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ピクシレーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ピクシレーションの実例 (2019、TAP Dompierre Sur Mer提供)

ピクシレーション: pixilation)は人間を1コマずつ動かして撮影しそれらを連続再生する技法・作品である[1]

概要

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ピクシレーションは人形アニメーションを「人」を使っておこなうことに例えられる[2]。本来は自由に運動できる人間を「ポージングした人型人形」としてコマ撮りする。少し変化した別のポージングでまた撮影し、これを繰り返すことで映像のなかに実在しない動きを生み出す、つまりアニメーションを作っている[2]。この点でピクシレーションはストップモーション・アニメーションの一種である[1][2](⇒#アニメーションとの関係)。

セグンド・デ・チョーモン英語版の『El hotel eléctrico』(1908年)やエミール・コールの『Jobard ne peut pas voir les femmes travailler』(1911年)など映画黎明期からある技法であるが、「ピクシレーション」という語はそれよりずっと後、カナダアニメーターのグラント・マンロー(1923年 - 2017年)が造った[3]。様々なピクシレーション作品が制作され続けている(⇒#作品例)。

アニメーションとの関係

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ピクシレーションはアニメーションの一種である[4][1]。特にストップモーション・アニメーションの一種である[1][2]

人間は現実の時空間のなかで運動でき、この実際運動を連続撮影したものが実写映像である。ピクシレーションはあえてこれと反し、各コマのために個別にポージングしこれを都度撮影する[2][1]。最終的な映像からは人間が映り動いているように感じられるが、この動きは現実に起きた動きではない。静物を連続的に表示して「実在しない動き」を感じさせる映像となっており、これはまさにアニメーションである。

作品例

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セグンド・デ・チョーモン『El hotel eléctrico』(1908)

映画

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テレビ

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ミュージックビデオ

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ピクシレーションに似ているもの

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通常の動画をコマ落ちさせることによってピクシレーションに似た効果をあげることができるが、品質は劣る。

マイケル・ジャクソンの『Leave Me Alone』はビデオのフレーム速度を減速させ、オブジェクトに重ねたものである。

脚注

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出典

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  1. ^ a b c d e "ピクシレーション(Pixilation)とは、人物を被写体として連続した動作を静止画像として撮影し、それぞれに数フレーム単位の表示時間を設定して繋ぎ合わせる、いわゆるコマ撮りアニメーション技法のことである。" pp.1-2 より引用。坂本, 憲信 (2014). "クロスメディアによるデザイン表現の教育実践に関する一考察". 日本デザイン学会研究発表大会概要集. 61: 1–2.
  2. ^ a b c d e "本来自在に動く人間を動かぬオブジェとしてコマ撮りしアニメーションとするピクシレーション" p.36 より引用。谷口, 昭弘 (2017). "書評:栗原詩子著 『物語らないアニメーション─―ノーマ ン・マクラレンの不思議な世界』". 音楽学. 63 (1): 36–38.
  3. ^ Grant Munro
  4. ^ "ピクシレーション(pixilation)... 映画術の存在を前提としたアニメーション" p.6 より引用。小出, 正志 (2018). "アニメーションの原点、その研究の原点、学問と学会の原点". アニメーション研究. 19 (2): 3–16.

外部リンク

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