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アミン・ジェジェ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アミン・ジェジェは、ハダ・ナラ氏女真族建州女直酋長ヌルハチ (後の太祖) の元妻。

ᠠᠮᡳᠨᠵᡝᠵᡝ amin jeje
出身氏族
ハダ・ナラ氏
名字称諡
明代
清代
出生死歿
出生年 不詳
死歿年 不詳
親族姻戚
フルガン[注 3]
ダイシャン
ヌルハチ
? ナリムブル

略歴

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成婚

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万暦15年1587に渾河フネヘ部北方の洞ドン城を攻略したヌルハチは、ハダと姻戚関係を結ぶことで勢力拡大を図ろうと考えた。そこでハダのダイシャンに求め、同16年1588旧暦4月に娶ったのがアミン・ジェジェである。

アミン・ジェジェは実兄ダイシャンにつきそわれ、洞ドンの地でヌルハチに帰順し、婚嫁した。その数箇月後にはイェヘからモンゴ・ジェジェがヌルハチに嫁ぎ、さらにダイシャンの姉がイェヘ東城主ナリムブルに嫁いだことで、北のイェヘ、南の建州、それに挟まれたハダの三国の間で三重の政略結婚が成立した。

誘拐

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ところがそれから三年経った万暦19年1591、ダイシャンが訪問先のイェヘの地でナリムブルにより暗殺され、『三朝遼事實錄』に拠れば、兄の死を嘆き悲しむアミン・ジェジェもまたナリムブルによって拐かされたという。ヌルハチは再三にわたってアミン・ジェジェを返すよう求めたが効いなく、開原城の明朝官吏に頼み込んで返還を求めさせたが、ナリムブルはそれにも応じなかった。[6]

これと前後してナリムブルは、ヌルハチを服従させようと領土の割譲を求めたが、ヌルハチは聴き容れず、ヌルハチとイェヘとの関係はこれを境に急激に悪化し、ナリムブルはついに武力を恃んで実力行使に出ようと扈倫フルン諸部を糾合した。

考察

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清代史料には、アミン・ジェジェが子をもうけたとも、いつ死去したとも一切記載がなく、唯一の記述は洞ドンの地でヌルハチに帰順したということだけである。そのため、婚嫁から僅か三年足らずでイェヘに誘拐されたという『三朝遼事實錄』の説には信憑性があると言える。[2]

清代史料にアミン・ジェジェの「その後」について記述がみられないばかりか、ヌルハチが明朝征討を天に誓った際に書かれたいわゆる「七大恨」にも、「北關老女」について書きながらアミン・ジェジェについては一言も触れていないことについて、和田清は、それがヌルハチにとっての、延いては清朝にとっての醜聞であり、歴史からの抹殺の対象となったからではないかとしている。[2]

脚註

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典拠

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  1. ^ 「總畧 (建夷)」『三朝遼事實錄』 首巻、15頁。「事在十九年正月時,奴兒哈赤明安姐,方歸,哭。兄亦爲卜寨所擄取。索知再三,不與。轉開原爲代索,亦不與。於是,奴兒哈赤北關絕。」 
  2. ^ a b c 三.. “〈論説〉清の太祖興起の事情について”. 東洋学報 33 (2): 15-21. (1951). 
  3. ^ “戊子年四月”. 太祖武皇帝實錄. 1 
  4. ^ “戊子歲萬曆16年1588 4月段39”. 滿洲實錄. 2 
  5. ^ “側妃哈逹納喇氏”. 愛新覺羅宗譜. 星源吉慶. http://www.axjlzp.com/clan56.html. "祜爾干貝勒之女戊子年1588四月來歸。" 
  6. ^ “總畧 (建夷)”. 三朝遼事實錄. 0. p. 15 

註釈

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  1. ^ 「明安」は蒙古語で「万10,000」の意の「minggan」を表す漢音写。和田清はこれを「安明míng'ān」の顛倒であろうとしている[2]が、ここではひとまづ原文のままにした。
  2. ^ 『愛新覺羅宗譜』の「星源吉慶」は后妃についての記載を集めた冊。『宗譜』全8冊の内の首冊。
  3. ^ 维基百科「阿敏哲哲」には「努尔哈赤继母、清显祖次夫人恳哲的侄女」(タクシ庶妻の姪) とあるが、典拠不詳。タクシ庶妻 (ヌルハチ継母)「懇哲」はワン・ハンの養族女であり、ワン・ハンの実女ではない。アミン・ジェジェが「懇哲」の実姪であれば、その時点でフルガンの娘ではなくなるため、成立しない。

文献

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實錄

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中央研究院歴史語言研究所

清實錄

  • 覚羅氏勒德洪『太祖高皇帝實錄』崇徳元年1636 (漢)
  • 編者不詳『滿洲實錄』乾隆46年1781 (漢)
    • 『ᠮᠠᠨᠵᡠ ᡳ ᠶᠠᡵᡤᡳᠶᠠᠨ ᡴᠣᠣᠯᡳmanju i yargiyan kooli』乾隆46年1781 (満) *今西春秋訳版
      • 今西春秋『満和蒙和対訳 満洲実録』刀水書房, 昭和13年1938訳, 1992年刊

史書

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論文

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Web

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