ハロー・リトル・ガール
「ハロー・リトル・ガール」 | ||||||||||
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ビートルズの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』 | |||||||||
英語名 | Hello Little Girl | |||||||||
リリース | 1995年11月20日 | |||||||||
録音 |
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ジャンル | リバプールサウンド | |||||||||
時間 | 1分40秒 | |||||||||
レーベル | アップル・レコード | |||||||||
作詞者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
作曲者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
プロデュース | マイク・スミス | |||||||||
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「ハロー・リトル・ガール」(Hello Little Girl)は、ジョン・レノンが初めて作曲した楽曲である。作曲者のクレジットにはポール・マッカートニーとの共同名義であるレノン=マッカートニーが使用されている[注釈 1]。 1957年に書かれた本作は、1962年に行われたビートルズのデッカ・レコードでのオーディションで演奏され、当時の演奏は1995年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』に収録された。
1963年にザ・フォーモストやジェリー&ザ・ペースメイカーズらによって録音され、ザ・フォーモストによるシングル盤は全英シングルチャートで最高位9位を記録した。
背景・曲の構成
[編集]ジョン・レノンは、ポール・マッカートニーが「アイ・ロスト・マイ・リトル・ガール」を作曲したのと同じ1957年の末ごろに「ハロー・リトル・ガール」を作曲した[1]。この楽曲はレノンが初めて書いた楽曲[2][3]とされているが、ビートルズの歴史家であるマーク・ルイソンは、本作を「レノンが書いた3作目の曲(最初であることに固執している)」と説明している[4]。本作についてレノンは、1980年の『プレイボーイ』誌のインタビューで「1930年代か1940年代の楽曲のパロディ。母がよく歌ってた古い歌をヒントに作ったんだと思う」と語っている [5]。ルイソンは、本作についてザ・クリケッツおよびバディ・ホリーからの影響を指摘している[6]。音楽学者のウォルター・エヴェレットも、本作についてホリーの特徴を強くつかんでいると述べている[7]。とくに、「ハロー・リトル・ガール」はレノンがリード・ボーカルを務め、マッカートニーがディスカントを歌うという、ビートルズがホリーのダブルトラックによるボーカル・パートを再現した初の楽曲となっていて、以降ほとんどの楽曲でこのアレンジが採用された[8]。
本作は1960年から1962年までの間に大きく曲の構成が変更されており、エヴェレットはマッカートニーとジョージ・ハリスンによるバッキング・ボーカルを加えるために行われた可能性を示している[9]。後のバージョンには、「ツイスト・アンド・シャウト」や「抱きしめたい」のように三連符が用いられている[10]。
レコーディング・リリース
[編集]「ハロー・リトル・ガール」のレコーディングについて知られているうちで最古の例は、1960年の演奏となっている[11][注釈 2]。このレコーディングでは、レノンのリード・ボーカルとヘフナー・クラブ40で弾いたギターのパートを主体とし、マッカートニーはハーモニー・ボーカルを歌ったほか、フラマスのアコースティック・ギターを演奏した[13]。レコーディングには、ハリスン[14]と当時のベーシストであるスチュアート・サトクリフも参加している[11]。この当時の音源は公式発売はされていないが、海賊盤で流通している[15]。
ビートルズは、1962年1月1日のデッカ・レコードのオーディションに向けて、本作のレコーディングを行った。ルイソンは、この時のハリスンのギターの演奏について、他の楽曲での演奏と比較して「標準以下」と述べている[16]。ピート・ベストは、セクションとセクションの間にスネアロールを加えている[17]。ルイソンは、本作を同日のセッションにおいてうまくいった数少ない楽曲の1つとし、主にレノンとマッカートニーのツインボーカルのおかげであると述べている[18]。
2月8日、ビートルズは、ラジオ番組のプロデューサーであるピーター・ピルビームのオーディションによるオーディションで、「ハロー・リトル・ガール」を含む4曲を演奏した[19]。この時のテープは保管されていない[20]。ピルビームは、「ハロー・リトル・ガール」に対する短評として「マッカートニー NO」「レノン YES」と記した[21]。その後3月7日にピルビームが手がけるBBCラジオの番組のためにプレイハウス・シアターでレコーディングを行った。この時に本作を含む4曲が録音されたが、本作のみ放送されなかった[22]。
2月13日、マネージャーのブライアン・エプスタインがジョージ・マーティンを訪ね、デッカ・レコードのオーディションで録音した「ハロー・リトル・ガール」と「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」を収録したアセテート盤を渡した[23]。エプスタインは、アセテート盤にペンでA面に「Hullo Little Girl by John Lennon & The Beatles」、B面に「Til There Was You by Paul McCartney & The Beatles」と記した[24][25]。エプスタインは、1964年に出版した自伝の中でマーティンが「ハロー・リトル・ガール」と「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」を気に入っていて、とりわけハリスンのギターを気に入っていたことを書いている[26]。
