コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

フィリピン国鉄北方本線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Linyang Pahilaga
北方本線
概要
通称 マニラ-サンフェルナンド線
マニラ-クラーク線
種別 地域鉄道
都市間鉄道
旅客鉄道
貨物鉄道
現況 再建計画中
所在地 北ルソン
起終点 トゥトゥバン駅
サンフェルナンドU駅タガログ語版
路線Color   オレンジ
 グリーン
運営
開業 1891年3月24日
廃止 1997年?
所有者 フィリピン国鉄
運営者 フィリピン国鉄
路線構造 地上 (旧)
高架 (提案)
路線諸元
路線総延長 265.4 km
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)
1,435 mm (4 ft 8+12 in)(提案)
テンプレートを表示

フィリピン国鉄北方本線 (タガログ語: Pangunahing Linyang Pahilaga ng Pambansang Daambakal ng Pilipinas)は、フィリピン国鉄が鉄道施設権をもつ、かつて利用されていた鉄道路線。現在は多くの区間が廃線となっている。フィリピン中部で初の鉄道であった。

歴史

[編集]
マニラダグパン鉄道の前に立つスペイン系フィリピン人(1885年ごろ)

マニラ-ダグパン鉄道の最初となる部分は、1875年1月26日にスペインのアルフォンソ8世の命令によって、ドン・エドゥアルド・ロペス・ナザロ(Don Eduardo Lopez Navarro)が提案したルソン島全体の鉄道計画案の一部であった。計画は1887年1月1日に認可され、7月31日にトゥトゥバン駅の建設が開始され、鉄道の建設が始まった。

1881年3月24日にマニラからバグバグまで、1892年2月2日にマバラカットまで、6月1日までにタルラックまで、11月24日にダグパンまで開通し、パンパンガ橋梁は工事がすべて終わった1894年に完成してマニラからダグパンまでが直通できるようになった。バグバグからマバラカットまでの鉄道部分は1892年2月2日のマバラカット町祭りに合わせて完成し、カルピットとアパリット間でラフトフェリーを介したマニラからマバラカットまでの営業を行っている。しかし、1892年の営業時カルピットとアパリットの間のパンパンガ橋梁が建設中でありマニラからの"アルフォンソ8世"列車が到着しなかったため、いくつかの資料によるとマニラ-ダグパン鉄道は1894年に始まったとしている。

その後も徐々に北方に延伸され、1929年5月16日にラウニオン州サンフェルナンドで完成した。

スディペン延伸

[編集]

日本占領期の1943年、路線はさらに北のラウニオン州スディペン英語版まで延伸され、ベンゲット州マンカヤン英語版にある鉱山との間で鉄道が利用された。第二次世界大戦後この路線は解体され、損傷した路線の修理のため線路や鋼鉄が利用された。このような部材を利用した特徴的な構造物は、南方線にあるPalicpic-Ayungin河川橋である。路線の始点はサン・フェルナンドU駅の前にあった。

バクノタン延伸

[編集]

バクノタン線タガログ語版 バクノタンへの路線は1955年に開業し、マニラ-サンフェルナンドの延長路線ではなく支線として機能した。そのほとんどは貨物輸送でセブポートランドセメント会社の輸送に使われており、旅客はサンフェルナンドどまりであった。

廃止

[編集]
カローカンの北方本線の放棄された線路

その後路線の利用が徐々に減少しサンフェルナンドU-ダグパン間が1983年に停止されており、さらにコラソン・アキノ政権時代には1988年にダグパンータルラック間が、1989年にタルラック-マロロス間が運行されなくなり、1991年のピナトゥボ火山の噴火によってさらに運用区間がメイカウアヤンまでとなり、1997年にはほぼ全線で運行が停止された。

