麻薬
麻薬とは、本来は医薬品で、麻酔科の医師によって強い痛みを起こす疾病での痛みの治療や、人為的に治療等で強い痛みを起こさせる場合で、手術等での強痛、苦痛を感じないで実施出来る様にするために、投与されるオピオイド鎮痛剤。
薬物 | 定義 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | |||
アヘン | ○ | ○ | ○ | ||
モルヒネ | ○ | ○ | ○ | ||
ヘロイン | ○ | ○ | ○ | ||
コカイン | × | ○ | ○ | ||
大麻 | × | ○ | ○ | ||
THC | × | ○ | ○ | ||
メタンフェタミン (覚醒剤) |
× | × | × | ||
LSD | × | × | ○ | ||
MDMA | × | × | ○ | ||
脱法ドラッグ | × | × | × | ||
タバコ(ニコチン) | × | × | × | ||
アルコール | × | × | × | ||
凡例
|
麻薬(まやく、英語: narcotic、痲薬とも)とは、通常はアヘン、モルヒネやジアセチルモルヒネのような薬用植物のケシの、特に未熟果実を傷付けて出て来る、乳汁の成分から生成される医薬品の麻薬性鎮痛薬のオピエートやオピオイド鎮痛剤を指す(定義1)。強い疼痛を伴う疾病の治療や、人為的に痛みを起こす治療(手術)等を、苦痛無く行う為に、麻薬施用者免許証を取得している麻酔科医師によって、処方、投与される場合は安全に服用出来る。 他に、法律上の法律用語としての麻薬があり、法律で規制された薬物を指して麻薬と云う言葉が用いられる物であり、飽くまで法律用語(定義2)[1]であるので、成分的には麻薬では無い物が含めてある。アメリカ合衆国やカナダの規制法によれば、オピオイド鎮痛剤だけでなく、薬用植物ーのコカノキから採取するコカインや麻(あさ;繊維を採る麻から採取出来る。品種改良で、マリファナの成分を含まない麻も出来ている)から採れる大麻(マリファナ)を含む[1]。日本ではさらに麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)における、「日本の法律上の麻薬」の語が、それらとも異なって使用されている(定義3)。この中に、本来は麻薬では無い医薬品であるケタミン等が含まれて規制されており、医薬品を含めての薬剤、薬物全般は薬物 (drug) を参照。
日本では法律上の麻薬に含める物に、国際的には向精神薬であるLSDのような幻覚剤の多くは「日本の法律上の麻薬」であり、渋谷で非行女子高生が、「合法ドラッグの『Κ』」と呼び乱用をしていた薬剤が、先に揚げた鎮痛医薬品のケタミンであり、その為に之等が法律上の麻薬の中に入れられて、規制される事になった。一方で繊維採取及び薬用植物としてのアサから採取する大麻(マリファナ)は大麻取締法で、規制されている。 他に薬用植物のマオウから採取される成分メタンフェタミンから、医薬品として覚醒剤が製薬会社でヒロポンの製品名で製造されている。かつては戦争中の兵士が、戦闘中に睡魔によって居眠りなどをする事の、防止に服用させる為に開発され、開発当初は薬剤依存症にはならないと信じられており、薬局でも医薬品として、普通に売っていた薬剤であった。戦後に薬剤依存症が起きることが判明し覚醒剤取締法が制定され、覚醒剤取扱免許を所持する麻酔科医師の処方で、投与する。一般には法律上の麻薬と共に別個に規制する[2]。したがって、致死性、依存性の有無、身体的な離脱症状を生じる身体的依存の有無、離脱症状が致命的となるか否かの異なった薬物が、その含有する意味合いにより異なって含まれてくる、そうした薬物の総称である。医師の治療処方などによる適正な投与以外の使用は禁止されている。医療目的における用途は鎮痛が多い。一部の麻薬である、このコデインは咳止めにも使われており、市販の風邪薬のシロップ剤にも含まれている物で、ほぼ全ての人が服用出来る。風邪の診療を行う呼吸器内科の医師等からも、普通に処方されている麻薬である。誰もが服用経験の有る筈の麻薬である。依存症にはならない。
薬用植物としてのケシから採取のアヘン、アヘンを精製したジアセチルモルヒネ、薬用植物としてのコカノキから採取のコカインなど依存性の高い麻薬は、国際協力の元で厳しく規制されている。従来、白人の植民地主義による阿片(アヘン)売買が問題となり、1912年には万国阿片条約が公布された。条約に並行して、同種でより強力な製薬会社のバイエル社の医薬品ジアセチルモルヒネが、ヘロインの製品名で出回ったが、これも1920年代には厳しく扱われる。薬用植物のマオウから採取する成分アンフェタミンから精製製造する覚醒剤を含めて規制する。1961年の麻薬に関する単一条約が先の条約を引き継いだが、欧米で再び違犯密造されたジアセチルモルヒネが流通し、敵対勢力が生産したものだが、当のアメリカ合衆国の中央情報局が流通に関わり秘密資金としていることも明らかとされた。このようにして、1971年にアメリカのニクソン大統領が、麻薬戦争(薬物戦争)を宣言した。法律上の麻薬や覚醒剤が規制されることで、流通が途絶えると値上がりをし、違犯密造者が多額の利益を上げる元となっており、反政府勢力や私兵組織、テロリストなどが法律上の麻薬や'覚醒剤の違犯生産に関わり、集団犯罪組織である暴力団、黒社会、ギャング、マフィアなどが流通させ、重要な資金源となった。
