ジョーカナチャン
ジョーカナチャン | ||||||
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欧字表記 | Jo Kana Chan[1] | |||||
品種 | サラブレッド[1] | |||||
性別 | 牝[1] | |||||
毛色 | 鹿毛[1] | |||||
生誕 | 2015年2月3日(9歳)[1] | |||||
抹消日 | 2020年12月17日[2] | |||||
父 | ロードカナロア[1] | |||||
母 | ラッキーダイス[1] | |||||
母の父 | ネオユニヴァース[1] | |||||
生国 | 日本(北海道新冠町)[1] | |||||
生産者 | 三村卓也[1] | |||||
馬主 | 上田江吏子[3] | |||||
調教師 | 松下武士(栗東)[1] | |||||
調教助手 | 高橋勝[4] | |||||
競走成績 | ||||||
生涯成績 | 15戦5勝[1] | |||||
獲得賞金 | 1億748万6000円[1] | |||||
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ジョーカナチャン(欧字名:Jo Kana Chan、2015年2月3日 - )は、日本の競走馬、繁殖牝馬[1]。
主な勝ち鞍は、2020年のアイビスサマーダッシュ(GIII)。
アーモンドアイやダノンスマッシュなどと同じ、ロードカナロアの初年度産駒であり、500万円以下以降3連勝でオープンクラスに昇格した。直後に2度目の骨折を経験するも復帰し、アイビスサマーダッシュを制覇、ライオンボスの連覇を阻む重賞勝利であった。通算5勝中3勝は新潟競馬場の直線コース、芝1000メートルのものである。
経歴
[編集]デビューまで
[編集]母のラッキーダイスは、2007年に社台ファームで生産されたネオユニヴァース産駒である[5]。アントニー・クラストゥスが騎乗した未勝利戦勝利のみの1勝で、13戦に出走した[6]。引退後は社台ファームで繁殖牝馬となり、初仔であるクロフネ産駒のメガミチャンは、後に名古屋競馬場で7勝を挙げ、繁殖牝馬となった[7]。ラッキーダイスは、2年目と3年目はメイショウサムソン、クロフネと種付けを実施したものの[8]、競走馬を残すことができなかった[8]。
ラッキーダイスの4年目の種付けは、種牡馬として初めての年となるロードカナロアが選ばれる。2015年2月3日、1993年から北海道新冠町で牧場を経営し、毎年5頭ほどの生産を行っている三村卓也の下で[9]、後のジョーカナチャンが誕生する。
生まれたときは標準的な体型だったが、10日後には尻の部分が大きくなり、三村は父ロードカナロアを実感したという[9]。
所有することなった上田江吏子が用いる冠名「ジョー」に、父ロードカナロアの「カナ」、呼称に用いられる「チャン」を組み合わせた「ジョーカナチャン」と命名され[10]、栗東トレーニングセンターの松下武士厩舎に預けられる。
競走馬時代
[編集]2017年12月17日、阪神競馬場の新馬戦(芝1400メートル)に武豊を鞍上に据えてデビュー。後にフィリーズレビュー(GII)を勝利するリバティハイツが単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持される中、13.8倍の4番人気で出走[11]し、道中2番手で進んだものの、最後の直線で後退し6着に敗れた[11]。3歳となり2018年1月14日、京都競馬場の未勝利戦では池添謙一に乗り替わり、ダート戦に出走し初勝利。12.2倍の4番人気だったが、後方に1馬身離してのものであった。優馬はこの勝利を「3点[注釈 1]」(500万円以下クラス)と評価した[12]。
その後、芝に戻り1200メートルの競走に相次いで出走したが勝利を挙げられなかった。4月1日、未勝利戦勝利から3戦目となる500万円以下では初勝利のダートに戻って勝利、ハナ差での決着となった[13]。騎乗した池添はレース中に外側に張る点を「乗りやすさがほしいところ」と指摘[13]。また芝で「甘くなるところ」をダートで補えるとした[13]。
間隔が空き、飛翼特別(1000万円以下)で復帰。鮫島克駿に乗り替わり、43.9倍の13番人気という「低評価」で出走した[14]。良いスタートを決めて馬場の外に位置取り、ジュリーハーツをクビ差退けて勝利、2連勝[14]。休養し、4歳となると、2019年4月27日の駿馬ステークス(1600万円以下)に出走。再び新潟の直線コースに、幸英明に乗り替わって参戦した。スタートから楽に先行し、外ラチ沿いで逃げの手を打った[15]。そのまま後方に4分の3馬身離して勝利[16]、オープンクラスに昇格した。3連勝かつ直線競馬2連勝に、週刊Gallopは「よほど相性が良いのだろう」と分析[15]、幸も「この舞台が合っています(中略)能力の高い馬だと思います」と表した[17]。