再建に向けた動き

[編集]
マッカーサーハイウェイ英語版の隣に残る古い時代の北方本線計画の跡

かつて考えられていた北方線復旧では、ゲージを狭軌から標準軌に変え高架複線にして、マニラからマロロス、ブラカン、アンヘレス、クラーク特別経済地区、クラーク国際空港を結ぶ計画であった。計画費用は5億USドルであり、中国がこのうち400億ドルを資金供与することを提案していた[1]。建設にむけた事業は2006年11月に始まったが、建設の遅れによって事業自体が再度中国政府によって商談の場に戻された。北ルソン鉄道公社の資金供給により2009年1月に一時的に事業が再開されるも、度重なる建設遅延や請け負った外国企業との論争によって2011年3月に事業は中止された。鉄道計画は2003年にアロヨ政権が中国機械工業集団公司(CNMEC)と締結したもので当初予算は4億2100万ドルの予想であった。2009年、CNMECは契約価格を5億9300万ドルに引き上げ、政府は損失の差額に同意した。政府は計画の資金調達のために4億ドルを中国輸出入銀行から調達しており、残りはフィリピン開発銀行英語版からのものだった。最終的に2011年、アキノ政権は法的問題と汚職との声から計画を中断した。2012年3月、フィリピン最高裁判所は下級裁判所に契約の過剰な費用の取り消しを求める訴訟の審理を進めるように伝えた。2012年以降、財務省は残額を決済する代わりに1億8400万ドルを中国輸出入銀行に支払うこととし、2012年9月までに4600万の4回の同一額の支払いを行った[2]。国家経済開発庁のアルセニオ・バリサカン英語版は認知度の高い北方本線計画はベニグノ・アキノ3世大統領の任期の間続けていくと述べた[2]

運輸通信省はカナダCPCSトランスコム英語版社に実行可能性調査を実施してもらい、プロジェクトを再調査した。この事前計画はマロロス-トゥトゥバン-カランバ-ロスバニョスの通勤線の存在によって評価された[3][4]

2017年6月25日、式典の場でアーサー・トゥガデ英語版運輸長官によってノースレール計画の名が公表され、最初の5つの駅の場所にマーカーが付けられた。計画は2都市間の移動時間を2時間から55分へ短縮し、学業や労働のために毎日マニラに移動するブラカン州とパンパンガ州からの通勤移動を容易にすることを目標にしている。鉄道路線は総延長106㎞であり、マニラのトゥトゥバンからクラーク国際空港を経由しクラーク経済特別区に到着する計画である。最高時速120㎞の8両編成の列車13編成が導入される予定である。計画費用は約51億米ドルであり、日本の資金供与で調達する。建設は2017年第四四半期に始まり、2021年までに完成する予定である[5][6]

更地化などの建設に向けた事業は2018年1月に始まった。

使用した列車

[編集]