定義や法
世界保健機関 (WHO) の用語集では、麻薬(narcotic)の語は昏迷・昏睡、痛みに対する無感覚'を誘発する化学物質で、通常は麻薬性鎮痛薬のオピエートやオピオイドを指すが、法律上の用語として他の薬物を指す場合があるため、より具体的な意味を持つオピオイドの用語を用いている[1]。麻薬(narcotic)の語は、規制された薬物を指して用いられる場合もあり、アメリカ合衆国やカナダの規制法によれば、オピオイドだけでなく、コカインや大麻を含む[1]。国際条約としての規制の根拠は、1961年の麻薬に関する単一条約である[1]。
Narcotics の日本語の翻訳として麻薬があてられた。Narcotics の訳語として麻薬の語が作られた。痲薬とも書くが、1949年(昭和24年)の当用漢字制定以降は、表記は「麻薬」に統一されている。
医学上
歴史上かつ医学上の麻薬の定義で、麻酔薬のアヘン類のことを指す。
アヘン剤とは、モルヒネ、ジアセチルモルヒネ、コデインなど、ケシの未熟果実を傷付けて乳汁を採取したものから抽出されるアルカロイドで、アヘン、プロトピンやサンギナリン等を合成したオピオイド系の薬物のことである。強い疼痛を抑えたり、手術等での治療に能って、必然的に人為的に痛みを起こす場合に、人為的に昏迷状態を引き起こさせて、痛みを気付かずに治療を済ます抑制薬であり、非常に役に立つ医薬品では有るのだが、不必要時に多用に乱用をした場合は、始めは悪心を覚え、嘔吐を発症する場合も有るのだが、更に不必要時に多用を重ねると、身体が慣れて行き、次第に酩酊、多幸感などを感じる様になる一方、強力な依存性があり、急速に耐性を形成し、体内から排出されると、身体的な離脱症状を生じる身体依存を形成する。とりわけ作用量と致死量が近い薬物で危険性が高い。
国際条約上の定義
1912年の万国阿片条約から、1961年の麻薬に関する単一条約による麻薬の定義で、医学的な定義に大麻とコカインを追加したものである。国際的な定義である。
1912年の万国阿片条約では、アヘンやモルヒネ、またコカイン、またこれらと同様の害悪を引き起こす物質を規制した[3]。その後、この条約が1925年に改定された時に、アジアやアフリカなど大麻の使用習慣のある国が消極的であったが、エジプトの提案でインド大麻も規制に追加された[3]。第二次世界大戦を経て国際連盟が解体し、引き継ぐ国際連合による1961年の麻薬に関する単一条約(Single Convention on Narcotic Drugs)によって、同じような分類で麻薬―Narcotics―が国際的な管理下に置かれた[4]。さらに、後続の国際条約である1988年の麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約(Convention Against Illicit Traffic in Narcotic Drugs and Psychotropic Substances)の、第1条n項において、「麻薬」とは1961年の条約にて指定されたものであると定義されている。
大麻の鎮痛作用はモルヒネなどより弱いが、致死量は不明であり、身体依存はなく離脱症状も軽度であり、有害性の異なった薬物である。またコカインはオピオイドや大麻とも異なり、興奮作用がある精神刺激薬であるが、注射部位に局所麻酔作用がある。
日本の法律上の定義
日本の法律上の便宜による、麻薬及び向精神薬取締法(現通称および旧名: 麻薬取締法)における「麻薬」の定義。
戦後にGHQが、日本各地にマリファナ畑が有る事に驚愕をし、直ぐに規制の法律を制定するように求めたが、日本では、大麻はアサ(麻)の繊維産業があったことから、1948年に他の麻薬や覚醒剤と別個に大麻取締法を制定した。戦後に乱用が問題となった覚醒剤類は覚醒剤取締法にて規制を開始している[5]。1970年には麻薬取締法にLSDを追加し、日本の法律上の麻薬は殆どが本当の麻薬では無く、本来の分類では幻覚剤になっているとされる[5]。日本では、向精神薬に関する条約の付表Iの、そのほとんどが幻覚剤であるものを、「日本の法理上は」麻薬としていると云う事である[6]。
この背景を詳しく説明すると、1961年の国際条約以降に乱用された薬物を規制する為の、1971年の向精神薬に関する条約(Convention on Psychotropic Substances)が登場した。LSDのような幻覚剤や、覚醒剤やバルビツール酸系やベンゾジアゼピン系の抗不安睡眠薬が国際的な管理下に置かれた。向精神薬に関する条約において、医療的な価値がないとみなされた幻覚剤のような薬物は付表(スケジュール)Iに、それ以外の覚醒剤や睡眠薬は危険性により付表II以下に指定されている。後続する1988年の麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約の第1条項において、「向精神薬」とは1971年の条約の付表Iから付表IVまでの物質であると定義されている。全て「国際条約上は」向精神薬である。
