プロベラム
プロべラム (Probellum) は、かつて存在したボクシングプロモーション会社。
犯罪組織の幹部とされるダニエル・キナハンとの関係を疑われ最終的に売却された。
概要
[編集]2021年9月、元ゴールデンボーイ・プロモーションズCEOのリチャード・シェーファーによって設立された。一方でプロベラムは、設立当初から、犯罪組織のボスとされる人物であるダニエル・キナハン及び、キナハンが設立したボクシングプロモーション会社のMTKグローバルと密接に関係していると指摘されていた。
2022年3月10日、ディスカバリーとテレビ放送契約を結び、プロベラムがドバイで3月18日・19日に行う興行から、ディスカバリー傘下のユーロスポーツ及びDiscovery+、Eurosport Appを通して、ヨーロッパとインド亜大陸の62の国と地域で放送されることが発表された[1][2]。
2022年4月12日、アメリカ合衆国国務省が、ダニエル・キナハンを犯罪組織の幹部と認定して制裁を科し、キナハンの逮捕および有罪判決に繋がる情報の提供者に、500万米ドル(約6億9千万円)の懸賞金を支払うと発表した[3]。同日、この発表を受けてトップランク社のボブ・アラムがプロベラムおよびMTKグローバルと関係を断ち切るとコメントした[4][5]。
2022年4月15日、社長のシェーファーがインタビューで、プロベラムとキナハンの関係を完全否定し、また、プロベラムにキナハンと繋がりを持つボクサーがいた場合は解雇すると答えた[6]。
2022年4月19日、ユーロスポーツがプロベラムとの放送契約を打ち切ったことが判明した[7][8]。また、プロベラムの興行を北アメリカで放送する予定だったfuboTV、ラテンアメリカで放送する予定だったESPN Knockoutも同様に放送契約を打ち切った[9]。Sky Sportsはプロベラム及びMTKグローバルと契約するボクサーの同局への出演を禁止した。
2023年にドバイを拠点とする新しいボクシングプロモーション会社のディスラプト・プロモーションズに売却された[10]。
ダニエル・キナハンとの関係
[編集]プロベラムの契約ボクサーのほとんどがダニエル・キナハンが設立したボクサーマネージメント会社のMTKグローバルと契約していたことや、プロベラムがドバイで行った興行でキナハンが試合会場に観戦に来たこと、また、元々はMTKグローバルがプロベラムの商標登録をしていたと報道するメディアもあるなど、プロベラムはキナハンと密接に関係していると疑惑を持たれていた[11][7]。
2022年4月にアメリカ合衆国国務省が、ダニエル・キナハンを犯罪組織の幹部と認定し制裁を科すと、トップランク社のボブ・アラムは、既に決まっていたジャニベク・アリムハヌリvsダニー・ディグナムや、直接交渉に関与しなかった、井上尚弥vsノニト・ドネア第2戦や井上尚弥vsポール・バトラーを除いて、プロベラムおよびMTKグローバルとの取引を停止した[12]。また井上尚弥vsポール・バトラーは世界バンタム級4団体王座統一戦という歴史的一戦だったにもかかわらずバトラーの母国イギリスではテレビ放送もインターネット配信も無かったが、これもキナハンとの関係を疑われた影響だと言われている[13][14]。
主な元契約ボクサー
[編集]- レジス・プログレイス[15]
- ノニト・ドネア[15]
- エイマンタス・スタニオニス[15]
- オシャキー・フォスター
- ポール・バトラー[15]
- サニー・エドワーズ
- チャーリー・エドワーズ
- リアム・ウィリアムス
- エドゥアルド・エルナンデス
- リッキー・バーンズ[15]
- ドニー・ニエテス[16]
- バハディール・ジャロロフ(東京五輪スーパーヘビー級金メダル)
- エベルト・ソウザ(東京五輪ミドル級金メダル)[17]
- ハバネス・バッチコフ(東京五輪ライト級銅メダル)
- ロッキー・フィールディング
- バドゥ・ジャック[15]
- パット・マコーマック(東京五輪ウェルター級銀メダル)[18]
主な元提携プロモーション
[編集]- ワッサーマン・ボクシング[15]
- ウニヴェルズム(ドイツ)[15]
- グループ・イヴォン・ミシェル(カナダ)[15]
- マラビージャボックス・プロモーションズ(スペイン)[15]
- カイノック・ボクシング(スコットランド)[15]
- バッファロー・ボクシング(ニカラグア)[15]
脚注
[編集]- ^ “Probellum Inks Broadcast Agreement With Discovery Sports”. Boxing Scene.com (2022年3月10日). 2022年6月14日閲覧。
- ^ “PROBELLUM AGREES LANDMARK BROADCAST DEAL WITH DISCOVERY SPORTS”. Probellum公式サイト (2022年). 2022年7月24日閲覧。
- ^ “$5m rewards offered as Kinahan gang hit by US sanctions”. RTE (2022年3月13日). 2022年7月9日閲覧。
