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エルト・エ・カッソ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エルト・エ・カッソ
Erto e Casso
エルト・エ・カッソの風景
ヴァイオント湖
行政
イタリアの旗 イタリア
フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の旗 フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア
県/大都市 ポルデノーネ
CAP(郵便番号) 33080
市外局番 0427
ISTATコード 093019
識別コード D426
分離集落 Casso, Erto
隣接コムーネ #隣接コムーネ参照
公式サイト リンク
人口
人口 373 人 (2023-01-01 [1])
人口密度 7.1 人/km2
文化
住民の呼称 ertaniと cassani
守護聖人 聖バルトロメオ
(San Bartolomeo apostolo)
祝祭日  
地理
座標 北緯46度17分 東経12度22分 / 北緯46.283度 東経12.367度 / 46.283; 12.367座標: 北緯46度17分 東経12度22分 / 北緯46.283度 東経12.367度 / 46.283; 12.367
標高 830 (610 - 2668) [2] m
面積 52.22 [3] km2
エルト・エ・カッソの位置(イタリア内)
エルト・エ・カッソ
エルト・エ・カッソの位置
ポルデノーネ県におけるコムーネの領域
ポルデノーネ県におけるコムーネの領域 地図
イタリアの旗 ポータル イタリア
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エルト・エ・カッソ: Erto e Casso)は、イタリア共和国フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州ポルデノーネ県にある、人口約400人の基礎自治体コムーネ)。

地理

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位置・広がり

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ポルデノーネ県の西北部、ヴァイオント谷 (it:Valle del Vajontに位置する。ベッルーノから北東へ約20km、県都ポルデノーネから北北西へ約41km、州都トリエステから北西へ約129kmの距離にある。

フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の最西端であり、コムーネ西側の山々はヴェネト州との境界となっている。

隣接コムーネ

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隣接するコムーネは以下の通り。BLはベッルーノ県(ヴェネト州)所属。

 

地勢

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ヴァイオント谷を形成するヴァイオント川 (it:Vajont (torrente)は、狭い峡谷を経て西のピアーヴェ川に注いでおり、この峡谷を堰きとめてヴァイオント・ダムが作られていた。ヴァイオント湖はダム湖の名残りである。谷は標高2000mを越える高山に囲まれており、東西に走る国道SS251が、東にサントズヴァルド峠(Passo di Sant'Osvaldo、827m)を越えてチモラーイス、西にピアーヴェ川沿いのロンガローネとを結んでいる。

気候分類・地震分類

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エルト・エ・カッソにおけるイタリアの気候分類 (itおよび度日は、zona F, 3757 GGである[4]。 また、イタリアの地震リスク階級 (itでは、zona 2 (sismicità media) に分類される[5]

主要な集落

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エルト・エ・カッソのコムーネはその名の通り、東部にあるエルトErto)と、西部にあるカッソCasso)という2つの分離集落(フラツィオーネ)からなる。二つの地区の中心集落はいずれもヴァイオント川の北側にあり、村の役場はエルトに置かれている。

エルトとカッソでは使われる言葉にも違いがあり、東のエルトではラディン語の方言が、西のカッソではベッルーノと同じヴェネト語の方言が話されていた。エルトは、現地エルトの方言では Nerto と呼ばれていた。カッソは、現地のカッソ方言では Cas と呼ばれるが、エルトの方言では Sciàs などの名で呼ばれ、古くは Chias などとも記録された[6]

歴史

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近代まで

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エルトにはローマ時代から人が暮らすようになったのが文書で確認でき、8世紀にはセスト・アル・レーゲナの領域に含まれた。カッソの集落ができたのはそれよりも新しく、11世紀のことである。

1950年代まで、この地の産業は伝統的な農業と、ささやかな交易によって成り立っていた。

ヴァイオント・ダム災害

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1950年代の終わり、アドリア電力会社(SADE) (it:Società Adriatica di Elettricitàが、カッソの集落の下に巨大ダムを建設し、ヴァイオント谷を貯水池とする事業を行った。1960年、世界最大の高さ(堤高262m)を持つヴァイオント・ダムが竣工した。しかし、ダムの完成後しばしば地滑りが発生した。

