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ジェラール・ド・ベッケル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジェラール・ド・ベッケル
Gérald de Baecker
生誕
不明(フランスの旗 フランス人
死没 1944年8月1日
フランスの旗 フランス共和国ノルマンディー地方
所属組織

ドイツ陸軍

武装親衛隊

軍歴 1942年 - 1943年(反共フランス義勇軍団)
1943年 - 1944年(武装親衛隊)
最終階級 SS義勇伍長
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ジェラール・フレデリク・ド・ベッケルGérald[注 1] Frédéric de Baecker, 生年月日不明 - 1944年8月1日)は、第二次世界大戦ドイツ国ナチス・ドイツ)のドイツ陸軍武装親衛隊に所属したフランス人義勇兵従軍記者

戦前はフランス国内に住むジャーナリストであったが、独ソ戦の間にドイツ陸軍フランス人義勇兵部隊「反共フランス義勇軍団」(LVF)へ入隊し、1943年末以降は武装親衛隊宣伝部隊「SS連隊クルト・エッガース」(SS-Standarte Kurt Eggers)に所属。

武装親衛隊の戦時報道員(Kriegsberichter)としては珍しいフランス人隊員の1人であり、1944年6月6日以降の西部戦線ノルマンディーの戦い第12SS装甲師団「ヒトラーユーゲント」12. SS-Panzer-Division „Hitlerjugend“)に同行して最前線の戦況を取材・報道した。最終階級はSS義勇伍長(SS-Frw. Unterscharführer)[2]

第二次世界大戦

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ジャーナリスト時代

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生年月日・生誕地不明[1]フランス人ジェラール・ド・ベッケルは、第二次世界大戦勃発以前はフランス国内でジャーナリストとして生活していた。ジャーナリストとしてのペンネームは「ミシェル・アルダン」(Michel Ardan)であり、彼はフランス国内の次の新聞に記事を寄稿していた[2]

ドイツ陸軍反共フランス義勇軍団時代

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第二次世界大戦勃発後、ナチス・ドイツによるフランス占領が開始されてから1年以上経過した1942年、ジェラール・ド・ベッケルはドイツ陸軍の指揮下で東部戦線に従軍中のフランス人義勇兵部隊「反共フランス義勇軍団」(LVF:ドイツ陸軍第638歩兵連隊)へ入隊し、ゾンダーフューラー(Sonderführer (Z))[1]として1942年4月から1943年9月まで反共フランス義勇軍団第Ⅲ大隊付宣伝中隊PK)に所属した[3]

武装親衛隊時代

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1944年6月 ノルマンディー戦線

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1943年末、武装親衛隊へ入隊したジェラール・ド・ベッケルはアルザスゼンハイム親衛隊訓練施設(SS-Ausbildungslager Sennheim)で他のフランス人義勇兵と共に訓練を受けた。基礎訓練を終えた後、他のフランス人義勇兵が編成中のフランス人旅団(Sturmbrigade:後の第8フランスSS義勇突撃旅団)に所属する中、ド・ベッケルは戦時報道員(Kriegsberichter)になることを選び、武装親衛隊の宣伝部隊「SS連隊クルト・エッガース」(SS-Standarte Kurt Eggers)に所属した[1]

1944年6月6日、連合軍フランス北西部のノルマンディー海岸に上陸した(ノルマンディー上陸作戦)。この知らせを受けたド・ベッケルは最前線の戦況を取材するため、現地で連合軍部隊と交戦している第12SS装甲師団「ヒトラーユーゲント」12. SS-Panzer-Division „Hitlerjugend“)に一時的に所属した。なお、この期間中にド・ベッケルがカナダ陸軍第3歩兵師団3rd Canadian Infantry Division[注 2]捕虜(おそらくフランス系カナダ人)に聞き取り調査をしている様子を撮影した写真が残されている[1][4][5][6]

その後の1944年6月末から7月の間、ド・ベッケルは伍長(Unterscharführer)に昇進した[2]

