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フサスゲ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フサスゲ
フサスゲ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
階級なし : ツユクサ類 commelinids
: イネ目 Poales
: カヤツリグサ科 Cyperaceae
: スゲ属 Carex
: フサスゲ C. metallica
学名
Carex metallica H.Lév. (1908)

フサスゲ Carex metallica は、カヤツリグサ科スゲ属の植物の一つ。大きさの割には背が高くならないスゲで、房状に多数の穂をつける。

特徴

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大きなを作る多年生の草本[1]。草丈は30-70cmほど。匍匐枝はない。は細長くて花茎と同長まで伸び、やや硬い葉質で葉幅は3-6mm。基部の鞘は暗褐色で繊維状に細かく裂ける。

花期は5-6月。花茎はやや硬くて太く[2]、立ち上がるが果実が熟するにつれて次第に先が垂れてくる[3]。花茎は断面が3稜形になっている[4]がざらつかず、また途中に1-2の茎葉をつける[2]花序としては頂小穂が雄性ないし雌雄性、つまり雄花だけから構成されるか、あるいは先端に雌花が並び、基部側に雄花の部分がある[5]。それより下に5-15個の側小穂があり[2]、いずれも雌性で、時に雌雄性のものが出る。また、それら側小穂の、特に中程のものは同一の苞の腋から複数が生じることが多い。雄花、雌花共にその鱗片には光沢がある[6]。小穂の基部の苞は基部が長い鞘となり、先端は葉状部がよく発達する。頂小穂は雄性ならば線形、雌雄性の場合は棍棒状で長さ2-5cm、緑色から錆褐色。雌性の側小穂は円柱形で2-5cm、密に花を着け、基部には柄がある。雄花鱗片は褐色を帯び、中肋は鮮緑色。雌花鱗片は緑白色で中肋が鮮緑色、果胞より短く、先端は突き出して鋭く尖るか、あるいは短い芒になる。果胞は長卵形で長さ7mm、黄緑色で稜の間にわずかに脈があり、無毛、先端は長く突き出した嘴になり、その縁には細かな鋸歯がある。口の部分は左右が突き出して2歯をなす。果実はほぼ果胞に密着しており、卵形で長さ2mm、断面は3稜形で基部に短い脚部がある。柱頭は3つに裂ける。

和名は房菅を意味し、花序がふさふさした様子であることに由来する。また別名にシラホスゲがある[7]

分布と生育環境

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本州静岡県以西、四国九州南西諸島から知られ、国外では朝鮮半島中国南部、台湾に分布する[8]。ただし南西諸島では沖縄島から知られるのみである[9]

海に近い地域の砂地や草原に生える[8]

分類

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勝山(2017)はフサスゲ節とし、日本産では他にアイズスゲをここに含めている。同属の他の種とは大株を作り、小穂が房状になり、またそれが光沢を持つことが独特なので判別はたやすい[6]

保護の状況

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分布域は広いが、どこにでもあるものではない。環境省のレッドデータブックには取り上げられてはいないが、各県では取り上げられているところが多い[10]

出典

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  1. ^ 以下、主として星野他(2011),p.486
  2. ^ a b c 北村他(1987),p.291
  3. ^ 勝山(2015),p.347
  4. ^ 初島(1975),p.722
  5. ^ 勝山(2015)は『雄雌性ときに雄性』とあり、雌雄性の方が普通であるとしている。
  6. ^ a b 星野、正木(2002),p.202
  7. ^ 大橋他編(2015),p.322
  8. ^ a b 星野他(2011),p.486
  9. ^ 初島(1975),p.723
  10. ^ 日本のレッドデータ検索システム・フサスゲ(2018年8月20日閲覧)[1]

参考文献

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  • 星野卓二他、『日本カヤツリグサ科植物図譜』、(2011)、平凡社
  • 大橋広好他編、『改定新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』、(2015)、平凡社
  • 北村四郎他、『原色日本植物図鑑・草本編 III』改訂49刷、(1987)、保育社
  • 勝山輝男、『日本のスゲ 増補改訂版』、(2015)、(文一総合出版
  • 星野卓二、正木智美、『岡山県スゲ属植物図譜』、(2002)、山陽新聞社
  • 初島住彦、『琉球植物誌』追加・訂正版、(1975)、 沖縄生物教育研究会