西日本
西日本(にしにほん、にしにっぽん)とは、日本を大きく分ける時に使用される語で、日本の西半分を指す汎称である。対義語は東日本。法令などで定められているものではなく、その範囲も明確ではない。
範囲
広くは近畿地方、中国地方、四国地方、九州・沖縄地方と中部地方の一部(後述)を指す[1]。狭くは中部地方を除く場合がある。さらには近畿地方を除いた中国地方、四国地方、九州・沖縄地方を指す場合がある[2]。また九州ないし南九州と南西諸島[3] を南日本とする例がある。東国に対する西国(例:西日本放送)、近畿地方(特に畿内)に対する九州地方(特に北九州、例:西日本鉄道)[4] や、関東地方(特に南関東)に対する近畿地方(特に畿内)を指す場合もある。三重県は愛知県や岐阜県とともに東海3県として分類されることが多く、一般的には西日本に分類されている。
地質学の分野では糸魚川静岡構造線以西を西日本(西南日本とも)とする。生物相[5] や文化面では糸魚川浜名湖線以西(富山県・岐阜県・愛知県以西)を西日本とする[6][7]。方言学では北陸方言・近畿方言・四国方言・中国方言・雲伯方言・九州方言を西日本方言(西部方言)とし、東海東山方言のうち岐阜・愛知方言(ギア方言)を含むこともある。静岡県は東日本に分類されることがある一方[8]、NTT西日本のエリアとなっている(富士川以東の50Hz地域ですらNTT西日本エリア)。これについては、名古屋と同じNTT東海のエリアだったことや東西間で資産規模や利用者数等を均一にするためと言われる。日本の交流電源の周波数は、西日本(九州電力、中国電力、四国電力)、中日本(関西電力、中部電力、北陸電力)では60Hz、東日本(東京電力、東北電力、北海道電力)では50Hzとなっており、両者の境界は静岡県の富士川と新潟県の糸魚川を結ぶ線である。詳しくは「商用電源周波数#日本の商用電源周波数」を参照。
西日本を冠する企業・団体名
読み方には「にしにほん」と「にしにっぽん」の二通りがある。
- 西日本旅客鉄道株式会社 - JR西日本。営業エリアは北陸地方(新潟県は北陸本線及び大糸線のみ)、近畿地方(三重県は関西本線島ケ原駅 - 亀山駅間のみ)、中国地方ならびに長野県と福岡県の一部。
- 西日本ジェイアールバス株式会社 - JR西日本グループ。
- 西日本電信電話株式会社 - NTT西日本。営業エリアは富山県、岐阜県、愛知県以西および静岡県。
- 西日本高速道路株式会社 - NEXCO西日本。営業エリアは近畿地方以西(三重県を除く)と福井県の一部。
- マックスバリュ西日本株式会社 - イオングループ。マックスバリュの近畿・中国地区の店舗を運営。
- 西日本放送株式会社 - 略称RNC。高松市に本社を置くテレビ・ラジオ兼営局。ラジオは香川県が放送対象地域、テレビ(日本テレビ系列)は香川県と岡山県が放送対象地域。
- 西日本鉄道株式会社 - 西鉄。福岡市に本社を置く大手私鉄会社。
- 西日本車体工業株式会社 - かつて存在した、西日本鉄道傘下のバス車体メーカー。通称「西工」。
- 株式会社テレビ西日本 - 略称TNC。福岡県を放送対象地域とするテレビ局(フジテレビ系列)。
- 株式会社西日本シティ銀行 - 福岡県の(第一)地方銀行。
- 株式会社西日本新聞社 - 福岡県の新聞社。西日本新聞・西日本スポーツを発行。
- 西日本工業大学 - 福岡県にある大学。
- 西日本短期大学 - 福岡県にある短期大学。
- 西日本短期大学附属高等学校 - 福岡県にある高等学校。
- 西日本システム建設株式会社 - 熊本市に本社を置く建設会社。
- 西日本電線株式会社 - 西電。大分市に本社を置く。
- 株式会社西日本シロアリ - 鹿児島市の害虫駆除業者。
- 西日本建設業保証株式会社- 公共工事前払金保証事業を営む。本社は大阪市中央区。全国の公共工事発注者の前払金保証を取り扱えるが、営業店舗は京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県以西の各県庁所在地に設置している(ただし、競合対策で東京都中央区に東京支店を、名古屋市中村区に名古屋支店を、それぞれ設置)。
西日本または同義語に由来する名称
- 西日本王座決定戦(各種競技)または西日本杯・西日本大会(企業名に由来するものを除く)
- ウエスタン・リーグ(日本プロ野球機構ファームリーグ)
- 西部方面隊・西部航空方面隊(自衛隊)
- 西国三十三所巡礼
- 西国街道
- 西日本図(伊能小図)
西日本を管轄区域とする駐日外国公館
