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ピーター・キング (イギリスのサックス奏者)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ピーター・キング
Peter King
ピーター・キング
基本情報
出生名 Peter John King
生誕 (1940-08-11) 1940年8月11日
イングランドの旗 イングランド キングストン・アポン・テムズ
死没 2020年8月23日(2020-08-23)(80歳没)
イングランドの旗 イングランド ロンドン
ジャンル ジャズトラッド・ジャズ
職業 音楽家作曲家
担当楽器 サクソフォーン
活動期間 1959年2009年
共同作業者 チャーリー・ワッツ
公式サイト peterkingjazz.com

ピーター・キングPeter King1940年8月11日 - 2020年8月23日[1])は、イングランドジャズサクソフォーン奏者、作曲家クラリネット奏者。

生い立ち

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ピーター・キングは、1940年8月11日サリーキングストン・アポン・テムズ(現ロンドンキングストン・アポン・テムズ区)に生まれた[2]。十代からクラリネットサクソフォーンを手にし、まったくの独学でこれを身につけた。最初に公的な場で演奏を披露したのは、アラン・ローズウェル (Alan Rosewell) が組んだトラッド・ジャズのグループの一員として、キングストンのスワン・パブリック・ハウス (the Swan Public House) で演奏した1957年であったが、当時のキングは陸地測量部の海外部門(the Directorate of Overseas Surveys:Ordnance Survey International の前身)で地図製作者の見習いとして、ローズウェルの下で働いていた。しかし、この演奏の後、キングはプロの音楽家となることを決意した。

経歴

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2008年に製造された、柳澤管楽器製 Yanagisawa A9932J アルト・サクソフォーン。キングが演奏していた A9932Z[3]とほぼ同型である。硬い銀製のベルとネックに、硬いリン青銅のボディでできている。ベル、ネック、キーカップには、全面的に彫刻が施されている。

1959年、19歳のとき、キングはロニー・スコットに起用されて、ロニー・スコッツ・ジャズ・クラブのオープニングで演奏した。同年、彼は『Melody Maker』誌の新人賞 (New Star award) を受賞した。1960年から1961年にかけてはジョニー・ダンクワース英語版の楽団で働き、次いで、メイナード・ファーガソンタビー・ヘイズハリー・サウス英語版スタン・トレイシー英語版ビッグ・バンドに加わり、ブリュッセル・ビッグ・バンド (Brussels Big Band)、またレイ・チャールズのヨーロッパ・ツアーのバンドにも参加した。

また、小編成のグループでは、フィリー・ジョー・ジョーンズズート・シムズアル・コーンレッド・ロドニーハンプトン・ホーズナット・アダレイアル・ヘイグジョン・バーチ英語版ビル・ワトラスや、ディック・モリッシー英語版トニー・キンゼイ英語版ビル・ル・サージュ英語版、さらに歌手のジミー・ウィザースプーン英語版ジョー・ウィリアムス英語版ジョン・ヘンドリクス英語版アニタ・オデイらとも共演した。キングは、1969年の映画ミニミニ大作戦』のサウンドトラック (The Italian Job) でも演奏している[4]。また、チャーリー・ワッツのテンテットのメンバーでもある。

2005年、キングはアルバム『Janus』を録音したが[5]、これはアップルビー・ジャズ・フェスティバル (Appleby Jazz Festival) の主催者であるニール・ファーバー (Neil Ferber) の委嘱を受け、またBBCRadio 3 から資金を提供されて、リリック弦楽四重奏団 (Lyric String Quartet) と制作した、バルトークの音楽に影響を受けた作品であった。同年、ピーター・キングは、BBCの「ミュージック・オブ・ザ・イヤー」賞を受賞した。

キングは、ポップ・グループであるエヴリシング・バット・ザ・ガールのデビュー・アルバム『エデン』をはじめ[6]、複数のアルバムに参加しており、このグループの元メンバーであるベン・ワットのアルバム『North Marine Drive』にも参加している[7]

2012年、キングは、ジャズ・ミュージシャンのアニー・ロス英語版を取り上げたドキュメンタリー映画『No One but Me』に出演した[8]。この他にも『Blue Ice』、『The Talented Mr. Ripley』といった映画に出演している。2011年4月、キングは自伝『Flying High』を出版した[9]

キングはまた、模型航空機の世界でも国際的に知られた重要人物である。大きな競技会での優勝経験もあり、この主題について数多くの記事を執筆している。またフォーミュラ1への関心も強く、アルバム『Tamburello』[10]には、故アイルトン・セナへの深い共感を捧げた3部構成の楽曲が盛り込まれている。

ピーター・キングは、チェルシー606クラブ英語版で、毎月定例の演奏をおこなっている[11]

