国鉄211系電車
211系電車 | |
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高崎線211系3000番台 (2008年12月23日) | |
基本情報 | |
製造所 | 川崎重工業・東急車輛製造・日本車輌製造・日立製作所・近畿車輛 |
主要諸元 | |
軌間 | 1067mm(狭軌) |
電気方式 | 直流1,500V(架空電車線方式) |
最高速度 |
110km/h(製造時) 120km/h(高速化改造車およびスーパーサルーン「ゆめじ」) |
起動加速度 | 1.7km/h/s (MT比2:3時) - 2.5km/h/s (MT比2:1時) |
減速度(常用) | 3.5km/h/s[1] |
車両重量 |
23.2t(最小 サハ211形2000番台) 36.3t(最大 クモハ211形1000番台) |
台車 | 円錐積層ゴム式ボルスタレス台車 |
主電動機 | 直流直巻電動機 MT61型 |
駆動方式 | 中空軸平行カルダン撓み継手方式 |
歯車比 | 16:83 (5.19) |
定格速度 | 全界磁46.0km/h・35%界磁87.5km/h |
制御装置 | 抵抗制御・直並列組合せ制御・弱め界磁制御・界磁添加励磁制御 |
制動装置 |
電気指令式(直通・回生・抑速) 直通予備ブレーキ 耐雪ブレーキ |
211系電車(211けいでんしゃ)は、1985年(昭和60年)に登場した直流近郊形電車。当初は日本国有鉄道(国鉄)が、国鉄分割民営化後は東日本旅客鉄道(JR東日本)、東海旅客鉄道(JR東海)、西日本旅客鉄道(JR西日本)により設計・製造された。
概要
直流近郊形電車は、1962年(昭和37年)から20年以上の長きにわたって111・113系と115系が製造されてきた。本系列は、これらに代わるフルモデルチェンジ車であり、軽量ステンレス製車体や構造の簡便なボルスタレス台車、電機子チョッパ制御よりも簡便かつ安価に回生ブレーキが使用可能で抵抗制御を基本とした界磁添加励磁制御、応答性の高い電気指令式ブレーキや簡易的なモニタ装置など、省エネルギーや保守費低減に配意した新機軸が各所に採用されている。これらは通勤形電車の205系で先に採用されたものであるが、本来は近郊形電車用のシステムとして開発されていたものである。ユニットあたりの力行性能の向上により、電動車比率を下げ、2M3T編成で25‰区間までの通常の使用ができる設計とし、新製コストと運営コストの減少を狙った設計とした。これにより2M3T編成においても113系・115系の2M2T編成と同等以上の走行性能をもつ。
車体は、片側3か所に両開きの扉を設けた国鉄近郊形電車の基本的構成であるが、両端の側出入口の位置を若干車端に寄せた配置としている。外板間の車体幅は、従来の2900mmから初めて2950mmまで拡大され、裾絞りが大きくなっている。また暖地・平坦線用の113系と寒地・勾配線用の115系を統合し、細部の仕様変更を行うことで両系列の取替に対応している。また座席は従来と同様のセミクロスシートの他、長距離通勤の増加に伴う混雑に対応するためにオールロングシートの車両も製造した。クロスシート・ロングシートともバケットタイプとし、ロングシートの1人分の幅を広げた。クロスシートはシートピッチ1,490mmのままでスペースと通路幅を広げた。また、セミクロスシート車も混雑緩和のため、415系700番台同様車端部はロングシートとした。
国鉄時代は付属編成のみがオールロングシートとされたが、国鉄分割民営化後の増備車はすべてオールロングシートが基本となっている。さらに、車体の構造と台車は同時期に製造された415系1500番台にも採用され、民営化後も車体や制御システムの設計を流用した車両が登場している[注 1]。
機構
本系列のMM'ユニット車の主電動機は、MT61形[注 2]という713系向けに開発されたものを使用している。定格出力こそ従来多用されてきたMT54形と同じだが、低回転域のトルクを381系向けのMT58より強化(MT54とMT58の中間の特性)したうえ従来の近郊形電車よりも大きめの歯車比を採用し、定格速度を113系・115系より6.5km/h低い46.0km/hとしたため、逆にユニット当たりの引張力は6,690kgから7,580kgへと一割強大きくなった。一方で、許容回転数を上げて最弱め界磁率を35%まで取り高速性能を確保した。2M3T編成においても113系・115系の2M2T編成を上回る走行性能をもつのはこのためである。
1M方式車の主電動機はMT64形で、定格端子電圧がMT61形の2倍の750V、定格電流が半分の180Aとされているが、速度特性は極力MT61形に揃えられている。このシステムは後に213系用として初採用されたが、本来は本系列の横須賀・総武快速線への投入を構想した際、MT比2:3(15両編成時6M9T)では不足する走行性能と電動車を増やすコストをバランスさせるために開発されていたもので、最初から混用が想定されていた。
主制御器は205系のCS57形に抑速ブレーキの機能を追加したCS57A形である。抑速ブレーキは40km/h以上で作動する[2]。
