コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

イヌザンショウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イヌザンショウ
イヌザンショウ
イヌザンショウ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
: サンショウ属 Zanthoxylum
: イヌザンショウ Z. schinifolium
変種 : イヌザンショウ Z. c. var. schinifolium
学名
Zanthoxylum schinifolium Siebold et Zucc. var. schinifolium (1845) 標準[1],
Zanthoxylum schinifolium Siebold et Zucc. (1845) 広義[2]
シノニム
和名
イヌザンショウ(犬山椒)、
オオバイヌザンショウ[1]
ホソバイヌザンショウ[1]
コバノイヌザンショウ[1]

イヌザンショウ(犬山椒[10]学名: Zanthoxylum schinifolium var. schinifolium または Zanthoxylum schinifolium)は、ミカン科サンショウ属落葉低木。別名、オオバイヌザンショウ、ホソバイヌザンショウ、コバノイヌザンショウともよばれる。

名称

[編集]

和名「イヌザンショウ」の由来は、サンショウに似るが、香りが弱く香辛料にならないため、名に本物のサンショウに比べて役に立たないという意味の「イヌ」をつけたものである[11]。中国名は「青花椒」[1]

特徴

[編集]

日本本州四国九州と、朝鮮半島中国に分布する[11]。山地や山野の河原や林縁などに生える[11][12]

落葉広葉樹低木から小高木[11][12]。高さは1 - 3メートル (m) になる[10][13]樹皮は灰褐色で、若木はこぶ状になったトゲがあるが、次第に少なくなる[13]。成木の樹皮には縦に裂け目が入ってくる[13]。若いは暗緑色や赤褐色で無毛[13]、トゲが互生し、トゲが対生するサンショウと見分けられる[11][10]奇数羽状複葉で互生し、小葉は長楕円形から広披針形で長さは2 - 4センチメートル (cm) ある[10]。葉に腺点がある[10]

花期は7 - 8月でサンショウよりも遅い[11][12]雌雄異株[11]。枝の先に淡緑色の小花を多数つける[10]は淡緑色で、花弁萼片が5枚ずつつくのが特徴で[11]、サンショウには花弁がないのが相違点である[10]。果期は10月[10]果実は楕円形状球形の蒴果で、紅紫色から紅褐色を帯び、3個の分果に分かれる[10][12]。分果はほぼ球形で長さ4 - 5ミリメートル (mm) あり、熟しても淡緑色で、熟すと2つに裂けて、中から光沢がある黒色の種子を出す[11][10][12]。種子は長さ3 - 4 mmの楕円状の球形で、種皮は光沢があるが、種皮を剥くと黒色で表面に凹凸が並ぶ[12]。葉や果実はサンショウほど香らない[13]

冬芽は互生し、暗褐色の芽鱗2 - 3枚に覆われた小さな半球状をしており、葉痕のほうが大きい[13]。枝先には仮頂芽がつく[13]。葉痕は半円形や心形で、維管束痕が3個ある[13]。しばしば枝先に果序が残る[13]

利用

[編集]

果実を煎じた液や葉の粉末は漢方薬に利用される[11]。樹皮や果実を砕いて練ったものは湿布薬になる[10]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Zanthoxylum schinifolium Siebold et Zucc. var. schinifolium イヌザンショウ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Zanthoxylum schinifolium Siebold et Zucc. イヌザンショウ(広義)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Fagara mantchurica (Benn.) Honda イヌザンショウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Zanthoxylum schinifolium Siebold et Zucc. f. microphyllum (Honda) W.T.Lee イヌザンショウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Zanthoxylum schinifolium Siebold et Zucc. f. grandifolium (H.Hara) H.Hara ex Ohwi et Kitag. イヌザンショウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Zanthoxylum schinifolium Siebold et Zucc. f. angustifolium (Honda) H.Hara ex Ohwi et Kitag. イヌザンショウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Fagara mantchurica (Benn.) Honda f. microphylla (Honda) H.Hara イヌザンショウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
  8. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Fagara mantchurica (Benn.) Honda f. grandifolia (Nakai) H.Hara イヌザンショウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
  9. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Fagara mantchurica (Benn.) Honda f. Fagara mantchurica (Benn.) Honda f. microphylla (Honda) H.Haraangustifolia (Honda) H.Hara イヌザンショウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h i j k 西田尚道監修 学習研究社編 2009, p. 213.
  11. ^ a b c d e f g h i j 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 247.
  12. ^ a b c d e f 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2012, p. 122.
  13. ^ a b c d e f g h i 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 121.

参考文献

[編集]
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『草木の種子と果実:形態や大きさがひと目でわかる植物の種子と果実 632種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2012年9月28日、122頁。ISBN 978-4-416-71219-1 
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、121頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 フィールドベスト図鑑〉、2009年8月4日、105頁。ISBN 978-4-05-403844-8 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、247頁。ISBN 4-522-21557-6