キングはしばらく病気をした後、2020年8月23日、ロンドンにて80歳で亡くなった。

ディスコグラフィ

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リーダー・アルバム

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  • New Beginning (1982年、Spotlite)
  • Bebop Live (1983年、Spotlite)
  • East 34th Street (1983年、Spotlite)
  • Focus (1983年、KPM Music)
  • 90% of 1 Per Cent (1985年、Spotlite)
  • In Paris (1986年、Blue Silver)
  • Hi Fly (1988年、Spotlite)
  • Brother Bernard (1988年、Miles Music)
  • Live at the Bull (1988年、Bull's Head)
  • Crusade (1989年、Blanco y Negro)
  • New Year's Morning '89 (1989年、Fresh Sound) ※with テテ・モントリュー
  • Tamburello (1995年、Miles Music)
  • Speed Trap (1996年、Jazz House)
  • Lush Life (1999年、Miles Music)
  • Footprints (2003年、Miles Music)
  • Janus (2006年、Miles Music) ※1997年録音

参加アルバム

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エヴリシング・バット・ザ・ガール

ジョージィ・フェイム

  • 『ザ・トゥー・フェイシズ・オブ・フェイム』 - The Two Faces of Fame (1967年、CBS)
  • 『ザ・ブルース・アンド・ミー』 - The Blues and Me (1995年、Go Jazz)
  • 『ネーム・ドロッピン』 - Name Droppin': Live at Ronnie Scott's (1997年、Go Jazz)
  • 『傷だらけの栄光』 - Walking Wounded: Live at Ronnie Scott's (1998年、Go Jazz)
  • Relationships (2001年、Three Line Whip)

メイナード・ファーガソン

  • 『M.F.ホーン』 - M.F. Horn (1970年、Columbia)
  • 『M.F.ホーン2』 - M.F. Horn Two (1972年、Columbia)
  • The Lost Tapes Vol. One (2007年、Sleepy Night)
  • The Lost Tapes Vol. Two (2008年、Sleepy Night)

タビー・ヘイズ

  • 『タブス・ツアーズ』 - Tubbs' Tours (1964年、Fontana)
  • England's Late Jazz Great (1987年、IAJRC)
  • 200% Proof (1992年、Master Mix)
  • Rumpus (2015年、Savage Solweig)

トニー・キンゼイ

  • How to Succeed in Business Without Really Trying (1963年、Decca)
  • Jazz Scenes (1993年、Chappell)
  • Blue Circles (2003年、Jazz House)

コリン・タウンズ

  • Mask Orchestra (1993年、Jazz Label)
  • Nowhere & Heaven (1996年、Provocateur)
  • Bolt from the Blue (1997年、Provocateur)
  • Dreaming Man with Blue Suede Shoes (1999年、Provocateur)
  • Another Think Coming (2001年、Provocateur)
  • The Orpheus Suite (2004年、Provocateur)

スタン・トレイシー

  • Free an' One (1970年、Columbia)
  • The Bracknell Connection (1976年、Steam)
  • Stan Tracey Now (1983年、Steam)
  • Genesis (1987年、Steam)
  • We Still Love You Madly (1989年、Mole Jazz)
  • Portraits Plus (1992年、Blue Note)
  • Live at the QEH (1994年、Blue Note)
  • The Durham Connection (1999年、33 Jazz)

チャーリー・ワッツ

  • 『ライヴ・アット・フルハム・タウン・ホール』 - Live at Fulham Town Hall (1986年、CBS)
  • 『フロム・ワン・チャーリー〜チャーリー・パーカー・トリビュート』 - From One Charlie (1991年、UFO)
  • A tribute to Charlie Parker with strings (1992年、The Continuum Group, Inc)
  • 『ウォーム&テンダー』 - Warm & Tender (1993年、Continuum)
  • 『ロング・アゴー&ファー・アウェイ』 - Long Ago & Far Away (1996年、Pointblank/Virgin)
  • Watts at Scott's (2004年、Black Box/Sanctuary)

その他

脚注

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  1. ^ 英ジャズ界の巨匠 サックス奏者のピーター・キングが死去”. amass. 2020年8月29日閲覧。
  2. ^ Peter King (2) - Discogs(英語)
  3. ^ Artists Peter King”. Yanagisawa Wind Instruments Co., Ltd.. 2018年9月22日閲覧。
  4. ^ Quincy Jones – The Italian Job - Discogs
  5. ^ John Fordham, "Peter King Quartet, Janus" (review), The Guardian, 8 December 2006.
  6. ^ Everything But The Girl – Eden - Discogs
  7. ^ Ben Watt – North Marine Drive - Discogs
  8. ^ "Peter King", No One But Me website.
  9. ^ King, Peter (2011). Flying High: A Jazz Life and Beyond. Northway Publications. pp. 338  Google books
  10. ^ Peter King (2) – Tamburello - Discogs
  11. ^ 606 Club website

関連文献

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  • Peter King, Flying High: A Jazz Life and Beyond (autobiography). London: Northway Publications, 2011. ISBN 978-0-9550908-9-9
  • Ian Carr, Digby Fairweather, & Brian Priestley. Jazz: The Rough Guide. ISBN 1-85828-528-3
  • Richard Cook & Brian Morton. The Penguin Guide to Jazz on CD 6th edition. ISBN 0-14-051521-6

外部リンク

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