コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ブズカシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ブズガシから転送)

ブズカシ、または、ブズガシペルシア語:بُزكشی Buzkashī、 بُزکَشی Buzgashī)とは、2組の騎馬隊が、動物の身体を奪い合う競技である。元来はヤギを奪い合う競技だったが、ウシの幼体の胴体を奪い合うように変化した。なお、アフガニスタン国技とされているものの、アフガニスタン国内においてルールが完全に統一されているわけではない。

名称

[編集]

競技名は、ペルシャ語で「ヤギを引きずる」(「ヤギ」بُز buz+「引く、引っ張る、引きずる」 كشی kashī)という意味である[1]。その名の通り、元来は騎馬隊が生きたヤギを引き回していたものの、後に、頭部を除いた死んだ子牛の体を使うように変化した[1]

競技

[編集]
ブズカシの競技の様子。

アフガニスタンオリンピック連盟によって、ブズカシの公式ルールが定められている。例えば、相手の騎手を故意に鞭で叩く行為や、馬上から相手の騎手を故意に突き落とす行為は、禁じられている[1]。ただし、アフガニスタンの首都であるカーブルでの大会を除くと、公式ルール通りに競技が為されていない場合も多く、北部地域では公式ルールに従って競技が行われる事例はほとんどない[1]

ブズカシの選手はチャーパーンダーズ(چاپ‌انداز、Chapandaz)と呼ばれる。アフガニスタンは多民族国家であり[2][注釈 1]、チームは民族ごとに編成される。

政情との兼ね合い

[編集]

20世紀後半からアフガニスタンは政情が不安定であり、たびたびクーデターや内戦や戦争などで、政権が崩壊してきた[3]。ブズカシを取り巻く状況にも、変化が見られる。例えば、ターリバーンは第1次政権時代はブズカシを禁止していたのに対し、再度権力を握った2021年以後はブズガシを認める方向に転換し、リーグ戦なども行われている[4]

なお、1979年にはクーデターが発生して、その時の政権は崩壊したわけだが、その1979年から発行された、500アフガニ紙幣には、ブズカシの競技の様子が描かれていた。

登場作品

[編集]

例えば、シルヴェスター・スタローンが主演するランボーシリーズの第3作『ランボー3/怒りのアフガン』に、ブズカシの様子が登場する。

背景

[編集]

アフガニスタン付近は比較的乾燥した気候であり[5]、家畜の放牧が盛んであった。もちろん、農作物の栽培も行われてきた土地柄であり、21世紀初頭においても農業が主産業である[2][6]。そうではあっても、放牧が盛んな状況は変わっておらず、食肉や皮革や毛なども盛んに出荷されており、2018年時点で、耕作地が約8万 km2であるのに対して、牧場と牧草地が約30万 km2である[2]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ パシュトゥン人が約4割、タジク人が3割弱、ハザラ人が約1割、ウズベク人も約1割である。そして、アイマク人、トルクメン人、バローチ人などで残り1割程度を占める。

出典

[編集]
  1. ^ a b c d ブズカシ: アフガニスタンの国技”. 在日アフガニスタン大使館. 2022年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年11月24日閲覧。
  2. ^ a b c 二宮書店編集部 『Data Book of The WORLD (2022年版)』 p.166 二宮書店 2022年1月10日発行 ISBN 978-4-8176-0470-5
  3. ^ 二宮書店編集部 『Data Book of The WORLD (2022年版)』 p.165、p.166 二宮書店 2022年1月10日発行 ISBN 978-4-8176-0470-5
  4. ^ “Kandahar Wins National Buzkashi League Competition”. Tolo News. (2022年3月7日). https://tolonews.com/sport-177004 2022年3月7日閲覧。 
  5. ^ 二宮書店編集部 『Data Book of The WORLD (2022年版)』 p.165 二宮書店 2022年1月10日発行 ISBN 978-4-8176-0470-5
  6. ^ 二宮書店編集部 『Data Book of The WORLD (2012年版)』 p.166 二宮書店 2012年1月10日発行 ISBN 978-4-8176-0358-6

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]