諸外国の大使館は、首都である東京都区部に置かれることから、西日本を管轄区域とする駐日外国総領事館又は駐日外国領事館を、原則として大阪市に設置する諸外国がある。この項目では、西日本を管轄区域とする駐日外国総領事館(駐日外国名誉総領事館を除く)および駐日外国領事館(駐日外国名誉領事館を除く)を、管轄範囲に応じて列挙する。出典は、『外務省:駐日公館リスト』(アジア(東アジア・東南アジア・南アジアに限る)、北米、中南米、欧州(中央アジアおよびカフカス諸国を含む)、大洋州(オセアニア)、中東(西アジア)およびアフリカの7ページに分割して掲載)による。
- 親不知浜名湖線以西(富山・岐阜・愛知の各県以西)の全域又はほぼ全域を管轄区域とする駐日外国総領事館・駐日外国領事館
- 主に近畿地方以西の全域又はほぼ全域を管轄区域とする駐日外国総領事館・駐日外国領事館
- 主に近畿・中国・四国地方の全域又はほぼ全域を管轄区域とする駐日外国総領事館・駐日外国領事館
- 主に近畿地方の全域、ほぼ全域又は一部を管轄区域とする駐日外国総領事館・駐日外国領事館
- 主に九州沖縄地方の全域、ほぼ全域又は一部を管轄区域とする駐日外国総領事館・駐日外国領事館
- 主に中国・四国地方の一部を管轄区域とする駐日外国総領事館・駐日外国領事館
- 主に親不知浜名湖線以西の中部地方(富山・石川・福井・岐阜・愛知の各県に限る)の全域又は一部を管轄区域とする駐日外国総領事館・駐日外国領事館
付記
- 『JTB私鉄時刻表 西日本版』(JTBパブリッシング、2009年3月に第5号(2009年春号)を発行)には、名古屋圏・北陸地方(新潟県を除く)・関西地方・中国地方・四国地方・九州地方・沖縄地方の各鉄道会社(第3セクターを含む)の全列車の時刻を掲載している。この時刻表に掲載されている主な鉄道会社は、名古屋鉄道、近畿日本鉄道、京阪電気鉄道、阪急電鉄、南海電気鉄道、阪神電気鉄道及び西日本鉄道であり、市営地下鉄を経営する名古屋市交通局、京都市交通局、大阪市交通局、神戸市交通局及び福岡市交通局の時刻表も掲載されている。
- 『平成23年度大学入試センター試験 受験上の注意』によれば、大学入試センター試験の追試験場における西日本地区の管轄地域は、東海(静岡県を除く)、北陸(新潟県を除く)、近畿、中国、四国、九州、沖縄県となっている[10]。
関連項目
脚注及び参照
- ^ 平成22年国勢調査人口速報集計結果統計表 によれば西日本を構成する29府県(親不知浜名湖線より西側に位置する富山県・岐阜県・愛知県以西沖縄県以北の2府27県)の人口総数は、61,450,632人である。
- ^ 北部九州の商業広告において「西日本最大級」という表現がしばしばなされるが、この場合の「西日本」は中国地方・四国地方・九州沖縄地方を指していると思われる。
- ^ 谷岡武雄・山口恵一郎監修・三省堂編集所編『コンサイス日本地名事典 第3版』(三省堂、1989年12月発行)の「南西諸島」、「琉球諸島」及び「先島諸島」のそれぞれの項目によると、南西諸島は、大隅諸島、トカラ列島、奄美諸島、沖縄諸島(大東諸島を含む)及び先島諸島(宮古諸島、八重山諸島及び尖閣諸島の総称)から構成される。
- ^ 松村明編『大辞林』三省堂 (1989) ISBN 4-385-14000-6, 西国の項(一)の (1)
- ^ 例えば『ニューステージ 新訂 生物図表』(浜島書店、2002年12月発行)の189頁の「アカネズミの染色体分布図」によればアカネズミの染色体のグループは富山-浜松線を境に東西に分かれる。
- ^ 谷岡武雄・山口恵一郎監修・三省堂編集所編『コンサイス日本地名事典 第3版』(三省堂、1989年12月発行)の「西日本」の項目。
- ^ 秋庭隆編 『日本地名大百科―ランドジャポニカ)』 小学館 (1996) ISBN 978-4095231013, 西日本の項の(3)
- ^ 谷岡武雄・山口恵一郎監修・三省堂編集所編『コンサイス日本地名事典 第3版』(三省堂、1989年12月発行)の「東日本」の③によれば、「各種文化面からは, 新潟・長野・静岡3県以東の地。方言学上東部方言の地で, 親不知~浜名湖線以東をさす。」と記載されている。
- ^ 在日ロシア連邦大使館領事部、総領事館の御案内 によると、在日ロシア連邦大使館領事部の領事管轄区域は「関東地方(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県)、中国地方(島根県、山口県)、中部地方(静岡県、山梨県、長野県)、東北地方(宮城県、福島県)、四国地方(香川県、徳島県、高知県、愛媛県)、九州地方(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)、沖縄県」であり、在新潟ロシア連邦総領事館の領事管轄区域は「中部地方(新潟県、富山県、石川県、福井県)、東北地方(秋田県、山形県)。」である。領事管轄区域の地図 も参照すること。
- ^ 平成23年度大学入試センター試験受験上の注意を掲載