1963年10月9日、集落の対岸にあるトック山 (it:Monte Tocが大規模な地滑りを起こし、ダム湖に発生した津波が周辺の町や村を襲った。これにより、コムーネのダム湖南岸にあったピネダ(Pineda)、プラダ(Prada)、北岸にあったスペッセ(Spesse)、サン・マルティーノ(San Martino)などといった集落が破壊され、中心集落であるエルトとカッソの一部も打撃を受けた。ヴァイオントダム災害は、全体で2000人以上の犠牲が出たが、エルト・エ・カッソのコムーネは、347人の犠牲者を出した。

再建

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災害発生後3日以内に、この村の人々は安全のために避難をし、ヴァイオント谷は3年間無人の谷となった。

この間、一部の村人はマニアーゴに定住した。ヴァイオント谷の人々が移り住んだこの地区は、1971年にヴァイオントという独立のコムーネになった。

残る人々は、避難から3年後、村への立ち入りが禁止されていたにもかかわらず帰還し、エルトとカッソの集落を復興した。1976年には、国家モニュメント(Monumento nazionale)として指定された。近年は "EcoMuseo Vajont: continuità di vita" を謳い、エコツーリズムの拠点となっている。

ジロ・デ・イタリア 2013では、ヴァイオントダムの事故から50周年を記念し、第11ステージのゴールにエルト・エ・カッソを、翌日の第12ステージのスタートにロンガローネを組み込んだ。


社会

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人口

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人口推移

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人口推移
人口±%
1871726—    
1881796+9.6%
1901882+10.8%
19111,002+13.6%
19211,021+1.9%
19311,006−1.5%
1936868−13.7%
1951967+11.4%
1961842−12.9%
1971748−11.2%
1981556−25.7%
1991405−27.2%
2001424+4.7%
2011387−8.7%

居住地区別人口

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国立統計研究所(ISTAT)によれば、2001年時点での居住地区(Località abitata)別の人口は以下の通り[2]

地区名 標高 人口 備考
ERTO E CASSO 610/2668 424
CASSO 950 35
ERTO * 830 341
Case Sparse - 48
Lago del Vajont 723 - 人造湖
Monte Borgà 1400/2228 - 非居住の山地
Monte Duranno 1600/2668 - 非居住の山地
Monte Toc 1100/1938 - 非居住の山地
Vajont 725/2460 - 非居住の山地
  • ISTATは人口統計上、家屋密度の高い centro abitato (居住の中心地区)、密度の低い nucleo abitato (居住の核となる地区)、まとまった居住地区を形成していない case sparse (散在家屋)の区分を用いている。上の表で地名がすべて大文字で示されているものが centro abitato である。「*」印が付されているのは、コムーネの役場・役所 la casa comunale の置かれている地区である。

交通

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道路

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国道

脚注

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  1. ^ Popolazione residente per sesso, età e stato civile al 1° gennaio 2023” (イタリア語). 国立統計研究所(ISTAT). 2024年2月11日閲覧。メニューでVista per singola areaを選択。Ripartizione:Nord-est, Regione:Friuli-Venezia Giulia, Provincia:Pordenone, Comune:Erto e Casso を選択
  2. ^ a b 国立統計研究所(ISTAT). “Tavola: Popolazione residente - Pordenone (dettaglio loc. abitate) - Censimento 2001.” (イタリア語). 2019年10月22日閲覧。
  3. ^ 国立統計研究所(ISTAT). “Tavola: Superficie territoriale (Kmq) - Pordenone (dettaglio comunale) - Censimento 2001.” (イタリア語). 2019年10月22日閲覧。
  4. ^ Tabella dei gradi/giorno dei Comuni italiani raggruppati per Regione e Provincia”. 新技術エネルギー環境局(ENEA) (2011年3月1日). 2017年1月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月20日閲覧。
  5. ^ classificazione sismica aggiornata al aprile 2023” (xls). https://rischi.protezionecivile.gov.it/it/sismico/attivita/classificazione-sismica/. イタリア市民保護局. 2023年12月16日閲覧。
  6. ^ Sergio De Filippo. “La storia di Erto” (PDF) (イタリア語). 2012年6月30日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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