コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ステファノー (衛星)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ステファノー
Stephano
カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡から撮影されたステファノ―の発見画像
カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡から撮影されたステファノ―の発見画像
仮符号・別名 S/1999 U 2
Uranus XX
見かけの等級 (mv) 24.1(平均)[1]
分類 天王星の衛星
不規則衛星
軌道の種類 キャリバン群[1]
発見
発見日 1999年7月18日[2][3]
発見者 ジョン・J・カヴェラーズ
ブレット・J・グラドマン
マシュー・J・ホルマン
ジャン=マルク・プティ
ハンス・ショル[2]
軌道要素と性質
元期:TDB 2,451,544.5(2000年1月1.0日[4]
固有軌道長半径 (ap) 7,951,400 km[4]
近点距離 (q) 6,082,800 km
遠点距離 (Q) 9,820,000 km
固有離心率 (ep) 0.235[4]
固有公転周期 (Pp) 677.56 [4](1.86
固有軌道傾斜角 (ip) 143.6°黄道面に対して)[4]
固有近点引数 (ωp) 17.1°[4]
固有昇交点黄経 (Ωp) 193.3°[4]
固有平均近点角 (Mp) 241.2°[4]
天王星の衛星
物理的性質
平均半径 16 km[5]
平均直径 32 km
絶対等級 (H) 11.6[6]
アルベド(反射能) 0.04(仮定値)[5]
Template (ノート 解説) ■Project

ステファノー (Uranus XX Stephano) またはステファーノ[7][8][9]は、天王星の第20衛星である。

発見と命名

[編集]

発見報告と確定

[編集]

ステファノーは、1999年7月18日ジョン・J・カヴェラーズらによってカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡を用いた観測によって発見された[2][3]。この時の観測では、別の天王星の衛星セティボス(発見時の仮符号は S/1999 U 1)も発見されており[10][11]、さらに同日にプロスペロー (S/1999 U 3) も発見されている[12]。発見は同年7月27日国際天文学連合のサーキュラーで公表され S/1999 U 2 という仮符号が与えられたが、この段階では確実に天王星の衛星であるという確証は得られず、ケンタウルス族の天体だとしても観測された位置を説明することができた[10][11]。しかし、天王星の見かけの動きと似たケンタウルス族天体はそれまで発見されていなかったため、S/1999 U 1 と共に天王星の衛星である可能性は高いとされた[10][11]

発見報告後も継続的に観測が行われ[12]2000年には S/1999 U 1 と共に天王星の衛星であることが確実視された[13]。この段階の軌道解析では軌道傾斜角がおよそ 69° の大きく傾いた順行衛星だと思われていたが、後の観測でおよそ 141.5° の逆行衛星であることが明らかになった[14][15]

命名

[編集]

最終的に軌道が確定したことを受け、2000年8月21日にウィリアム・シェイクスピア戯曲テンペスト』に登場する人物に因んで命名され[2]Uranus XX という確定番号が与えられた[16][7][8]。なお日本語表記としては ステファーノ という表記も見られ[7][8][9]国立天文台の発行する天文ニュースではこちらが使われていた[7]

名称の由来

[編集]

ステファノーという名前は、ウィリアム・シェイクスピア戯曲テンペスト』に登場する、主人公プロスペローを放逐した政敵の一味に同行し乗船していた、酔いどれの執事ステファノーにちなんで付けられた。

特徴

[編集]
天王星周りの不規則衛星の軌道のアニメーション。赤色がステファノーである。
       天王星  ·        シコラクス ·        フランシスコ  ·        キャリバン  ·        ステファノー  ·        トリンキュロー

