「阪急2300系電車 (初代)」の版間の差分
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|画像説明 =阪急2300系 本線用表示幕装備編成(2007年4月、南茨木~茨木市間) |
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[[画像:Hankyu-Electric-Railway-2300series-EMU.jpg|thumb|250px|none|非表示幕の2300系(2005年3月19日、桂)]] |
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[[1978年]]から[[1981年]]にかけて冷房化および主回路の[[界磁チョッパ制御]]装置 (ES773) への更新が施工され、編成中間の先頭車両は一部を除き運転台・正面貫通扉・乗務員室用扉が撤去され、中間車両に改造されている。<div> |
[[1978年]]から[[1981年]]にかけて冷房化および主回路の[[界磁チョッパ制御]]装置 (ES773) への更新が施工され、編成中間の先頭車両は一部を除き運転台・正面貫通扉・乗務員室用扉が撤去され、中間車両に改造されている。<div> |
2010年5月5日 (水) 14:20時点における版
阪急2300系電車 | |
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阪急2300系 本線用表示幕装備編成(2007年4月、南茨木~茨木市間) | |
基本情報 | |
製造所 | ナニワ工機 |
主要諸元 | |
編成 | 7両(京都線)・4両(嵐山線) |
軌間 | 1,435 |
電気方式 |
直流1500V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 110 |
起動加速度 | 2.8(45km/hまで) |
駆動方式 | 中空軸平行カルダン駆動 |
歯車比 | 84:16(5.25) |
制御装置 |
抵抗制御(製造当初) 界磁チョッパ制御(更新車) 電機子チョッパ制御(C#2311、C#2331のみ) |
保安装置 | AF軌道回路方式ATS |
備考 |
阪急2300系電車(はんきゅう2300けいでんしゃ)は、阪急電鉄の通勤形電車である。
概要
本系列は、1960年(昭和35年)に神宝線用の2000系(既に編成としては消滅)の姉妹車として登場した。現在の阪急電車の基礎を築いた系列の一つであり、基本デザインは最新の9300系にも受け継がれている。
2000系との相違点は、当時神宝線の架線電圧が600Vであったのに対して、京都線が1500Vであったため当初より1500V仕様となっている[1]点と、2000系が東京芝浦電気製の電装品を採用しているのに対して、京都線は前身の新京阪鉄道時代から東洋電機製造製の電装品を使用しており、本系列もそれに倣ったことである。
形式は、制御電動車である2300形、電動車である2330形、制御車である2350形、付随車である2380形の4形式に分かれており、当初は2300 - 2350の2両編成を基本単位とし、京都線ではこれを2本連ねて4両編成で運転された。それゆえ中間車は1962年(昭和37年)以降の追加製作となっており、運転台の有無に関わらず(電動車・トレーラーとも)、同一形式に押し込んでいたために例外発生で管理上混乱が生じた2000系の反省から別の形式が新たに起こされて区分されており、判りやすい番号体系となっている。
1961年(昭和36年)には2000系とともに第一回鉄道友の会ローレル賞受賞車となる。1967年(昭和42年)までに78両が製造された。製造開始当時は特急専用車の2800系がまだ登場していなかったため、特急から普通まで幅広く使用されていた。
2009年(平成21年)現在、東海道新幹線の仮線を走行した唯一の現役系列でもある(新幹線の線路を先に走った阪急電車も参照)。
車体
2000系と共通のシンプルな構造の準張殻構造軽量車体を備える。
窓配置は運転台付きがd1D3D3D2、中間車が2D3D3D2(d:乗務員扉、D:客用扉)で戸袋窓なしの1300mm幅両開き扉を備え、側窓は伝統の1段下降式であるが、ユニット式の新設計品が採用されている。
新造時は1080mm幅の広幅貫通路が用いられていたが、1964年以降の製造車両は通常の貫通扉付きで製造された。後に広幅貫通路の大半が通常の狭幅貫通路に改造されている。
座席は低座面のロングシートで、現在でも通用する優れた座り心地であったが、特急運用時には並行する京阪電気鉄道の特急車がクロスシート主体で多客時には補助いすまで持ち込むサービスぶりであったことから不評を買い、これは特急専用車として2800系が投入される一因となった。
