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シラスナガイ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シラスナガイ属
生息年代: ジュラ紀現世
[1]
Limopsis jousseaumi (MNHN-IM-2000-33327)
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 二枚貝綱 Bivalvia
亜綱 : 原鰓亜綱 Autobranchia
下綱 : 翼形類 Pteriomorphia
: フネガイ目 Arcoida
上科 : シラスナガイ上科 Limopsoidea[2]
: シラスナガイ科 Limopsidae[3]
: シラスナガイ属 Limopsis Sasso, 1828[4]

シラスナガイ属(シラスナガイぞく、Limopsis)は、フネガイ目Arcoidaシラスナガイ科Limopsidaeに分類されるタマキガイに似た小型の二枚貝である[2]。世界中の海の水深百メートルよりも深い砂底に生息する[5]

分布

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本属は起源がジュラ紀にさかのぼり、南極近海をふくむ世界中の水深百メートルから漸深帯にかけての砂底に分布する。なお熱帯インド-西太平洋産は比較的少ない[5]

分類

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シラスナガイ属Limopsisと近縁のフネガイ目の分岐図と種の一例を要約して下に示す[6][7]

フネガイ目 

Limopsidae シラスナガイ科シラスナガイ属

Phylobridae シラスナガイモドキ科[2]

タマキガイ科

Glycymeris タマキガイ属

Tucetona ウチワガイ

Glycymerididae 

Cucullaeidae ヌノメアカガイ

Arca ノアノハコブネガイ

Acar コシロガイ

Barbatia ベニエガイ

Anadara サトウガイ

種類

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以下のような種が知られている[8][9][4]

(現生種)

Limopsis sulcata (YPM IZ 005775.BV)
  • Limopsis oliveri Amano & Lutaenko, 2004 択捉島沖、50-220m, 0.9cm[15]
  • Limopsis nipponica Yokoyama, 1922 マメシラスナガイ。
  • Limopsis tajimae J. B. Sowerby III, 1914 オオシラスナガイ。駿河湾の海底に密生[16]
  • Limopsis sulcata Verrill & Bush, 1898 北米大西洋沖。

(化石種)

近年シラスナガイ科の属や亜属は、現生種はすべてLimopsis属にまとめられ、その他には漸新世化石種のCosmetopsis Rovereto, 1898†(背縁が直線的、輪脈>放射脈、腹縁に刻みあり)が含まれる[3][10]

表 シラスナガイ類の外観
種名\特徴 殻形 大きさ 腹縁の刻み 表面 鉸歯 海域・生滅 出典
シラスナガイ 対称的 小さめ ない 細放射脈 湾曲 日本・現生 [8]
ナミジワシラスナ 斜め 小さめ あり 輪脈と放射脈 少し曲 日本・現生 [8]
オオシラスナガイ 斜め 大きい ない 輪脈と腹縁に放射脈 少し曲 日本・現生 [8]
トウカイシラスナガイ† 斜め楕円 大きい ない 輪脈と腹縁に放射脈 少し曲 日本・化石 [17]
L. tajimae 斜め 大きい ない 輪脈と腹縁に放射脈 曲がる 日本・現生 [16][9]
L. belcheri 斜め 大きい あり 輪脈と放射脈 少し曲 南アフリカ・現生 [9]

貝殻

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大型の種で殻長2~3cm、小型の種は約1cm。形はタマキガイのように前後に対称的で丸いもののほかに、腹側後方に向かって斜めに伸びた形の種が多い。表面には放射脈にそって毛が生える[8]。内面腹縁部に細かいギザギザの刻みが有る種と無い種がある[9]。鉸歯はタマキガイと似た多歯式で、ゆるやかに湾曲して並ぶ種が多い[18][19]。靭帯は単純靭帯である点が他のフネガイ目と異なり、歯板の中央に小さい三角形の靭帯窩が付け根としてある。貝殻の材質である炭酸カルシウム(Aragonite)の繊維状の微細結晶が鉸歯のある1点を中心に同心円状に成長する点が、シラスナガイの特徴である[11]

生態

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水深数百メートルの泥砂底に密集して生息する。水管を持たないので、貝殻は水平かやや斜めにして、泥底の下に少しもぐって海水をろ過して摂餌する[16]。前方の閉殻筋はとても小さくて殻頂の近く。後方は大きくて後端の近くにある[9]

表 シラスナガイ属とタマキガイ属の比較[8][2]
特徴\属名 シラスナガイ属 タマキガイ属
殻形 後腹側斜めに伸びた種が多く殻長3cm未満 前後にほぼ対照的で殻長10cm以下
閉殻筋 前後非対称。前は殻頂近傍で小さい 前後対称的
靭帯と靭帯面 単純靭帯、鉸歯列中央に小さい三角形 重複靭帯、殻頂に広い多重二等辺三角形
生息水深 10-2000m 3-40m

関連事項

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脚注

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出典

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  1. ^ Limopsis”. fossilworks. 2022年11月6日閲覧。
  2. ^ a b c d 佐々木猛智 2010, p. 27.
  3. ^ a b Limopsidae Dall 1895”. WoRMS. 2022年11月12日閲覧。
  4. ^ a b Limopsis Sasso 1827”. WoRMS. 2022年11月12日閲覧。
  5. ^ a b Limopsis Sasso 1827”. gbif. 2022年11月12日閲覧。
  6. ^ Combosch et al., 2017
  7. ^ Audino etal.(2020).
  8. ^ a b c d e f 改訂新版.世界文化生物大図鑑.
  9. ^ a b c d e f 延原尊美 2022.
  10. ^ a b c Janssen 2015
  11. ^ a b c 真野勝友 1971.
  12. ^ NMR Limopsidae
  13. ^ 吉田 1982
  14. ^ 棚部一成 1990.
  15. ^ a b c 天野 2004
  16. ^ a b c 近藤康生 1989.
  17. ^ a b 蟹江ら 2009
  18. ^ 改訂新版.世界文化生物大図鑑, p. 18-19.
  19. ^ 佐々木猛智 2010, p. 141.

参考文献

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外部リンク

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