コンビアサ航空2350便墜落事故
2007年12月に撮影された事故機 | |
事故の概要 | |
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日付 | 2010年9月13日 |
概要 | 失速警報装置の誤作動による制御の喪失 |
現場 |
ベネズエラ シウダーグアヤナ マヌエル・カルロス・ピアル・グアヤナ空港の南西11km地点 北緯08度14分37秒 西経062度51分07秒 / 北緯8.24361度 西経62.85194度座標: 北緯08度14分37秒 西経062度51分07秒 / 北緯8.24361度 西経62.85194度 |
乗客数 | 47 |
乗員数 | 4 |
負傷者数 | 23 |
死者数 | 17 |
生存者数 | 34 |
機種 | ATR 42-320 |
運用者 | コンビアサ航空 |
機体記号 | YV1010 |
出発地 | サンティアゴ・マリノ・カリビアン国際空港 |
目的地 | マヌエル・カルロス・ピアル・グアヤナ空港 |
コンビアサ航空2350便墜落事故は、2010年9月13日にベネズエラで発生した航空事故である。サンティアゴ・マリノ・カリビアン国際空港からマヌエル・カルロス・ピアル・グアヤナ空港へ向かっていたコンビアサ航空2350便(ATR 42-320)が着陸進入中に墜落し、乗員乗客51人中17人が死亡した[1][2][3]。
飛行の詳細
[編集]事故機
[編集]事故機のATR 42-320(YV1010)は、1994年に製造番号371として製造された[4]。ギル・エアウェイズ、エア・ウェールズでの運用を経て、2006年9月にコンビアサ航空が購入した[5]。総飛行時間は25,000時間以上で、27,000サイクルを経験していた[6]。
乗員乗客
[編集]2350便には乗員4人と乗客47人が搭乗していた[7]。
死者数は当初14人と報告されていたが[8]、すぐに15人に修正された[9][10]。その後、負傷により2人が死亡し、最終的な死者数は17人となった[11]。34人が事故を生き延びたが[11]、パイロットは2人とも死亡した[6]。
事故の経緯
[編集]UTC13時29分、2350便はサンティアゴ・マリノ・カリビアン国際空港を離陸し、15,000フィート (4,600 m)までの上昇を許可された。14時00分、パイロットは機体の制御に問題が発生したと報告し、11,000フィート (3,400 m)へ降下する許可を求めた。16分後、パイロットは空港から20海里地点を高度6,000フィート (1,800 m)で通過しており、マヌエル・カルロス・ピアル・グアヤナ空港の滑走路07への直線進入を行っていると報告した。14時23分、パイロットは管制官に緊急事態を宣言した。管制官は2350便に状況を聞き返したが、パイロットからの応答はなかった。14時24分、他機が滑走路07の進入経路上に煙が上がっていることを報告した[12]。
目撃者は2350便が送電線に激突し、工業地帯に墜落したと証言した[13][14]。付近の製鉄所の作業員と消防士が生存者の救出を行った[8][15]。
事故調査
[編集]調査はベネズエラの調査当局主導のもと行われた。また、フランス航空事故調査局とATRが調査の支援を行った[6][7][16]。
2014年12月30日、ベネズエラの調査当局は最終報告書を発行した。報告書では、推定原因として中央乗員警告システム[注釈 1]の誤作動による、失速警報の作動を挙げた。また、脆弱なクルー・リソース・マネジメント、状況認識の喪失、意思決定能力の欠如、システムに関する知識不足などが事故に寄与した[17]。事故時、機体は失速警報の誤作動と昇降舵の切り離しという2つの問題を抱えていた。ATR 42/72にはPUM[注釈 2]という機構が搭載されていた。これは、片側の昇降舵が故障した場合などに作動するように設計された機構だった。2350便では、左右の操縦桿にある一定以上の相反する力がかけられたためにPUMが作動し、操縦桿の連動が切り離された[18]。
PUMの作動により、機長席側の操縦桿では左側の昇降舵のみ、副操縦士席側の操縦桿では右側の操縦桿のみしか操作できなくなった。そのため、スティックプッシャーにより下がりぎみになった機首を上げるには左右の操縦桿を同時に操作する必要があった。失速警報の誤作動とPUMの作動が同時に発生する可能性について製造元のATRはマニュアルなどに記載していなかった。これにより、機長にかかる負荷が増えた[19]。
事故後
[編集]ベネズエラのウゴ・チャベスは、3日間国をあげて喪に服すと述べた[20][21]。
2010年9月13日、トリニダードトバゴ民間航空局は、コンビアサ航空のトリニダードトバゴ乗り入れを禁じた[22]。事故当時、ベネズエラのマルガリータ島に乗り入れていたのがコンビアサ航空だけだったため、トリニダードトバゴ国民がマルガリータ島に取り残される懸念が発生した[23]。
2010年9月17日、ベネズエラ政府はコンビアサ航空の運航を停止し、機材の点検を行うよう命じた[24]。コンビアサ航空は少なくとも2010年10月1日までは運行が停止されたままだろうと述べた[25][26]。
関連項目
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “Fourteen dead after plane crashes in eastern Venezuela”. BBC News Online. (14 September 2010) 13 September 2010閲覧。
- ^ “ベネズエラで旅客機が炎上、墜落 36人助かる”. AFPBB News. (2010年9月14日) 20 July 2020閲覧。
- ^ “ベネズエラの旅客機墜落で14人死亡、生存者も33人”. 朝日新聞デジタル. (2010年9月14日) 20 July 2020閲覧。
- ^ “YV1010 Accident description”. Aviation Safety Network. 13 September 2010閲覧。
- ^ Sobie, Brendan (13 September 2010). “Crashed Conviasa ATR 42 identified”. Flight International. 14 September 2010閲覧。
