コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ジャック・スー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジャック・スー
Jack Soo
Jack Soo
1975年
本名 ゴロウ・スズキ
Goro Suzuki
生年月日 (1917-10-28) 1917年10月28日
没年月日 (1979-01-11) 1979年1月11日(61歳没)
出生地 太平洋(本文参照)
死没地 カリフォルニア州ロサンゼルス
職業 俳優
配偶者 Jan Zdelar[1]
テンプレートを表示

ジャック・スーJack Soo1917年10月28日 - 1979年1月11日)は、アメリカ合衆国日系アメリカ人俳優シットコムBarney Miller 』の刑事ニック・ヤマナ役で知られる。

経歴

[編集]

生い立ち

[編集]

1917年、日本からアメリカに向かう船上で生まれ、「スズキ・ゴロウ」と名付けられた。カリフォルニア州オークランドで育ち、第二次世界大戦時に日系人の強制収容所に入所させられた。ユタ州にあるトパーズ戦争移住センターに送還され[2]、ダンス・パーティなど多くのイベントで歌を披露していたことから収容者たちから気に入られていた[3]

終戦後、本格的にエンターテイナーとして活動を始め、主に中西部にあるナイトクラブでスタンダップ・パフォーマーとして出演していた。中国系ナイトクラブで働くようになり、姓を「スー」に改名した[1](改名については諸説あり)。数年間ナイトクラブに出演し続け、出演者の1人でのちに『Barney Miller 』のプロデューサーとなるダニー・アーノルドと親しくなった[4]

経歴

[編集]
映画『フラワー・ドラム・ソング』のジャック・スーとナンシー・クワン

1958年、ブロードウェイミュージカルフラワー・ドラム・ソング』において、サンフランシスコの中国系ナイトクラブおよびキャバレーで行われるショーの司会者でコメディアンのフランキー・ウィン役で大ブレイクした。サンフランシスコのチャイナタウンを舞台としているため、中国風に改名することを条件に出演がオファーされたのである。この時、強制収容所で呼ばれていた「スー」という名を姓に採用した[5]。上演期間中に「チャイナタウンのネイサン・デトロイト」とされるサミー・フォン役に変更となり、1961年の映画版『フラワー・ドラム・ソング』でもサミー・フォン役に配役された[6]

1962年11月27日、ジャック・ベニーの『ジャック・ミーツ・ジャパニーズ・エージェント』で初めて全国放送のテレビ番組に出演した[7]。1964年、アンソニー・フランシオサ主演のシットコム『Valentine's Day 』において、重要な役柄であるポーカー詐欺師役で毎週出演した。その後の数十年、ベトナム共和国陸軍大佐役を演じた『グリーン・ベレー』(1968年)、ミュージカル映画モダン・ミリー』(1967年)などの映画のほか、『ハワイ5-0』、『おかしな二人』、『マッシュ』などのテレビ・ドラマにゲスト出演した。

1965年、モータウン・レコードアフリカ系アメリカ人ではない初のアーティストの1人として所属した。この間、『For Once in My Life 』のスロー・バラード版をレコーディングした初の男性歌手となった。しかしこのレコードはリリースされず、モータウン・アーカイヴに棚上げされた。その直後、この曲はスティーヴィー・ワンダーにより有名になった[3][8]

Barney Miller 』出演者。スーは右端。

1975年、ABCのシットコム『Barney Miller 』において、のんきな皮肉屋である刑事ニック・ヤマナ役でもっともよく知られるようになった。毎回まずいコーヒーをいれては飲んで驚くのが恒例であった。

アジア系アメリカ人の品位を傷つけるような役は受けず、民族的にマイナスな描き方をされた時は声高に反対意見を述べることもあった[9]

私生活

[編集]

モデルのJan Zdelarと結婚し、3人の子と2人の孫をもうけた[1]

死去

[編集]

1978年から1979年の『Barney Miller 』第5シーズン中、食道癌と診断された。すぐに転移し、1979年1月11日、UCLA医療センターにおいて61歳で亡くなった[10]。1978年11月9日のエピソード『The Vandal 』が最後の出演となった。

ニック・ヤマナ刑事の役柄およびスー自身の人柄により、プロデューサーらはベスト・シーンを集約した特別追悼エピソードを製作し、シーズン最後に放送した。この放送の最後に、出演者たちはコーヒー・カップをかかげてスーへの最後の別れを告げ、視聴者の心を打った。