1944年8月1日 最期

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1944年8月1日、ジェラール・ド・ベッケルはノルマンディー地方でマキ系の武装勢力「FTP」(フランス共産党を奉じるレジスタンス組織)に捕まり、即刻射殺された[2][注 3]

キャリア

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党員・隊員番号

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階級

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ドイツ陸軍(反共フランス義勇軍団)

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  • 1942年4月 - 1943年9月 ゾンダーフューラー(Sonderführer (Z))[1]

武装親衛隊

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勲章

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不明

その他

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脚注・出典

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脚注
  1. ^ 名前の綴りを « Gérard » とする記述は誤り[1]
  2. ^ ジュノー・ビーチ上陸後、「ヒトラーユーゲント」師団と交戦した連合軍部隊。
  3. ^ 1940年から1945年に至るまでのSS連隊クルト・エッガース所属隊員の損失表 « Verlustliste St. K. E. »(戦死者・行方不明者・空襲の犠牲者・重傷の末の死亡者・対パルチザン戦での死亡者を掲載)[7]に、ジェラール・ド・ベッケルの氏名は記載されていない。
     なお、同時期(1944年8月)に東部戦線ガリツィア戦死したフランス人戦時報道員ジャン=ルイ・ル・マルケSS義勇少尉SS-Frw. Ustuf. Jean-Louis Le Marquer)の氏名は « Verlustliste St. K. E. » に記載されている[7]
    Jean le Marquer, U'stuf, franz. KB-Zug, gef.
    22. 8. 1944 an der Ostfront beim 1. Btl. d. franz.
    Sturmbrigade


    フランスの旗 ジャン=ルイ・ル・マルケSS義勇少尉(SS-Frw. Ustuf. Jean-Louis Le Marquer):第8フランスSS義勇突撃旅団第Ⅰ大隊付のフランス人戦時報道員

     1921年6月14日(生年を「1923年」、姓を「ルマルケ」(Lemarquer)とする記述は誤り)、モロッコ(当時はフランス保護領モロッコ)最大の都市カサブランカCasablanca)生まれ。祖先はブルトン人

     独ソ戦開始後の1941年、ドイツ陸軍反共フランス義勇軍団LVF)へ入隊し、第Ⅰ大隊第4中隊(機関銃中隊)第2小隊長(階級は士官候補生)として1941年冬のモスクワの戦いに参加。この戦いで反共フランス義勇軍団はソビエト赤軍に惨敗したがル・マルケはその勇敢な戦いぶりを評価され、1941年12月付で少尉に昇進した[8]

     その後のル・マルケは反共フランス義勇軍団第Ⅰ大隊付の戦時報道員(従軍記者)となったが、作戦地域(白ロシア)の民間人に対して行った恣意的な殺人暴行略奪を告発され(出典:ミンスク近郊クルプキКрупки / Krupki)占領ドイツ軍司令官の1943年4月23日付の覚書)、1943年5月もしくは6月にフランスへ帰国した[9]

     1943年、武装親衛隊へ入隊し、SS義勇少尉(SS-Frw. Untersturmführer)任官。宣伝中隊PK)の一員となった後、第8フランスSS義勇突撃旅団第Ⅰ大隊(Ier bataillon / 8.Französische-SS-Freiwilligen-Sturmbrigade)付の戦時報道員として1944年8月のガリツィアの戦いに同行(戦況の悪化に伴い、最終的にル・マルケは武器を装備した擲弾兵として戦闘に参加していた)。

     1944年8月22日午前、モクレ(Mokré)村で繰り広げられた激戦の最中、指揮所として使用していた農場の家屋に赤軍砲弾が直撃して爆発。建物の中にいたドイツ人連絡将校ハンス=ウルリヒ・ライヒェSS少尉(SS-Ustuf. Hans-Ulrich Reiche)とル・マルケSS義勇少尉は、この爆発によって建物もろとも木っ端微塵になって死亡した[8](満23歳没)。