付表Iの物質は、欧州議会の報告書によれば次のように説明される。「現在のところ医学的利用価値が認められず、公衆衛生に深刻な害を及ぼす危険性があるとされる薬物」[7]。日本では、付表II以下の医薬品については、だいたいは日本の法律上の向精神薬として管理される[5]。
国際条約 | 規制物質 | 日本法 | |
---|---|---|---|
麻薬に関する単一条約 | あへん | あへん | あへん法 |
大麻 | 大麻 | 大麻取締法 | |
麻薬 | 麻薬 | 麻薬取締法 | |
向精神薬に関する条約 | 向精神薬 付表I | (日本法の)麻薬 | |
向精神薬 付表II | 第1種向精神薬 | ||
付表II一部の覚醒剤 | (日本法の)覚せい剤 | 覚醒剤取締法 | |
向精神薬 付表III | 第2種向精神薬 | 麻薬取締法 | |
向精神薬 付表IV | 第3種向精神薬 | ||
対象外 | タバコ(ニコチン)、アルコール、カフェイン |
LSDには過剰摂取した際の致死量も不明で、また幻覚剤には強力な依存性もなく、離脱症状はない。脱法ドラッグのようなものは、流通の後に日本の法律上の麻薬に指定され規制されることがある。つまり、法的に規制される前は、日本の法律上の麻薬には該当しない。
欧米では、MDMAを心的外傷後ストレス障害 (PTSD) の治療薬として役立てようとする動きもあり、治験が進行中である。
他の用法:薬物全般の意味
薬物 (drug) 全般を指して、麻薬とした例である。薬物のうち、依存性や毒性、法規制の有無などを問わず、脳内の神経伝達物質に作用し、酩酊、多幸感、幻覚などをもたらすものを、俗に広義の麻薬に含めることがある。記事、薬物を参照のこと。このような特徴を持つ薬物は、アルコールや睡眠薬のように、規制管理が異なる薬物も該当する。しかしながら、アルコールや睡眠薬のような薬物は、上述のような麻薬とは異なり、致命的となる可能性のある離脱症状を生じる危険性がある。
医療利用
麻薬(定義1)(※本来の医薬品の麻薬)は、痛みに対する感覚を鈍らせる。そのため、モルヒネやコデインは鎮痛剤として医療の現場で処方される。麻薬性鎮痛剤として、モルヒネのような効果を持つメペリジン(商標名:デメロール)やメサドンが開発されている。メサドンは、ジアセチルモルヒネ依存症の置換治療として、薬物から離脱するために利用される。
薬物の研究者は、これらの鎮痛薬の作用機序を探る過程で、麻薬に反応する脳内の受容体(オピオイド受容体)を発見した。脳内麻薬と呼ばれることもあるエンドルフィンは、人体に存在する天然の鎮痛物質である。麻薬はエンドルフィンと同様の働きをし、オピオイド受容体と結合することが明らかになった。麻薬のアンタゴニストとして作用する薬物は、麻薬の作用を阻害し、乱用や過剰摂取の症状を逆転させる。こうして、アヘン剤とオピオイド受容体のアンタゴニストを組み合わせることにより、副作用の無い新しいタイプの鎮痛剤が作られるに至った。
手術等で使用する場合の摂取方法
疼痛治療等で'麻薬を人体への投与摂取方法は、血液を経由して脳内へ薬物成分を送り込む方法がほとんどである。その手段として、モルヒネの錠剤や粉剤を、そのまま飲む経口摂取のほか、舌下する、粉末状の麻薬を歯茎に塗布する。粉末状の麻薬を鼻孔へ吸入し鼻腔粘膜から吸収する。座剤を肛門から挿入させて直腸粘膜から吸収する。性器粘膜へ粉剤を塗布して吸収させる。煙草の葉っぱに混入させた物を、煙草巻紙で巻いた物に点火して喫煙をする。薬剤を蒸して蒸気を吸入引する。注射器又は点滴による静脈注射。注射ポンプを使い筋肉注射をする等がある。錠剤や粉剤を経口摂取する場合には、主に小腸から吸収され、肝臓で一旦解毒された後に血液に混入する為、肝臓で分解される物質である為、大規模な手術等で、人為的に意識不明状態を作り出す等、成分を直接脳内で作用させたい場合には、経口摂取以外の方法を採られる。必ず麻酔科の専門[[医師]が、外科医等の手術の執刀医の他に立ち会うので、麻薬の使用に関しては安全に使用される筈である。
法律違犯をし、麻薬の乱用による症状
使用される薬剤の種類により、症状は様々である。ジアセチルモルヒネ、コカイン等の薬剤では薬物依存症に陥りやすく、また依存症状が深刻になり易い。
ジアセチルモルヒネには、強い依存性がありニコチンと同等である[8]。ジアセチルモルヒネでは深刻な病変や、機能低下を起こす為にジアセチルモルヒネを禁止使用薬物とする事を支持するジェイムズ・Q・ウィルソンでさえ認めており、禁断症状によって時々発生する肉体的障害や、清潔でない注射針によるHIVウイルスなど感染症の問題は、非合法化されている事に関係して考えられる[8]。煙草のニコチンや、アルコールの方が回復不能な障害を与えやすい[8]。しかし、オピオイド鎮痛剤の過剰摂取による、死亡の多さは問題である[9]。
コカインのような精神刺激薬では、使用によって妄想状態に陥り、精神刺激薬精神病となり暴力を引き起こす事もある[8]。ジアセチルモルヒネの、それ自体には違法使用者を犯罪に駆り立てるような効果はない[8]。暴力を強く促す事が判明しているのは、アルコールである[8]。暴力犯罪を抑制する最も効果的な方法は治療だと考えられている[10]。