出演作品

[編集]
映画
特記
1961 フラワー・ドラム・ソング
Flower Drum Song
サミュエル・アダムス 'サミー' フォン
1963 僕のベッドは花ざかり
Who's Been Sleeping in My Bed?
ヨシミ・ヒロチ
1966 オスカー
The Oscar
サム
1967 モダン・ミリー
Thoroughly Modern Millie
アジア人1
1968 グリーン・ベレー
The Green Berets
カイ大佐
1978 続・星の国から来た仲間
Return from Witch Mountain
ヨコモト
テレビ
特記
1962 The Jack Benny Program 本人 エピソード: Jack Meets a Japanese Agent
1964 Valentine's Day ロックウェル・シン
1965 The Wackiest Ship in the Army シル エピソード: Shakedown
1966 Summer Fun シドニー エピソード: Pirates of Flounder Bay
1968, 1971 Julia ツリー・マン
ウォレン・ワザク判事
エピソード: I'm Dreaming of a Black Christmas
エピソード: Courting Time
1969 サンフランシスコ用心棒
The Monk
ヒップ・ガイ ABC テレビ映画
1970 ハワイ5-0
Hawaii Five-O
サム・クォン エピソード: The One with the Gun
1971 ネーム・オブ・ザ・ゲーム
The Name of the Game
ジョージ・クワン巡査部長 エピソード: The Man Who Killed a Ghost
The Jimmy Stewart Show ウッドロウ・ヤマダ エピソード: Pro Bono Publico
エピソード: Cockadoodle Don't
1972 おかしな二人
The Odd Couple
チャック・マイ・チン エピソード: Oscar's Promotion
1972, 1975 マッシュ
M*A*S*H
Charlie Lee
Quoc
エピソード: To Market, to Market
エピソード: Payday
1973 She Lives! オシカワ医師 ABC テレビ映画
1974 鬼警部アイアンサイド
Ironside
ジョー・リー
ジョー・リー
シン・ホー
エピソード: Amy Prentiss (1)
エピソード: Amy Prentiss (2)
エピソード: The Over-the-Hill Blues
1974, 1975 Police Story タイスケ
ブルース・チャン
ブルース・チャン
エピソード: The Hunters
エピソード: Year of the Dragon (1)
エピソード: Year of the Dragon (2)
1975 Police Woman レッド・スター エピソード: The Bloody Nose
1975–1979 Barney Miller ニック・ヤマナ巡査部長 (最後のテレビ出演)
1977 Busting Loose フーファット エピソード: House of Noodles[11]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c “Jack Soo, Acted Detective in TV Series”. The Washington Post (Washington, D.C.: Fred Ryan): p. C6. (12 Jan 1979). http://search.proquest.com/docview/147102307/ 5 Apr 2016閲覧。 
  2. ^ Jack Soo”. nndb.com. 19 Sep 2015閲覧。
  3. ^ a b Adachi, Jeff (2009年). “The Jack Soo Story”. You Don’t Know Jack: The Jack Soo Story. 5 Apr 2016閲覧。
  4. ^ Yahoo TV”. yahoo.com. 19 Sep 2015閲覧。
  5. ^ C.Y. Lee, author of The Flower Drum Song, in the special features of the Flower Drum Song DVD, Universal Pictures, 2006.
  6. ^ Coe, Richard L. (23 Dec 1961). “Lilting Glow Brightens Tree”. The Washington Post (Washington, D.C.: Fred Ryan): p. B6. http://search.proquest.com/docview/141355554/ 
  7. ^ 'The Jack Benny Program' Jack Meets Japanese Agent (TV Episode 1962)”. imdb.com. 19 Sep 2015閲覧。
  8. ^ Lom, Michael (2 Nov 2011). “'More Stories from Jeff Adachi' on Asian Pacific Arts”. asiapacificarts.usc.edu. 24 May 2011閲覧。
  9. ^ PBS: You Don't Know Jack Soo”. pbs.org. Public Broadcasting Service. 2 Jul 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。5 Apr 2016閲覧。
  10. ^ “Jack Soo, 63, Actor in 'Barney Miller'. He Was Sgt. Yemana in Television Series Appeared in Movies”. The New York Times. United Press International: p. 19. (13 Jan 1979). https://query.nytimes.com/gst/abstract.html?res=980DE6D71039E732A25750C1A9679C946890D6CF 5 Apr 2016閲覧。 
  11. ^ CTVA US Comedy – "Busting Loose" (Paramount/CBS)(1977) Adam Arkin”. ctva.biz. 19 Sep 2015閲覧。

外部リンク

[編集]