- ^ a b c Kaminski-Morrow, David. “Both pilots among fatalities in Conviasa ATR crash”. Flight International. 14 September 2010閲覧。
- ^ a b "Flight VO 2350 on 13 September 2010 ATR 42–320, registered YV-1010 Archived 21 July 2011 at the Wayback Machine.." Bureau d'Enquêtes et d'Analyses pour la Sécurité de l'Aviation Civile. 13 September 2010. Retrieved on 17 September 2010.
- ^ a b “Crash: Conviasa AT42 near Puerto Ordaz on Sep 13th 2010, loss of control”. Avherald.com (6 July 2001). 13 September 2010閲覧。
- ^ “Plane carrying 51 crashes in Venezuela; 36 survive, 8th Ld-Writethru, LT”. The Guardian (London). (14 September 2010) 14 September 2010閲覧。
- ^ “ベネズエラの国内線旅客機が墜落炎上、36人が生存”. 朝日新聞デジタル. 14 September 2010閲覧。
- ^ a b “Venezuelan plane crash death toll rise to 17”. Xinhua (15 September 2010). 6 November 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。15 September 2010閲覧。
- ^ report, pp. 2–5.
- ^ “AERONAVE DE CONVIASA SE PRECIPITA A TIERRA EN EL ESTADO BOLÍVAR”. Instituto Nacional de Aernáutica Civil. 18 September 2010時点のオリジナルよりアーカイブ。14 September 2010閲覧。
- ^ “Plane Crash in Venezuela: 47 Passengers on Board Airline Conviasa's Domestic Flight | World News | Sky News”. News.sky.com. 13 September 2010閲覧。
- ^ Sanchez, Fabiola (14 September 2010). “Plane carrying 51 crashes in Venezuela; 36 survive”. Associated Press. 14 September 2010閲覧。
- ^ “Venezuela Plane Crash Kills 15, Leaves 36 Injured”. Bloomberg Businessweek (13 September 2010). 14 September 2010閲覧。
- ^ “Archived copy”. 4 March 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。21 September 2015閲覧。
- ^ “EASA and aircraft manufacturer ATR seeking improved aircraft system design tolerance to inadvertent dual control inputs by pilots.”. Aviation Safety Network (26 May 2019). 10 July 2020閲覧。
- ^ report, pp. 28–31.
- ^ "National Mourning in Venezuela for Plane Crash[リンク切れ]." Periodico 26, Las Tunas, Cuba. Retrieved on 16 September 2010.
- ^ "Miracle as 36 survive Venezuelan plane crash Archived 5 April 2012 at the Wayback Machine.." Jakarta Globe. 13 September 2010. Retrieved on 16 September 2010.
- ^ Rampersad, Curtis. "T&T suspends V'zuela airline Archived 16 September 2010 at the Wayback Machine.." Trinidad Express Newspapers. 13 September 2010. Retrieved on 14 September 2010.
- ^ Nationals may be stranded in Margarita." Trinidad and Tobago's Newsday. Wednesday 15 September 2010. Retrieved on 16 September 2010.
- ^ CNN Wire Staff. "Venezuelan state-owned airline grounded after fatal crash." CNN. 17 September 2010. Retrieved on 17 September 2010.
- ^ Kaminski-Morrow, David. “Conviasa suspends all flights for operational audit”. Flight International. 17 September 2010閲覧。
- ^ “Venezuela's airline halts flights after plane crash”. BBC News Online. (17 September 2010) 18 September 2010閲覧。