阪急伝統のマルーン塗装や木目調(マホガニー)の内装を受け継ぎつつ、現在まで続くデザインを確立した。
主要機器
制御器
本系列の制御器は電動カム軸制御器による抵抗制御と、ゲルマニウムトランジスタを用いた増幅器によってサーボモーターで円筒状に配された227段の界磁抵抗器(FR:Field Register)を超多段制御する分巻界磁制御を組み合わせて構成される東洋電機製造製ES-755Aで、これによって実現される定速度運転機能は50,65,80,90,100,105km/hと中高速域の6段階に指令可能であった。なお、認可最高速度が110km/hの京都線で指令速度が最高105km/hとなったのは、速度計の誤差許容範囲を2.5%見込んだ[2]ことと、下り勾配でパイロットモーターを用いる本制御器の追従遅れが発生する可能性があることを見込んでのものであった。
なお、起動加速度は2.8km/h/s(45km/hまで)である。
主電動機
主電動機は複巻補償巻線付き直流電動機である東洋電機製造製TDK-812-A[3]を採用し、これを1両分4個で永久直列接続にして使用された。なお、端子電圧340Vの永久直列から各主電動機にかかる定格電圧の合計は340x4=1360Vとなるが、これは最高速度で運転している状態から回生制動を使用した際に発生する電圧を低く抑えるための方策であり、約10%のマージンが確保されていることになる。
駆動システム
駆動システムは東洋電機製造が独自開発した、たわみ板による中空軸平行カルダンで、歯数比は84:16 (5.25) で神宝線用の姉妹車である2000・2100系が採用したWNドライブとは駆動音が異なり、静粛性ではこちらの方がやや勝っていた。
台車
本系列の台車は、同時期新造の2000系と同様に住友金属工業製のアルストーム・リンクおよびミンデンドイツ式金属ばね台車を標準とし、電動車は住友金属FS-333・345を、制御車および付随車は住友金属FS-33・45をそれぞれ使用した。また、1300系に引き続き本系列でも一部について汽車製造製のエコノミカルトラックと称する1自由度系軸箱梁式台車が試験的に採用されており、KS-65A・65B・71A・71Bの4種が装着された。KS-65系は京都線のライバルである京阪が2000系に採用したKS-63系とほぼ同一設計で、軸箱に巻かれた防振ゴム板が薄く特に高速走行時のビビリ振動が顕著であったが、KS-71系では増厚されて乗り心地の改善が図られていた。もっとも、これらはいずれにせよ金属ばね台車であるFS-345・45と比較して明確な優位性が得られるものではなく、軌道条件が優れた京都線では特に必要ないと判断されて以後は再びFS-345・45系に戻り、京都線では特急車である2800系の増結車に対するKS-74系シンドラー台車の追加採用という例外はあったものの、一般車向けでは3300系のFS-369・069まで空気ばね台車の採用は途絶えることとなった。
ブレーキ
ブレーキは複巻電動機採用のメリットをフルに生かすべく、常用タイプの回生制動機能が搭載されており、このため空制系もこの電動車による回生制動→電動車の空気ブレーキ→制御/付随車の空気ブレーキの順にブレーキに優先順位を付けて使用するHSC-Rとなっている。
集電装置
回生制動の失効を避けるべく、パンタグラフは離線対策として電動車各車に東洋電機製造PT-42-Lを2基ずつ搭載されることになったが、当初Mc-M-Tcの3連で新造されたグループは4基のパンタグラフが隣接して架線に悪影響を及ぼすのを避けるため、本来ならば2330形に取り付けられるべきパンタグラフ2基を隣の2350形に取り付け、高圧引き通し線で給電する、という構造となっていた。
但し、実際に運用を開始した後に各パンタグラフを流れる電流量の調査を行った所、回生制動時でも電動車2両でパンタグラフが2基あれば充分であることが判明したため、以後2350形のパンタグラフは撤去され、2330形は2300形から1500V給電を受ける様に変更されている。
変遷
1978年から1981年にかけて冷房化および主回路の界磁チョッパ制御装置 (ES773) への更新が施工され、編成中間の先頭車両は一部を除き運転台・正面貫通扉・乗務員室用扉が撤去され、中間車両に改造されている。
この時点で2311Fの2311および2331は電機子チョッパ制御 (RG608) の試験車となった。また、後年の改造により2313F以降の編成には種別・行先表示幕も取り付けられた。さらに、本系列は他の京都線車両より狭幅なため、ホームとの間に隙間が生じることから、それを埋めるためのステップが全車両の側扉に取り付けられた[4]。
1990年代では4両・6両・7両の編成を組んでおり、普通・準急・快速などで使用されていたが、2001年3月の改正で再び急行や臨時特急でも使用されるようになった。この時6両編成は7両編成化されている。
