日産・アベニール
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(アベニールカーゴから転送)
アベニール(AVENIR)は、日産車体が製造、日産自動車が販売していたステーションワゴン型の乗用車である。初代にはライトバンであるアベニールカーゴの設定もあった。
初代 W10型(1990年 - 1999年)
[編集]日産・アベニール(初代) W10型 | |
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中期型 | |
アベニールサリュー | |
アベニールカーゴ | |
概要 | |
販売期間 | 1990年5月 - 1999年6月[1] |
ボディ | |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 5ドアステーションワゴン/ライトバン |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
直4 2.0L SR20DE(T) 直4 1.8L SR18DE(Di) 直4 1.6L GA16DS 直4 2.0L CD20(T) ディーゼル |
変速機 | 4AT/5MT |
前 |
前:ストラット 後:トーションビーム(2WD) 後:5リンク(4WD) |
後 |
前:ストラット 後:トーションビーム(2WD) 後:5リンク(4WD) |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,550mm |
全長 | 4,460mm |
全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,460-1,490mm |
車両重量 | 1,100kg-1,410kg |
その他 | |
販売終了前月までの新車登録台数の累計 | 19万3293台[1] |
系譜 | |
先代 |
日産・ブルーバードワゴン/バン 日産・スカイラインバン |
後継 | バン(カーゴ):日産・エキスパート |
- 1990年5月
- W10型登場。CMコピーは「スポーツカーの次に来るもの。」。スカイラインバン(R30型)とブルーバードワゴン / バン(いずれもU11型)を統合させたステーションワゴン並びにライトバンである。プリメーラ(P10型)のワゴン版としての位置付けであり、欧州には「プリメーラワゴン(初代)」として投入された。乗用モデル(ワゴン)と商用モデル(カーゴ。最大積載量500kg)が存在。ワゴンのグレード名は「ei(エイ)」、「bi:(ビー)」、「si:(シー)」と名づけられていた。
- エンジンはSR20DEとSR18Di、カーゴはGA16DSと、ディーゼルエンジンCD20。
- 1990年10月
- 4WD車追加。ワゴンはアテーサシステムを搭載したフルタイム4WDで2.0Lのみの設定、カーゴはガソリン車にのみ設定されこちらはパートタイム4WD。カーゴ4WDの最大積載量は400kg。
- 1991年2月27日
- オーテックジャパンが、「タイプ2.0 si: アテーサ(スポーティパック装着車)」をベースにガードバー付オーバーライダーやフォグランプ、専用ツートンカラーなどを設定した特別仕様車「リゾートエクスプレス」を発売。[2]
- 1991年8月1日
- オーテックジャパンが販売する「リゾートエクスプレス」にFF車を追加。[3]
- 1992年6月19日
- アべニールの発売2周年を記念して、専用のエクセーヌシート&トリムや専用車体色(ホワイトパール)を設定した特別仕様車「2.0 si: EXC(エクセ)」「2.0 si: EXC アテーサ」を発売。[4]
- 1993年1月
- マイナーチェンジによりグリル等が変更される。ワゴンの搭載エンジンのSR18DiエンジンがSR18DEに変更になり、ワゴンにディーゼルエンジンCD20T搭載モデル(4ATのみ)と、本皮シートを装備した最上級グレード「ef(エフ)」を追加。
- 1993年5月11日
- 日産自動車創立60周年を記念した特別仕様車「si: 60th ANNIVERSARY」を発売。なお、同年7月末までの期間限定販売となる。[5]
- 1993年12月
- 「salut!(サリュー!)」追加。
- 1994年11月
- 一部変更。「bi:」にCD20T型ディーゼルターボエンジン搭載モデルを追加し、「ei:」を廃止。
- 1995年8月
- ワゴンを大幅にマイナーチェンジ。全てのグレード名に「サリュー」を冠し、営業上の車名を「アベニールサリュー」とした(正式な車名はアベニールのまま)。リアオーバーハングを延長した上で、リアコンビネーションランプを横長の大型のものに変更し、新たにガラスハッチを採用、併せてエンジンフード、ラジエーターグリル、フロントバンパーもボリュームのある形状に変更された。これらは当時のウイングロードやプレーリージョイにも共通の手法である。なお、バンモデルのアべニールカーゴは従来の外装を継続する。また、運転席SRSエアバッグが標準装備となり、インパネはP10プリメーラと共通化、4WDに直列4気筒DOHC SR20DET型ターボ付エンジン搭載モデルを設定した[注釈 1]。CMには松嶋菜々子が登場し、松嶋のブレイクのきっかけになった[注釈 2]。
- 1998年7月[6]
- 生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
- 1998年8月
- ワゴンが販売終了。
- 1999年6月
- カーゴが販売終了。後継はエキスパート。
-
カーゴ(リア)
-
カーゴ 熊本市消防局の連絡車(リア)
2代目 W11型(1998年 - 2005年)
[編集]日産・アベニール(2代目) W11型 | |
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前期型サリュー(1998年8月 - 2000年5月) | |
後期型サリューX(2002年8月 - 2005年11月) | |
概要 | |
販売期間 | 1998年8月 - 2005年11月 |
ボディ | |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 5ドアステーションワゴン |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
