ソニック・ユース
ソニック・ユース | |
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2011年時点のメンバー。左からサーストン・ムーア 、キム・ゴードン、リー・ラナルド、マーク・イボルド、スティーヴ・シェリー。 | |
基本情報 | |
出身地 | アメリカ合衆国 ニューヨーク |
ジャンル | |
活動期間 | 1981年 - 2011年 |
レーベル | |
公式サイト | Sonicyouth.com |
旧メンバー |
ソニック・ユース(Sonic Youth)は、1981年に結成されたニューヨーク出身のバンド。
1980年代以降におけるアメリカのインディーシーンにおいて、ノイズパンクの雄として君臨。後のグランジ、オルタナティヴ・ロックムーヴメントへ大きな影響を与え、自身らも満を持してメジャーへと移行。以後、メジャーとインディーを行き来しつつ、活動を続けていたが、2011年に活動停止した。
メンバー
[編集]- キム・ゴードン(ベース、ギター、ボーカル)
- オーティス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン卒。自身のバンド、フリー・キトゥンでも作品を発表している。音楽活動のほかにファッションブランド「x-girl」の立ち上げ時のデザイナーを務めた経験もある。
- 2012年に即興ユニット、ボディ/ヘッド、2015年には実験音楽ユニット、グリッターバストを結成。2019年には初のソロアルバムをリリースするなど、ソニック・ユースの活動停止後も精力的に音楽活動を行っている。
- 2015年、自伝『Girl in a Band: A Memoir』を出版、同年、その日本語版『GIRL IN A BAND キム・ゴードン自伝』(DU BOOOKS)も刊行された。
- リー・ラナルド(ギター、ボーカル)
- 低い声が特徴。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校卒。
- 「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において2003年は第61位、2011年の改訂版では削除された。
過去のメンバー
[編集]- ジム・オルーク(道楽)
- リチャード・エドソン(ドラム)
- 映画俳優になるため1982年に脱退。俳優としては『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『プラトーン』『ドゥ・ザ・ライトシング』などに出演。
概要
[編集]バンドとしては、ボーカリストが3人もいる変則的なスタイル。
1970年代後半にニューヨークで活動を開始した。ムーアとゴードンが、デイヴ・キーエイ、アン・デマリニスとともに組んだバンド(バンド名はメイル・ボンディング、レッド・ミルク、アルカディアンズ、そしてソニック・ユースと変化)が母体となった[8]。
1981年、デマリニスの脱退後、ムーアとゴードンは、現代音楽家グレン・ブランカが主宰するギター・オーケストレーションのグループで演奏していたこともあるリー・ラナルドと出会い、ソニック・ユースに誘った[9]。ドラムにはあまり恵まれず、実力不足で何回か交代している。
グループ名は、元MC5のギタリスト、フレッド “ソニック” スミス(パティ・スミスの亡き夫)が好きだったのと、サーストンが好きなレゲエのアーティストに“ユース”という言葉の付いた者が多かったので思いついた名前だが、本人曰くあまり意味は無いらしい。バンド名を変えてアルバムを出すことも多かったことから、それほどバンド名に執着は無い様子でもある。
ジャンルとしては、ノイズロック、グランジ、オルタナに分類される(ときおり日本独自のジャンル分けとしてボアダムスらとともに「ジャンク」とも呼ばれることがあったが、サーストンは嫌っていた)。サーストン・ムーアは「エレキ・ギターを聴くということはノイズを聞くこと」との持論があり、ギターノイズだけの曲、ポエトリー・リーディングのような曲など、実験的な曲も多い。自分でオリジナルのコードを考えたり変則的チューニングを多用する。
当初アメリカでは人気が出ず、ニュー・ウェイヴが全盛期だったイギリスを始めとするヨーロッパで評価された。イギリスではパブリック・イメージ・リミテッドのツアーの前座として活動した。長年インディーズ・レーベルで活動。1988年発表のアルバム『デイドリーム・ネイション』が傑作と評され、バンドはメジャーのDGCレコード(当時ゲフィン・レコード傘下、2011年現在はインタースコープ・レコード傘下)と契約を果たした。自分達がメジャーシーンに移行することで、オルタナシーン全体の過小評価を覆したいとの思いが強かった。実験的な楽曲が多く、その音楽性には高い評価があるものの、セールス面との対比から「無冠の帝王」などと揶揄されることもあった。
2006年の『ラザー・リップト』のリリースをもって、インタースコープとの契約が満了したが、バンドはその後マタドール・レコードと契約して(日本のみホステス・エンタテインメントと契約)再びインディーズに戻った。2009年、移籍第1作となる『ジ・エターナル』をリリースした。
2011年、11月に行われた南米ツアーを最後に、バンド活動を停止した。
交流
[編集]ソニック・ユースを尊敬している、または親交のあるバンド、メンバーに曲のプロデュースを手伝ってもらったバンドは非常に多い。特に、アンダーグラウンドのバンドやアートスクール系のバンドが多い。
メンバーであるスティーブ・シェリーは、自主レーベル、スメルズ・ライク・レコードを運営するなど、アンダー・グラウンドへ目を向け、有能なアーティストをメジャー・シーンへ紹介することもしばしばあり「ソニック・ユースがお気に入りにあげている」といった冠詞はよく目にするものである。ニルヴァーナやダイナソーJr.といったバンドも、ソニック・ユースに見初められたバンドである。
日本のバンドでは、ボアダムス、少年ナイフ、灰野敬二らと親交がある。
その他
[編集]- サーストンとキムはおしどり夫婦で有名であったが、2011年10月に27年の結婚生活を終え離婚[10]。
- 1994年7月1日、サーストンとキムは一人娘の「ココ」を授かる。後にココはモデル、アーティストとして活動。彼女が出演したミュージックビデオは以下の通り。
- ダイナソーJr. - "Been There All The Time" (2007年) ※父との共演。
- キム・ゴードン - "I'm a Man" (2024年)
- キム・ゴードン - "Bye Bye"(2024年) ※監督はレッド・ホット・チリ・ペッパーズのベーシスト、フリーの娘であるクララ・バルザリー。