しかし、レース直後に左前脚の骨折が判明[18]、自身2度目の骨折となった[19]。判明直後に松下は「秋の新潟に間に合わせたい」とし宣言[18]。その通りに秋の新潟開催であるオープンクラス初戦、ルミエールオータムダッシュ(L)に出走した。菱田裕二に乗り替わり参戦したものの、10着に敗退した[20]。5歳となり、淀短距離ステークス(L)では13番人気ながら、1着のアイラブテーラーに2分の1馬身迫る2着[21]。直線コースで行われる韋駄天ステークス(OP)でもライオンボスにアタマ差の2着となるなど[22]、2020年の上半期はいずれも0.3秒以内の「惜敗」であった[23]。
7月26日、得意の直線コースで行われる唯一のJRA重賞であるアイビスサマーダッシュ(GIII)に出走、初めて重賞に参戦することとなった[10]。2019年の覇者で連覇を狙うライオンボスが2.4倍の1番人気に推される中、次いで7.8倍の2番人気の支持となった[24]。通常より半歩遅くスタートしたが[25]、二の脚先手を主張し[25]、有利とされる外側を確保[10]。逃げの手を打ち、ライオンボスがその後ろから追い上げる格好となった。しかし、そのまま逃げ切りライオンボスをアタマ差退けて勝利、重賞初制覇となった[10]。菱田は1年7か月ぶり3度目の重賞勝利となった[10]。
続いてサマースプリントシリーズの第4戦、北九州記念(GIII)に出走し[26]、7着。秋の京阪杯(GIII)[27]も12着に敗退した。12月13日、3歳の春以来となるダートのカペラステークス(GIII)に出走し、最下位となったのを最後に引退を発表。12月17日付でJRAの競走馬登録を抹消した。引退後は、北海道日高郡新ひだか町の平野牧場で繁殖牝馬となる[28]。
競走成績
[編集]以下の内容は、netkeiba.comの情報に基づく[29]。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離(馬場) | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | タイム (上がり3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬(2着馬) | 馬体重 [kg] |
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2017.12.17 | 阪神 | 2歳新馬 | 芝1400m(良) | 18 | 5 | 9 | 13.8 (4人) | 6着 | 1:22.8(36.8) | 0.6 | 武豊 | 54 | エアシンフォニー | 448 | |
2018. 1.14 | 京都 | 3歳未勝利 | ダ1400m(稍) | 16 | 6 | 12 | 12.2 (4人) | 1着 | 1:27.1(38.5) | -0.2 | 池添謙一 | 54 | (スーブレット) | 442 | |
1.28 | 京都 | 若菜賞 | 500万下 | 芝1200m(良) | 12 | 6 | 7 | 17.0 (7人) | 6着 | 1:10.6(35.0) | 0.2 | 池添謙一 | 54 | オジョーノキセキ | 438 |
3.17 | 阪神 | 3歳500万下 | 芝1200m(良) | 14 | 7 | 12 | 32.4 (8人) | 8着 | 1:09.9(34.9) | 0.4 | 藤岡佑介 | 54 | エイシンデネブ | 434 | |
4. 1 | 阪神 | 3歳500万下 | ダ1200m(良) | 16 | 8 | 15 | 15.3 (6人) | 1着 | 1:13.4(38.4) | -0.0 | 池添謙一 | 54 | (スターリーウォリア) | 434 | |
10.20 | 新潟 | 飛翼特別 | 1000万下 | 芝1000m(稍) | 18 | 3 | 6 | 43.9(13人) | 1着 | 0:55.0(32.7) | -0.0 | 鮫島克駿 | 51 | (ジュリーハーツ) | 452 |
2019. 4.27 | 新潟 | 駿風S | 1600万下 | 芝1000m(重) | 13 | 7 | 11 | 4.7 (2人) | 1着 | 0:55.6(33.3) | -0.1 | 幸英明 | 55 | (ブラッククローバー) | 444 |
