ヘキサフルオロ-2-プロパノール
表示
ヘキサフルオロ-2-プロパノール | |
---|---|
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール | |
別称 ヘキサフルオロイソプロパノール ヘキサフルオロイソプロピルアルコール | |
略称 | HFIP |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 920-66-1 |
PubChem | 13529 |
ChemSpider | 10606755 |
ChEBI | |
RTECS番号 | UB6450000 |
| |
| |
特性 | |
化学式 | C3H2F6O |
モル質量 | 168.04 g mol−1 |
外観 | 無色透明液体 |
匂い | 刺激臭 |
密度 | 1.596 g/mL |
融点 |
-3.3 °C, 270 K, 26 °F |
沸点 |
58.2 °C, 331 K, 137 °F |
水への溶解度 | 混和 |
蒸気圧 | 16 kPa at 20 °C |
粘度 | 1.65 cP at 20 °C |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | External MSDS |
主な危険性 | 腐食性 (C) |
NFPA 704 | |
Rフレーズ | R20/22, R34, R41 |
Sフレーズ | S26, S36/37/39, S45 |
引火点 | 100 °C (212 °F; 373 K) |
関連する物質 | |
関連する物質 | ヘキサフルオロアセトン; 2-プロパノール, 2,2,2-トリフルオロエタノール |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ヘキサフルオロ-2-プロパノール(Hexafluoro-2-propanol)は、化学式(CF3)2CHOHで表される有機化合物であり、アルコールの一種である。ヘキサフルオロイソプロパノールとも呼ばれ、しばしばHFIPと略される。溶媒及び合成中間体として主に利用されている。
化学的性質
[編集]高い揮発性を持つ無色透明液体であり、刺激臭がある。分子内で大きく分極しており強い水素結合部位を持つため、水素結合受容体であるアミドやエーテルなどを溶解させることができる。 高い密度を持っているが、粘度、屈折率は共に低く、紫外線は透過する。
合成法
[編集]ヘキサフルオロアセトンのヒドリド還元、あるいは触媒的水素化反応によって生成する。[1]
- (CF3)2CO + H2 → (CF3)2CHOH
利用
[編集]主に、分極したポリマーを溶解させるための溶媒、及び有機合成における溶媒として利用されている。.[2][3]ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリエステル、ポリケトンのような通常の溶媒に溶けないようなポリマーを溶かすことが可能である。また、生化学の分野においても用いられ、ペプチドやβシート構造を持つ単量体タンパク質を溶解させる。
また、自身が持つ酸性度(pKa = 9.3)のため、イオン対HPLCの緩衝液としても用いられる。[4]
吸入麻酔薬であるセボフルランの前駆体であり代謝産物でもある。
安全性
[編集]腐食性をもつ揮発性液体であり、重篤な呼吸器障害、火傷を引き起こす恐れがある。
脚注
[編集]- ^ Günter Siegemund, Werner Schwertfeger, Andrew Feiring, Bruce Smart, Fred Behr, Herward Vogel, Blaine McKusick “Fluorine Compounds, Organic” in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, John Wiley & Sons, 2007. doi:10.1002/14356007.a11_349
- ^ Bégué, J.-P.; Bonnet-Delpon, D.; Crousse, B. (2004). “Fluorinated Alcohols: A New Medium for Selective and Clean Reaction”. Synlett (1): 18–29. doi:10.1055/s-2003-44973.
- ^ Shuklov, Ivan A.; Dubrovina, Natalia V.; Börner, Armin (2007). “Fluorinated Alcohols as Solvents, Cosolvents and Additives in Homogeneous Catalysis”. Synthesis: 2925–2943. doi:10.1055/s-2007-983902.
- ^ Apffel, A.; Chakel, J.A.; Fischer, S.; Lichtenwalter, K.; Hancock, W.S. (1997). “Analysis of oligonucleotides by HPLC-electrospray ionization mass spectrometry”. Anal. Chem. 69: 1320–1325. doi:10.1021/ac960916h.
参考文献
[編集]- Radlick, Phillip C (1982年2月2日). “Methods of synthesizing hexafluoroisopropanol from impure mixtures and synthesis of a fluoromethyl ether therefrom”. United States Patent 4,314,087. 2006年10月18日閲覧。
- Cheminal, Bernard (1987年3月3日). “Process for the synthesis of 2,2,2-trifluoroethanol and 1,1,1,3,3,3-hexafluoroisopropanol”. United States Patent 4,647,706. 2006年10月18日閲覧。
- “Hexafluoroisopropanol datasheet”. デュポン. 2006年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年10月18日閲覧。