iPod shuffle
iPod shuffle(アイポッド シャッフル)はアップル社のiPodシリーズの一つとして発売された デジタルオーディオプレーヤーである。
概要
"すべて、偶然に任せよう。(Enjoy uncertainty.)" "Life is random." というキャッチフレーズと共に2005年1月11日のMacworld Conference & Expoで発表された。ストレージとしてハードディスクドライブではなくフラッシュメモリが採用された最初のiPodである。USBメモリのような使い方もできる。
iTunesの「オートフィル」機能を使用し、ライブラリのなかからランダムに選ばれた曲を転送することが可能で、転送された曲をシャッフルして聴くというコンセプトを前面に押し出している。なお、情報表示用の画面が無いためプレイヤー上で曲を細かく選んで聴く、というような使い方には向かない。
歴代モデル
第1世代
2005年1月11日(日本時間1月12日)に開催された「Macworld San Francisco 2005」にて発表され、同日から販売が開始された。 iPod mini発売時に起こった品不足がまたしても起こり、発売後しばらくは『少数入荷しては即完売』の繰り返しであった。日本では一般店舗へ安定して品物を供給できるまでに発売から約3ヶ月程かかった。その影響で皮肉にも一時的に他社の製品の販売を押し上げる現象も起きた。
512MBモデル(10,980円/$99)と1GBモデル(16,980円/$149)が用意され、その戦略的な価格設定から今までデジタルオーディオプレイヤーに手を出していなかった(出せなかった)層をもターゲットとしている。
他のiPodファミリーと違い、VFATをファイルシステムとして採用し、HFS+形式でフォーマットしたものは音楽プレイヤーとして利用することはできない(単なるUSBメモリとしての利用はできる)。
本体色はホワイトのみ。他のiPodと違い液晶画面を持たず、クリックホイールに似た外観のコントロールパッドで操作する。 iTunesから音楽を転送する場合、iTunesが本体容量の範囲内で曲をランダムに選択するオートフィル機能で作成されたプレイリスト、あるいはユーザーが任意に作成したプレイリストに則った曲を転送する。 そして本体裏面のスライドスイッチでプレイリスト通りの順番か、シャッフル(ランダム)再生させるかのどちらか一方を選択して音楽を再生する。ただし、ギャップレス再生には対応していない。
重さは22gと非常に軽く、大きさは100円ライターとほぼ同じ程度。 PCとはFirewireではなくUSB2.0で接続する。本体下部にUSBコネクタが設けられており、ドックなどを利用せずに直接PCのUSBポートへ接続できる。 転送速度はUSB1.1よりも若干速い程度である。
リチウムイオン二次電池を内蔵しており、電池の消耗度は裏側のバッテリーチェッカーボタンを押してLEDの色で確認できる(消耗具合により緑>黄>赤と色が変わっていく)。 USB端子に接続すれば充電が始まり、約4時間で完全充電される。 連続再生時間は約12時間。別売で専用バッテリーパック(単4乾電池2本使用、最長で約20時間分延長される)が用意されている。 乾電池使用時のバッテリーチェッカーボタン表示は緑の点滅となる。
iPod shuffleはUSBメモリとしての機能も併せ持ち、iTunesの設定画面でスライダーを使って音楽再生用メモリ領域とデータ格納用領域のそれぞれの容量比率を自由に変えられる。
また、音楽ファイルを必ずしもiTunesが管理するiPod_Controlディレクトリにいれる必要は無く、USBストレージ上の任意の場所に音楽ファイルを置いて再生用データベースを作成するソフトウェア[1]も存在する。
日本では昨年のiPod mini同様に2005年度グッドデザイン賞ベスト15に選出され、金賞を受賞した。
2005年6月28日、1GBモデルが14,980円に値下げされた後、2006年2月7日にiPod nanoの1GBモデルが発売された事に伴って1GBモデルは再値下げされて11,900円に、512MBモデルは7,900円に値下げされた。
第2世代
2006年9月12日、アップルは大幅な小型軽量化を実現した新iPod shuffleを発表した。本体サイズは第1世代の半分ほどである41.2×27.3×10.5mm、重量は15g。筐体は酸化被膜処理されたアルミニウム製。本体とクリップが一体的なデザインで、簡単に服などに取り付けられる。連続再生時間は12時間。