10.27 | 新潟 | ルミエールAD | L | 芝1000m(稍) | 18 | 2 | 4 | 11.4 (4人) | 10着 | 0:56.8(34.4) | 0.4 | 菱田裕二 | 54 | レジーナフォルテ | 462 |
2020. 1.11 | 京都 | 淀短距離S | L | 芝1200m(良) | 15 | 7 | 13 | 85.6(13人) | 2着 | 1:09.7(34.9) | 0.1 | 菱田裕二 | 54 | アイラブテーラー | 464 |
2.16 | 小倉 | 北九州短距離S | OP | 芝1200m(重) | 17 | 7 | 14 | 9.3 (5人) | 5着 | 1:10.3(36.6) | 0.3 | 菱田裕二 | 54 | シヴァージ | 454 |
5.24 | 新潟 | 韋駄天S | OP | 芝1000m(良) | 16 | 7 | 14 | 6.8 (5人) | 2着 | 0:54.2(32.3) | 0.0 | 菱田裕二 | 53 | ライオンボス | 460 |
7.26 | 新潟 | アイビスサマーD | GIII | 芝1000m(良) | 18 | 5 | 9 | 7.8 (2人) | 1着 | 0:54.5(32.8) | -0.0 | 菱田裕二 | 54 | (ライオンボス) | 460 |
8.23 | 小倉 | 北九州記念 | GIII | 芝1200m(稍) | 18 | 8 | 18 | 11.9 (5人) | 7着 | 1:08.3(35.6) | 0.5 | 菱田裕二 | 55 | レッドアンシェル | 464 |
11.29 | 阪神 | 京阪杯 | GIII | 芝1200m(良) | 16 | 4 | 8 | 10.8 (6人) | 12着 | 1:09.0(35.2) | 0.8 | 菱田裕二 | 54 | フィアーノロマーノ | 466 |
12.13 | 中山 | カペラS | GIII | ダ1200m(良) | 16 | 3 | 6 | 49.7(12人) | 16着 | 1:11.9(38.2) | 2.1 | 石橋脩 | 55 | ジャスティン | 458 |
繁殖成績
[編集]馬名 | 生年 | 性 | 毛色 | 父 | 馬主 | 厩舎 | 戦績 | |
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初仔 | ジョーカナチャンの2023 | 2023年 | 牝 | 青鹿毛 | パイロ | (デビュー前) | ||
2番仔 | ジョーカナチャンの2024 | 2024年 | 牝 | 黒鹿毛 | アメリカンペイトリオット |
- 2024年9月27日現在
血統表
[編集]ジョーカナチャンの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | キングマンボ系 |
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父 ロードカナロア 2008 鹿毛 |
父の父 キングカメハメハ2001 鹿毛 |
Kingmanbo | Mr.Prospector | |
Miesque | ||||
*マンファス | *ラストタイクーン | |||
Pilot Bird | ||||
父の母 レディブラッサム1996 鹿毛 |
Storm Cat | Storm Bird | ||
Terlingua | ||||
*サラトガデュー | Cormorant | |||
Super Luna | ||||
母 ラッキーダイス 2007 栗毛 |
ネオユニヴァース 2000 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | ||||
*ポインテッドパス | Kris | |||
Silken Way | ||||
母の母 *ミスベガス2001 鹿毛 |
Efisio | Formidable | ||
Eldoret | ||||
Dwingeloo | Dancing Dissident | |||
Thank One's Stars | ||||
母系(F-No.) | (FN:12-b) | [§ 2] | ||
5代内の近親交配 | Nureyev 5×5 | [§ 3] | ||
出典 |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 9点でGI優勝相当の評価。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n “ジョーカナチャン”. JBISサーチ. 2020年12月19日閲覧。
