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ハギマシコ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハギマシコ
ハギマシコ
ハギマシコ Leucosticte arctoa (オス冬羽)
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ目 Passeriformes
: アトリ科 Fringillidae
亜科 : ヒワ亜科 Carduelinae
: ハギマシコ属 Leucosticte
: ハギマシコ L. arctoa
学名
Leucosticte arctoa
(Pallas1811)
和名
ハギマシコ
英名
Asian Rosy finch
亜種

ハギマシコ(萩猿子、学名: Leucosticte arctoa)は、アトリ科ハギマシコ属に分類される鳥類の1種である[2]

分布

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旧北区の東部に分布する[2]ロシア東部、モンゴル中国北東部、北朝鮮韓国日本)。夏季にロシアシベリア中・東部)のアルタイ山脈サヤン山脈からモンゴル北部、ザバイカルコリャーク地方、カムチャツカ半島千島列島北部の山地で繁殖し、冬季になると低地や暖地に移動[2]、中国や朝鮮半島へ南下し越冬する。

日本では亜種ハギマシコ (Leucosticte arctoa brunneonucha) が主に冬季、越冬のため冬鳥として飛来するが、本州中部以北で見られ[3]、西日本には少ない[4]。夏季に北海道や東北地方の高山帯に残る個体もおり、北海道の日高山脈利尻島のほか、大雪山では巣材を運ぶ個体や[5]巣立ち直後の幼鳥に給餌する観察例があり、繁殖している可能性があるが、巣や卵は確認されていない[6]北海道で冬鳥または留鳥とされるほか、南千島、本州見島山口県)で冬鳥、舳倉島石川県)では旅鳥、佐渡島新潟県)、九州対馬長崎県)、伊豆諸島八丈島東京都)ではまれな旅鳥として記録されている[2]

形態

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全長約16cm。スズメ(約14.5cm)より少し大きい。体重約30g。

夏羽は全身が褐色みの強い羽毛で覆われ、嘴の色彩が黒い。冬羽では嘴の色彩はオレンジがかった黄色で先端が黒い[5]。オスの冬羽は前頭部から腹面にかけて黒く、胸部や腹面には白色や赤紫色の細かい斑紋が入る。和名はこの斑紋がハギの花のように見えることに由来する。後頭から側頸にかけては明褐色。胴体背面や肩羽は褐色で、羽毛の軸周辺の斑紋(軸斑)は黒褐色。メスの冬羽は褐色みが強く、腹面に灰色がかった赤紫色の斑紋が狭く入る。

分類

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現在では通常、北アメリカに分布する以下の3種を別種に分類しているが[7]、これまで分類学的に安定せず、それらを単一種(ハギマシコ、: Rosy Finch)としたほか、3ないし4種にも分類された[8]

亜種

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  • Leucosticte arctoa arctoa (Pallas, 1811) - 基亜種。ロシアのアルタイ地方に分布する[12]
  • Leucosticte arctoa cognate (Madarász, 1909) - モンゴルに近いロシアのサヤン山脈および近隣の山脈に分布する[12]
  • Leucosticte arctoa sushkini (Stegmann, 1932) - モンゴル北部のハンガイ地方 (Khangai region) に分布する[12]
  • Leucosticte arctoa gigliolii (Salvadori, 1869) - ヤブロノヴイ山脈の東、バイカル湖北部の山脈に分布する[12]
    • Leucosticte arctoa gigliolii (gigliolii)
    • Leucosticte arctoa gigliolii (curilica)
  • Leucosticte arctoa brunneonucha (Brandt, 1842) - 亜種ハギマシコ。シベリア東部の山脈(レナ川からカムチャツカ半島千島列島)に分布する[12]

生態

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標高の高い岩礫地や崖地に生息し、冬季になると海岸、崖地や岩場、疎林、草原、荒地などに移動する[2]。非繁殖期には、数十羽から数百羽の群れで行動する。

食性は植物食で、主に種子を食べる。主に地表で採食を行う。

岩の隙間に木の枝、苔、枯れ草などを組み合わせた皿状の巣を作り、1腹4-5個の卵を産む。抱卵期間は12-14日でメスのみが抱卵する。雛は18-20日で巣立ちするが、その後も約14日程度親から給餌される。

鳴き声は、地鳴きでは「ジュッジュッ」「ジェッジェッ」と濁って聞こえる。高めの声で「ピィスピィス」と鳴いたり、「チッチッ」という鳴き声を発したりもする。飛翔時に聞くことが多い[3]

脚注

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  1. ^ The IUCN Red List of Threatened Species. Version 2013.2. Leucosticte arctoa” (英語). 国際自然保護連合 (IUCN). 2014年4月20日閲覧。
  2. ^ a b c d e 日本鳥学会(目録編集委員会)編 編『日本鳥類目録』(改訂第7版)日本鳥学会、2012年、359-360頁。ISBN 978-4-930975-00-3 
  3. ^ a b 蒲谷鶴彦、松田道夫『日本野鳥大鑑 鳴き声333 (下)』小学館、1996年、125頁。 
  4. ^ 日本の野鳥650 (2014)、675頁
  5. ^ a b 日本の野鳥590 (2000)、579頁
  6. ^ 河井大輔・川崎康広・島田明英、諸橋淳『新訂 北海道野鳥図鑑』(第2版)亜璃西社、2013年、195頁。 
  7. ^ IOC World Bird List Ver. 3.3 (Finches, NW warblers & orioles)” (英語). 国際鳥類学会議 (IOC). 2013年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月20日閲覧。
  8. ^ 日比彰「世界中で美しい アトリのなかまたち」『Birder』第18巻第1号、文一総合出版、2004年1月、40頁。 
  9. ^ Gray-crowned Rosy-Finch (Leucosticte tephrocotis) (Swainson, 1832)” (英語). Avibase - the world bird database. BirdLife International. 2014年3月22日閲覧。
  10. ^ Black Rosy-Finch (Leucosticte atrata) (Ridgway, 1874)” (英語). Avibase - the world bird database. BirdLife International. 2014年3月22日閲覧。
  11. ^ Brown-capped Rosy-Finch (Leucosticte australis) (Ridgway, 1874)” (英語). Avibase - the world bird database. BirdLife International. 2014年3月22日閲覧。
  12. ^ a b c d e Clements, James (2007). The Clements Checklist of the Birds of the World (6th ed.). Ithaca, NY: Cornell University Press. p. 628. ISBN 978-0-8014-4501-9 

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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