当初10月中の発売とアナウンスされていたが、販売開始は2006年11月3日からとなった。一部、オンラインアップルストアで予約注文していたユーザーへ11月1日に商品が届いていた。
容量は1GBの1モデルのみ、本体カラーはシルバー。価格は9,800円($79)。
再生・選曲などを行うコントロールパッドは変わらないが、第1世代では1つのスイッチで「電源OFF・プレイリスト順再生・シャッフル再生」を切り替えていたものが、第二世代では「電源OFF・電源ON」と「プレイリスト順再生・シャッフル再生」という2つのスイッチになった。前モデルで本体にあったUSBコネクタ(A端子)は無くなりイヤホン端子と兼用になったため、イヤホン端子をUSBコネクタに変換する専用Dockを介してパソコン等のUSB端子に接続し、充電や楽曲の追加を行なう。このDockは第一世代にあったiPod shuffle Dockとは別物で、イヤホン端子に差し込むプラグは4極(USBと同じ極数)となっている。また第一世代とは形状が全く異なるため、第一世代用アクセサリはそのほとんどが使用できない。
2007年1月30日(PST)には、追加カラーとして、ピンク、グリーン、ブルー、オレンジが発表され、翌日1月31日に販売された。
2007年9月5日(PST)にカラーバリエーションがシルバー(従来と同じ)、グリーン(従来より淡い)、ブルー(従来より淡い)、パープル、レッド("Product(RED)")に置き換えられた。 2008年2月19日(PST)に値下げが行われ、5800円になった。また、2GBモデルも発表。
純正アクセサリ
第1世代専用
- iPod shuffle Armband(3,400円)
- shuffleを腕に装着させることができる。軽運動中に最適。
- iPod shuffle Dock(3,400円)
- 本来、shuffleは直接USBポートに挿してPCとの同期や充電を行うことができるが、それをshuffleを縦に立てるようにして充電などを行うことができる。iPodシリーズ共通の電源アダプタと繋げば、これを用いて充電を行うこともできる。
- iPod shuffle スポーツケース(3,400円)
- 水滴、ほこり、振動からshuffleを保護することができる。ネックストラップのようにもできて、ケースに入れたままでもコントロールパッドの操作は可能である。
- iPod shuffle External Battery Pack(3,400円)
- 単4乾電池2本を用いて再生時間を約20時間延長させる事ができる。
- iPod shuffle Lanyard and Caps(2,200円)
- 標準添付されているストラップ型キャップ1個と普通のキャップ3個のセット。
第2世代専用
- iPod shuffle Dock (2006)(3,400円)
- 第2世代専用のDock。iPod shuffle商品パッケージの同梱物と同じもの。iPodシリーズ共通の電源アダプタと繋げば、これを用いて充電を行うこともできる。
サードパーティー製アクセサリ
他の iPod 同様にケースなどの他、第1世代 iPod shuffleをiPod Dock コネクタへ接続するためのアダプタや、 第二世代 iPod shuffle を、USB 端子へ "iPod shuffle Dock (2006)" なしに接続するためのアダプタが各社から販売されている。
Super Shuffle
「LUXPRO」という台湾の会社が第1世代iPod shuffleそっくりの「Super Shuffle」という製品を発表し、名前も「Super shuffle」というiPod shuffleを完全に意識した商品であった為に各所で波紋を呼んでいたが、都合上名前を「Super Tangent」と改名し台湾や日本で2005年6月に少数発売された[2]。
最初のバージョンの発売後の同社はディスプレイ内蔵タイプのTop Tangent・EZ Tangentを発表するなど独自の展開をする一方、見た目がiPod nanoに似た(あるいはオリンパスのm:robeに似た)Pico を発表したりしている。
AppleはLUXPROに対し公正取引法違反の販売差し止め請求を台湾の裁判所に2005年7月に起こしたが、1審では勝訴し一時的に販売が差し止められたが、2審と3審では敗訴した。逆にLUXPROが一審での販売差し止めの損害賠償1億ドルの請求訴訟をAppleに台湾の裁判所に起こすと2007年1月に発表した[3]。