電気ブレーキは、添加励磁装置を用いて回生ブレーキを行う。高速では界磁電流は弱く、主回路電流は強くし、速度の低下とともに界磁電流を強めながら主回路電流を減じるよう制御することで、一定の回生ブレーキ力が確保される。78km/h以上からブレーキをかける時は電動機は並列つなぎで、それ以下からの場合は直列つなぎで回生ブレーキを開始する。並列つなぎで開始した場合は60km/h前後で直列つなぎに切替えるが、切替の際に端子電圧を急に半減することはできないため、抵抗を挿入しながら回路を切替え、その後抵抗が抜かれる。
低速では界磁電流を強めても回生電圧が架線電圧を下回るため、30km/h前後で回生ブレーキが失効する。
形式
順番は過去からの慣例に準じる。本形式は国鉄時代と国鉄分割民営化後に跨って製造されたので、国鉄時代と民営化(JR化)後と分けて記述する。なお、国鉄時代に製造された形式の中には民営化後に製造された形式もある。また、車両の向きは、東海道本線基準で東京駅方を奇数(北、東)向き、神戸駅方を偶数(南、西)向きである。
国鉄時代に製造された形式
- クモハ211形 (Mc)
- 奇数(北、東)向きの最前部に連結される制御電動車でモハ210形とユニットを組み、パンタグラフと主電動機や主制御器を搭載する。内装や搭載設備などの違いによって番台区分がある。民営化後には5000番台系列が製造され、そのうち5600番台は低断面トンネルの入線を可能にするため、パンタグラフ取付部のみ低屋根構造、パンタグラフはC-PS24A形を装備、6000番台は1M仕様車として登場している。
- モハ211形 (M)
- モハ210形とユニットを組む中間電動車で、パンタグラフと主電動機や主制御器を搭載する。この形式は0・2000番台のみの存在である。
- モハ210形 (M')
- クモハ211形またはモハ211形とユニットを組む中間電動車で、電動発電機 (MG) と空気圧縮機 (CP) を搭載する。これも内装や搭載設備などの違いによって番台区分がある。民営化後に製造された5000番台は、電動発電機に代わってDC-DCコンバータを搭載する。
- クハ211形 (Tc)
- 奇数(北、東)向きの最前部に連結される制御車で、連結面寄り3位側にトイレが設置され、トイレの向い側の席はクロスシートである。この形式もモハ211形同様0・2000番台のみの存在である。
- クハ210形 (Tc')
- 偶数(南、西)向きの最前部に連結される制御車で、連結面寄り3位側にトイレが設置され、トイレの向い側の席はクロスシートである。これも内装や搭載設備などの違いによって番台区分がある。民営化後に5000番台と5300番台が製造され、前者はトイレが設置されていないが、後者は連結面寄り3位側にトイレが設置されている。
- サハ211形 (T)
- 中間付随車の普通車。これも内装や搭載設備などの違いによって番台区分がある。本系列の中では最も製造両数が多い。
- サロ211形 (Ts)
- 中間付随車のグリーン車。偶数(南、西)寄りにトイレ、洗面所が設置され、床下に水タンクが搭載されている。当初はサロ210形とペアを組んだ。民営化後は、サロ212形とペアを組み、現在は1000番台に改番されている。
- サロ210形 (Ts')
- 中間付随車のグリーン車。奇数(北、東)寄りに車掌室と乗務員室が設置されている。当初はサロ211形とペアを組んだ。民営化後は、サロ213形とペアを組んだため、方向転換している。現在は1000番台に改番されている。
民営化(JR化)後に製造された形式
- クモロ211形 (Msc)
- スーパーサルーン「ゆめじ」用に製造されたモロ210形とユニットを組む制御電動グリーン車で、パンタグラフと主電動機や主制御器を搭載する。車体はステンレス車体ではなく普通鋼製車体である。
- モロ210形 (Ms')
- スーパーサルーン「ゆめじ」用に製造されたクモロ211形とユニットを組む中間電動グリーン車で、静止型インバータ (SIV) と空気圧縮機を搭載する。クモロ211形同様車体は普通鋼製車体である。
- サロ213形 (Tsd)
- 中間付随車のグリーン車。狭軌路線初の2階建車両として登場。神戸(南)寄りにトイレ、洗面所が設置されている。大半がサロ210形とペアを組んでいるため、逆向きに連結されている。そのため車体構造は両方の向きに対応している(7・8を除く)。現在、サロ124形・サロ125形からの改造編入車もある。
- サロ212形 (Tsd')
- 中間付随車のグリーン車。サロ213形と同時に登場。東京(北)寄りに車掌室と乗務員室が設置されている。大半がサロ211形とペアを組んでいる。現在、サロ124形からの改造編入車もある。
外部リンク
- JR東日本:車両図鑑>在来線 211系 - 東日本旅客鉄道
- 車両のご案内 211系 - 東海旅客鉄道
- グッドデザイン賞受賞概要(スーパーサルーンゆめじ)
- ^ No.21 - Autumn2007【特集:究極の安全をめざして】 (PDF) - JR東日本:研究開発>テクニカルレビュー
- ^ イカロス・ムック 国鉄型車両の系譜シリーズ 11「形式211系」による[要ページ番号]
- ^ “地球環境保全への貢献”. 東海旅客鉄道. 2023年11月29日閲覧。
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