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コシジタネツケバナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コシジタネツケバナ
新潟県柏崎市 2023年4月中旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : アオイ類 Malvids
: アブラナ目 Brassicales
: アブラナ科 Brassicaceae
: タネツケバナ属 Cardamine
: コシジタネツケバナ C. niigatensis
学名
Cardamine niigatensis H.Hara (1983)[1]
シノニム
  • Cardamine scutate Thunb. var. koshiensis Ohwi et Okuyama (1963)[2]
和名
コシジタネツケバナ(越路種漬花)[3]

コシジタネツケバナ(越路種漬花、学名: Cardamine niigatensis)は、アブラナ科タネツケバナ属多年草[4]

特徴

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全体に柔らかい。根茎は短く匍匐する。は高さ5-15cm、ときに25cmになり、無毛。根出葉は単葉で丸みを帯び、長さ3-15mm、長い葉柄があって無毛、花期には枯れて存在しないことが多い。茎につくは互生し、長さ1-7cmの葉柄があり、葉柄の基部は茎を抱かない。下部の葉は奇数羽状複葉になり、小葉は3-5個、上部の葉は単葉か3小葉になり、頂小葉は大きく、丸みを帯びた長楕円形で、長さ5-50mm、幅5-20mmになる。葉の両面、縁ともに無毛[3][4][5]

花期は4-6月。茎先に総状花序をつけ、径5-8mmになる白色の十字形の4弁花を数個つける。萼片は長楕円形で長さ1.5-3mm、縁は白色になる。花弁は倒卵形からへら形で、長さ4-7mm、幅1.5-2.5mm。雄蕊は6個、葯は長さ約0.7mm。雌蕊は1個で柱頭は小さい。果実長角果で斜開してつき、線形で無毛、長さ2-3.5cm、先端につく残存花柱は長さ2-3mm、幅1-1.2mmになる。種子はオリーブ色で、長さ1-1.2mmになる[3][4][5]

本種は栄養繁殖性が強く[6]、開花後に茎が倒れ、地上に接した部分から発根し、翌年にその節から茎が伸長し株状になる[7]

分布と生育環境

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日本固有種。本州の新潟県を主とし、富山県群馬県および福島県に分布し、深山の流れのほとりに生育する[4]。冬季でも着雪せず、年間を通じて水がしみ出しているような崖状の場所に多い[6]

名前の由来

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和名コシジタネツケバナは、「越路種漬花」の意[3]種小名(種形容語)niigatensis は、「新潟県の」の意味。

新種記載

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この植物については、最初、植物学者の奥山春季 (1963) が「原色日本野外植物図譜 7:19」に掲載するにあたって、和名コシジタネツケバナを命名し、Cardamine scutate Thunb.(オオバタネツケバナ)の変種 var. koshiensis としたが、和文で「花が少し大きく,径約 5mm程度」とされただけで正式な記載はなかった。大井次三郎 (1965) も「日本植物誌改訂版」に掲載したが同様に正式な記載はなかった。原寛 (1983) は、新潟県の植物研究家である伊藤至から「花および、果実をつけたよい資料」が送られたことから、検討の結果、独立種として「植物研究雑誌第58巻第11号」に正式に記載発表した[5]

種の保全状況評価

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国(環境省)のレッドデータブックレッドリストでの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り[8]。福島県-情報不足(DD)。

分類

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同属のオオバタネツケバナ Cardamine regelianaオオケタネツケバナ C. dentipetala の貧弱な個体に似る。本種はオオバタネツケバナと比べ花が大きい。また、本種はオオケタネツケバナ同様花が大きいが、同種と比べ葉が無毛であることで区別できる[4]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ コシジタネツケバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ コシジタネツケバナ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d いがりまさし、コシジタネツケバナ、植物検索・撮れたてドットコム
  4. ^ a b c d e 米倉浩司 (2017)「アブラナ科タネツケバナ属」『改訂新版 日本の野生植物 4』p.58
  5. ^ a b c 原 寛、「東亜植物註解(12)」、The Journal of Japanese Botany, 『植物研究雑誌』、Vol.58,No.11, pp.328-330, (1983).
  6. ^ a b 工藤洋、「日本産アブラナ科タネツケバナ属雑草の生物学」、『雑草研究』Vol.62(4), pp.179-180, (2017)
  7. ^ 蓮沼憲二、「福島県会津地方の特筆すべき植物9(コシジタネツケバナ)」『会津生物同好会誌』No.58, pp.2-3, (2020).
  8. ^ コシジタネツケバナ、日本のレッドデータ検索システム、2023年4月25日閲覧

参考文献

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