直4 2.0L SR20DE(T) 直4 2.0L QR20DE 直4 1.8L QG18DE 直4 2.0L CD20ET ディーゼル |
変速機 | 4AT/ハイパーCVT-M6/5MT |
前 |
前: ストラット 後: マルチリンク |
後 |
前: ストラット 後: マルチリンク |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,620mm |
全長 | 4,650-4,675mm |
全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,450-1,515mm |
その他 | |
姉妹車 | 日産・エキスパート |
生産台数 | 5万7398台[7] |
系譜 | |
後継 | ウィングロードに統合 |
- 1998年8月24日
- W11型にモデルチェンジ[8]。CMコピーは「THE JAPAN TOURER」。グレード体系はGT4シリーズとサリューシリーズの2本立てとなり、商用モデルは同一車型ながら「エキスパート」として独立した。パワートレインとサスペンションをM12型プレーリーリバティと共用する。
- 搭載するエンジンは全て横置きの直列4気筒で、SR20DET型インタークーラー付ターボ、SR20DE型、QG18DE型、CD20ET型ディーゼルターボの4機種。SR20DE型搭載のFF車にはHyperCVT M6を組合わせるモデルを設定した。初期のCM出演者は稲森いずみ・高木ヒロオ。
- また、オーテックジャパンの手による特別仕様車「ライダー」が設定された。
- 1999年10月5日
- 「サリュー ジャパンツアラーリミテッド」、「サリュー ジャパンツアラーケンウッド」を追加[9]。サリューXのSR20DE搭載車をベースにエアロパーツ、プライバシーガラス、アルミホイール、専用エンブレム等を装備し[注釈 3]、「ジャパンツアラーケンウッド」では更にケンウッドサウンドクルージングシステム、フロント/リアフォグランプ、KENWOODロゴ入りラゲッジフルカバー等も装備する。専用ボディカラーとして、コバルトブルーメタリックを設定。
- 2000年5月24日
- マイナーチェンジ。フロント周りをGT4シリーズのデザインに統一し、P11プリメーラと酷似していたインパネ形状を新造形の専用品に変更。TV/ナビゲーションシステムは、車両情報表示機能を組み合わせた7インチワイド画面のアベニールマルチインフォメーションディスプレイとする。レーザーレーダーを用いた車間自動制御システム[注釈 4]をSR20DE搭載車にメーカーオプション設定。SR20DE型の出力を向上させた他、サリューXおよびサリューJに設定のあった5MTモデルとCD20ET型搭載車を廃止。MT廃止によりパーキングブレーキを全車足踏み式に変更。また、SR20DE搭載車の4WDシステムがアテーサからオートコントロール4WDになり、ミッションも4ATからHyperCVT M6に変更した。
あわせて、アベニール誕生10周年記念車として、TV/ナビゲーションシステムやCD一体AM/FM電子チューナーラジオ等を標準装備する「V Limited」も設定[10]。 - 2000年10月17日
- クロスオーバーSUVテイストの「ブラスター(BLASTAR)」を追加。既存モデルに対し、大径タイヤ及びサスペンションジオメトリーの変更で最低地上高を上げ、専用の大型バンパーや専用ツートンカラー、専用シート地を装備。FFと4WDを設定。搭載するエンジンはSR20DE型のみ。
あわせて、ISOFIX対応チャイルドシート用アンカー(リヤシート左右2席)を、ブラスターを含む全グレードにオプション設定した[11]。 - 2000年10月24日
- オーテックジャパン扱いの特別仕様車「Kid'sバージョン」を発売[12]。サリューXのSR20DE搭載車をベースに専用ボディサイドストライプ/ネーミングステッカー、専用シート生地(カブロン/パートナーコンビ)、トラッシュボックス、ラゲッジトレイ、ラゲッジネット、電源コンセント(100V・100W)、ISOFIX対応チャイルドシート用アンカー(リヤシート左右2席)、天井取付型ピュアトロン等を装備。後席テレビ[注釈 5]付車も設定。
- 2001年3月
- 同月末を以て日産車体京都工場での生産を終了し、生産を日産車体湘南工場に移管。
- 2001年5月28日
- 「サリューX NAVIエディション」、「サリューX スペシャルエディション」を発売。前者はサリューXのSR20DE搭載・FF車をベースにTV/ナビゲーションシステム(DVD方式)とCD一体FM/AMチューナーラジオをセットで採用したことに加え、カラードフロントグリルや専用シート&トリム地を装備した他、専用オプションとしてエアロパッケージ及びルーフレールレス仕様を設定。後者はサリューXのQG18DE搭載車をベースにオーディオレス仕様とした上で、前者と共通のカラードフロントグリルや専用シート&トリム地を装備。
あわせて、Jナビ ナビゲーションシステムをサリューX スペシャルエディションを含む一部グレードにオプション設定した[13]。 - 2001年8月29日
- ブラスターに期間限定の冬仕様車「バージョン-S」を発売[14]。「バージョン-S」とは、スキーやスノーボードなどのウインタースポーツ用品のトップブランド、サロモンの協力を得て開発した、冬仕様の限定車。汚れや水分のふき取りが簡単な専用シート地やドアトリム、電源コンセント(AC100V・100W)などを標準装備する。さらに、「SALOMON」ロゴ入り専用シートタグもついている。また、寒冷地仕様が標準。ワイパーつけ根の氷結を防止する熱線入りの「ワイパーデアイサー」「ヒーター付ドアミラー」「大型バッテリー」が装備される。同年12月までの販売。
- 2002年8月27日
- マイナーチェンジ[15]。車名ロゴを「AVENIr」からNE-01の「AVENIR」に変更。あわせてラジエータグリルについていたアベニールのエンブレムを廃止し、日産のブランドロゴのエンブレムに変更された。また、SR20DE型に替わってQR20DE型エンジンを搭載するとともに、ターボのSR20DET搭載のGT系グレードやブラスターのFF等廃止。4WD車のミッションが全車4ATに戻された。ユーティリティレール、カブロン地シート、電源コンセント、ラゲッジスポットランプのセットオプション「フィッシングバージョン」を設定。
