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「地上デジタルテレビ放送」の版間の差分

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2009年1月27日 (火) 16:34時点における版

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地上デジタルテレビジョン放送(ちじょうデジタルテレビジョンほうそう)は、地上(陸上)のデジタル方式の無線局により行われるテレビジョン放送のことである。

地上波デジタルテレビ放送日本における名称で、地デジ地デジ放送と略されることもある。

地上デジタルテレビ放送の画像イメージ(2004年11月 NHK大阪放送局施設見学会で)
中京広域圏のデジタル放送を送信する瀬戸デジタルタワー
2008年7月24日から実施する地上波アナログ放送終了告知マーク(NHK・民放各社で使用しているものとは異なる。)
2009年7月から始まり、2011年1月から完全実施する地上波アナログ放送レターボックス放送(イメージ)
注意:地上波アナログテレビ放送の終了日は2008年6月末の段階で、混乱防止のため2011年7月1日から24日までの間とすることが定められました。画像の期日は架空のものです。

概説(日本)

1953年に放送が開始されたアナログ方式のテレビジョン放送(NTSCVHF1 - 12chUHF13~62ch)を、「電波の有効利用」を主目的にUHFチャンネルのみを使用したデジタル方式(ISDB-T)に置き換えるもの(53 - 62chは2012年まで暫定使用し、その後はテレビ放送用としては廃止)である。

チャンネル帯域はアナログ方式と同じUHF帯だが、放送の方式が大きく異なるため、視聴するには地上デジタル放送に対応したデジタルチューナーを搭載したテレビ受像機(テレビ)、DVDレコーダーBDレコーダーハードディスクレコーダーなどの各種レコーダー、単体チューナー、パソコン類が必要である。

2003年12月1日11時より東京都名古屋市および大阪市の3大都市圏のNHK3局、民放16社から放送が開始され、2006年12月1日には全ての県庁所在地を含む一部の地域で放送が開始された。国の政策により、現在放送されている地上アナログテレビジョン放送は2011年7月24日までに放送を終了し、停波することになっているが、放送体制の未整備などにより、受信が不可能な地域もまだ数多く存在している。このため、停波予定日までに全ての地域で受信可能にすることを目標に、各地で送信所中継局の整備が進められており、整備が追いつかない一部地域向けに、通信衛星による送信やIP放送といった代替手段を利用することも検討されている。終了時期については、普及状況などによっては変更される可能性もある[1]が、総務省は、2008年3月に、「概ね2010年末までに従来のアナログ放送と同等のエリアを確保すること」との具体的指針を、官報で告示し、関係する基本計画を変更した[2]

停波予定とされている「2011年7月24日まで」の根拠は、電波法[3]が2001年7月25日に改正施行された際に、地上アナログ放送の周波数を使用できる期間を施行から10年を超えない期間と定めたことによる。尚、2008年10月末の放送局の再免許の際、アナログテレビ放送の免許有効期限が2011年7月24日となっている。しかし、2009年1月7日には景況悪化を受け、普及率の高い地域から前倒しでアナログ放送を終了する方向に傾きつつあった方針を転換し、2011年7月24日以降もケーブルテレビ網を介してアナログ放送が視聴可能になる措置を取ることが発表された[4]

これに伴い、空きとなるVHF 1 - 12chとUHF 53 - 62chの周波数帯は、地上デジタル音声放送(地上デジタルラジオ)、高度道路交通システム(ITS) 、携帯電話、携帯電話向けの放送、業務用通信、公共機関向け通信などに使用する予定である。ただし、地上デジタル音声放送については、放送統合運営会社の設立延期と総務省の周波数割り当て計画の見直しのため、時期は確定していない。

特徴など(日本国内)

従来の地上アナログテレビ(左)と地デジ(右)の比較

地上デジタルテレビジョン放送と地上アナログテレビジョン放送の違いや、追加された機能は以下の通り。一部の特徴は、規格上はBSデジタル放送と同等である。

高精細

MPEG-2 TS圧縮による 1125i / 1080i のデジタル・ハイビジョン放送が行われている。解像度は1440×1080i(一部の局は1920×1080i)、最大16.8Mbpsデータ放送・音声を含む。GI=1/8,64QAM3/4,12Segs時)のビットレートでほぼリアルタイム圧縮されている(なお、1920×1080iでの放送も多いBSデジタル放送は、最大24Mbps(データ放送・音声を含む。24スロット時)のビットレートとなっている)。しかしながら、MPEG-2より高圧縮な動画圧縮規格であるH.264の使用によってさらに高画質化が可能[5]次世代DVDと比べた場合、画質は劣る。なお、ハイビジョンで制作されていない番組はアップコンバートによりピラーボックス形式で放送されている[6]