薬物依存者は周囲の人間に発覚する事、捜査機関等に逮捕される事を恐れる為に、事実を屡々隠す。この為に、薬物依存症の患者として医療施設で治療が行われているのは、患者群の一部に過ぎないと思われる。コカインでは耐性を獲得し易いと共に、逆耐性の機序を持つ為に、治療は長期化する傾向にある。また、過去の麻薬入手の経験により、一般市民より麻薬の入手が容易である為に、屡々治療が中断する。捜査機関等に逮捕される事になり、裁判の結果で有罪が決定し、刑務所に収監されると、刑務所の内部で、麻取りや警察に、麻薬関連の犯罪で逮捕され、有罪となった者達と出会う事で、かえって「ドラッグ仲間」が出来て仕舞い、刑務所の出所後に、直ぐに薬物の購入を持ちかけられたり、密売等の犯罪に誘われるケースもある。出所後には「二度と使うのは辞めよう」と決心しても、特に有名人であると、本人は「知らない密売者が近付き、如何ですかと近付いて来る」と云う。そして、「『一辺だけなら大丈夫ですよ』と云われたり。云われた様に感じて」、又は、「『お疲れ様。どうぞ御使用下さい』と云われたり、その文言の手紙入で、連絡先の有るパケをくれて、つい一辺だけなら大丈夫と自分自身に言い聞かせ、再使用を開始すると、止まらなくなる」と、田代まさし受刑者がインタビューに応えていた。
厳罰政策と寛容政策
厳罰な政策をとり薬物使用を犯罪とみなす国がある一方、薬物による害と人権侵害を減らすことを目的として、薬物に対して寛容な政策をとる国も存在する。
20世紀にはほとんどの国では法的に規制されており、許可なく製造、所持、使用すると刑罰が科される。スリランカ、マレーシア、シンガポール、中華人民共和国のようにアジア諸国には死刑を科す国も存在する[11]。受刑者移送条約の非締結国で罪を犯した場合、日本より重い刑期を迎える事になる。しかし、麻薬依存症患者に対し刑罰を科しただけでは薬物依存症から抜け出せない為、その治療の為に入院したり、刑法違反の累犯で刑務所に収監される人が後を絶たない。日本では医療刑務所に収監するケースも見られる。
21世紀初頭に、国際的に「薬物依存症患者には刑罰よりも治療が必要だ」とする見解が主流となり[12]、2019年には国連の国際麻薬統制委員会は人権への配慮から、死刑の廃止を求め、軽微な犯罪には刑罰でなく治療の可能性を言及するようになった[13]。持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDG) の目標として薬物規制条約に従いながら人権保護を最大化するために、国連開発計画や世界保健機関は「人権及び薬物政策に関する国際ガイドライン」を出版し、薬物使用者に対する差別や不当な拘留の撤廃、科学的根拠に基づく予防や治療、個人的消費のための薬物所持や栽培の非犯罪化といった推奨事項がまとめられている[14]。
1971年に国際的な麻薬戦争が開始され、世界での違法なケシの栽培用の畑の拡大。それによって違法アヘンの生産量は1971年の990トンから、1989年の4200トンに増加し、2007年には国連は8800トンとなり、最大生産量に達したと報告した[15]。アメリカ合衆国では、1990年代の10年間でコカインの使用量は増加し、2008年の国連の調査でも、コカの葉を生産する為の、コロンビアの土地は根絶計画に反して、劇的に拡大した[15]。つまり、1990年代以降、麻薬戦争は全面的に失敗であると云う意見も増加して来た為である[15]。
ウルグアイでは、2013年に大麻を合法化しているが、薬物規制条約が、製造や輸出入に対し、犯罪とする事を要求していると云う事で、国際麻薬統制委員会は、協議を重ねてきている[16]。2018年にカナダにおける大麻の合法化が続いた。合法化を含む解説記事の米国における非医療大麻の非犯罪化も参照。
ポルトガルの薬物政策では、2001年に全ての薬物を非犯罪化して依存者を予防と治療に専念することで、死亡者数とHIV感染者数、特に10代の大麻使用を減少させて来た[17]。2021年にアメリカ合衆国のオレゴン州では、全米初の薬物の非犯罪化の為の州法が施行され、犯罪では無く交通違反切符の様な罰金となり、薬物の使用に依って犯罪化や差別を受ける事から保護し治療へ繋げる事を支援する[18]。ジアセチルモルヒネ1㌘以下、コカイン2㌘以下、メタンフェタミン2㌘以下、MDMA /エクスタシー1㌘または5錠未満、LSDを40使用単位未満、シロシビン12㌘。 グラム未満は、単に罰金となる[19]。
オランダの薬物政策のように大麻について刑法上は違法となっているが所持・摂取に対しては刑を執行しない事例も見られる(非犯罪化)。オランダでは、薬物をソフトドラッグとハードドラッグに分類し、大麻をソフトドラッグとして定義して、ほぼ合法として扱い、許可を受けた店舗で合法的に販売している。これによって犯罪組織の収入源を奪い、あらゆる薬物を扱う密売人との接触機会を無くすことで、害が深刻なハードドラッグ類の蔓延を抑止する政策を取っており、実際にジアセチルモルヒネ使用者が減少し、大麻使用者も増加していないなど、一定の効果をあげている。チェコやスイスでも似たような薬物政策がある。大麻を参照のこと。
21世紀初頭には、タイは死刑を設け厳罰主義を貫いてきた一国であったが、警察に殺害された人々は数千人にも上る一方で麻薬取引量は増加して行った為、2017年までには死刑は執行されない様政策転換をはかり、社会復帰を目指す相談所や依存者の治療をはじめている[20]。