早期に編成自体が消滅した2000系と異なり、近年まで全車が在籍していたが、2000年春に電機子チョッパ制御器の試験車を組み込んだ2311Fが、続いて2001年1月には最後の2800系組み込み車であった2305Fが、そして2003年春には阪急最後の本線用表示幕非装備編成の2307Fが運用を離脱し、いずれの車両もその後廃車となった。これにより本線用表示幕非装備編成は消滅した。
2005年3月、5月の9300系の増備に伴って7両編成から3両を抜いた4両で組成した表示幕装備車の4両編成が登場し、表示幕非装備編成のうち4両編成1本 (2303F) と7両編成から抜かれた3両が同年8月に除籍された。また、第1編成の2301Fも9月23日に勇退イベントが開催され、10月18日をもって運用を終了し、中間車2両は他の余剰車4両とともに12月に廃車となった。なお、2301-2352は正雀車庫でのイベント公開で使用されるため保存されている。
2006年から本系列においてATS更新が行われ、2313F、2321F、2325Fの3編成が更新されている。
2007年3月の改正による7両編成運用削減により2315Fが休車され、同年7月には2317Fが休車となった。
2009年4月1日には、6300系への車両置き換えのため、嵐山線から撤退した。これにより、非表示幕車両はすべて運用を離脱したことになる。
運用
7両編成は京都線の準急、普通(各駅停車)、千里線(北千里 - 淡路間)の普通に使用されている。また、行楽シーズンに運行される臨時特急「いい古都エクスプレス」にも使用されていた。なお、2009年4月1日までは4両編成が嵐山線の線内折り返し列車に使用された。
大阪市営地下鉄堺筋線乗り入れ用の3300系が大量に新製された際、車両配置数調整のため一時的に神戸線に転属していた車両があり[5]、山陽電気鉄道の須磨浦公園駅で阪神電気鉄道の車両と並ぶシーンが見られた。その後、冷房車の配置バランスの関係から2000系が京都線に転用され、急行を主体に使用されたこともあった。これも車両規格を同一にしていたため可能になったことで、地下鉄乗り入れ規格に従う3300系以降や6300系以降の歴代特急車では車両限界の関係でこのような転属はできない。なお、堺筋線開業前は天神橋駅までの運用実績があった。
編成
当初は2300-2350の2両編成で登場し、2両 - 4両編成で使用されたが、その後乗客増加に伴う連結両数の増加に伴い1962年に中間電動車である2330形を組み込んだ3両編成が増備されて5両編成が登場し、さらには付随車の2380形を組み込んだ4両編成が登場するに至り、これらを自由に組み合わせる事で嵐山線での2両編成から最大8両編成による急行運用にも使用された。
ただし、冷房改造化後は5~7両編成でほぼ固定化され、嵐山線への転入によって再び4両編成が登場するなど、変化が見られた。
現在の編成は下記の通り。矢印は中間に組み込まれる先頭車の運転台(中間化改造車は撤去跡)の方向で、←は梅田向き、→は河原町向きを示している。
←梅田 | 河原町→ | 備考 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Mc2300 | M'2330 | To2350 | Mo2300 | M'2330 | T2380 | Tc2350 | |
2313 | 2333 | 2363→ | ←2322 | 2342 | 2392 | 2372 | ATS更新済み |
Mc2300 | M'2330 | To2350 | Mo2300 | M'2330 | To2350 | Tc2350 | |
2315 | 2335 | 2365→ | ←2320 | 2340 | 2355→ | 2370 | 休車 |
Mc2300 | M'2330 | Tc2350 | Mo2300 | M'2330 | T2380 | Tc2350 | |
2317 | 2337 | 2367→ | ←2326 | 2346 | 2396 | 2376 | 休車 |
Mc2300 | M'2330 | T2380 | To2350 | Mc2300 | M'2330 | Tc2350 | |
2321 | 2341 | 2391 | 2371→ | ←2316 | 2336 | 2366 | ATS更新済み |
2325 | 2345 | 2395 | 2375→ | ←2318 | 2338 | 2368 | ATS更新済み |
←桂 | 嵐山→ | 備考 | ||
---|---|---|---|---|
Mc2300 | M'2330 | T2380 | Tc2350 | |
2323 | 2343 | 2393 | 2364 | |
Mc2300 | To2350 | Mo2300 | Tc2350 | |
2309 | 2359→ | ←2310 | 2360 | 行先表示幕未設置 |
Mc2300 | Tc2350 | |
---|---|---|
2301 | 2352 | 動態保存 |