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アダムとイヴ (クラナッハ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『アダムとイヴ』
イタリア語: Adamo e Eva
英語: Adam and Eve
作者ルーカス・クラナッハ
製作年1528年
種類板上に油彩
寸法172 cm × 124 cm (68 in × 49 in)
所蔵ウフィツィ美術館フィレンツェ

アダムとイヴ』(: Adamo e Eva: Adam and Eve)は、ドイツルネサンス期の画家ルーカス・クラナッハ (父) が1528年に板上に油彩で制作した1対の絵画で[1][2][3]、画家50代半ばの円熟期の作品である[4]フィレンツェウフィツィ美術館に所蔵されており[2][3][4]、1998年に修復を受けた[2][3]

この1対の絵画は、早くも1688年からトスカーナ大公国のコレクションにあり、18世紀初頭以来、ウフィツィ美術館に所蔵されている。フィリッポ・バルディヌッチは作品をアルブレヒト・デューラーに帰属したが、1784年の目録でクラナッハに帰属された[2][3]

作品

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アルブレヒト・デューラーアダムとイヴ』 (1507年)、プラド美術館マドリード

アダムとイヴの主題はデューラーの解剖学研究を促進し、それは現在、プラド美術館にある彼の大きな『アダムとイヴ』に結実した。これら2枚のパネル画は、ドイツの画家による最初の等身大の裸体画であった。ウィーン滞在中に、クラナッハはデューラーと親しかった人文主義者たちのいくつかのグループと親交を深め、その影響により1510年に自身初の、デューラーの作品より小さい『アダムとイヴ』 (ワルシャワ国立美術館) を手掛けた。

旧約聖書』の「創世記」 (3章) によると、人類の祖先アダムイヴエデンの園で平和に暮らしていた。しかし、ある時、ヘビがイヴをそそのかし、神に食べてはいけないと禁じられていた「知恵の樹」の実を食べ、アダムにも与えてしまう。これが「堕罪」である。2人の行いを知った神は怒って、エデンの園から追放した[5]

ウフィツィ美術館所蔵の『アダムとイヴ』は、2枚の別々のパネルにアダムとイヴが描かれている。彼らは暗い背景の中、かろうじて見える地面に立ち、2人とも生殖器を覆う小枝を持っている。イヴは伝統的なリンゴを持ち、ヘビが頭上の知恵の樹から彼女のところにやってきている。アダムは自身の右の頭頂部を手で掻いている。

クラナッハは理想の人体像に固執し、プロポーションに細心の注意を払って描いている。しかし、デューラーに学びつつも、自身の理想とする女性のイメージを自由に追求している。本作には独自の蠱惑的な造形が見られ、イヴの姿は官能性の漂う優美な表現となっている[4]

大衆文化との関連

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美術史美術館所蔵の『アダムとイヴ』は、ドイツの連続テレビドラマ『ダーク』に取り上げられ、エリット・ルックス (Erit Lux) カルト教団の本部に展示されていた。

同主題作

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クラナッハによる同主題の絵画はほかにもあり、1枚の中にアダムとイヴを描いているものもあれば、別々の2枚に描いているものもある。それらの作品は、ウィーン美術史美術館ロンドンコートールド美術館ライプツィヒ造形美術館シカゴ美術館などに所蔵されている。

脚注

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  1. ^ As it can be seen in Adam's panel.
  2. ^ a b c d Adamo”. ウフィツィ美術館公式サイト(イタリア語). 2023年8月1日閲覧。
  3. ^ a b c d Eva”. ウフィツィ美術館公式サイト(イタリア語). 2023年8月1日閲覧。
  4. ^ a b c 『週刊世界の美術館 No.60 ウフィツィ美術館』、2001年 10-11頁。
  5. ^ 大島力 2013年、28頁。

参考文献

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  • 千足伸行監修『週刊世界の美術館 No.60 ウフィツィ美術館III』、講談社、2001年4月刊行 全国書誌番号:20135446
  • 大島力『名画で読み解く「聖書」』、世界文化社、2013年刊行 ISBN 978-4-418-13223-2
  • Zuffi, Stefano (2005). Il Cinquecento. Milan: Electa. ISBN 88-370-3468-7 

外部リンク

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