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ヒメナガメ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒメナガメ
埼玉県富士見市にて(2011年6月)
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: カメムシ目 Hemiptera
亜目 : カメムシ亜目 Heteroptera
: カメムシ科 Pentatomidae
: Eurydema
: ヒメナガメ E. dominulus
学名
Eurydema dominulus
Scopoli (1763)
和名
姫菜亀

ヒメナガメ(姫菜亀、Eurydema dominulus)はカメムシ目カメムシ科昆虫の一種である。ナガメより小型で、アブラナ科の植物の汁を吸う。学名Eurydema pulchra (Westwood 1837) はシノニム

性質

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成虫は橙地に黒の紋(逆に言えば黒地に橙の条紋[1])を持つ。ナガメより模様が複雑である。胸部の黒紋はナガメには左右2つしかないが、ヒメナガメは前方に2つ、後方に4つが横に並んで計6つある。腹部背面の紋もヒメナガメのほうが複雑である。幼虫は外見から区別し難いほど似ている。

幼虫・成虫ともにアブラナ科の植物を食草とする。セイヨウアブラナダイコンキャベツカブノザワナハクサイコマツナカラシナワサビのような野菜や、タネツケバナナズナグンバイナズナイヌガラシコンロンソウのような様々な野草を含む[2]

長野県伊那市の高遠での調査では、ヒメナガメは成虫で越冬し、年に3回発生する[3]

分布

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本州[4]、四国、九州、台湾、中国、東南アジア。インド、オーストラリア(クインズランド)にも分布する[5]。ナガメより気温が高い地方に寄るが、重なる場所では混生していることが多い。

人間との関わり

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ナガメとともにアブラナ科の野菜の汁を吸う害虫である。被害を受けた葉には小さな白い班が生じ、数が多いとしおれて枯れる[6]

脚注

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  1. ^ 『日本原色カメムシ図鑑』(陸生カメムシ類)227頁。
  2. ^ Morimoto et. al. "Coexistence of the Two Closely Related Species ...", p437. カラシナ、ワサビ、イヌガラシ、コンロンソウは『日本原色カメムシ図鑑』(陸生カメムシ類)227頁。
  3. ^ Morimoto et. al. "Coexistence of the Two Closely Related Species ...", p439-p440.
  4. ^ 全改訂新版『原色日本昆虫図鑑』下巻と『原色昆虫圖鑑』第3版第3巻には本州中部以南、『日本原色カメムシ図鑑』(陸生カメムシ類)は本州。右上のボックス内の写真は埼玉県。少なくとも現在では中部以南に限られないようである。
  5. ^ 全改訂新版『原色日本昆虫図鑑』下巻。『原色昆虫圖鑑』第3版第3巻。
  6. ^ 『日本原色カメムシ図鑑』(陸生カメムシ類)288-289頁。

参考文献

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  • 伊藤修四郎・奥谷禎一・日浦勇・編『原色日本昆虫図鑑』(下)、保育社、全改訂新版、1990年。
  • 友国雅章・監修、安永智秀・高井幹夫・山下泉・川村満・川澤哲夫・著『日本原色カメムシ図鑑』(陸生カメムシ類)、全国農村教育協会、1993年。
  • 安松京三・朝比奈正二郎・石原保『原色昆虫圖鑑』、第3巻、北隆館、第9版、1988年。
  • Morimoto, Naotake, Masahiro Fujino, Norio Tanahashi and Hideaki Kishino "Coexistence of the Two Closely Related Species of Cabbage Stink Bug, Eurydema rugosum nad E. Pulchrum (Heteroptera: Pentatomidae), in the Field in Central Japan. I. Distribution, Life Cycle and Host Plant Preferences of the Two Species"[1], Japanese Society of Applied Entomology and Zoology, 26 (4), 1991.