高音質・多機能音声

デジタル放送のため、十分な利得の余裕をもって受信出来れば、電波障害による音質劣化がほとんど生じない。また、キー局などからのネット番組でも光ファイバーのデジタル中継回線を使用して送られているため、音質劣化がほとんどない。音声はMPEG-2 AACで圧縮されている。アナログ放送ではモノラルでの二か国語放送かステレオの一方でしか放送が不可能だったが、ステレオによる二か国語放送や5.1chマルチ・チャンネルでの放送も可能になった。

電子番組表、番組情報

電子番組ガイド(EPG)により受信機で番組表や番組情報を利用できる。地上アナログ放送用にDVDレコーダーなどで利用されているGガイドADAMSによる番組表よりも更新頻度が多く、留守録の時も録画機器が対応していれば番組放送時間の延長やズレにも正しく追随が可能となっている。

データ放送

テレビ番組と同時にデータ放送の閲覧が可能である。BMLという規格を用いて制作されている。基本的にはニュース天気予報が表示でき、受信機で設定した地域情報に合った情報が配信される。また、一部では番組の解説や紹介された店舗などの情報を連動データ放送として番組放送中に提供している(Category:データ放送連動番組も参照)。局によっては受信機インターネットに接続して受けるサービスもある。

データ放送のフォーマットは地上デジタル放送・ワンセグともにキー局が製作し、各地方局でローカル情報を追加するのが基本である。独立局では各局が個別にフォーマットから制作している。ただし日本テレビ系列での日本テレビと系列地方局の様に、同じ系列でもフォーマットが違う場合がある。

また、データ放送を利用してテレビやDVDレコーダーなどの機能を向上したり不具合を修正するファームウェアを配信することが可能である。電波が受信できる状態であれば視聴者は特に意識することなくファームウェアが最新の状態に更新される。

双方向サービス

青・赤・緑・黄の4色ボタンを利用して視聴者参加型クイズアンケート、投票を行う事ができる(ワンセグも含む)。ただし、双方向と言っても受信機から局に向けて電波を飛ばすことはできないので、インターネット電話回線を接続する必要がある。

しかし、多大なコストが掛かる事や、2011年7月24日までに予定されている地上アナログ放送の停波実施までの期間は地上アナログ放送とサイマル放送をする都合上、通常編成で導入している番組は、ワンセグ以外ではNHK総合テレビの『生活ほっとモーニング』(月曜日のみ。ただし、祝日は番組自体休止となる。)と日本テレビ系の『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。』しかない。以前放送されていた番組では、テレビ朝日系の『奇跡の扉 TVのチカラ』が双方向機能を利用して捜査依頼や目撃情報を受け付けていた。現在でも特別番組で採用する事がある(NHKの『紅白歌合戦』『歴史の選択』、TBS系の『オールスター感謝祭』、テレビ朝日系の『テスト・ザ・ネイション』など)。

マルチ編成

SDTV(標準画質映像)×最大3番組の編成が可能。1チャンネル当たりの帯域幅には制限があるので、高精細度テレビジョン放送とマルチ編成はどちらか一方のみとなる。したがって、「ハイビジョン画質でマルチ編成」はできない。

特別番組や臨時編成では他の放送局(NHK総合・民放共)も行う場合がある。毎日放送は地デジ本放送開始当初は通販番組板東英二の欲バリ広場』において、NHK静岡放送局のデジタル総合テレビは2006年4月2日から2007年3月9日まで『ゆうどきネットワーク』と『ゆうどきネットワーク東海・北陸』において、テレビ愛知は2007年3月まで深夜の音楽番組『a-ha-N varie』と『a-ha-N suprême』においてそれぞれマルチ編成を行っていた。民間放送でのマルチ編成が少ないのは、編成上ハイビジョン画質CMの放送が困難になることも一因である。

視聴者は、同じ番組内で3種類のアングルの映像から好きなものを選択できる「マルチビュー」放送も視聴可能。2007年11月までNHKデジタル教育テレビ(全国)、TOKYO MXテレビ放送大学のみだったが、総務省のデジタル放送規制緩和に伴い2007年12月より全国でマルチ編成を開始。