北方線には34の機関車、76の客車、16両の荷物車、537両の貨物車があった。乗客は貨物車では真空ブレーキや手動ブレーキを使った。

主要駅

[編集]
総延長 略号 地域 開始年
トゥトゥバン駅 (マニラ駅) 0.0 MA / TU マニラ首都圏トンド 1891年3月24日
カローカン駅 5.22 CN マニラ首都圏カローカン 1891年3月24日
ガバナー・パスカル駅 (アカシア駅) ACA マニラ首都圏マラボンAcacia
ヴァレンズエラ駅 11.55 VAL / PO マニラ首都圏ヴァレンズエラ 1891年3月24日
メイカワヤン駅 15.01 MY ブラカン州メイカワヤン英語版 1891年3月24日
マリラオ駅 18.12 MR ブラカン州マリラオ英語版、Saog 1891年3月24日
ボカウエ駅 22.46 BO ブラカン州ボカウエ英語版 1891年3月24日
バラグタス駅 26.43 TAS ブラカン州バラグタス英語版 1891年3月24日
ギギント駅 29.11 GG ブラカン州ギギント英語版、Cruz 1891年3月24日
Tabang ブラカン州ギギント英語版、Tabang 1929
Santa Isabel 33.62 YS ブラカン州マロロス、サンタ・イザベル
Dakila DK ブラカン州マロロス、Dakila 1929
マロロス駅 37.14 ML ブラカン州マロロス 1891年3月24日
Longos ブラカン州カルンピット英語版、Longos
San Marcos 42.98 ブラカン州カルンピット英語版、San Marcos 1929
バグバグ駅 ブラカン州カルンピット英語版、Iba Este 1891年3月24日
カルンピット駅 45.96 CT ブラカン州カルンピット英語版 1892年2月23日
カルンピット北駅タガログ語版 パンパンガ州アパリット英語版、Sulipan 1892年2月23日
Sulipan パンパンガ州アパリット英語版、Sulipan
アパリット駅 49.69 AP パンパンガ州アパリット英語版 1892年2月23日
Macaluc パンパンガ州ミナリン英語版
Santo Tomas 58.39 STP パンパンガ州サント・トーマス英語版 1892年2月23日
サンフェルナンドP駅 61.61 SFP パンパンガ州サンフェルナンド 1892年2月23日
カルルッツ駅 69.83 CU パンパンガ州サンフェルナンド、Calulut 1892年2月23日
Tablante 73.75 パンパンガ州サンフェルナンド、Baliti 1924
アンヘレス駅 78.44 AG パンパンガ州、アンヘレス 1892年2月23日
Balibago パンパンガ州アンヘレス、Balibago
ダウ駅 82.81 DU パンパンガ州マバラカット、Dau 1902年11月11日
マバラカット駅タガログ語版 87.10 MB パンパンガ州マバラカット 1892年2月23日
バンバン駅 93.62 BN タルラック州バンバン英語版 1892年6月1日
カパス駅タガログ語版 102.34 CA タルラック州カパス英語版 1892年6月1日
Talaga タルラック州カパス英語版、Talaga
Murcia 109.91 MU タルラック州コンセプション英語版、San Agustin 1892年6月1日
San Miguel 112.33 SM タルラック州タルラック、San Miguel 1929年
タルラック駅 119.43 TR タルラック州、タルラック 1892年6月1日
Albendia タルラック州、タルラック、Alvindia
Dalayap タルラック州、タルラック、Dalayap
Parsolingan タルラック州ヘロナ英語版、Parsolingan 1929年
Amacalan タルラック州ヘロナ英語版、Amacalan
ゲロナ駅 131.79 GA タルラック州ヘロナ英語版 1892年11月24日
パニキ駅タガログ語版 139.52 PI タルラック州パニキ英語版 1892年11月24日
San Julian 144.3 タルラック州、モンカダ英語版、San Julian 1926年8月9日
モンカダ駅 146.78 MD タルラック州、モンカダ英語版 1892年11月24日
Poponto 152.36 PP パンガシナン州バウティスタ英語版、Poponto
バウティスタ駅タガログ語版 161.61 BT パンガシナン州バウティスタ英語版 1892年11月24日
バヤンバン駅タガログ語版 163.39 BB パンガシナン州バヤンバン英語版 1892年11月24日
Quesada 168.70 QUE パンガシナン州、マラシキ英語版、Nalsian Norte
Don Pedro 171.27 パンガシナン州、マラシキ英語版、Don Pedro
Polong PLN パンガシナン州、マラシキ英語版、Polong 1939
マラシキ駅 175.96 MQ パンガシナン州、マラシキ英語版 1892年11月24日
サン・カルロス駅 182.03 SC パンガシナン州、サン・カルロス英語版 1892年11月24日
Buenlag 188.77 パンガシナン州、カラシアオ英語版、Buenlag
カラシアオ駅 191.85 CA パンガシナン州、カラシアオ英語版 1892年11月24日
ダグパン駅 195.60 DG パンガシナン州ダグパン英語版 1892年11月24日
Maasin P. パンガシナン州、マンガルダン英語版、Maasin 1939
Mangaldan 202.68 MN パンガシナン州、マンガルダン英語版 1908年1月11日
Patalan パンガシナン州、サン・ファビアン英語版、Patalan 1939
サン・ファビアン駅タガログ語版 207.58 FA パンガシナン州、サン・ファビアン英語版 1908年1月11日
Sapdaan パンガシナン州、サン・ファビアン英語版、Sapdaan 1939年
アラカン駅タガログ語版 212.85 AC パンガシナン州、サン・ファビアン英語版、Alacan 1908年7月5日
Rabon 218.07 RN パンガシナン州、サン・ファビアン英語版、Rabon 1908年7月5日
Bani 219.6 ラウニオン州ロサリオ英語版、Bani 1926年6月30日
ダモーティス駅タガログ語版 221.10 DM ラウニオン州ロサリオ英語版、Damortis 1938年
オールド・ダモーティス駅タガログ語版 222.20 ODM ラウニオン州ロサリオ英語版、Damortis 1908年11月14日
Cupang 224.85 ラウニオン州サント・トーマス英語版、Cupang 1908年11月14日
Santo Tomas U 227.71 STU ラウニオン州サント・トーマス英語版 1908年11月14日
Agoo 231.96 GO ラウニオン州アゴー英語版 1908年12月4日
Paraton 235.92 ラウニオン州アリンガイ英語版、San Pedro
San Eugenio ラウニオン州アリンガイ英語版、San Eugenio
South Aringay ラウニオン州アリンガイ英語版、Santa Rita West 1909年7月26日
アリンガイ駅 240.66 ラウニオン州アリンガイ英語版
カバ駅 244.61 ラウニオン州、カバ英語版 1912年10月14日
Urayong ラウニオン州、カバ英語版、Urayong
Santiago 250.52 ラウニオン州、バワン英語版、Santiago 1912年10月14日
カランバヤ駅タガログ語版 253.62 ラウニオン州、バワン英語版、Calumbaya 1912年10月14日
バワン駅タガログ語版 ラウニオン州、バワン英語版 1929年1月16日
Romas ラウニオン州、バワン英語版、Paringao 1931年
セビリア駅タガログ語版 ラウニオン州、サンフェルナンド、Sevilla 1929年5月16日
サンフェルナンドU駅 265.4 SFU ラウニオン州、サンフェルナンド 1929年5月16日