- 2005年10月[16]
- 生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
- 2005年11月[17]
- 在庫対応分が完売し、販売終了。実質的な後継車はウイングロード。エキスパートは2008年まで生産を継続。
-
後期型
自衛隊に業務車1号として納入されたもの -
後期型リア
車名の由来
[編集]フランス語で「将来」「未来」を意味する「avenir.」から。ただし基本的に綴り字発音であり、フランス語での発音ではアヴニールが近い。なお、フランス語に近い言語の内、日本語の発音表記上最も近いのはスペイン語で同じ綴り(avenir)で「合意させる、起こる」という単語があり、発音をカナ表記すればアベニルまたはアベニールが近い。また「Salut」はフランス語で「やぁ!」とか「こんにちは」を意味し、「ブラスター(Blastar)」は「突風」を意味する英語「Blast」と「人気者」を意味する「Star」を組み合わせた造語である。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ SR20DET型搭載モデルのインタークーラーは当時のシルビア/180SXより大きなサイズが設定された。
- ^ のちに松嶋は14代目前期型トヨタ・クラウンのCMにビートたけしと共演する形で出演した。
- ^ 但し、折り畳み式トノボードとルーフレールはオプションとなり、ドアトリムのクロス張りが省かれる。
- ^ CVTとの協調制御は世界初。
- ^ 8インチワイド液晶モニター(ワイヤレスリモコン、音声多重チューナー、ルーフ取付型ダイバーシティアンテナを含む)&ビデオ端子
出典
[編集]- ^ a b デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第15号21ページより。
- ^ 『アベニールの特別仕様車「リゾートエクスプレス」を発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1991年2月27日 。2022年9月27日閲覧。
- ^ 『アベニールの特別仕様車「リゾートエクスプレス」に2WDを追加』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1991年8月1日 。2024年3月16日閲覧。
- ^ 『アベニールに特別仕様車「20si(シー): EXC(エクセ)」、「20si(シー): EXC(エクセ) アテーサ」を追加』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1992年6月19日 。2024年3月16日閲覧。
- ^ 『創立60周年特別記念車「60th ANNIVERSARY」第2弾を発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1993年5月11日 。2022年9月27日閲覧。
- ^ “アべニール(日産)1990年5月~1998年7月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第46号17ページより。
- ^ 『新型「アベニール」を発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1998年8月24日 。2022年3月24日閲覧。
- ^ 『アベニールに「サリュー ジャパンツアラーリミテッド」 「サリュー ジャパンツアラーケンウッド」を追加』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1998年8月24日 。2022年3月24日閲覧。
- ^ 『「アベニール」をマイナーチェンジ』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2000年5月25日 。2022年3月24日閲覧。
- ^ 『アベニールに新グレード「ブラスター」を追加』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2000年10月18日 。2022年3月24日閲覧。
- ^ 『エルグランド、ウイングロード、アベニール「Kid'sバージョン」を発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2000年10月25日 。2022年3月24日閲覧。
- ^ 『アベニールに「サリューX NAVIエディション」、「サリューX スペシャルエディション」を追加』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2001年5月28日 。2022年3月24日閲覧。
- ^ 『エルグランド、アベニール、キューブの期間限定車「バージョン-S」を発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2001年8月29日 。2022年3月24日閲覧。
- ^ 『「アベニール」を一部改良 〜あわせて「フィッシングバージョン」をオプション設定〜』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2002年8月27日 。2022年3月24日閲覧。
- ^ “アベニール(1998年8月~2005年10月)”. トヨタ自動車株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ “アベニール(日産)のカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
関連項目
[編集]- 日産・エキスパート - アベニールカーゴを名称変更した2代目の商用版
- 日産・ブルーバード - 初代とプラットフォームを共有
- 日産・プレーリー - 2代目とプラットフォームを共有
- 日産・ウイングロード-間接的な後継車
外部リンク
[編集]- WEBカタログバックナンバー アベニール(W11・前期型)
- WEBカタログバックナンバー アベニール(W11・中期型)
- WEBカタログバックナンバー アベニール(W11・後期型)
- アベニール CM情報