1995年11月21日に『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』が発売され、「ハロー・リトル・ガール」を含むデッカ・レコードのオーディションのために録音された楽曲が収録された[27]。この翌年には「ハロー・リトル・ガール」と「ライク・ドリーマーズ・ドゥ」を収録したアセテート盤が、£4,000(2023年時点の£9,500と同等)で販売された[28][29]。
2016年3月22日にウォリントンで行われたオメガ・オークションで、元ジェリー&ザ・ペースメイカーズのレス・マクワイアが所有していたアセテート盤が出品され、£77,500で落札された[30][24][25]。
クレジット
[編集]※出典[14](特記を除く)
- デモ音源(1960年)
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- ジョン・レノン - ボーカル、ギター
- ポール・マッカートニー - ギター、バッキング・ボーカル
- ジョージ・ハリスン - ギター
- スチュアート・サトクリフ - ベース
ザ・フォーモストによる演奏
[編集]「ハロー・リトル・ガール」 | ||||||||
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ザ・フォーモスト の シングル | ||||||||
B面 | ジャスト・イン・ケース | |||||||
リリース | ||||||||
規格 | 7インチシングル | |||||||
録音 |
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ジャンル | リバプールサウンド | |||||||
レーベル | ||||||||
作詞・作曲 | レノン=マッカートニー | |||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||
チャート最高順位 | ||||||||
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ザ・フォーモスト シングル 年表 | ||||||||
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1963年7月3日、ザ・フォーモストがEMIレコーディング・スタジオで「ハロー・リトル・ガール」のレコーディングを行った[32]。同年8月30日にデビュー・シングルとして発売され[33][34]、B面には「ジャスト・イン・ケース」が収録された[35]。全英シングルチャートには17週にわたってチャートインし、7週目に最高位9位を記録した[31]。1965年に発売されたアルバム『ファースト・アンド・フォアモスト』には未収録となった[36]。
1979年に発売されたコンピレーション・アルバム『ザ・ソング・オブ・レノン&マッカートニー』に収録され[37]、2016年に発売された『ファースト・アンド・フォアモスト +18』には、本作を含むアルバム未収録曲などが追加収録された[36]。
他のアーティストによるカバーや文化的影響
[編集]ザ・フォーモストと同年に、ジェリー&ザ・ペースメイカーズのカバー・バージョンをレコーディングした[14]。このカバー・バージョンは、1991年に発売されたコンピレーション・アルバム『EMI Legend of Rock'n Roll Series:The Best Of Gerry And The Pacemakers-The Definitive Collection』に収録されるまで、未発表のままとなっていた[38]。
「ハロー・プティット・フィーユ 〜こんにちはマドモアゼル〜」 | ||||
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中尾ミエ の シングル | ||||
B面 | この胸のときめきを | |||
リリース | ||||
規格 | 7インチシングル | |||
録音 | ビクター築地スタジオ | |||
ジャンル | ポップス | |||
レーベル | 日本ビクター | |||
作詞・作曲 |
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中尾ミエ シングル 年表 | ||||
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1966年にフランスの歌手シェイラが歌ったフランス語バージョン「ハロー・プティト・フィーユ -こんにちわマドモアゼル-」が日本発売されラジオの洋楽チャートで人気となり、中尾ミエによる孫カバー「ハロー・プティット・フィーユ 〜こんにちはマドモアゼル〜」も発売された[39]。
2009年に公開されたジョン・レノンの伝記映画『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』で、レノン(演 : アーロン・テイラー=ジョンソン)がマッカートニー(演 : トーマス・ブロディ=サングスター)に聴かせるために、オープンリール方式テープレコーダに録音するシーンで使用された[14]。歌唱・演奏はジョンソンによるもの[40]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ただし、映画『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』のサウンドトラック盤では、作者名は「ジョン・レノン」と表記されている。
- ^ ルイソンは、レコーディングが行われた日を「1960年6月18日ごろ(マッカートニーの18歳の誕生日)」[12]とし、エヴェレットは「1960年4月ごろ」[13]としている。
出典
[編集]- ^ Lewisohn 2013, p. 10.