- ^ “ジョーカナチャンが引退、繁殖馬に”. 競馬ブック. 2020年12月19日閲覧。
- ^ “2歳新馬|2017年12月17日”. netkeiba.com. 2020年12月19日閲覧。
- ^ “【アイビスSD】2度の手術を乗り越えたジョーカナチャンが開花の時 – 東京スポーツ新聞社”. 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社. 2020年12月20日閲覧。
- ^ “ラッキーダイス”. netkeiba.com. 2020年12月19日閲覧。
- ^ “ラッキーダイスの競走成績”. netkeiba.com. 2020年12月19日閲覧。
- ^ “メガミチャン”. JBISサーチ. 2020年12月19日閲覧。
- ^ a b “繁殖牝馬情報:牝系情報|ラッキーダイス”. JBISサーチ. 2020年12月19日閲覧。
- ^ a b “2020年07月26日 アイビスサマーダッシュ G3”. 競走馬のふるさと案内所. 2020年12月19日閲覧。
- ^ a b c d e 「【アイビスSD】ジョーカナチャン夢叶った重賞初V」『サンケイスポーツ』2020年7月27日。2020年12月19日閲覧。
- ^ a b “2歳新馬|2017年12月17日”. netkeiba.com. 2020年12月19日閲覧。
- ^ “1月13・14日の新馬・未勝利勝ち ★評価一覧”. 競馬専門紙「優馬」. 2020年12月19日閲覧。
- ^ a b c “【3歳500万下】(阪神5R)~ジョーカナチャンがゴール直前に差し切る”. ラジオNIKKEI 2020年12月20日閲覧。
- ^ a b 「13番人気ジョーカナチャンが初直線V/飛翼特別」『日刊スポーツ』。2020年12月19日閲覧。
- ^ a b サンケイスポーツ特別版、『週刊Gallop』第27巻第21号通巻1391号 p.141「新潟の土曜成績」(11Rの短評)
- ^ 「ジョーカナチャンが押し切りV、千直連勝/駿風S」『日刊スポーツ』。2020年12月20日閲覧。
- ^ サンケイスポーツ特別版、『週刊Gallop』第27巻第21号通巻1391号 p.141「新潟の土曜成績」(11Rのひと言)
- ^ a b 「駿風Sを制したジョーカナチャン左前脚の骨折が判明」『日刊スポーツ』。2020年12月20日閲覧。
- ^ 「【アイビスSD】重賞初挑戦Vへ!カナチャン開花の時」『サンケイスポーツ』2020年7月24日。2020年12月20日閲覧。
- ^ “ルミエールオータムD|2019年10月27日”. netkeiba.com. 2020年12月20日閲覧。
- ^ 「【淀短距離S】アイラブテーラーが完勝」『サンケイスポーツ』2020年1月12日。2020年12月20日閲覧。
- ^ “韋駄天ステークス|2020年05月24日”. netkeiba.com. 2020年12月20日閲覧。
- ^ 「ジョーカナチャン重賞初挑戦V狙う/アイビスSD」『日刊スポーツ』。2020年12月20日閲覧。
- ^ 「ジョーカナチャン、重賞初V 競馬アイビスサマーD」『日本経済新聞』2020年7月26日。2020年12月20日閲覧。
- ^ a b “【アイビスSD・後記】重賞初Vジョーカナチャン 迷いなき逃走でリベンジに成功”. 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社. 2020年12月20日閲覧。
- ^ 「【古馬次走報】ジョーカナチャン北九州記念に参戦」『サンケイスポーツ』2020年7月29日。2020年12月20日閲覧。
- ^ 「北九州記念7着ジョーカナチャンは京阪杯を視野」『日刊スポーツ』。2020年12月20日閲覧。
- ^ “ジョーカナチャンが競走馬登録抹消 JRA”. 日本中央競馬会. 2020年12月19日閲覧。
- ^ “ジョーカナチャンの競走成績”. netkeiba.com. 2020年12月19日閲覧。
- ^ a b c “血統情報:5代血統表|ジョーカナチャン”. JBISサーチ. 2021年11月23日閲覧。
- ^ 「【アイビスSD】快速牝馬ジョーカナチャンが電光石火の逃げ切り勝ち!」『競馬ラボ』。2020年12月20日閲覧。
参考文献
[編集]- 『週刊Gallop』 第27巻第21号通巻1391号、第27巻第21号通巻1391号、産業経済新聞社、2019年4月30日。