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オーディン (マーベル・コミック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

オーディン・ボーソン・ザ・オール・ファーザーOdin Borson, the All-Father)は、マーベル・コミックが発行するアメリカン・コミックスに登場する架空のキャラクターである。スタン・リージャック・カービーに創造され、1962年11月に 『Journey into Mystery』第86号でデビューした[1]。このキャラクターはソーの父親にして“アスガルド”の王として描かれている。

発行履歴

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キャラクター経歴

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その他のバージョン

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MCU版

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マーベル・シネマティック・ユニバース』(MCU)では、アンソニー・ホプキンスが演じた。日本語吹替は浦山迅が担当。

本項は、“アース616”(正史の宇宙)におけるオーディンを主軸として表記する。

キャラクター像

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北欧神話の主神にして、戦争と魔術を司る全能の神“オーディン”のモデルであり、“アスガルド”の国王。ソーヘラの実父にしてロキの養父であり、この世の始まりからアスガルドと“九つの世界”の民を守ってきた。その寿命はゆうに50万年を超える[注釈 1]。嘗ての“氷の巨人群”との戦いで右目を失ったため、右眼窩にアイパッチをはめ込んでいる。

8本脚の馬“スレイプニル”を愛馬とするほか、自身の強力なパワーを失うと“オーディンの眠り”につくが、この世のすべてを見通す力を持つことから昏睡中でも外界の様子を察知できる力も持つ。自身も“ムジョルニア”を扱えうことができ、息子たちや愛妻のフリッガからは厚く尊敬され、アスガルドの戦士たちからも忠誠を誓われているほど公正で慈悲深いが、時には差別的な行動や、柔軟さに欠け、理性を失う様子を見せることもあり、完全に純潔な神とも言えない人物である[注釈 2]

『ホワット・イフ...?』版

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他の並行世界に存在するオーディンの“変異体”。ほぼ正史のオーディンと同様のキャラクター像である。

オーディン(アース72124)
アース72124”におけるオーディン。現在のところ、“オーディンの眠り”についた状態でのみ登場。

能力

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武装

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甲冑
真紅ケープが付属し、ソーの鎧と酷似した絢爛豪華な装具。
ロキのものとは異なる形状の角飾りが付いた黄金の兜。
グングニル
北欧神話のグングニル”のモデルであり、“王の杖”・“万能の槍”と言われる、アスガルドの王位のシンボルたる黄金色の長杖。一振りで巨人を薙ぎ倒す威力と炎状の光弾を放つ能力を有し、“デストロイヤー”を操る媒体としても、“ビフレスト”を起動させるキーとしても使用できる。