- サーストンは半分以上の曲でギターの変則チューニングを使っているため、多くの曲はレギュラーチューニングでコピーすることが難しい。
- キムについて歌ったレイプマンの"Kim Gordon's Panties"という曲がある(なお、レイプマンとのスプリット・ギグ時に、彼らがこの曲を演奏したことにサーストンが激怒し、後でボーカルのスティーヴ・アルビニをボコボコにした、という真偽不明のエピソードもある)。
ディスコグラフィ
[編集]スタジオ・アルバム
[編集]- コンフュージョン・イズ・セックス - Confusion Is Sex(1983年)
- バッド・ムーン・ライジング - Bad Moon Rising(1985年)
- EVOL - EVOL(1986年)
- シスター - Sister(1987年)
- デイドリーム・ネイション - Daydream Nation(1988年)
- GOO - GOO(1990年)メジャーのゲフィン移籍第一弾
- ダーティ - Dirty(1992年)ジャケットはマイク・ケリーの作品より。
- エクスペリメンタル・ジェット・セット、トラッシュ・アンド・ノー・スター - Experimental Jet Set, Trash & No Star(1994年)
- ウォッシング・マシーン - Washing Machine(1995年)
- ア・サウザンド・リーヴズ - A Thousand Leaves(1998年)
- SYR4・グッバイ・20th・センチュリー - SYR4 Goodbye 20th Century (1999年)
- NYC ゴースツ&フラワーズ - NYC Ghosts & Flowers NYC(2000年)
- ムーレイ・ストリート - Murray Street(2002年)
- ソニック・ナース - Sonic Nurse(2004年)
- ラザー・リップト - Rather Ripped(2006年)
- ジ・エターナル - The Eternal(2009年)
コンピレーション・アルバム
[編集]- メイド・イン・USA - MADE IN USA (1995年)
- スクリーミング・フィールズ・オブ・ソニック・ラヴ - Screaming Fields Of Sonic Love(1995年)
- ザ・デストロイド・ルーム・Bサイド・アンド・レアリティーズ - The Destroyed Room: B-sides and Rarities (2006年)
EP
[編集]- ソニック・ユース - Sonic Youth (1982年)
- キル・ユア・アイドルズ - Kill Yr Idols(1993年)
- TV・シット - TV Shit(1993年)
- シルヴァー・セッション・フォー・ジェイソン・クヌース - Silver Session for Jason Knuth(1998年)
SYR(ソニック・ユース・レコーディング)シリーズ
[編集]ソニック・ユースが立ち上げた実験音楽レーベル
- SYR1: Anagrama(1997年)
- SYR2: Slaapkamers Met Slagroom(1997年)
- SYR3: Invito Al Ĉielo(1997年)
- SYR4: Goodbye 20th Century (1999年)Sonic Youth and others
- SYR5: ミュージカル パースペクティブ(2000年)Kim Gordon/Ikue Mori/DJ Olive
- SYR6: Koncertas Stan Brakhage Prisiminimui(2005年)
- SYR7: Ted Hughes(2008年)
- SYR8: Andre Sider Af Sonic Youth(2008年)with Mats Gustafsson and Merzbow
- SYR9: Simon Werner a Disparu(2011年)
DVD
[編集]- コーポレイト・ゴースト-ザ・ビデオ: 1990-2002(2004年)
参考文献
[編集]- 『GIRL IN A BAND キム・ゴードン自伝』 キム・ゴードン著、野中モモ訳 2015年6月 出版社:DU BOOKS
- 『ソニック・ユース』 デイヴィッド・ブラウン著、岡田正樹訳 2019年 出版社:水声社
参照元
[編集]- ^ Schinder, Scott; Schwartz, Andy (2008). “Freedom and Glory”. Icons of Rock: An Encyclopedia of the Legends who Changed Music Forever. Greenwood Press. p. 474. ISBN 978-0-313-33845-8
- ^ McFarland, Kevin (2013年11月14日). “Where to start with noise-rock pioneers Sonic Youth”. The A.V. Club. G/O Media. 2023年4月23日閲覧。
- ^ Lukarcanin, Emina (2018年10月25日). “Sonic Youth’s ‘Daydream Nation’ 30th Anniversary Release”. Billboard. 2023年4月23日閲覧。
- ^ a b Davis, Ted (2022年3月11日). “The 10 Best Sonic Youth Songs, Ranked”. Paste Magazine. Paste Media Group. 2023年4月23日閲覧。
- ^ Phares, Heather. Sonic Youth Biography, Songs, & Albums - オールミュージック. 2023年4月23日閲覧。
- ^ ““NO WAVE”って何だ!?”. CDJournal リサーチ. シーディージャーナル (2007年5月25日). 2023年4月23日閲覧。
- ^ 若杉実 (2009年4月23日). “第36回 ─ NO WAVE”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2023年4月23日閲覧。
- ^ デイヴィッド・ブラウン(岡田正樹訳) (2019). 『ソニック・ユース』. 水声社. pp. 46-48
- ^ デイヴィッド・ブラウン. 前掲書. pp. 53-54
- ^ Caryn Ganz (2011年10月14日). “Kim Gordon and Thurston Moore Announce Split | SPIN.com”. Spin. 2011年10月15日閲覧。