLRT1号線の輸送力増強が図られている[2][3][21]

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ^ 1000形は製造当初冷房装置が設置されておらず、2004年以降に搭載された。
  2. ^ 諸元は全長27,000 mm、全幅2,650 mm、重量41 t、定員最大311人(1編成最大933人)、最高速度80 km/h。

出典

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  1. ^ a b DOTC & LRTA 2012, p. 10.
  2. ^ a b Electric traction system Modernization of light rail trains Light Rail Manila Corporation”. Voith. 2019年12月2日閲覧。
  3. ^ a b Louella Desiderio (2018年2月23日). “LRT-1 operator taps Austrian engineering experts”. Philstar Global. 2019年12月2日閲覧。
  4. ^ JICA 2013a, p. 5-2.
  5. ^ a b c Roteco 1999, p. 1217.
  6. ^ a b JICA 2013b, p. A-26.
  7. ^ マニラ首都圏の公共交通整備に関する研修用ソフト制作事業 利用手引書”. 日本財団 (2011年10月). 2019年12月2日閲覧。
  8. ^ Managing Safety in LRT-1”. LRTA (2019年8月16日). 2019年12月2日閲覧。
  9. ^ ODA 見える化サイト LRT1号線増強事業”. 国際協力機構. 2019年12月2日閲覧。
  10. ^ DOTC & LRTA 2012, p. 30.
  11. ^ DOTC & LRTA 2012, p. 9.
  12. ^ JICA 2004, p. 1-2.
  13. ^ a b c JICA 2013b, p. A-25.
  14. ^ a b JICA 2013a, p. 3-14.
  15. ^ JICA 2013a, p. 5-1.
  16. ^ DOTC & LRTA 2012, p. 14.
  17. ^ JICA 2004, p. 9.
  18. ^ JICA 2013a, p. 5-3.
  19. ^ a b Roteco 1999, p. 1218.
  20. ^ officialLRT1の投稿(439357273071382) - Facebook
  21. ^ LRMC, Voith sign deal for P450-M repair of more trains for LRT-1”. Interaksyon (2018年2月23日). 2019年12月2日閲覧。
  22. ^ ADANA RAYLI TAŞIMA SİSTEMİ PROJESİ ADANA METROSU” (トルコ語). Adana Büyükşehir Belediyesi. 2013年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月2日閲覧。
  23. ^ Demiryolunda yerli-yabancı tartışması sürüyor”. Dünya Gazetesi (2014年9月11日). 2024年8月15日閲覧。

参考資料

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外部リンク

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