ノート:文字/改訂の議論 20070115-/subj/分類
この節の2007/02/16までの投稿はノート:アブギダから移動されたものです。
今後、文字の項目を改稿して、文字の分類の説明 (詳細は以下に書きます) をいれることにします。また、書記素、書字システム、用字系、正書法といった、この項目で触れられているべき概念の定義または参照もこの項目に追加するべきでしょう (個人的には用字系の項目をを書くことが最終目的なので、ずいぶん遠回りですが)。これによって、死郎さんに指摘された問題点の解決をはかろうとおもいます。無関係な発言を削除--Hatukanezumi 2007年2月23日 (金) 10:27 (UTC)
ですので、アブギダとアブジャドについては、文字や関連する項目がそのように改訂されているという前提で (査読や) 修正をしていただく、ということでどうでしょうか。無関係な発言を削除--Hatukanezumi 2007年2月23日 (金) 10:27 (UTC)
で、以下は文字の分類のしかたについてです (すでにどこかで議論されていることかもしれませんが)。おおまかに言ってつぎのような分類がありえます:
- 伝統的・直感的な2-3分類
- 表音文字
- アルファベット (音素文字) en:alphabet
- 音節文字 en:syllabary
- 表意文字 en:ideogram あるいは 表語文字 en:logogram
- 表音文字
- en:Peter T. Daniels の 5分類(+α)
- Wikipedia 日本語版のカテゴリで採用している (と思われる) 分類
- 表音文字
- アルファベット en:alphabet
- アブジャド en:abjad (consonantary)
- アブギダ en:abugida (alphasyllabary、syllabics)
- (完全なアルファベット)
- 音節文字 en:syllabary
- アルファベット en:alphabet
- 表語文字 en:logogram
- 表音文字
- ほかにも G. Sampson の分類とか、さらには樹状にならない分類とかもあるみたいです。
こうしてみると、2. の Daniels の分類は、書記素の構成と音素との対応関係に少々重点を置きすぎていて (なのでハングルが分類不能) 使いにくいようにおもいます。1. の分類は論外なので、3. の分類にそって関係項目を整理していくことになるでしょう (音節文字は、Daniels 寄りの基準に修正、ただしハングルは音節文字に含める。……テングワールはどうしようかな)。
アムハラ文字やデーヴァナーガリーが音節文字に入っているのは、1. に近い分類に基づいた文献を参照した可能性もあるとおもいます (しかし、だとするとテンプレで Daniels の用語であるアブギダを書くのは変なのですが)。もうひとつ考えられる可能性は、syllabics (abugida の通称のひとつ) を音節文字と訳す例があるようで --- これは誤訳かもしれません。syllabic と誤解したのかも ---、そうだとするとここで言っている音節文字とは異なるものです (出典や文献を脚注なんかに明記していないのに、なんで分類を断定するような記事を書くのかなあ)[←事実誤認により削除。ごめん]。とにかく、各言語ごとの説明は気づいた方が修正していくのを待つほかないでしょう。
まわりくどい説明ですが。 --Hatukanezumi 2007年1月15日 (月) 12:15 (UTC)
- 詳しい解説ありがとうございます。お蔭様でかなり理解が進みました。思ったのですが、こうした複数の分類例そのものを文字本文中の文字の分類に記載し、またWikipediaではどのように扱うのか(扱うべきか)といった基本方針もそこに明記しておくのが良いのかも知れません――もちろんその中で、訳語などの明らかな誤りは指摘し正すことも必要でしょう。このような議論をこの場だけで進めるのもなんなので、ノート:文字にもアナウンスを入れておくことにします。死郎 2007年1月16日 (火) 06:57 (UTC)
- アナウンスどうもです。
- > Wikipediaではどのように扱うのか(扱うべきか)といった基本方針もそこに明記
- は、いい考えだとおもいます。が、特定の項目内にそういうメタな説明を書いてしまってもいいもんなんでしょうか? そういう例がほかにもあるのなら、いいのだろうとおもいますが。--Hatukanezumi 2007年1月17日 (水) 03:43 (UTC)