カルンピット北駅は1894年までパンパンガ橋が建設されるまでの間の臨時駅でラフトフェリーとの乗り継ぎを行うために建設され、橋梁建設後撤去された。

南アリンガイ駅もナギリアン川の橋が完成するまでの臨時駅であり、バグバグ駅とは違い維持されていない。

その他

[編集]
  • サンフェルナンドU駅はバクノタン線が作られたときに現在の場所に移動した。
  • バウティスタ駅は当初1900年にバヤンバンから切り離されるまでは"バヤンバン集荷場"(Bayambang Mercancias)や"バヤンバンM"(Bayambang M)、"バヤンバン貨物駅"などと呼ばれていた。
  • 毎日の普通列車を除いて、マニラからサンフェルナンドUの間は乗客がいる場合普通列車のみがフラッグ・ステーションで停車した。
  • マニラからサンフェルナンドUへの普通列車での所要時間は8時間39分で、朝9時30分にマニラを出発し、夕方6時9分に到着した。
  • カローカンとバラグタスの間は1929年に複線になる予定であったが実現しなかった。
  • アマカラン(Amacalan)、サンジュリアン(San Julian)、ロマス(Romas)は1939年の日誌で登場しない。
  • サンジュリアン駅は1937年に姿を消した

運賃

[編集]

マニラ-ダグパン鉄道時代

  • 1等料金 = 0.03
  • 2等料金 = 0.02
  • 3等料金 = 0.01

目的地から目的地までの運賃 (マニラ鉄道会社時代)、サンファビアンから

  • Maasin = ₱ 0.09
  • Sapdaan = ₱ 0.05
  • カバ = ₱ 0.87
  • バワン = ₱ 0.81 (Bumalik)

関連項目

[編集]

註釈

[編集]