アクリル酸2-ヒドロキシエチル
アクリル酸2-ヒドロキシエチル 2-Hydroxyethyl Acrylate[1] | |
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別称 エチレングリコールモノアクリラート | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 818-61-1 |
特性 | |
化学式 | C5H8O3 |
モル質量 | 116.12 g mol−1 |
外観 | 無色ないし淡黄色の液体 |
匂い | 甘い香り[2] エステル臭[3] |
融点 |
-60.2℃[4] |
沸点 | |
水への溶解度 | 自由混和(25℃[5]) |
有機溶媒への溶解度 | 多くの有機溶媒に可溶 |
危険性 | |
引火点 | 104℃ |
発火点 | 370℃[2] |
爆発限界 | 1.9-12.3%[3] |
半数致死量 LD50 |
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関連する物質 | |
関連するアクリル酸エステル | |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
アクリル酸2-ヒドロキシエチルは、化学式C5H8O3で表されるアクリル酸エステルの一種である。HEAあるいはBHEAと略記される。
用途
[編集]熱硬化性塗料、接着剤、繊維処理剤、コポリマーの改質、潤滑油添加剤[3]のほか、共重合による樹脂改質剤、紫外線硬化樹脂用反応性希釈剤としても使用される[4]。市販品には、重合禁止剤としてメキノールなどが添加される[1]。2004年の統計では日本国内の需要量58700トン、輸出量は7060トンであった[4]。
安全性
[編集]日本の消防法では危険物第4類第3石油類(水溶性)に該当する[1]。日本の毒物及び劇物取締法では毒物となっている。急性毒性は、ラットに経口投与した場合の半数致死量(LD50)が548mg/kg、ラットのミスト吸入で1.87~18.52 mg/L/4Hであり、GHS区分4あるいは区分外であった。ウサギへの経皮投与ではLC50が154mg/kgの数値があり、GHS区分2(毒劇法上の毒物と同等)に該当する。眼に対しても強い刺激性を示し、結膜炎や角膜の混濁、壊死を生じた。これはGHS区分1(毒劇法上の劇物と同等)に相当する[5]。本物質の代謝経路は、他のアクリル酸エステルと同様に、カルボキシルエステラーゼによってアクリル酸とエチレングリコールに加水分解され、最終的に二酸化炭素として呼気より排出される経路、グルタチオンと抱合してメルカプツール酸として尿中に排泄される経路の2通りにより代謝されるものと考えられる。2.5mg/kgを経口または腹腔内投与した場合、呼気に35%、尿に45%が排泄された。50mg/kgの場合はそれぞれ42%、35%となり、尿からの排泄が減少した。これは、代謝がやや飽和していたことを示唆する[4]。水生生物に対しては強い毒性を持つが、生分解性は良好で生物蓄積性は低いと考えられている[3]。