違法に薬剤を所持、使用、譲渡、譲受の刑罰
ジアセチルモルヒネそれ自体には、使用者を犯罪に駆り立てる様な効果は無く、所持等が犯罪とされている事に依って高額な薬物となり、その為に価格が高騰する事が、犯罪を引き起こす誘因となる[8]。クリントン大統領時代の公衆衛生局長官のジョセリン・エルダースも暴力行為を減らす為の薬物の、合法化の検討を提案している[15]。アメリカ医師会 (AMA) が合法化を勧告した事もあった[15]。アメリカ合衆国における別の問題は、1968年の約16万人の薬物検挙者が年々増加して、2007年には180万人を超えた事である[15]。
国名 | 最高刑 |
---|---|
日本 | 無期懲役 |
アメリカ合衆国 | 終身刑 |
イギリス | 無期懲役 |
エジプト | 死刑 |
オーストラリア | 終身刑 |
大韓民国 | 死刑 |
シンガポール | 死刑 |
タイ王国 | 死刑 |
中華人民共和国 | 死刑 |
フランス | 無期懲役 |
マレーシア | 死刑 |
日本における法規制
麻薬及び向精神薬取締法では、免許がない者に対して、「法律上の麻薬」の所持、譲渡、製造、医療目的以外の輸出入が罰則付きで厳しく規制される。また麻薬'は[[輸入]・製造・製剤時に封がされたまま麻薬施用者の下に届き、取引数量は施用され無かった分の廃棄に至る迄数量が厳しく管理される(向精神薬も製造・製薬において被封され、同様に取り扱われる)。モルヒネ等の原料となるケシのアヘンはあへん法により取引は国の独占とされ、その原料となるケシの栽培'も国の厳しい管理下に置かれる。ゾムニフェルム種と云う。海外ではアヘンを採取する品種と同じ品種ではあっても、花の観賞用に花の色や花弁の付き方を品種改良され、アヘンは採取出来る程含まれて居ないので、栽培が可能で、稀に種子が紛れ込んで、日本で芽を出したり、知らずに種子を購入して、花壇に栽培されていたり、こぼれ種が山野で芽を出したりしている事が有るのだが、警察の大出動に、麻薬密造か疑われ、豚箱に放り込まれる人も居る様で、白一色でアヘンを多く含む様に品種改良された、薬用の品種以外の、八重咲きや絞りの花色の品種には、アヘンは僅かしか含まれて居ないので本来は大丈夫であるのであるが、葉っぱの形状や、果実の形状として、見分けが付けられないと云う事で、花として品種改良された物も含めて、日本ではケシの栽培は禁止されている。ケシの他に紫の花を咲かせる渥美ケシと、赤い花の基部に黒っぽい模様が入っている袴鬼ケシが、栽培を禁止されているケシです。他にアサがマリファナを含む品種と、区別が付けられないと云う事で、栽培が禁止されている。
なお繊維など麻薬以外の用途を有する大麻は大麻取締法によって規制が行われている。また薬物を規制する法律のうち、大麻取締法のみが医薬品としての使用を禁止しており、昨今欧米で薬効が注目されている医療大麻として法規制の見直しを唱える国内団体も存在する。
法運用の限界
(合法ドラッグ)
デザイナードラッグとは、法律で麻薬に指定されている法律上の麻薬と近い化学物質と、化学式が非常に良く似ているが、厳密には指定されていない薬物である。これらは、毒性も強いが、薬用植物として栽培のケシの様に、普通に扱うと、有毒植物として知られる物の植物片等に、別の物質や、有毒植物として知られる、強い作用を持つ薬用植物を混用し、怪しい柄のパッケージに入れて発売され、こうした脱法ドラッグは合法ドラッグ又は、合法ハーブや、脱法ハーブ、とも呼ばれて、堂々と販売、使用をされていて、死亡事故の発生も起きて居たり、危険な有毒植物が使われている上に、危険な科学物質も混入させている様である。これらの流通が、日本において社会問題となっている。
一方、こうした違法に限りなく近い薬物に対して、麻薬及び向精神薬取締法に基づき、政令により麻薬指定を進めてはいるものの、[22]、指定が化学物質名である事から、指定が後手後手になりがちである。
また作用が似ていても、化学的構造が少しでも異なれば法で取り締まることは出来ず、麻薬に指定しても次々と新しい物質が作られるという「いたちごっこ」が続いている。しかし危険性は違法な法律上の麻薬に準じるものと考えられ、実際に健康被害や死亡例の報告もある。
国や自治体により、麻薬に類似した作用を起こす物質を特定し、似た化学物質と化学式を持つ薬物を一括して違法だと指定する等の法対策が採られている。合成化学研究の障害になるとか、公知が困難になる為、知らずに扱った人が罪に問われ、罪人扱いをされる事が出て、逮捕をされて仕舞う等、問題点が多くあり、解決には至っていない。
ケシ(ケシ科)
日本では、麻薬の原料となりうる特定種のケシ(ゾムニフェルム種)の栽培については、モルヒネ・コデイン等の安定供給に資するため、あへん法により厚生労働省の委託を受けた特定農家での栽培'ならびに学術研究用途に限られ、無許可での栽培は拘留、拘置、取調べ、処罰の対象になる。
アヘンを採取する用途での栽培は、毎年定められた圃場で栽培区域及び栽培面積の中において、栽培地及び栽培面積並びにアヘンの乾燥場及び保管場を定め、圃場の周囲には、外部からの侵入を不可能とする柵を設置した上に、赤外線外部侵入感知センサーの取付と、出入口の施錠がきちんとされ、監視用テレビカメラの設置が必要であるその施設が適していると厚生労働大臣の許可を受ける事が出来た上で、栽培が許可がされる。またアヘンの採取をしない学術研究用途( 都立薬用植物園(東京都小平市)における展示目的の栽培等)に於いては、栽培地及び栽培面積を定めた上で、改めて厚生労働大臣の許可を受ける。その上で栽培が許可される。無許可にケシを栽培する事は、法律違犯となるので、処罰を受けなければならない。