内衛星群と異なり、軌道も大きく傾いており、逆行軌道を持つ不規則衛星である[1]。直径は約 32 km とされている[1][5]キャリバンフランシスコと力学的に似た軌道を持っており、共通の起源を持っている可能性がある[2][17]。天王星が形成された後、もしくは形成段階に、天王星によって捕獲されて衛星になったと考えられている[17]太陽系内の多くの衛星を発見しているスコット・S・シェパードは、天王星からの軌道長半径が 700万 km から 800万 km の範囲にあるキャリバン、ステファノー、および S/2023 U 1 の3つの衛星を「キャリバン群 (Caliban group)」という1つのグループにまとめている[1]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e Sheppard, Scott S.. “Moons of Uranus”. Earth and Planets Laboratory. Carnegie Institution for Science. 2024年3月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e In Depth | Stephano – Solar System Exploration: NASA Science”. NASA (2017年12月5日). 2019年1月17日閲覧。
  3. ^ a b Planet and Satellite Names and Discoverers”. Planetary Names. International Astronomical Union. 2015年1月11日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. Jet Propulsion Laboratory. 2018年12月25日閲覧。
  5. ^ a b c Sheppard, Scott S.; Jewitt, David; Kleyna, Jan (2005). “An Ultradeep Survey for Irregular Satellites of Uranus: Limits to Completeness”. The Astronomical Journal 129 (1): 518–525. arXiv:astro-ph/0410059. doi:10.1086/426329. ISSN 0004-6256. 
  6. ^ Natural Satellites Ephemeris Service”. Minor Planet Center. 2024年3月4日閲覧。(「Selection of Objects」にて「All Uranian outer irregular satellites」と「I require Orbital Elements」にチェックを入れて「Get Information」と表示されると天王星の全ての不規則衛星の軌道要素が表示されるが、ここに表記されているのは他の天体からの摂動の影響を除外していない特定の日時を元期とした軌道要素であることに留意)
  7. ^ a b c d 天王星の衛星3個に命名”. 国立天文台・天文ニュース. 国立天文台 (2000年8月24日). 2019年1月17日閲覧。
  8. ^ a b c 天王星の衛星3個に命名”. アストロアーツ (2000年8月24日). 2019年1月17日閲覧。
  9. ^ a b 宇宙の質問箱-データ●太陽系内の衛星表”. 太陽系内の衛星表. 国立科学博物館. 2019年1月17日閲覧。
  10. ^ a b c Brian G. Marsden (1999年7月27日). “IAUC 7230: Prob. NEW Sats OF URANUS”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. International Astronomical Union. 2019年1月17日閲覧。
  11. ^ a b c 天王星にまた2個の衛星を発見”. 国立天文台・天文ニュース. 国立天文台 (1999年7月29日). 2019年1月17日閲覧。
  12. ^ a b Brian G. Marsden (1999年9月4日). “IAUC 7248: Prob. NEW Sats OF URANUS”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. International Astronomical Union. 2019年1月17日閲覧。
  13. ^ Brian G. Marsden (2000年3月24日). “IAUC 7385: S/1999 U 1, S/1999 U 2, S/1999 U 3”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. International Astronomical Union. 2019年1月17日閲覧。
  14. ^ Brian G. Marsden (2000年8月5日). “IAUC 7473: S/1999 U 2”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. International Astronomical Union. 2019年1月17日閲覧。
  15. ^ Gladman, B (2000). “The Discovery of Uranus XIX, XX, and XXI”. Icarus 147 (1): 320–324. doi:10.1006/icar.2000.6463. ISSN 00191035. 
  16. ^ Daniel W. E. Green (2000年8月21日). “IAUC 7479: COMET C/2000 O3 (SOHO); C/2000 P1, C/2000 P2; Sats OF URANUS; EDITORIAL NOTICE”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. International Astronomical Union. 2019年1月17日閲覧。
  17. ^ a b Grav, Tommy; Holman, Matthew J.; Fraser, Wesley C. (2004-09-20). “Photometry of Irregular Satellites of Uranus and Neptune”. The Astrophysical Journal 613 (1): L77–L80. arXiv:astro-ph/0405605. Bibcode2004ApJ...613L..77G. doi:10.1086/424997. 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]