- ^ “Tyson Fury's US promoter Bob Arum vows to 'cut ties' with Daniel Kinahan companies”. Daily Express (2022年4月12日). 2022年8月1日閲覧。
- ^ “Top Rank splits with MTK Global, Probellum”. Fight News (2022年4月12日). 2022年8月1日閲覧。
- ^ “STAYING SCHAEF Daniel Kinahan has ‘no links with Probellum’ and boxing promotion ‘will DROP any fighters advised by gangster’”. THE SUN (2022年4月16日). 2022年7月26日閲覧。
- ^ a b “Eurosport shelves fight nights amid scrutiny around Probellum boxing promotion and alleged crime lord Daniel Kinahan - who has a $5MILLION reward for his arrest by the US government over international drug smuggling and money laundering”. mail online (2021年4月19日). 2022年7月24日閲覧。
- ^ “PROB-LUM Eurosport ditch deal to show Probellum fight nights amid scrutiny over links to Irish mob boss Daniel Kinahan”. The Irish Sun (2022年4月20日). 2022年7月26日閲覧。
- ^ “BBBofC: We Do Not License MTK Or Probellum, We License Individuals”. Boxing Scene.com (2022年4月21日). 2022年7月24日閲覧。
- ^ “Boss of new Dubai-based boxing firm which took over from Probellum insists he has no links to Daniel Kinahan”. Irish Daily Mirror (2023年2月18日). 2023年3月30日閲覧。
- ^ “'Money, muscle and power': U.S. sanctions target Daniel Kinahan, boxing figure accused of organized crime”. USA TODAY SPORTS (2022年4月14日). 2022年8月1日閲覧。
- ^ “Jason Moloney, Top Rank To No Longer Pursue WBC Title; Nonito Donaire Awaits Next Named Opponent”. Boxing Scene.com (2023年2月1日). 2023年3月30日閲覧。
- ^ “WHAT TIME IS NAOYA INOUE VS. PAUL BUTLER FIGHT TODAY? RINGWALKS, RUNNING ORDER, STREAMING, HOW TO WATCH INOUE VS. BUTLER”. DAZN (2022年12月13日). 2023年3月30日閲覧。
- ^ “MONSTER MASH Naoya Inoue vs Paul Butler LIVE RESULTS: Monster STOPS Brit in 11th round to become undisputed bantamweight champion”. The Sun (2022年12月13日). 2023年3月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l “RICHARD SCHAEFER PROUD TO SEE PROBELLUM REPRESENTING FIGHTERS ALL OVER THE WORLD”. プロべラム (2021年10月). 2021年10月21日閲覧。
- ^ “Donnie Nietes Inks Promotional Pact With Probellum”. Boxing Scene.com (2021年10月20日). 2021年10月21日閲覧。
- ^ “PROBELLUM SIGNS OLYMPIC GOLD MEDALIST HEBERT SOUSA”. プロベラム (2021年12月). 2021年12月26日閲覧。
- ^ “PAT AND LUKE MCCORMACK SIGN WITH PROBELLUM”. プロベラム (2021年12月). 2021年12月26日閲覧。
外部リンク
[編集]- プロべラム公式サイト
- プロベラム (@probellum) - X(旧Twitter)
- プロベラム (@probellum) - Instagram