     なお、ジャン=ルイ・ル・マルケは1944年8月のガリツィアの戦いで戦死したが、戦後の1946年8月5日、パリで行われた欠席裁判でル・マルケに死刑判決が下った[10]
  4. ^ SS一二等兵の呼称は兵科によって異なる[11] など。
出典
  1. ^ a b c d e f g Grégory Bouysse « Waffen-SS Français volume 2 »(lulu, 2011)、"Aspirants, sous-officiers et soldats engagés en 1943-1944 : Soldats & Caporaux : Gérald De BAECKER"
  2. ^ a b c d e Grégory Bouysse « Légion des Volontaires Français, Bezen Perrot & Brigade Nord-Africaine »(lulu, 2012)、"Addenda « Waffen-SS Français volume 2 » : Gérald De BAECKER"
  3. ^ Grégory Bouysse « Légion des Volontaires Français, Bezen Perrot & Brigade Nord-Africaine »(lulu, 2012)、"Chapitre I: LVF / 638ème Régiment d'Infanterie de la Wehrmacht : - Organigrammes de la LVF : Mark II(avril 1942 - septembre 1943)"
  4. ^ a b John R. Angolia « Cloth Insignia of the SS »(Bender Publishing, 1983)p387
  5. ^ a b Hans Werner Neulen « An deutscher Seite: Internationale Freiwillige von Wehrmacht und Waffen-SS »(Universitas Verlag, München, 1985)pp.96-97.(写真コーナー:ベルギー~フランス編)
  6. ^ a b Heinz Ertel, Richard Schulze-Kossens « Europäisch Freiwillige im Bild »(NATION EUROPA VERLAG, 2000)p244
  7. ^ a b Eric Kaden « Das Wort als Waffe: Der Propagandakrieg der Waffen-SS und die SS-Standarte „Kurt Eggers“ »(Winkelried Verlag, 2009)pp.158-159.
  8. ^ a b Grégory Bouysse « Waffen-SS Français volume 1: officiers »(lulu, 2011)、"Officiers engagés en 1943-1944 : Jean-Louis Le MARQUER"
  9. ^ Grégory Bouysse « Légion des Volontaires Français, Bezen Perrot & Brigade Nord-Africaine »(lulu, 2012)、"Addenda « Waffen-SS Français volume 1: officiers » : Jean-Louis Le MARQUER"
  10. ^ Grégory Bouysse « Waffen-SS Français volume 2 »(lulu, 2011)、"Addenda volume 1: Jean-Louis Le MARQUER"
  11. ^ 照井 好洋(著) B.S.K.(監修)『SSの軍装: UNIFORMS OF THE SS 1938-1945』(大日本絵画、1998年)p84

文献

[編集]

英語

[編集]
  • John R. Angolia « Cloth Insignia of the SS » Bender Publishing, 1983.(2nd printing) ISBN 0912138289

ドイツ語

[編集]
  • Hans Werner Neulen « An deutscher Seite: Internationale Freiwillige von Wehrmacht und Waffen-SS » München, deutschland: Universitas Verlag, 1985. ISBN 3-8004-1069-9
  • Heinz Ertel / Richard Schulze-Kossens « Europäisch Freiwillige im Bild » Coburg, Deutschland: NATION EUROPA VERLAG, 2000. ISBN 3-920-677-23-4

フランス語

[編集]
  • Grégory Bouysse « Waffen-SS Français volume 2 » lulu, 2011. ISBN 978-1-4709-2911-4 [1]
  • Grégory Bouysse « Légion des Volontaires Français, Bezen Perrot & Brigade Nord-Africaine » lulu, 2012. [2]

外部リンク

[編集]

英語

[編集]

Axis History Forum[3]

  • Axis History ‹ Foreign Volunteers & Collaboration - Canadians in the Waffen-SS[4]
  • Axis History ‹ Foreign Volunteers & Collaboration - French Waffen ss on the West Front ?[5]
  • Axis History ‹ Foreign Volunteers & Collaboration - french waffen ss volunteers western front [6]

関連項目

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