ツバメウオ属
ツバメウオ属 | |||||||||||||||||||||
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バタビアツバメウオ Platax batavianus
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Platax Cuvier, 1816[1] | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Batfish Spadefish |
ツバメウオ属 (学名:Platax) は、インド太平洋に分布するマンジュウダイ科の属の一つ[2]。サンゴ礁に生息する5種が知られる[3]。
形態
[編集]体長は40 - 65cm[2]。最大種はツバメウオで、体長は70cmに達する[4]。成魚の体は側扁した円形で、背鰭と臀鰭が発達するため、全体の輪郭は三角形に近い。幼魚は鰭が非常に長い。
生態
[編集]インド太平洋に広く分布する。西は紅海から東はオーストラリアまで、北は琉球諸島から南はオーストラリアの東海岸まで見られる[5]。日本でも琉球など低緯度地域で成魚が多く見られ、幼魚は海流に乗り本州にも到達する。
少数の個体が大西洋海域で発見されており、ナンヨウツバメウオがフロリダで外来種として観察されている。原因はアクアリウム業界にあると非難されている[6]。
サンゴ礁や難破船の周囲に多い[5]。幼魚は沿岸部の湾内部や漁港で見られる。蠕虫、カニ、クラゲなどの無脊椎動物を捕食する。
分類
[編集]本属はジョルジュ・キュヴィエが1816年に発表した分類体系で提唱された。キュヴィエは Platax 属にミカヅキツバメウオ、Platax ocellatus が属するとした。P. ocellatus は現在、Chaetodon ocellatusとしてチョウチョウウオ属に分類されている。同じ研究で、ツバメウオはチョウチョウウオ属に分類された[7]。
いくつかの種が本属に分類され、その後変更された。上述のC. ocellatusもその1つである。ヴァランシエンヌとの共同研究で、キュヴィエは1831年にスカラレ・エンゼルを Platax scalaris として分類した[8]。実際エンゼルフィッシュは本属とは遠縁である[8]。マンジュウダイ科の Zabidius novemaculeatus は、1900年代初頭にオーストラリアで発見されたとき、Mccullochによって Platax novemaculeatus として記載された[9][10]。
属名「Platax」は「平らな」を意味するギリシア語の platys に由来し、本属魚類の側扁した体による。英名は「batfish」だが[2]、アカグツ科やセミホウボウ科、スダレダイ科、カワハギ科、ヒメツバメウオ科もこのように呼ばれる。
下位分類
[編集]本属には5種が属する[2]。
- バタビアツバメウオ[11] Platax batavianus (Cuvier, 1831) (Humpback batfish) 日本には分布しない。
- ミカヅキツバメウオ Platax boersii (Bleeker, 1852) (Golden batfish)
- ナンヨウツバメウオ Platax orbicularis (Forsskål, 1775) (Orbicular batfish)
- アカククリ Platax pinnatus (Linnaeus, 1758) (Dusky batfish)
- ツバメウオ Platax teira (Forsskål, 1775) (Longfin batfish)
数種の化石種が知られている。
- †Platax altissimus Agassiz, 1842
- †Platax macropterygious Agassiz, 1842
- †Platax papilio Agassiz, 1842
- †Platax woodwardii Agassiz, 1842
人間との関係
[編集]日本では普通食用とならず、市場で流通することは稀。幼魚は観賞用として飼育され、成魚は水族館でよく展示される。
脚注
[編集]- ^ "Platax Cuvier, 1816". World Register of Marine Species. 2022年12月24日閲覧。
- ^ a b c d Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2022). Species of Platax in FishBase. September 2022 version.
- ^ "Platax Cuvier, 1816" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2024年1月7日閲覧。
- ^ Randall, J. E. (1995). Coastal fish of Oman. Honolulu, Hawaii: University of Hawaii Press. pp. 439
- ^ a b Myers, R. F. (1991). Micronesian reef fish (2nd ed.). Barrigada, Guam: Coral Graphics. pp. 298
- ^ Pickrell, John (2004年6月1日). “Freed pet fish threaten native species, study says”. National Geographic News (National Geographic). オリジナルのMay 28, 2004時点におけるアーカイブ。 2024年1月7日閲覧。
- ^ Cuvier, Georges (1816). Le Règne Animal distribué d'après son organisation pour servir de base à l'histoire naturelle des animaux et d'introduction à l'anatomie comparée. Les reptiles, les poissons, les mollusques et les annélides. Règne Animal (ed. 1) i-xviii (1st ed.). pp. 532
- ^ a b Kullander, S. O. (1986). Cichlid fish of the Amazon River drainage of Peru. Stockholm, Sweden: Department of Vertebrate Zoology, Research Division, Swedish Museum of Natural History. pp. 394
- ^ McCulloch, A. R. (1916-10-31). Report on some fish obtained by the F. I. S. "Endeavour" on the coasts of Queensland, New South Wales, Victoria, Tasmania, South and South-Western Australia. Part IV. Biological Results Endeavour. 4. pp. 169–199
- ^ Allen, Gerard R.; R. Swainston (1988). The marine fish of north-western Australia: a field guide for anglers and divers. Perth, Australia: Western Australian Museum. pp. 201
- ^ 海洋水産資源開発センター (1982)『南シナ海の魚類』144頁