ワンセグ放送でも、マルチ編成は一部の局で開始された(詳細はワンセグを参照)。

移動体向け地上デジタル・テレビジョン放送

ゴーストのない映像およびノイズ

アナログ波より電波障害全般に強く、アナログ放送で電界強度が十分でありながら画質が劣化してしまう条件であっても、デジタル放送では障害物の影響を排除してゴーストのない鮮明な画像が受信できる。ある程度の受信レベルさえ確保できれば難視聴地域の減少も可能となり、中継局の合理化にもつながる。従来のアナログ放送の場合、電波が微弱であってでも不鮮明な映像や音声で限定的に受信する事ができたが、デジタル放送の場合は全く受信できないか、鮮明に受信できるかのどちらかになる場合が多い(中間状態においてはベリノイズコマ飛びなどを伴う場合がある)。しかし、ブロックノイズモスキートノイズなどのデジタル非可逆圧縮映像特有のノイズが存在する。また、BSデジタル放送よりも実効ビットレートが低いためにこれらがより多い。

リモコンキー番号とチャンネル番号

日本の地上デジタルテレビジョン放送では、放送波の中にSI情報を含めて送信しており、郵便番号などで地域設定をした受信機でその情報を受ける事で、受信した放送をリモコン上の特定の番号に割り当てる事ができる。この番号は、その放送が受信可能とされる対象エリア内で放送局毎に1 - 12のいずれかがリモコンキーIDとして割り当てられている。割り当ての設定自体はほとんど自動で行なわれ、一般的に地上アナログ放送の場合より容易である。リモコンキーIDとは別に 000-999 の3桁のチャンネル番号もあり(ただし、010番台 - 120番台の上2桁はリモコンキーIDの1 - 12と連動させた扱いになっている)、この点は地上アナログ放送より複雑である(物理チャンネルなど、ISDB-Tも参照のこと)。

同一周波数中継(SFN)

親局・中継局が同じ周波数で放送が可能である。これにより電波の利用効率を大幅に高める事ができる。特に近畿地方で多く見られる。

遅延問題

地上波デジタルTV放送では、従来の地上波アナログTV放送ではなかった圧縮とその解凍と呼ぶ信号処理による映像・音声の遅れが発生する。つまり、放送局側で放送番組の映像音声情報をデジタルTV放送形式の信号に変換するエンコード処理と、各家庭等のデジタルTVチューナーで受信した電波をテレビで表示できるようにするデコード処理を行なう必要があり、実際の生放送でのタイミングより1 - 3秒(札幌地区以外の北海道地方では4秒)程度のタイムラグ(時間のずれ、遅れ、time lag)が発生する。受信時のデコード処理による遅れはチューナーの処理能力に依存する。このため時報が廃止され、時刻出しでは時刻表示の変化の仕方を変えるなどして、タイムラグによる影響を最小限に留めている。特にワンセグ放送はH.264の演算量が多いことに加え、携帯機器での使用が多くデコーダーの性能を確保しにくいことから、タイムラグがさらに長く発生する。地上波とBSの同時放送では地域にもよるが、BSデジタル放送よりもさらに若干タイムラグが発生する。

使用機器でタイムラグがあるが、機器であるデジタルチューナーや携帯がどのように性能を伸ばしても基本的にはタイムラグが0(地上波アナログと同等)になることはない。圧縮方式の問題もあり、根深い問題である。

緊急地震速報の場合、アナログテレビ放送に比べて約2秒遅れることが明らかになっている[7]。2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震でこの問題が明るみに出た。この遅延問題の解消を目指して、総務省放送局および電機メーカー圧縮を施さず速報を送信するように2008年9月から見直しを検討する。緊急地震速報はデータ量が少なく、映像や音声が乱れる悪影響はないと見込んでいる[8]

時刻情報

各放送局は "TOT"(Time Offset Table)と呼ばれる時刻情報を、映像や音声とは別のエンコード方法で、自局の映像信号に圧縮無しに多重送出することを義務づけられている。これを使って、地上デジタル受信機は特に遅延のない電波時計を内蔵しているかのように動作し、電子番組表のデータと連動して視聴予約・録画予約機能、番組名表示機能に生かされる。

サイマル放送の制限

地上デジタルテレビジョン放送局の免許は「地上デジタルテレビジョン放送局の免許方針」に沿って割り当てられる。同方針に規定する免許の基本的要件として、アナログ放送との間にサイマル放送に関する制限が設けられており、「自ら行う地上アナログテレビジョン放送の大部分の放送番組を含めて放送するものであること」である事が求められている。具体的には「自ら行うアナログテレビジョン放送(補完放送を除く)と同一の放送番組の放送(略)については、1日の放送時間中、3分の2以上の時間で放送が実施されるもの」でなければならないとしている。

