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三角線

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おこしき (列車)から転送)
三角線
有明海と雲仙岳をバックに走る「A列車で行こう」 (2022年1月 赤瀬駅 - 網田駅間)
有明海雲仙岳をバックに走る「A列車で行こう
(2022年1月 赤瀬駅 - 網田駅間)
基本情報
通称 あまくさみすみ線
日本の旗 日本
所在地 熊本県
種類 普通鉄道在来線地方交通線
起点 宇土駅
終点 三角駅
駅数 9駅
電報略号 ミスセ[1]
開業 1899年12月25日[2]
所有者 九州旅客鉄道(JR九州)
運営者 九州旅客鉄道
使用車両 使用車両の節を参照
路線諸元
路線距離 25.6 km
軌間 1,067 mm
線路数 全線単線
電化方式 全線非電化
閉塞方式 特殊自動閉塞式(電子符号照査式)
最高速度 85 km/h[3]
路線図
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線
HST
熊本駅
STR
鹿児島本線
BHF
0.0 宇土駅
ABZgl
鹿児島本線
BHF
4.0 緑川駅
BHF
7.2 住吉駅
BHF
11.4 肥後長浜駅
BHF
14.5 網田駅
BHF
18.4 赤瀬駅
TUNNEL2
赤瀬トンネル 676m
BHF
19.6 石打ダム駅
TUNNEL2
塩屋トンネル 101m
BHF
23.5 波多浦駅
KBHFe
25.6 三角駅

三角線(みすみせん)は、熊本県宇土市宇土駅から同県宇城市三角駅に至る九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線地方交通線)である。

2011年9月1日より、公募によって決定した愛称あまくさみすみ線」が使用されている[4]

概要

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宇土駅で鹿児島本線から分岐して、住吉 - 赤瀬間では宇土半島の北岸を走り、赤瀬 - 波多浦間で半島を横断して天草諸島大矢野島に面し天草各地への船やバスが発着する宇城市三角町とを結んでいる。三角港からは三角島原フェリーにより島原港との間にカーフェリーも運航されていたが2006年8月29日限りで廃止された。

全列車が鹿児島本線経由で熊本駅まで直通運転している。また、全線でICカード「SUGOCA」の使用はできないが、起点の宇土駅では鹿児島本線方面に限り使用可能である。

一般向けリアルタイム列車位置情報システム「どれどれ」は、閉塞方式の都合で非対応だが、熊本 - 宇土間のみ、「鹿児島本線」のページから利用できる[5]

三角線は多くの区間で有明海沿いに走行する
(2010年5月 住吉駅 - 肥後長浜駅間)

路線データ

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  • 管轄(事業種別):九州旅客鉄道(第一種鉄道事業者
  • 路線距離(営業キロ):25.6 km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:9(起終点駅含む)
    • 三角線所属駅に限定した場合、起点の宇土駅(鹿児島本線所属[6])が除外され、8駅となる。
  • 複線区間:なし(全線単線)
  • 電化区間:なし(全線非電化
  • 最高速度:85 km/h[3]
  • 閉塞方式:特殊自動閉塞式(電子符号照査式)

全線が熊本支社の管轄である。

利用状況

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平均通過人員

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各年度の平均通過人員(人/日)および旅客運輸収入は以下のとおりである。

年度 平均通過人員(人/日) 旅客運輸収入
(百万円/年)
出典
宇土 - 三角
1987年度(昭和62年度) 2,415   [7]
2016年度(平成28年度) 1,374 140
2017年度(平成29年度) 1,331 144 [8]
2018年度(平成30年度) 1,242 133 [9]
2019年度(令和元年度) 1,187 131 [10]
2020年度(令和02年度) 775 65 [11]
2021年度(令和03年度) 776 71 [12]
2022年度(令和04年度) 825 85 [13]

線区別収支

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各年度の収支(営業収益、営業費、営業損益)は以下のとおりである。▲はマイナスを意味する。

宇土駅 - 三角駅間
年度 収支(百万円) 出典
営業収益 営業費 営業損益
2018年度(平成30年度) 157 430 ▲273 [14]
2019年度(令和元年度) 157 399 ▲242 [15]
2020年度(令和02年度) 82 365 ▲284 [16]
2021年度(令和03年度) 84 365 ▲281 [17]
2022年度(令和04年度) 96 425 ▲329 [18]

運行形態

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定期列車は各駅に停車する普通列車のみで、全列車が鹿児島本線熊本駅 - 宇土駅間を通り熊本駅 - 三角駅間で運行されている。運行本数は1時間 - 1時間半に1本程度で、途中の住吉駅網田駅列車交換するダイヤが設定されている(国鉄時代の普通列車は1 - 2時間に1本と本数が少なく、最終も早かった[19])。

