コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ナムーナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナムーナ
Namouna
フィリップ・シャプロンによる第1幕1場の舞台スケッチ
構成 2幕3場
振付 L・プティパ
作曲 E・ラロ
台本 L・プティパ
C・ニュイッテル
美術
A・リュベ
〔August Rubé〕
P・シャプロン
〔Philippe Marie Chaperon〕
J・ラヴァストル
〔Jean Baptiste Lavastre〕
衣装
E・ラコスト
〔Eugène Lacoste〕
設定 17世紀のコルフ島
初演 1882年3月6日
パリ・オペラ座
主な初演者
【ナムーナ】
 R・サンガッリ
【オッタヴィオ】
 L・メラント
ポータル 舞台芸術
ポータル クラシック音楽
テンプレートを表示

ナムーナ』 (Namouna) は、エドゥアール・ラロ作曲によるバレエ作品である。

概要

[編集]

1879年オペラ座の総裁に就任した作曲家ヴォーコルベイユ(Auguste-Edouard Vaucorbeil 1821年 - 1884年)からの依頼で1881年11月から1882年2月までの4ヶ月間で作曲された。この間、ラロは過労が原因で倒れてしまい、第2幕のオーケストレーションについてグノーの助言をもらいながら、なんとか期日どおりにプロローグ付き2幕3場の全曲を完成させている。

初演は、オペラ座にて1882年3月6日に、シャルル・ニュイッテルの台本、リュシアン・プティパの振付、リタ・サンガッリルイ・メラントの主役により行われた。初演当時、まだ19歳だったドビュッシーは『ナムーナ』を「色彩とリズムの最高傑作」と高く評価し、あまりに夢中になりすぎて劇場で騒ぎを起こしたため、退場処分となっている。しかし、バレエ自体は成功せず、主役がラロの音楽を嫌ったこともあり、わずか15回の公演の後、演目から外されてしまっている。

リュシアン・プティパによるオリジナル版は、すでにオペラ座のレパートリーから消えているが、セルジュ・リファール振付による『白の組曲』(Suite en blanc1943年)にこのバレエ曲の抜粋が使用されている。

なお、ピーター・ライトやジャック・カーターなどが、この作品の再振付を手がけていて、カーター版については牧阿佐美バレヱ団のレパートリーにもなっている[1]

登場人物

[編集]
  • ナムーナ : 女奴隷。オッタヴィオに解放される。
  • オッタヴィオ : 若い貴族。
  • アドリアーニ : 裕福な航海業者。ナムーナの持ち主。
  • ヘレナ : オッタヴィオの許婚。

あらすじ

[編集]

原作はカサノヴァ伝説に基づくミュッセの詩。舞台はギリシャイオニア海に浮かぶコルフ島

プロローグ

[編集]

コルフ島の賭博場。アドリアーニとオッタヴィオは賭けを行うが、アドリアーニは勝利の女神に見放され、ことごとく負けてしまう。とうとう自分の持ち船と秘蔵の女奴隷ナムーナを賭けるが、それでも負けてしまい財産を失う。だが、オッタヴィオはナムーナを奴隷の身から解放しただけで、賭けで得た残りの財産は全てアドリアーニに返却して鷹揚なところを見せる。それにもかかわらず、アドリアーニはオッタヴィオに対して恨みを持つ。

第1幕

[編集]

コルフ島の朝の広場。オッタヴィオが許婚であるヘレナと一緒に窓辺でセレナードを歌っていると、アドリアーニが登場、賭けの恨みからオッタヴィオに決闘を申し込む。そこへヴェールを被った女(実はナムーナ)が現れ、妖艶な踊りで決闘を止めさせてしまう。オッタヴィオはヘレナから邸に入るよう誘われるが、アドリアーニに雇われた刺客に襲われる。刺客は撃退したが、命が危ないことを悟ったオッタヴィオは、再度登場したナムーナにしたがって、船で海へと旅立つ。

第2幕

[編集]

ナムーナは奴隷商人アリの島にオッタヴィオを匿う。ヴェールを脱いだナムーナの美貌にオッタヴィオは魅かれるが、まもなくアドリアーニと部下が島へ上陸する。ナムーナは酒と踊りで彼らを酔わせて島を脱出しようとするが、アドリアーニが酔いから覚めナムーナ達を追い詰める。その時、ナムーナの従僕アンドリスクがアドリアーニを刺し殺し、オッタヴィオとナムーナは船に乗って旅立って行く。

組曲

[編集]

ラロは舞台初演後、全23曲のうちから3つの管弦楽組曲を編曲している。このバレエからの組曲(もしくは、それらからの指揮者の抜粋)はしばしば演奏され、第1組曲全曲はエルネスト・アンセルメジャン・マルティノン(共に組曲に含まれていない、「煙草のワルツ」も録音)、ポール・パレーなどによって録音も行われている。

第1、第2組曲はそれぞれ5曲ずつ[2]、第3組曲は3曲で編成されている。

エドゥアール・ラロ 1865年時

第1組曲

[編集]
  1. 前奏曲(Prélude)
  2. セレナード(Sérénade)
  3. 主題と変奏(Themè varié)
  4. 市場の行列(Parade de foire)
  5. 異国の祭り(Fête foraine)

第2組曲

[編集]
  1. モロッコ舞曲(Danse marocaine)
  2. マズルカ(Mazurka)
  3. 昼寝(La Sieste)
  4. シンバルの踊り(Pas de Cymbales)
  5. プレスト(Presto)

第3組曲

[編集]
  1. メヌエット(Menuet)
  2. タンブーラン(Tambourin)
  3. 速いワルツ

脚注

[編集]
  1. ^ ライト版は1967年、カーター版は1990年にそれぞれ制作されている。
  2. ^ ラロ:ナムーナ組曲第1番, 第2番

参考文献

[編集]

外部リンク

[編集]