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サルカケミカン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サルカケミカン属から転送)
サルカケミカン
果実
分類APG III
: 植物界 Plantae
: 被子植物 Angiosperms
: 真正双子葉類 Eudicots
亜綱 : コア真正双子葉類 Core eudicots
下綱 : バラ類 Rosids
上目 : 真正バラ類II Eurosids II
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
: サルカケミカン属 Toddalia
: サルカケミカン T. asiatica
学名
Toddalia asiatica (L.) Lam.

サルカケミカンToddalia asiatica)はミカン科の蔓になる樹木。棘がとても鋭いもので、薬用などに用いられる。

特徴

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常緑性になる樹木[1]には一面に鋭い棘がある。棘は下面が平らで上下に伸びていて、先端は鋭く鉤状に下向きに曲がっており、長さは約2mm。若枝は無毛。は互生でそれぞれ3枚の小葉からなる。全体の長さは3-5cmあり、葉柄は05-1cmmの長さ。小葉は長楕円形で長さ1.5-5cm、幅0.7-1.5cm。小葉は先が尖らず、先端には腺体があってややへこんでいる。縁には細かな鋸歯があり、表裏共に無毛だが裏面には油点が目立つ。また小葉の基部はくさび形で長さ0.5-1mmの小葉柄に流れる。

花期は冬から春で枝先や葉腋から円錐花序を出し、多くの小さな花をつける。雌雄異株であり、雄花序では各節に3-4個、雌花序では各節に1個の花をつける。萼は5裂、花弁は5個で長楕円形、雄蘂は5個[2]。花弁は緑白色で雄花では2mm、雌花では3mm。果実は球形で径6-8mmになり、橙黄色に熟す。

本種の呼称は沖縄では広くサルカチミカンであり、サルカチやサルカチャーも広く知られる[3]。これらは「サルを引っかけるもの」の意と取れる。 和名はこれに由来し、「サルでもその棘に引っかかる」の意である[4]

分布と生育環境

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日本では琉球列島に産し、海岸近くの森林に出現する。特に石灰岩地に多い[4]。国外では台湾、中国大陸、インドシナマレーシアインドネシアからインドに分布する[5]アフリカでも見られるが新しく移入されたものと思われ、雌花はまれにしか見られない傾向がある[6]。ほかにコモロセーシェルマスカリン諸島でも見られる[6]。棘によって他の木などによじ登る蔓植物である[2]

分類

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本属は本種のみを含む。

利用

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沖縄では民間薬として用いられ、果実と根皮は酒で煎じて飲んで風邪に効果があり、咳を止める[7]。また葉や茎、根を煎じたものは健胃、喘息に効果があるとされる。果実は調味料や防腐剤に使われた。根から黄色の染料を取った。他に幹でパイプを作ったとも[8]。 また、果樹園で石垣や木の根本にこの植物の茎を何本か束ねて置き、これはその鋭い棘で子供の悪戯を防ぐために用いられた。

ちなみに果実は脂臭いが生食が可能[2]、とされているが、実際には舌がしびれるほど刺激が強い味がするという[9]

ケニアキクユ人も本種の葉や根を風邪の際の薬としており[10]、近年はニエリ県で葉の煎じ汁を風邪や喘息、胸の痛み、歯痛に対して処方するとの報告がある[11]

出典

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  1. ^ 以下、主として佐竹他(1989), p.280-281
  2. ^ a b c 初島(1975), p.353
  3. ^ 天野(1967), p.67
  4. ^ a b 島袋(1997), p.189
  5. ^ 佐竹他(1989), p.281
  6. ^ a b African Plant Database (version 3.4.0). Conservatoire et Jardin botaniques de la Ville de Genève and South African National Biodiversity Institute, Pretoria, "Retrieved 24 April 2018", from <http://www.ville-ge.ch/musinfo/bd/cjb/africa/>.
  7. ^ 以下、主として島袋(1997), p.189
  8. ^ 天野(1967), p.68
  9. ^ サルカケミカン、沖縄植物図鑑
  10. ^ Benson (1964).
  11. ^ Kamau et al. (2016).

参考文献

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日本語:

  • 天野鉄夫『琉球列島有用樹木誌』、(1982)、琉球列島有湯樹木誌刊行会
  • 佐竹義輔他編著『日本の野生植物 木本 I』、(1989)、平凡社
  • 島袋敬一「サルカケミカン」:『朝日百科 植物の世界 3』、(1997)、朝日新聞社:p.189.
  • 初島住彦 『琉球植物誌』 沖縄生物教育研究会、1975年、追加・訂正版

英語:

  • "rũrũe" in Benson, T.G. (1964). Kikuyu-English dictionary. Oxford: Clarendon Press. p. 421  NCID BA19787203
  • Kamau, Loice Njeri and Peter Mathiu Mbaabu and James Mucunu Mbaria and Peter Karuri Gathumbi and Stephen Gitahi Kiama et al. (2016). "Ethnobotanical survey and threats to medicinal plants traditionally used for the management of human diseases in Nyeri County, Kenya", p. 11.