普通列車はキハ200形もしくはキハ220形(200番台)[注釈 1]と、キハ47(147)形により、基本的に終日2両編成[注釈 2]で運用されている。かつてはキハ31形とキハ40(140)形での運用がほとんどだったが、2017年からはキハ31形に運用離脱および廃車が発生し、2019年3月16日で定期運用を終了した[20]。なお、平日と土曜・休日では列車により、使用する車両と編成が異なる。

各列車は特急を含めワンマンで運転される。2006年3月17日まで無人駅および有人駅での営業時間外の停車時に関しては、前の車両のドアのみ開き(中扉は開かず・後ろ乗り前降り)、乗車時には整理券を取り、下車時には運賃・乗車券等を整理券とともに運転士に渡す必要があった。2006年3月18日のダイヤ改正後より、当線の全駅で全ての列車のホーム側の全てのドアから乗り降りできるようになったものの、2007年3月18日のダイヤ改正より当線内では再び後ろ乗り、前降り方式に変更された[注釈 3]

臨時快速列車として土曜日・休日に限り1往復の「天草グルメ快速「おこしき」」が運行されていた(この場合、普通列車は1往復減る)。熊本駅 - 三角駅間の運転で途中停車駅は、川尻駅宇土駅緑川駅・住吉駅・網田駅・波多浦駅であった。普通列車と共通の車両が使用されるため特別な車内設備等はないが、専用のヘッドマークが取り付けられ車内放送では沿線の観光案内が放送された。愛称は日本の渚百選に選ばれた砂干潟で知られる宇土半島北岸の御輿来(おこしき)海岸にちなむ。2011年3月12日のダイヤ改正で設定がなくなった。

国鉄時代は普通列車のほかに、「火の山」などの豊肥本線から直通する急行列車があり、雲仙や天草と別府や阿蘇とを結ぶ観光ルートとして使われていたが、マイカー・バスの台頭や新婚旅行者の海外流出などの影響で利用者が減少したため、分割民営化直前の1986年11月1日ダイヤ改正で急行「火の山」の熊本駅 - 三角駅間が廃止された。

以後は三角線での特急・急行列車の定期運行はないが、2011年10月8日より観光特急列車A列車で行こう」が臨時列車扱いながら土曜日・休日を中心に運行されている(当線初の特急でもある)。停車駅は熊本駅 - 宇土駅 - 三角駅である[21]。当初1日2往復の運行であったが、2013年3月16日のダイヤ改正で1往復増発されて1日3往復の運行となっている[22]

使用車両

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全列車が熊本車両センターに所属する気動車で運転されている。

以下は代走等で入線することがあるが、2021年時点ではほとんどの列車でキハ47形・キハ147形が運用されていた。

歴史

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三角線の開業は明治32年(1899年)と大変古い。九州鉄道が、熊本方面と天草島原とを連絡するため、それらへ船の便がある三角までの線路を敷いたのである。当初は、松橋から宇土半島の南岸を通って三角港までの路線が計画されていたが、漁港を多く抱える南岸の住民の反対にあって赤瀬までは北岸を通る路線となった。

三角港には現在でも天草からの船が発着しているが、熊本新港天草飛行場の開港、天草の各島と本土とを結ぶ橋(天草五橋)の完成、モータリゼーションなどによって三角線を使って三角港に行く旅客は少なくなった。

駅一覧

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便宜上、宇土側の全列車が直通する鹿児島本線熊本駅からの区間を記載する。

  • 累計営業キロは宇土駅からのもの
  • 定期列車は全列車普通列車(すべての駅に停車)。臨時快速の停車駅は上述の#運行形態を参照
  • 線路(三角線内は全線単線) … ◇・∨:列車交換可、|:列車交換不可、∥:複線(鹿児島本線内)
  • 全駅熊本県内に所在。
路線名 駅名 営業キロ 接続路線 線路 所在地
駅間 累計
鹿児島本線 熊本駅 - 10.9 九州旅客鉄道 九州新幹線鹿児島本線大牟田方面)・豊肥本線(阿蘇高原線)
熊本市電幹線田崎線熊本駅前停留場:3)
熊本市 西区
西熊本駅 3.2 7.7   南区
川尻駅 2.1 5.6  
富合駅 3.4 2.2  
宇土駅 2.2 0.0 九州旅客鉄道:鹿児島本線(八代方面) 宇土市
三角線
緑川駅 4.0 4.0  
住吉駅 3.2 7.2  
肥後長浜駅 4.2 11.4  
網田駅 3.1 14.5  
赤瀬駅 3.9 18.4  
石打ダム駅 1.2 19.6   宇城市
波多浦駅 3.9 23.5  
三角駅 2.1 25.6  