アヘンが採取可能なケシはゾムニフェルム種と云う種類で、薬用植物として品種改良されている白花の種類、同じゾムニフェルム種でも、花の色が赤と白の絞りだったり、桃色や八重咲き等、海外で、花の観賞様に品種改良されている為に、アヘンは採取出来ない位僅かで、海外では庭園や花壇に栽培されている。しかし、葉っぱの形状や果実の形状が同じで、見分けが付けられないからと云う事で、日本では栽培は、禁止する事とされた。このゾムニフェルム種の栽培には、ケシの果実から採取したアヘンが、他人の手に触れる事は決して無い様にする事が必要である。更にアヘンの採取が目的での栽培は、ケシの実にナイフで切り込みを入れ、切り傷から染み出て来る乳汁を箆で集めた生アヘンを、乾燥させる建屋が必要で有り、アヘンを保存しておくにも施錠可能な、保管場所がいる.国産のアヘンは一部の製薬会社と契約した農家が、厚生労働省の許可を受けた上で、周囲から圃場の中の様子が見え無い様にして、細々とケシの栽培がされているに留まり、国内での手術や癌の治療,疼痛の治療等で必要になるアヘンの需要の大半がインドからの輸入に頼っている。またアヘン採取を目的としない栽培についても植物園のほかは,大学薬学部や医学部の農場や、附属植物園,製薬会社の附属研究農場にとどまっている。許可を必要とするケシはゾムニフェルム種の他に、セチゲルム種と云われる紫の花の咲く渥美ケシ。赤い花の咲く袴鬼ケシの3種類の乳汁にアヘンの成分を含んでいるのですが,基本的にケシのみの栽培になっている。
花壇に栽培されているケシと野生植物のケシ帰化植物のケシ
花壇に栽培されているケシも有りますし,多くのケシ科の野生の植物が、花を咲かせています。ほぼ全てのケシ科の植物には麻酔薬の成分が含まれている。ケシと似ている花を咲かせるのは雛ケシ又は虞美人草(ぐびじんそう)と云う。そしてアヘンの採取出来る袴鬼ケシによく似ている、赤い花を咲かせる鬼ケシ。そしてヒマラヤの青いケシと、最近雑草として路肩等で大繁殖をしている淡橙色の花を咲かせている帰化植物の長実雛ケシ。ケマンソウ亜科のケマンソウ、キケマン、ムラサキケマン等、高山植物のコマクサ、日本産の小さなケシ、オサバグサ、黄色が鮮やかなヤマブキソウ、クサノオウ、カナダの国花のカナダケシ、カナダケシの葉っぱによく似ているチャンパギクとタケニグサがあります。植物体にプロトピンや、サンギナリン等の麻酔薬の成分を含みます。
主な生産地域
黄金の三角地帯
黄金の三角地帯(ゴールデントライアングル)とは、アヘン(阿片)の原料であるケシ(芥子)が、タイ・ラオス・ミャンマーの山岳地帯で多く栽培されていることによる呼称である。ただし、現在は麻薬の生産はほぼミャンマーに限られている。ミャンマーでは、麻薬王クン・サが仕切っていたことで有名なように、様々な政治勢力がドラッグビジネスと関わり合いを持っている。
黄金の三日月地帯
黄金の三日月地帯は、黄金の三角地帯と並ぶ、世界最大の麻薬及び覚せい剤密造地帯。アフガニスタン(ニームルーズ州)・パキスタン(バローチスターン州)、イランの国境が交錯している。この呼称の由縁は、アフガニスタン東部のジャラーラーバードから南部のカンダハールを経由し、南西部のザランジ地方に至る国境地帯が三日月形をしているため。
歴史
アヘン戦争
アヘン戦争は清の林則徐がイギリスによるアヘンの輸入を禁じ、アヘンを没収し、廃棄処分したことを口実に起こされた戦争。1840年より二年間。
1889年にドイツで(バイエル社より)商品名ヘロインで発売され[23]、モルヒネに代わる依存のない万能薬のように国際的に宣伝され、アメリカでは1924年に常用者推定20万人とされた[24]。1912年の万国阿片条約で規制され第一次世界大戦後に各国が条約に批准した。ドイツで1921年、アメリカで1924年に医薬品の指定がなくなると、のちに非合法に流通するようになった[23]。
戦時中の麻薬
ベトナム戦争ではメオ族を支援するためにアメリカ中央情報局 (CIA) が市場へのアヘン運搬を支援したが、これが高純度のヘロインとなって駐留兵の手に渡った[25]。アメリカで1971年麻薬患者が推定56万人となりニクソン大統領が、薬物に対する戦いを宣戦布告する[26]。
アメリカ合衆国がベトナム戦争当時、アメリカ軍兵士に対して士気を高めるためにコカイン摂取を極秘に認めていた。当時ベトナムに駐留していたアメリカ軍兵士の40%がコカイン摂取をしていたとされる。現在でも航空機パイロットにアンフェタミン錠剤などを配布していると言われる。[要出典]。
国家産業やマフィアの資金獲得
コロンビアで1970年代後半から、アメリカ合衆国向けに密輸するコカイン栽培が急増した。アメリカ合衆国で1960年代後半からコカイン摂取がブームになったことがきっかけだった。コロンビアでコカイン生産を行ったのは、アンデス山中の大都市で動いていた犯罪組織メデジン・カルテルだった。その後犯罪組織はコロンビア国家の政治・経済も支配するようになり、コカイン栽培が国家産業の一つにまで発展した。
