ベトナムにおけるドラえもん
『ドラえもん』は日本の漫画家である藤子・F・不二雄の作品だが、ベトナムにおいても国民的な人気があり知名度は高い。ベトナム語では Đôrêmon, Doraemon と呼ばれており、1992年にキムドン社(Nhà xuất bản Kim Đồng) から第1巻が刊行され、書店に行列ができるほどの人気になったという[1]。当初はいわゆる海賊版であったが、1998年に小学館と契約を締結し出版権を取得[1]。作者である藤子・F・不二雄の意向もあり、著作権料による奨学基金「ドラえもん基金」が設立された[2]。2013年時点で、ベトナムにおける『ドラえもん』の発行部数は1200万部近くに達する[3]。
ベトナム語版『ドラえもん』の台詞はタイ語版[4]からの翻訳であり、源静香が「シャワーシーン」において水着を着用しているなどの改変もなされている[2]。ジャイアンこと剛田武のセリフである「おまえのものはおれのもの、おれのものもおれのもの」も知られており、また漫画本以外の関連グッズも人気があるという[5]。キムドン社の社長であるファン・クァン・ビンは、『ドラえもん』が人気となった高度経済成長期の日本と、1990年代以降のベトナムは時代背景が重なっていることが人気の理由ではないかと述べている[2]。
1999年からはテレビアニメの放映も開始されている。テレビアニメは10年以上に渡って放送されており、オープニング主題歌である『ドラえもんのうた』はベトナム人に最もよく知られた日本の歌の一つとされる[6]。
2006年には映画シリーズの『ドラえもん のび太の恐竜2006』が上映。続いて2013年に『ドラえもん のび太のひみつ道具博物館』が上映され、以後2020年の『ドラえもん のび太の新恐竜』公開の時点で、毎年映画シリーズが上映されている(『STAND BY ME ドラえもん』を含む)[7]。
脚注
[編集]- ^ a b 「ドラえもん、ベトナム上陸20年」『The Daily NNA』インドネシア版、2012年12月14日号。
- ^ a b c 「MANGA、宴のあとで 海賊版を取り込め USA・VIETNAM」『朝日新聞』2011年2月7日付朝刊3面。
- ^ 出版不況は東南アジアで打破!小学館の秘策、東洋経済オンライン、2013年11月28日。
- ^ タイ語においても「ドレーモン」と呼ばれている。
- ^ あの漫画が流行っている?ベトナムの漫画事情 Excite Bit コネタ 2013年8月13日
- ^ 【第26回】これを歌えば大人気!? ベトナム人が知ってる日本の曲 VIETJO LIFE 2016年7月1日
- ^ 「ドラえもん のび太の新恐竜」、ベトナムで12月18日公開、VIETJO、2020年11月9日。