脚注

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注釈

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  1. ^ キハ200形は主に豊肥本線で運用されているが、間合い運用で三角線でも使用される。2022年9月のダイヤ改正以降は、三角線内でも終日運用されている。
  2. ^ 2021年3月のダイヤ改正までは、3両編成(車掌乗務)で運転される列車もあった。該当の列車は、祝前日を除く日曜日から木曜日までの夜21時台に熊本駅を発車する下りの三角行き1本と、折り返し翌日(祝日を除く平日)の朝6時台に三角駅を発車する上りの熊本行き1本の計1往復であった。
  3. ^ さらに2017年4月1日からは早朝・夜間の列車に限り、終点の三角駅が車内収受式(後ろ乗り前降り、車掌乗務の列車を除く)に変更された。これは三角駅窓口の営業時間が短縮されたためである(窓口の営業時間内に発着する列車についてはこれまで通り駅収受式にて取り扱う)。なお、当線の列車が直通する鹿児島本線(熊本駅 - 宇土駅間の各駅)では終日駅収受式のため、全ての列車でホーム側の全てのドアが開く。

出典

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  1. ^ 日本国有鉄道電気局『鉄道電報略号』1959年9月17日、24頁。 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR 2号、25頁
  3. ^ a b FACt SHEETS 2017 - JR九州
  4. ^ 三角線の愛称名が決定しました - JR九州公式リリース、2011年8月16日。
  5. ^ 〜 運行情報のご案内を充実 〜 「JR九州アプリ」で列車位置情報を表示します! (PDF) - 九州旅客鉄道、2016年12月20日
  6. ^ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
  7. ^ 路線別ご利用状況(2016年度)” (PDF). 九州旅客鉄道. 2017年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月3日閲覧。
  8. ^ 路線別ご利用状況(2017年度)” (PDF). 九州旅客鉄道. 2018年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月3日閲覧。
  9. ^ 線区別ご利用状況(2018年度)” (PDF). 九州旅客鉄道. 2023年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月3日閲覧。
  10. ^ 線区別ご利用状況(2019年度)” (PDF). 九州旅客鉄道. 2023年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月3日閲覧。
  11. ^ 線区別ご利用状況(2020年度)” (PDF). 九州旅客鉄道. 2023年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月3日閲覧。
  12. ^ 線区別ご利用状況(2021年度)” (PDF). 九州旅客鉄道. 2024年1月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月3日閲覧。
  13. ^ 線区別ご利用状況(2022年度)” (PDF). 九州旅客鉄道. 2024年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月3日閲覧。
  14. ^ 線区別収支(平均通過人員が2,000人/日未満の線区)” (PDF). 九州旅客鉄道. 2020年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月3日閲覧。
  15. ^ 線区別収支(平均通過人員が2,000人/日未満の線区)” (PDF). 九州旅客鉄道. 2021年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月3日閲覧。
  16. ^ 線区別収支(平均通過人員が2,000人/日未満の線区)” (PDF). 九州旅客鉄道. 2021年8月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月3日閲覧。
  17. ^ 線区別収支(平均通過人員が2,000人/日未満の線区)” (PDF). 九州旅客鉄道. 2022年9月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月3日閲覧。
  18. ^ 線区別収支(平均通過人員が2,000人/日未満の線区)” (PDF). 九州旅客鉄道. 2023年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月3日閲覧。
  19. ^ 国鉄廃止前路線・浪漫紀行 - 1986年3月3日改正の三角線時刻表
  20. ^ さよならキハ31形 JR三角線で定期運行終了 - 熊本日日新聞、2019年3月17日
  21. ^ 特急「A列車で行こう」10月8日デビュー! - JR九州公式リリース 2011年8月16日。
  22. ^ 『JTB時刻表』2013年3月号、JTBパブリッシング、特集6ページ。
  23. ^ 「台風で高潮、死者四百人越す」『大阪毎日新聞』1927年(昭和2年)9月14日(昭和ニュース事典編纂委員会『昭和ニュース事典第1巻 昭和元年-昭和3年』本編p.165 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  24. ^ 原武史『昭和天皇御召列車全記録』新潮社、2016年9月30日、130頁。ISBN 978-4-10-320523-4 
  25. ^ “日本国有鉄道公示第166号”. 官報. (1982年11月13日) 
  26. ^ 「JRワンマン運転線区一覧表」『JR気動車客車編成表 '92年版』ジェー・アール・アール、1992年7月1日、192頁。ISBN 4-88283-113-9 
  27. ^ “JR九州 11日に14駅開業”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (1989年3月3日) 
  28. ^ 平成30年3月にダイヤを見直します(福岡・佐賀エリア、新幹線・特急列車時刻表)” (PDF). 九州旅客鉄道 (2017年12月15日). 2017年12月15日閲覧。
  29. ^ 平成30年3月にダイヤを見直します(熊本エリア)” (PDF). 九州旅客鉄道 (2017年12月15日). 2017年12月15日閲覧。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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