ミャンマーにおいては、主としてシャン州周辺で古くから栽培されており、同州にはミャンマーからの分離独立を志向する少数民族が多く存在する事、1960年代以降のいわゆる「ビルマ式社会主義」によってミャンマー経済が慢性的な停滞に陥り多くの人材が麻薬産業に流入した事、シャン州から主要な「市場」であるタイや中国に比較的近距離である事、60年代以降のミャンマー政府が国際的に孤立主義の傾向を取り続けた事などから、ケシ栽培を中心とする麻薬産業が急速に発達した。
少量の生産販売で多額の利益が得られる事、多くの麻薬植物は容易に栽培が可能である事から、多くの国の反政府ゲリラや民兵組織が資金源として麻薬産業を保有する事が多い。また、同様の理由で、かつ、中央政府の支配力が及ばない事から貧しい農家が「究極の換金作物」として麻薬植物を栽培するケースも多く、アフガニスタンや内戦当時のレバノン・ベッカー高原などでは盛んに麻薬植物が栽培されている。
2012年の第67回国連総会では、メキシコ、コロンビア、グアテマラといったラテンアメリカ諸国の大統領は、薬物の流通を制限するという証拠は乏しく、暴力につながるこうした政策の変更を提案した[27]。メキシコでは、カルデロンの任期中6年間に、薬物に関連した暴力により死者は6万人を上回り、コロンビアでは撲滅運動にかかわらず依然としてコカインの世界最大の生産地の1つである[27]。
2013年の国連の薬物乱用防止デーにおいて、法の支配は一部の手段でしかなく、罰することが解決策ではないという研究が進んでおり、健康への負担や囚役者を減らすという目標に沿って、人権や公衆衛生、また科学に基づく予防と治療の手段が必要とされ、このために2014年には高度な見直しを開始することに言及し、加盟国にはあらゆる手段を考慮し、開かれた議論を行うことを強く推奨している[28]。
オピオイド危機
2017年10月には、アメリカで処方されたオピオイドに端を発する過剰摂取死のうなぎ上りによって、トランプ大統領は公衆衛生の非常事態を宣言した[9]。10月中旬には、トランプ大統領が麻薬問題担当長官に指名した共和党のトム・マリーノが、オピオイドの取り締まり弱体化させる法案を進めていたことで指名辞退となり、オピオイドを蔓延させた製薬会社への捜査の声も高まった[29]。およそ1週間後には、オピオイドのフェンタニルを過剰に売り込んだ、インシス・セラピューティクス社の最高経営責任者(CEO)らが逮捕され、医師や薬剤師にリベートや賄賂を渡して売り込んでおり、FBIの捜査官はオピオイドをがんでもない患者に売りつけるのは密売人と変わらないと非難した[30]。また中国で密造された、ほとんどがフェンタニル誘導体である合成オピオイドも新たな脅威となってきた[9]。
文化と麻薬
宗教
幻覚性植物を聖なる植物とし、信仰の対象にしている宗教もある。米国のネイティブ・アメリカン・チャーチのペヨーテや、ブラジルのアヤワスカを使うカトリック系教会、ジャマイカのラスタファリ運動における大麻、西アフリカ、ガボンのブウィティ教、瞑想のために大麻樹脂を吸うシバ派のヒンドゥー教修行者などがある。宗教儀式における幻覚性植物の使用は、コミュニティ内の連帯を高める役割もはたしている。2006年、アメリカ合衆国最高裁判所は、規制薬物の宗教上の使用を認める判決を出している[31]。
シャーマニズム
人類と向精神性作用のある植物との関係は遥か昔まで遡ることができる。世界各地にみられるシャーマニズムの儀式では、夜間に少人数で集まり、明かりを消した小屋の中や野外でたき火を囲み、幻覚性植物を摂取する。シャーマンは歌を歌い、祈りを捧げたりドラムを叩いたりしながら、病気の治療をしたり、神や精霊と交信し重要な決定をしたり予言をしたりする。メキシコ、マサテク族のマジックマッシュルーム、アメリカン・チャーチのペヨーテ(幻覚性サボテン)、アンデス地方のサンペドロ・サボテン、アマゾンのアヤワスカや西アフリカのイボガ(イボガイン)、シベリアのベニテングタケなどがある。中世ヨーロッパや古代インドでは、せん妄性の植物ベラドンナやダチュラが儀式的に使用されていた。
少数民族
コロンビアやペルー、ボリビアに住む先住民インディオや労働者は、コカインの原料であるコカの葉を興奮剤として日常的に噛んだり、お茶にして飲んでいる。東南アジア、東アフリカ、中東においても、興奮作用のある植物を嗜好品として摂取する習慣がある。ケシ(芥子)栽培をするタイ北部やラオスに住む少数民族の中には、アヘン中毒に陥っている者も少なくない。
ヒッピームーブメント
定義2、3に該当する麻薬 LSD は、1960年代後半に欧米を中心に爆発的に広まり、ヒッピームーブメントを生みだした。音楽、文学、映像、絵画、ファッションなどに大きな影響を与え、ベトナム戦争の反戦運動や精神世界、東洋哲学、エコロジーなどへの関心を集めた。中心人物として、元ハーバード大学教授のティモシー・リアリーや、『カッコーの巣の上で』を書いたケン・キージーなどがあげられる。
日本の法律における麻薬の一覧
- 麻薬及び向精神薬取締法および関連政令上の麻薬[注 1]
- ヘロイン
- コカイン
- LSD(リゼルグ酸ジエチルアミド、通称エル、紙)
