ナガメ
表示
ナガメ | ||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Eurydema rugosa
| ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||
Eurydema rugosa Motschulsky, 1861 | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ナガメ |
ナガメ(菜亀、学名:Eurydema rugosa Motschulsky, 1861)は、カメムシ目カメムシ科の昆虫。和名は「菜の花につく亀虫」の意味で、アブラナ科の植物に集まることから名づけられた。
特徴
[編集]成虫は体長6.5ミリメートルから9.5ミリメートルで、橙地に黒の紋、あるいは黒地に橙の条紋を持つ。近縁のヒメナガメと比べると単純な模様である。幼虫は外見から区別し難いほど似ている。
幼虫・成虫ともにアブラナ科の植物を食草とする。セイヨウアブラナ、ダイコン、キャベツ、カブ、ノザワナ、ハクサイ、コマツナのような野菜や、タネツケバナ、ナズナ、グンバイナズナ、イヌガラシ、タガラシ(キンポウゲ科)のような様々な野草を含む[1]。
長野県伊那市の高遠での調査では、ナガメは成虫で越冬し、年に2回発生し[2]、4-10月に見られる[3]。
-
交尾中のナガメ
-
近縁種のヒメナガメ
Eurydema dominulus
特有の臭気の主成分はトランス-2-ヘキセナールで、幼虫にとって天敵となりうるアリを忌避させる。それだけでなく、幼虫はこれを仲間に対する警告と集合という反対のフェロモンとして利用する。すなわち、危険が迫ると大量の臭気を出し、それを感知した他の個体はその場から落下するか逃げ散る[4]。少量の臭気を感知した幼虫はそれを手がかりに集まってくる[5]。
分布
[編集]中国、日本(北海道から九州)に分布する[6]。平地から山地にかけての草地に生息する[3]。ヒメナガメより気温が低い地方に寄るが、重なる場所では混生していることが多い。
人間との関わり
[編集]ヒメナガメとともにアブラナ科の野菜の汁を吸う害虫である。被害を受けた葉には小さな白い班が生じ、数が多いとしおれて枯れる[7]。
脚注
[編集]- ^ Morimoto et. al. "Coexistence of the Two Closely Related Species ...", p437. イヌガラシとタガラシは『日本原色カメムシ図鑑』227頁。
- ^ Morimoto et. al. "Coexistence of the Two Closely Related Species ...", p439-p440.
- ^ a b 槐 (2013)、302頁
- ^ Ishiwatari "Studies on the Scent of Stink Bugs I".
- ^ Ishiwatari "Studies on the Scent of Stink Bugs II".
- ^ 『日本原色カメムシ図鑑』(陸生カメムシ類)227頁。
- ^ 『日本原色カメムシ図鑑』(陸生カメムシ類)288-289頁。
参考文献
[編集]- 友国雅章・監修、安永智秀・高井幹夫・山下泉・川村満・川澤哲夫・著『日本原色カメムシ図鑑』(陸生カメムシ類)、全国農村教育協会、1993年。
- 槐真史(編) 編『日本の昆虫1400 ①チョウ・バッタ・セミ』伊丹市昆虫館(監修)、文一総合出版〈ポケット図鑑〉、2013年4月19日。ISBN 978-4-8299-8302-7。
- 福田晴夫ほか『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方 : 野山の宝石たち』(増補改訂版)南方新社、2009年。ISBN 978-4-86124-168-0。
- Ishiwatari "Studies on the Scent of Stink Bugs (Hemiptera: Pentatomidae) I. Alarm Pheromone Activity"[1] , Applied Entomology and Zoology, 9 (3), 1974.
- Ishiwatari "Studies on the Scent of Stink Bugs (Hemiptera: Pentatomidae) II. Aggregation Pheromone Activity" [2], Applied Entomology and Zoology, 11 (1), 1976.
- Morimoto, Naotake, Masahiro Fujino, Norio Tanahashi and Hideaki Kishino "Coexistence of the Two Closely Related Species of Cabbage Stink Bug, Eurydema rugosum and E. Pulchrum (Heteroptera: Pentatomidae), in the Field in Central Japan. I. Distribution, Life Cycle and Host Plant Preferences of the Two Species"[3], Applied Entomology and Zoology, 26 (4), 1991.