コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

トリンキュロー (衛星)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トリンキュロー
Trinculo
仮符号・別名 S/2001 U 1
Uranus XXI
分類 天王星の衛星
発見
発見日 2001年8月13日[1][2]
発見者 マシュー・J・ホルマン
ジョン・J・カヴェラーズ
ダン・ミリサルェヴィク[2]
軌道要素と性質
平均公転半径 8,504,000 km[3][4]
離心率 (e) 0.2200[3][4]
公転周期 (P) 749.24 日[4]
軌道傾斜角 (i) 147.83° (天王星の赤道面に対して)
167.001° (局所的なラプラス面に対して)
166.23° (黄道面に対して)[3]
天王星の衛星
物理的性質
平均半径 9 km[5]
表面積 1,017.88 km2[2]
体積 3,054 km3[2]
質量 3.9×1015 kg
平均密度 1.3 g/cm3 (仮定値)[5]
表面重力 0.0021 m/s2
脱出速度 0.0045 km/s
アルベド(反射能) 0.04 (仮定値)[5]
表面温度
最低 平均 最高
~65 K (推定)
Template (ノート 解説) ■Project

トリンキュロー[6]またはトリンキュロ[7]またはトリンクロー[8] (Uranus XXI Trinculo) は、天王星の第21衛星である。

発見と命名

[編集]

発見

[編集]

トリンキュローは2001年8月13日に、マシュー・J・ホルマンジョン・J・カヴェラーズらによりセロ・トロロ汎米天文台の望遠鏡を用いて発見された[9][10]。発見後すぐには公表されず、しばらくの間追加観測が続けられた。カヴェラーズはその後8月25日にカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡を用いて再びこの天体の撮影に成功している[9][10]。さらに、パロマー天文台ヘール望遠鏡を用いて9月21日に取得された画像や、VLTを用いて11月15日に取得された画像の中からもブレット・J・グラドマンらによって発見された[9][10]。これら一連の観測を経て、翌2002年9月30日になって、国際天文学連合および小惑星センターのサーキュラーで発見が公表され、S/2001 U 1 という仮符号が与えられた[9][10]

なお、ほぼ同時期に別の天王星の衛星ファーディナンドが発見されており[11]、さらに同時に撮影した写真の中から2003年になってフランシスコが発見されている[12]

命名

[編集]

その後2003年8月8日に、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『テンペスト』に登場する人物に因んで命名され、Uranus XXI という確定番号が与えられた[13][14]

トリンキュローという名前は、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『テンペスト』に登場する、主人公プロスペローを放逐した政敵の一味に同行し乗船していた道化師トリンキュローにちなんで付けられた。

同時に流れ着いたステファノーとは友人関係で、彼ほど重症ではないが酒好き。ステファノー、キャリバンと共に悪巧みに荷担するが、結局のところ振り回されるだけの正に道化師役である。

特徴

[編集]
天王星周りの不規則衛星の軌道のアニメーション。緑色がトリンキュローである。
       天王星  ·        シコラクス ·        フランシスコ  ·        キャリバン  ·        ステファノー  ·        トリンキュロー

内衛星群と異なり軌道も比較的傾いており(他の外衛星群の中では比較的低い)、逆行軌道を持つ不規則衛星である。恐らく他の不規則衛星と同じく、天王星に捕獲された天体だと考えられる[15]

出典

[編集]
  1. ^ Planet and Satellite Names and Discoverers”. Planetary Names. 国際天文学連合. 2015年1月11日閲覧。
  2. ^ a b c d In Depth | Trinculo – Solar System Exploration: NASA Science”. アメリカ航空宇宙局 (2017年12月5日). 2019年1月17日閲覧。
  3. ^ a b c Sheppard, Scott S.; Jewitt, David; Kleyna, Jan (2005). “An Ultradeep Survey for Irregular Satellites of Uranus: Limits to Completeness”. The Astronomical Journal 129 (1): 518–525. arXiv:astro-ph/0410059. doi:10.1086/426329. ISSN 0004-6256. 
  4. ^ a b c Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月25日閲覧。
  5. ^ a b c Jet Propulsion Laboratory (2015年2月19日). “Planetary Satellite Physical Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月25日閲覧。
  6. ^ 衛星の表(2A)物理表”. 美星天文台. 2019年3月9日閲覧。
  7. ^ 太陽系内の衛星表”. 国立科学博物館. 2019年3月9日閲覧。
  8. ^ 衛星日本語表記索引”. 日本惑星協会. 2019年3月9日閲覧。
  9. ^ a b c d Daniel W. E. Green (2001年9月30日). “IAUC 7980: S/2001 U 1; S/2002 (121) 1”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2019年1月17日閲覧。
  10. ^ a b c d Brian G. Marsden (2002年9月30日). “MPEC 2002-S64 : S/2001 U 1”. 小惑星センター. 2019年1月17日閲覧。
  11. ^ Daniel W. E. Green (2003年10月1日). “IAUC 8213: S/2001 U 2, S/2002 N 4; C/2003 S4”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2019年1月17日閲覧。
  12. ^ Daniel W. E. Green (2003年10月7日). “IAUC 8216: P/2003 T1; S/2001 U 3; (66063) 1998 RO_1”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2019年1月17日閲覧。
  13. ^ Daniel W. E. Green (2003年8月8日). “IAUC 8177: Sats OF (22); Sats OF JUPITER, SATURN, URANUS”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2019年1月17日閲覧。
  14. ^ 木星・土星・天王星の衛星に新しい名前”. 国立天文台・天文ニュース. 国立天文台 (2003年8月15日). 2019年1月17日閲覧。
  15. ^ Grav, Tommy; Holman, Matthew J.; Fraser, Wesley C. (2004-09-20). “Photometry of Irregular Satellites of Uranus and Neptune”. The Astrophysical Journal 613 (1): L77–L80. arXiv:astro-ph/0405605. Bibcode2004ApJ...613L..77G. doi:10.1086/424997.