- MDMA(3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン、通称エクスタシー、X(エックス)、バツ、罰、玉)
- MDEA(通称イブ)
- マジックマッシュルーム(成分:シロシビン、シロシン、通称MM(エムエム))
- 2C-B(4-ブロモ-2,5-ジメトキシフェネチルアミン、通称イル、電池)
- GHB(ガンマヒドロキシ酪酸)
- BZP(1-ベンジルピペラジン)
- 5-MeO-DIPT(5-メトキシ-N,N-ジイソプロピルトリプタミン、通称ゴメオ、フォクシー)
- AMT(3-(2-アミノプロピル)インドール)
- 2C-T-7
- 2C-I(通称エクスタシー)[注 2]
- 2C-T-2[注 2]
- 2C-T-4[注 2]
- ケタミン(ケタラール)
- モルヒネ
- ジヒドロコデイン
- フェンタニル
- ペチジン
- オキシメテバノール
- その他
- 麻薬及び向精神薬取締法および関連政令上の向精神薬[注 3]
- その他の日本の法律によって規制されているもの
題材とした作品
古くから存在する社会問題として、隣接する覚醒剤や有機溶剤、幻覚剤などと共に、様々なジャンルで取り上げられる事が多い。また、政治問題や国際関係、あるいは貧困や家庭問題、青少年問題といった他のトラブルとも容易に結びつきやすい問題であるため、これらと付随して取り扱われる事がほとんどである。
なお、アメリカ合衆国では、違法薬物を使用する描写がある映画作品は、レーティングによってR-18指定となる。例えば、『地獄の黙示録』は、作品中に登場人物が大麻を吸飲するシーンがある事から、R-18指定となっている。
- 映画
- 『麻薬売春Gメン』 (1972年) - 千葉真一主演による麻薬Gメンによるマリファナの撲滅を描いた作品
- 『東京-ソウル-バンコック 実録麻薬地帯』 (1973年) - 国際的な麻薬ルートを暴く作品で、千葉真一、ノラ・ミャオなど四か国の俳優が出演し、製作された。
- 『十代 恵子の場合』 (1979年、東映セントラルフィルム製作) - 森下愛子主演。
- 『トレインスポッティング』(1996年)イギリス映画、ストリートの若者によるヘロインの使用と密売。
- The House I Live In(2012年) 麻薬戦争を批判的に描いたドキュメンタリー。
- 『カルテル・ランド』(2015年)監督マシュー・ハイネマン、麻薬カルテルとの戦いを扱い、アカデミー賞にノミネート。
注釈
脚注
- ^ a b c d e 世界保健機関 (1994) (pdf). Lexicon of alchol and drug term. World Health Organization. pp. 25-26, 47, 49. ISBN 92-4-154468-6 (HTML版 introductionが省略されている)
- ^ 松下正明(総編集) & 1999-06, pp. 112、120-121.
- ^ a b 松下正明(総編集) & 1999-06, p. 109.
- ^ 松下正明(総編集) & 1999-06, pp. 110–111.
- ^ a b c 松下正明(総編集) & 1999-06, pp. 120–121.
- ^ 松下正明(総編集) & 1999-06, p. 112.
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- ^ a b c Axel Bugge (2017年10月28日). “アングル:米国の「オピオイド危機」、欧州にも波及の恐れ”. ロイター 2017年12月5日閲覧。
- ^ ジェフリー・ライマン、ポール・レイトン 2011, p. 77.
- ^ 2007年10月、中国から日本に密輸出しようとした日本人3人に死刑が言い渡され確定した。
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参考文献
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- ツェンク, M.、田端, 守「アヘン : その薬物史と功罪」『生薬學雜誌』第50巻第2号、1996年4月20日、86-102頁、NAID 110008731660。
- ジェフリー・ライマン、ポール・レイトン 著、宮尾茂 訳『金持ちはますます金持ちに 貧乏人は刑務所へ―アメリカ刑事司法制度失敗の実態』花伝社、2011年。ISBN 978-4-7634-0621-7。 The Rich Get Richer and the Poor Get Prison, 9th ed, 2010.
- 松下正明(総編集) 著「IV 国際向精神薬条約」、編集:牛島定信、小山司、三好功峰、浅井昌弘、倉知正佳、中根允文 編『薬物・アルコール関連障害』中山書店〈臨床精神医学講座8〉、1999年6月、109-123頁。ISBN 978-4521492018。
関連項目
- 違法薬物取引
- 国際麻薬乱用・不正取引防止デー
- 麻薬法 (ドイツ)
- ゲートウェイドラッグ
- シンナー中毒
- 神経伝達物質 / 脳内麻薬
- 麻薬取締官 / 麻薬取締員 日本の制度
- 麻薬・覚せい剤乱用防止センター 日本の機関