デンマーク語の動詞
デンマーク語の動詞(デンマークごのどうし)では、デンマーク語の動詞について述べる。
概要
[編集]動詞には、不定詞を作るときに不定詞を作る機能語である at [1]の後につける[2]不定詞形と、時制による変化をした、現在形、過去形と過去分詞が存在する[3]。動詞の不定詞形は、基本的に-eという形をしている。[4]ただし、例外もあり、その例としては、have (har「持っている」の不定詞形[5])などがある。
動詞の区別
[編集]まず、デンマーク語の動詞には、自動詞と他動詞がある。それらは、その動詞が単体で文を構成できる定形と、単体では文を構成できない不定形の2つの形に分類され、さらには現在形、過去形、命令形と不定詞形、現在分詞、過去分詞にそれぞれ区別される。また、これらは、第1規則動詞、第2規則動詞、不規則動詞の三種類の変化の仕方があり、それによって(不規則動詞の場合は動詞によって)不定詞形、過去形、過去分詞の形が決まる。現在形、現在分詞、命令形は、ごく一部の不規則動詞を除いて、次のようになる[6]。ただし、下の表では語幹部分をハイフンの記号で省略している。
変化語尾 | 不定詞形 | 現在形 | 過去形 | 過去分詞 | 現在分詞 | 命令形 |
---|---|---|---|---|---|---|
第1規則動詞 | -e | -er | -ede | -et | -ende | - (語幹のみ) |
第2規則動詞 | -e | -er | -te | -t | -ende | - (語幹のみ) |
以上をまとめ、例を挙げると、それぞれの動詞には以下のような変化、区別がある[7]。
動詞 | 定形 | 規則動詞1 | 規則動詞2 | 不規則動詞 |
---|---|---|---|---|
定形動詞 | 現在形 | elsker | møder | flyver |
過去形 | elskede | mødte | fløj | |
命令形 | elsk | mød | flyv | |
不定形動詞 | 不定詞形 | elske | møde | flyve |
現在分詞 | elskende | mødende | flyvende | |
過去分詞 | elsket | mødt | fløjet |
現在形
[編集]デンマーク語の動詞には、人称変化が一切ない[8]。しかし、時制による変化は存在する[9]。
現在形は、正式には「語幹 + er 」だが、「不定詞形+r」という形をしていることが多い[3]。
上の項の表からわかるように、現在形と現在分詞は規則変化の種類を超えて語尾が同じであり[7]、これらは不規則動詞においても同じである[6]。つまり、現在形は「不定詞形+r」、現在分詞は「不定詞形+ende」で作ることができる[6][1]。
例
- vente(待つ) - venter
- spise(食べる) - spiser
- komme(来る) - kommer
- gå(行く) -går
過去形
[編集]過去形の語尾変化は、規則変化ごとに次のようになっている。
- 第一規則変化「動詞の不定詞形+de」
- vente - ventede
- 第二規則変化「不定詞形+語尾のeをはずして-teをつける」
- spise - spiste
- 不規則変化
- komme - kom
命令形
[編集]命令形は、単体で命令文を作ることができる。動詞の命令形を使った禁止の表現は、一般的ではない[11]が、文法上は可能である[11]。
命令形は、語幹のみの形(多くの動詞ではその不定詞形の語尾の -e をとった形[4])のものがほとんどである[11][12]。
例
- Spis!(食べろ)
- Flyv!(飛べ)
ただし、例外もいくつかある[10]。
- Se!(見ろ/見て)
- Sne!((雪よ)降れ)
動詞の例・用法
[編集]現在
1.現在の事実や習慣、恒久的な状態・心理、現在の状態
Skolen begynder kl. 7. 「学校は朝7時に始まる。」
Århus ligger i Jylland. 「オーフースは、ユラン半島にある。」
Solen går ned i vest.「日は西から昇る。」
Nu er ikke Peter hjemme. 「今、ピーターは家にいない。」
Hun er glad nu. 「彼女は今、嬉しいです。」
2.未来の事柄
Jeg går universitet.「私は大学に行く。」
など。
過去
William mødte Gitte i 1997 på en café i Århus.「ウィリアムは、1997年のオーフースのカフェでギデに会いました。」
過去分詞
Han har set Gitte. 「彼はギデを見たことがあります。」
命令形
Se! Han er William, ikke? 「見て!彼、ウィリアムだ よね?」
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b www.eigo21.com を参照
- ^ [1]デンマーク語では、不定詞を英語よりも頻繁に用いる。
- ^ a b c d 鈴木雅子 2009 76, 78, 88, 90頁
- ^ a b 『デンマーク語のしくみ』78頁
- ^ a b 『デンマーク語のしくみ』80ページ
- ^ a b c 『世界の言語シリーズ10 デンマーク語』p.97,98,99,100
- ^ a b 『世界の言語シリーズ10 デンマーク語』p.99
- ^ デンマーク語の文法 www.eigo21.com/etc/dansk/gr1.htm、大阪大学eラーニングサーバ独習コンテンツ デンマーク語osaka-u.ac.jp/flc/dan/lesson01/04.htmlを参照されたい。
- ^ 『デンマーク語のしくみ』88頁
- ^ a b 『世界の言語シリーズ10 デンマーク語』不規則動詞変化表より
- ^ a b c 鈴木雅子 2009, p. 87.
- ^ 新谷俊裕, Thomas Breck Pedersen & 大辺理恵 2014, p. 98.
参考文献
[編集]- 鈴木雅子『デンマーク語のしくみ』白水社、2009年。ISBN 978-4-5600-8511-0。
- 新谷俊裕、Thomas Breck Pedersen、大辺理恵「lektion8 <<8.1>>」『デンマーク語』大阪大学出版会〈世界の言語シリーズ10〉、2014年。ISBN 978-4-8725-9334-1。