- ううん。たしかに『メタな説明』と言われればその通りですねえ。まあ本文ではなくても注釈なりノートなり、どこかに指針が必要という気がします。関連する各項目から参照先を一つ示しておけば、今後異論があった場合にも対処できると思いますので。ただしノートだとログに送られてしまう可能性があるんですよね。死郎 2007年1月17日 (水) 07:28 (UTC)
とりあえず、非常にあらっぽいものですが、文字の改訂草稿を作りました。現項目からの変更点は差分で見れます。
- Wikipediaのカテゴリでの分類を「こんな分類もある」という感じで言及してみました。これでもメタはメタですが、ほかの分類もいくつかおなじように紹介すれば、まあ百科事典的に許されるかな、と。
- 文字体系 (「文字」という用語はあいまいなので、en:script あるいは en:writing system は今後こう表記することにします) の分類と説明を、上記分類にあわせて修正しました (やっつけなので、間違いあるかもしれません)。
- 「文字の一覧」の節はいらない気もします。カテゴリといっしょになるのだから。
ご意見、修正ください。 --Hatukanezumi 2007年1月21日 (日) 12:10 (UTC)
- 大変な力作ですね。発端を作った者としては、お手間を取らせたことについてなにやら申し訳なくなって参ります。メタ云々については、最初にこちらが漠然と考えていた形に近い気がします。これで良いのではないでしょうか。たしかに「文字の一覧」は不要のような……今はとりあえず返答コメントのみにて失礼。これから暇を見て手を入れさせていただくことにします。死郎 2007年1月21日 (日) 14:10 (UTC)
- 整理された改定案だと思います。ただ、あとから出典や註をつけるのは面倒なだけではないでしょうか。また、研究史や文字に対する考え方の歴史などがあるのもよいかな、と感じました。コメントだけですがひとまず。 Kzhr 2007年1月28日 (日) 07:57 (UTC)
- 出典や注はなるべく詳細につけて、あとから重複を削る、ということでどうかとおもいます (といいながらつけてないな)。
- 研究史などの歴史については、記述が増えてきたら節をもうけてまとめられるといいとおもっています。特に分類や系統については、歴史的記述があったほうがいいでしょうね。--Hatukanezumi 2007年1月28日 (日) 09:17 (UTC)
ここにあった発言は、#基本的な概念の節へ移動しました。--Hatukanezumi 2007年2月23日 (金) 10:27 (UTC)
分類の総説部分を書いときました。ちょっと独自の研究入ってるかも。プラトンやルソーからいきなり構造主義になっちゃうのはあんまりなので、間をうめたいところではあります (古代文字の解読の歴史は系統のほうに書けばいいとおもうけど)。
あと、「用語」は「基本的な概念」に改名して、記述を加えました (文字や文字に似たもの)。
--Hatukanezumi 2007年2月12日 (月) 10:12 (UTC)
featural scriptについて
[編集]分類-総説-字形の規則性の節を追加しておきました。どうも「ハングルはアルファベットでもある、と言えるかどうか」でたまにもめる[1]ことがあるようなので、音節文字に入れて音素文字に入れない方針をとる理由を明確にしました (そのためだけに書いたわけじゃないけど)。
featural script に対する字質文字という訳語はWikipedia韓国語版で使われていますが、日本語の術語としては適切ではないとおもいます。どうしたらいいでしょう? 「字質文字」をハングル表記や漢字表記でググるとそれなりにひっかかりますが、ほとんどすべてが韓国語のサイトです。参考文献に挙げているフィッシャーの訳書では「音声的特徴を表わす文字システム」(訳書 p.251) としていますが、訳者が featural system (G. Sampson の用語) の訳語に困って意訳したのかもしれません (原書は見てないので想像です)。
--Hatukanezumi 2007年2月16日 (金) 11:59 (UTC)英語版と韓国語版へのリンク--Hatukanezumi 2007年2月27日 (火) 12:05 (UTC)
- 結局、スタイルガイドにしたがって「フィーチュラルスクリプト」と片仮名書きにしました。
で、注に挙げていたのにちゃんと読んでなかった Sampson の本をまじめに読み直しました。どうやらこのひとは
- 言語表現かそれ以外の意味表現か
- 表語的か表音的か (1次分節か2次分節か)
