サンパルオーケストラ
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サンパルオーケストラ(さんぱるおーけすとら)は広島県福山市沼隈町に本拠地を置くアマチュア・オーケストラ。 毎年NHK交響楽団などからプロ奏者を招いて、サンパルミュージックトレーニングを開催している。
所在地(事務局)
[編集]福山市沼隈サンパル 広島県福山市沼隈町草深1890番地4
発祥とサンパルミュージックトレーニング
[編集]- 同町に1989年4月(平成元年)、約10億円の事業費をかけたサンパルホールぬまくまが建築されたのを機に町民が主体をなって結成[1]。結成当初はメンバーの過半数が素人だったので、当時NHK交響楽団の第二ヴァイオリン奏者であった堀江悟らを招いて、トレーニングを行なった。沼隈町も、ホールを有効利用してもらおうと、ホールの備品として楽器をそろえたり、講師の謝礼金を補助するなど全面的なサポートを行った[2]。
- トレーニングは毎年実施され、サンパルミュージックトレーニング(以下トレーニングと略す)と呼ばれるようになり、以後25年間(平成25年時点)途切れなく続く。地域の音楽愛好家が集まって発足した同オーケストラの活動が、中央のプロ演奏家の心を動かし、今や一緒になって音楽のある街づくりが展開された。
- トレーニングはサンパルオーケストラの団員に限定されず、だれでも受講できる。近隣の多数のアマチュア奏者が指導を受けており、地域の音楽レベルの向上に役立っている[3]。個人でもグループでも受講可能で、基礎から専門的なことまで幅広く対応している[4]。
- 平成21年度のケースでは、7名のトレーナーによって、8月の延べ4日間にわたって実施された。
- トレーニングの総仕上げとして演奏会が開催され[5]、トレーナーのプロ奏者も参加する[1]。
- サンパルオーケストラの団員は、サンパルトレーニング以外の日程でも、下記トレーナーによる演奏指導が定期的に行なわれている[5]。
トレーナー
[編集]- 堀江悟 (ヴァイオリン;NHK交響楽団団友)
- 木越洋 (チェロ;NHK交響楽団首席奏者・洗足学園音楽大学教授)
- 甲斐雅之 (フルート;NHK交響楽団首席奏者)
- 齊藤賀雄 (フルート;東京音楽大学教授・元読売日本交響楽団)
- 浜道晁 (オーボエ;NHK交響楽団団友・東京音楽大学講師)
- 三輪純生 (トロンボーン;NHK交響楽団団友・洗足学園音楽大学教授)
- 瀬戸川正 (打楽器;NHK交響楽団団友)
- 小原裕樹 (トランペット;聖徳大学講師・ 東邦音楽大学講師) など、年度によって多少変更あるが毎年7名前後の講師が、NHK交響楽団などから派遣されている。
演奏活動
[編集]- 2000年11月、「国民文化祭ひろしま2000」の関連行事としてサンパルホールぬまくまで開かれた沼隈町街角音楽祭で、NHK交響楽団員と共演[6]。
- 2002年2月、広島県民文化センターふくやまで開催された県民文化祭に参加[7]。
- 2003年8月に創設15年を迎え、メンデルスゾーンの結婚行進曲などクラシック音楽5曲を演奏した[8]。
- 2008年8月に創設20年を迎え、記念演奏会が行われた[1][9]。
- 第21回定期演奏会では、NHK交響楽団首席チェロ奏者の木越洋のソロ演奏で、アントニン・ドヴォルザークのチェロ協奏曲が演奏された。
- 日本人作曲家の現代曲も意欲的に取り上げている。近年の例として、服部隆之の王様のレストランや吉俣良の篤姫メインテーマ、外山雄三の管弦楽のためのラプソディー、千住明の風林火山メインテーマが取り上げられた。
- 定期演奏会の他にも、福山市ふくやま芸術文化ホールで開催されていたオーケストラフェスティバルにも毎年参加し、府中シティオーケストラなどと共に主要な参加団体の1つとなっていた。
その他
[編集]- 2008年08月19日(火) RCCラジオ「さくらいの全力投球」で同オーケストラが紹介された。
- 本拠地となっているサンパルホールは、サントリーホールなどの音響設計を手がけた、元NHK技術研究所・音響研究部長の永田穂が担当。音響設計として、一般の多目的ホールに比べ奥行きが深く設計され、客席空間は直方形、天井高は約14mとされた。壁はコンクリートの打ち放しで、客席の近くだけにボードによる拡散壁が設置されている。また舞台反射板は、可動部を極力少なくされており、このような点でこのサンパルホールは中新田のバッハホールと相通じるところがあるとされている。
- サンパルミュージックトレーニング以外にも、サンパルホールでは、デュオハヤシ(室内楽)、秋津智承(チェロ)などの演奏家による公開講習会が過去に開催されている。
参考文献
[編集]- 国民文化祭・ひろしま2000 5日の音楽祭 プロと共演沼隈のアマオーケストラ『中国新聞』Sun, 29 Oct 2000
- 特集 広島のクラシック・シーン 広島県県民広報 1996年 12月号(vol.10)
- 地域創造レター 財団法人 地域創造 1995 6月号-No.002
- 永田音響設計News 89-4号(通巻16号)発行:1989年4月25日
- 永田音響設計News 94-6号(通巻78号)発行:1994年6月15日
- ^ a b c 「サンパル」20歳 世代つなぐ音色 沼隈で記念演奏会 中国新聞 朝刊 福山・尾三 2008年08月25日
- ^ 音楽が好き…ひたむきに10年 沼隈の愛好家管弦楽団、20日に記念演奏会 〓初心者の熱意 町も支援〓(広島県)中国新聞 朝刊 東A 写有 1998年12月18日
- ^ びんごピックアップ プロの指導 音色美しく 沼隈 N響奏者招きサマートレーニング 小中高校生ら200人参加(広島県) 中国朝刊 備後/井笠 写有 1999年08月06日
- ^ プロの技術みっちり 府中高 誠之中 生徒70人が音楽トレ 福山 山陽新聞朝刊 備後1-15版 32頁 2005年08月20日
- ^ a b 感動 分かち合おう 沼隈「サンパルオーケストラ」きょう定期演奏会 本番へ最終調整 幅広い分野の10曲披露 山陽新聞朝刊 備後1-15版 36頁 2004年08月22日
- ^ 国民文化祭ひろしま 5日の音楽祭でプロと共演 沼隈のアマオーケストラ、本番へ練習に熱(広島県)中国新聞朝刊 東A 写有 2000年10月28日
- ^ ニュース交差点 地域住民の「文化」共演 福山地区大会に22団体 中国新聞朝刊 芸北/尾三 写有 2002年02月18日
- ^ 沼隈のサンパルオーケストラ15周年 N響と共演 記念演奏会 来月 公募レッスンも 中国新聞朝刊 福山・尾三 2003年07月23日
- ^ 「年々深み」聴衆魅了 福山・沼隈のサンパルオケ 20周年を記念し演奏会 山陽新聞朝刊 備後1-15版 22頁 2008年08月25日
外部リンク
[編集]- 公式サイト
- 発足20周年 地域に根ざす“サンパルオーケストラ”(福山市) (財)ひろしま文化振興財団