各作品における描写

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マイティ・ソー
本作でMCU初登場。アスガルドの王位継承の戴冠式では、我が物顔で大衆の前に登壇したソーに唖然としつつも[注釈 3]、式を執り行うが、武器庫に氷の巨人群が侵入したため、デストロイヤーを起動して巨人を退治し、式を中止させる。協定を破った巨人たちとの戦いを望むソーを制するが、ソーたちの“ヨトゥンヘイム”襲撃を見逃してしまった。ロキの知らせを受けた衛兵の告げ口により、スレイプニルを駆ってヨトゥンヘイムへ降臨し、共闘を呼びかけるソーを一喝すると、ラウフェイには陳謝・説得し、彼の攻撃をかわして何とかソーたちをアスガルドへ連れ帰り、事態を収拾した。しかしソーと激しい口論となり、彼の心無い罵声に傷付き、激怒してソーのパワーとムジョルニアを取り上げ、ビフレストで地球に追放し、ムジョルニアも後を追わせるように地球へ投げ込んだ。
ロキが自分の出自を疑問に感じた際には、ついにその真相を話すが、“オーディンの眠り”が突然訪れて[注釈 4]昏睡状態となった。
物語後半でロキの策謀に利用されたラウフェイに寝込みを襲われるが、ロキに事実上救われた。その後、ソーとロキが対決するなかで目覚め、ビフレストを破壊した反動で宇宙へ漂流しかけた息子たちを救った。ロキが宇宙の彼方へ消えたことで喪失感を覚えるものの、大きく成長して自身の下に帰ってきたソーの姿には、満足感を得る
マイティ・ソー/ダーク・ワールド
本作ではソーが連れ帰ったジェーン・フォスターを、招かれざる客として追いだそうと兵士に指示したり、フリッガが“ダーク・エルフ”らによって命を奪われると、ソーの提案を却下して徹底抗戦する姿勢を訴える様子も見せる。
ロキを糾弾して一生牢獄で暮らすことを言い渡した一方で、九つの世界の暴動を鎮めたソーを褒め称え、王座の継承を進言するが、息子の心ここに在らずな様子も指摘した。アスガルドに招かれたジェーンを一度は他所者扱いしたものの、彼女に“エーテル”が寄生したと知り、ソーたちにエーテルとダーク・エルフの伝承を説き、ジェーンを匿うことを決意する。だがダーク・エルフ侵攻時に奮戦虚しく、フリッガを手に掛けられてしまい、彼女の葬儀の後に「次襲ってきたら我が軍が迎え撃ち、必ず勝つ」と発言してソーを驚かせた。
だがソーに協力したヘイムダルから反逆を告げられるシーンと、“スヴァルトアールヴヘイム”の捜索から帰還したエインヘリャルの兵士(ロキ)からの報告を受けるシーンで本作における出番を事実上終え、消息不明となる。
マイティ・ソー バトルロイヤル
本作では、ヘラに関する過去が明かされると共に、その生涯を終えることになる。
ロキにより記憶を封じられてひそかに地球へ追放され、ニューヨークの老人ホームに入れられており、その後スティーヴン・ストレンジ/ドクター・ストレンジに発見されるが、自身は記憶が徐々に戻りつつも、死期が近づいていることを悟って追放を受け入れ、地球に滞在することを選んでいた。
ノルウェーの海岸でソーとロキに再会すると、自身に対するロキの所業を責めずに、ヘラの存在とアスガルドに危険が迫っていることを告げ、父親から愛する息子たちへのメッセージとして、2人で協力してヘラに挑むようにと言葉をかけ、光の粒子となって消滅し、帰らぬ人となる。
死後は、ソーが垣間見る幻影に現れて彼を導き、ヘラに太刀打ちできずに戦意喪失しかけたソーに励ましの言葉を送り、これがソーの力の完全覚醒へと繋がる。
ホワット・イフ...?
シーズン1第7話
アース72124におけるオーディンが、物語の冒頭のみに登場。

その他のメディア

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脚注

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注釈

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  1. ^ マイティ・ソー バトルロイヤルで50万年前に“ムスペルヘイム”の王スルトを倒したと言及されている。
  2. ^ ソーやロキが生まれる前の太古の時代には、最初の実子であるヘラと共に宇宙の侵略を進めた末に封印したヘラの存在をなかったことにした過去と、地球暦965年に“氷の巨人群”に勝利した際には、“ヨトゥンヘイム”の寺院に捨てられていたラウフェイの赤子を拾い、魔法で肌の色を変えて養子として引き取り、“ロキ”と名付け、以降、現代までソーと同様に王位の後継に相応しい者にすることを目標に2人の息子を育ててきた経緯を周囲に告げずにいた事実も隠していた。
  3. ^ フリッガやシフも呆れ顔をしていた。
  4. ^ ソーたちを止めるためにヨトゥンヘイムへ降臨した時点でその前兆が見られた。

参考

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  1. ^ DeFalco, Tom; Sanderson, Peter; Brevoort, Tom; Teitelbaum, Michael; Wallace, Daniel; Darling, Andrew; Forbeck, Matt; Cowsill, Alan et al. (2019). The Marvel Encyclopedia. DK Publishing. p. 261. ISBN 978-1-4654-7890-0 

参考文献

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  • 『マーベル・スタジオ キャラクター事典』株式会社うさぎ出版、2020年。ISBN 978-4-418-19429-2