- 分節の程度 (表語文字であれば語が単位か形態素が単位か。表音文字であれば音節、音素、発音の特徴のどれか)。こまかくいうと、文字とそれが表すもの (意義素や音素) との関係に、必然性があるものからそうでない (恣意性がある) ものの間のどれにあたるか
という3段階の分類をしているようです。その結果、各段階に応じて以下の分類ができあがります。
- writing
semasiographic) - 意味を表す。ピクトグラムなど。- glottographic - 発語を表す。いわゆる文字。
- logographic - 表語。
複数の形態素 (たとえば語幹に語尾がついたようなもの。いわゆる語や文節) によるもの- morphemic。 - 形態素を表す。
- phonographic - 表音。
- syllabic - 音節を表す。
- segmental - 音素を表す。
- featural - さらに細かい発音上の特徴 (母音か子音か、有声音か無声音か、調音位置、など) を表す。
- logographic - 表語。
打ち消し線のものは文字体系とはいえないという立場のようです。残りのうち、最下層のものが表語文字、音節文字、音素文字、フィーチュラルスクリプトに相当します。--Hatukanezumi 2007年3月8日 (木) 12:00 (UTC)
「音節文字」にまつわる用語
[編集]「音素音節文字」「結合音節文字」「純粋音節文字」という用語がこの時点あたりから使われていて典拠が不明だったのですが、どうやら[1]あたりが出所のようです。
これの英語版[2] (改訂前の版の英訳) と併せて見てみると (以下、斜体は文中の表記)、
- 表音文字 (phonetic script)は音素文字(phonemic script)と音節文字(syllabic script)に分けられるとしている。後者の例としてカナ、デーヴァナーガリー、ハングルを挙げています。
- 音節文字に2種類あるとして、「子音が同じで母音が異なる時(…)全然形が違う」ものと、「子音を表す要素と母音が表す要素が集まって文字(…)を作っているもの」があるとしています。前者にカナ、後者にデーヴァナーガリーやハングルなどを挙げています (さらに後者の例として後にテルグー文字やクリー文字なんかも挙げているところは、さすがです)。「後2つのようなのを音素文字の結合形だと説かれることもある」(...this kind of syllabic is sometimes explained as a combination of two (or more) phonemes)と述べていて、このへんから記事執筆者が「結合音節文字」なる「用語」をつくり出してしまったようです。
- 後者を「最初の子音が同じ場合には母音が変わっても字形に関連性のある音節文字」であるとして音素音節文字(phonemic syllabary)と呼んでいて、カナのような「純粋な音節文字と区別している」としています (英文では ...is called a pure syllabary 云々の記述が見える)。ここから、「音素音節文字」や「純粋音節文字」という「用語」を採ったものとおもわれます。また英文のほうでは、「純粋な音節文字」(pure syllabary) はカナ以外ほとんど絶滅してしまったように読める記述があるので、音節文字の執筆者による「純粋音節文字」が「世界的に見て珍しい」という記述を導いた可能性があります (アブギダを音節文字から除外すると、この評価は逆になります)。
英文と照らし合わせてみると、わざわざ学術用語ではなく説明的な表現 (×× script のように) にしているようにも見えます。ここから「結合音節文字」や「純粋音節文字」という用語の存在を帰納してしまったのだとすれば、誤りでしょう。また、これらの用語法がなにを典拠としているのかはいまのところ不明ですし、デーヴァナーガリーのようなアブギダと、ハングルのようなフィーチュラルスクリプトを同列に扱ってしまっている (中西が純粋な音節文字でない例として挙げているものは、ハングル以外はすべてアブギダです) ことから、「音素音節文字」についても使うべきではないでしょう。
- ^ 中西亮 (1990). 世界の文字 (第6刷(改訂版) ed.). 松香堂. pp. p.89. ISBN 4-8380-9154-0, ISBN 4-87974-066-7
- ^ Nakanishi, Akira (1980). Writing Systems of the World. Tuttle. pp. p.111. ISBN 0-8048-1654-9