- ^ Miles & Marchbank 1978, p. 79.
- ^ Everett 2001, p. 372n44.
- ^ Lewisohn 2013, p. 513.
- ^ Sheff 2000, p. 172.
- ^ Lewisohn 2013, p. 10, 152.
- ^ Everett 2001, p. 52.
- ^ Everett 2001, p. 76.
- ^ Everett 2001, p. 34.
- ^ Everett 2001, p. 103.
- ^ a b Lewisohn 2013, pp. 326–327.
- ^ Lewisohn 2013, p. 326.
- ^ a b Everett 2001, p. 43.
- ^ a b c d Womack 2014, p. 373.
- ^ Lewisohn 2013, p. 834n12.
- ^ Lewisohn 2013, p. 541.
- ^ Everett 2001, p. 84.
- ^ a b Everett 2001, p. 542.
- ^ Lewisohn 2013, p. 562.
- ^ Lewisohn 2013, p. 562n.
- ^ Lewisohn 2013, p. 563.
- ^ Lewisohn 2013, p. 581.
- ^ Lewisohn 2013, pp. 570–571.
- ^ a b “ビートルズの「聖杯」、1200万円で落札 希少なデモレコード 写真2枚 国際ニュース”. AFPBB News (フランス通信社). (2016年3月23日) 2020年9月4日閲覧。
- ^ a b “ビートルズ、62年に作られた最初の10インチ盤が1200万円を超える価格で落札”. NME Japan. BandLab UK (2016年3月23日). 2020年9月4日閲覧。
- ^ Lewisohn 2013, pp. 571, 856n31.
- ^ MacDonald 2005, p. 51.
- ^ Gottfridsson 1997, p. 188.
- ^ Everett 2001, p. 379n46.
- ^ Baxter, Todd (2016年3月22日). “'Holy Grail' of Beatles records sells for $110k”. CNN. 2020年9月4日閲覧。
- ^ a b “Official Singles Chart Top 50”. UK Singles Chart. 2020年9月4日閲覧。
- ^ Everett 2001, p. 167.
- ^ Carr, Roy; Tyler, J. E. A. (1981) [1975]. The Beatles: An Illustrated Record. Harmony Books. p. 135. ISBN 0517544938
- ^ Womack, Kenneth (2017). Maximum Volume: The Life of Beatles Producer George Martin, The Early Years, 1926-1966. Chicago Review Press. p. 170. ISBN 1613731922
- ^ Osborne, Jerry; Hamilton, Bruce (1978). Popular & Rock Records, 1948-1978. O'Sullivan Woodside. p. 85. ISBN 0890190658
- ^ a b “The Fourmost / フォアモスト「First And Fourmost / ファースト・アンド・フォアモスト +18」”. Warner Music Japan. 2022年7月6日閲覧。
- ^ Unterberger, Richie. Songs Lennon & McCartney Gave Away - Various Artists | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月4日閲覧。
- ^ “重要CDを振り返る:リミックス再発の先駆けとなった米EMIによる『EMI Legend of Rock’n Roll Series』”. merurido.jp. 芽瑠璃堂 (2019年6月23日). 2022年7月6日閲覧。
- ^ 中村俊夫. “カヴァー三代目物語”. 中村俊夫の復刻堂徒然日誌. 芽瑠璃堂. 2021年3月24日閲覧。
- ^ Mower, Sarah (2010年9月8日). “A Day in the Life: Aaron Johnson”. Vogue. Condé Nast. 2022年7月6日閲覧。
参考文献
[編集]- Everett, Walter (2001). The Beatles As Musicians: The Quarry Men through Rubber Soul. Oxford and New York: Oxford University Press. ISBN 978-0-19-514105-4
- Gottfridsson, Hans Olof (1997). The Beatles from Cavern to Star-Club: the Illustrated Chronicle, Discography & Price Guide 1957-1962. Stockholm, Sweden. ISBN 978-9-197-18947-7
- Lewisohn, Mark (2013). The Beatles – All These Years, Volume One: Tune In. Crown Archetype. ISBN 978-1-4000-8305-3
- MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (2nd revised ed.). London: Pimlico. ISBN 978-1-84413-828-9
- Sheff, David (2000). All We Are Saying. St Martin's Griffin. ISBN 0-312-25464-4
- Womack, Kenneth (2014). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Santa Barbara, CA: ABC-CLIO. ISBN 0313391726
外部リンク
[編集]- Hello Little Girl - The Beatles