B-CASによる機器認証

BS 110度CS 地上デジタル共用B-CASカード

日本では2007年現在、主にコピー制御の基準に対する機器認証システムとしてB-CASを利用している。様々な基準を満たした地上デジタル放送対応の各種機器には、“B-CASカード”というICカードが同梱され、使用開始の際にこれを機器に挿入する。これは容易に取外しが可能で、同梱されていた機器以外でも使用することができ、機器認証としてはセキュリティ強度の弱いシステムであり、フリーオのような機器によって破られた。これは元々B-CASカードが限定受信システム(CAS)として開発され、それを機器認証システムに流用したためである。このシステム上で放送されているコンテンツ(番組など)は暗号化された状態で視聴機器に届いているので、地上デジタル放送では災害情報番組など一部を除き対応機器にB-CASカードを挿入する事が必須になり、挿入しないと視聴などが不可能になった。

一部報道によると[9]、2008年秋頃をメドにB-CASカードが担っている機器認証機能をテレビ本体(のファームウェア)に組み込み、視聴するだけならB-CASカード(および抵抗感の根強いユーザー登録制度)を不要にする予定である。これにより、放送局が負担している[10]ICカード発行配布などに関わるコストを低減し、移動体向け地上デジタル放送受信機の開発も容易になると思われる。また、取外しが困難になるので機器認証としてのセキュリティ強度も向上する。2007年8月31日、インテルハードによらないソフトCAS方式の導入を目指す事を表明した[11]

地上デジタル放送ではB-CASのユーザー登録をしなくても、BSデジタル放送の様にNHK視聴中のテレビ画面左下には「ユーザー登録のお知らせ」は表示されない[12]

B-CASカード廃止の提案策には、コピーフリーになるどころか、「著作権」を保護するため、コピー禁止(コピーネバー)も考案されていて、以前にあった「コピーワンス」よりも規制される見込みである。コピーネバーは録画を一切禁止するものである。

また、B-CASは有料であり、その運用についてはさまざまな問題があげられている(詳細はB-CASを参照)。

コピー制御

日本のデジタル放送では2007年現在一部の番組を除き、著作権に配慮した業界内(放送・機器製造メーカーなど)で合意された自主規制ルールに基いたコピー制御信号が付加されており、視聴者が放送番組を機器で録画する際には幾つかの制限を受ける。放送開始当初は暗号化およびコピー制御は行われていなかったが、2004年4月5日に運用が開始され、ほとんどの番組は「コピーワンス(1回だけ録画可能)」となった。

前述のコピー制御の仕組みには著作権保護技術(詳細はコピーガードの記事を参照)としてCGMSが使用されている。これにより、デジタル放送の番組をデジタル信号のままで録画・複製(視聴者が番組を録画することは、放送番組の1度目の複製という解釈になる。)や移動を行う場合に対して許可や禁止の制御を行っている。CGMS の録画・複製についての具体的な制御の種類は、「コピーフリー(録画自由)」、「コピーワンス」、「ネバーコピー(録画禁止)」があるが、「ネバーコピー」については2007年現在、採用されている番組の例は確認されていない(例外として、TOKYO MXのOP・EDがネバーコピー形式で放送されている。局名告知としての放送ではネバーコピーではない)。また、コピーワンス制御信号が含まれた番組は、CPRM技術に対応したデジタル録画器や記録メディアで記録・保存(録画)・移動が可能になっており、CPRMに非対応のデジタル録画機器では、録画・複製・移動が全て不可能か全て可能になる。

デジタル放送の録画にアナログ信号による録画機器を使用(受信機・受信回路からアナログ信号として出力[13])した場合、放送信号に含まれるコピー制御信号はCGMS-A信号として出力されるが、アナログ録画器機側の動作上ではコピーワンス信号による制限は受けない。ただし、CGMS-A信号を無効化してしまう一部の特殊な機器・機種を除き、通常はCGMSの制御情報は有効になったまま伝送・記録される。従って、一旦アナログ録画をした番組を再度デジタル録画機器に取り込んで録画した場合、最初からデジタル録画した場合と同様に、CGMSの制御による番組の複製・録画や移動に対しの制限を受ける。

利用者負担で膨大な費用をかけて構築した割には、コピー制御の実効性は皆無であるといえる。現状でもコピー制御が無いワンセグに比べ、コンピュータなど様々な機器において地上デジタルテレビを見られるようにするには、実効性の疑われるコピー制御の担保をいちいちしなければならず、相当の費用負担を製品本体や記録メディアにかけなければならない。

一方、強力に利用者に負担のかかるコピー制御を採用した割には、合法だといわれるフリーオなどの機器によりあっさりその存在が無効になり、世間に対して相当な費用負担をかけた割に使い物にならないという無効さを示した。

現状では、どんどんコピーはされてしまっており、全く役には立ってない(コピーをアップロードしたとしてファイル共有ソフトで逮捕者が何人か出ている事でその存在は公式に確認できるが、こうした逮捕に至るケースは、氷山の一角に過ぎないとも言われている)。一方、一般的利用者が不便を強いられて、フリーオ等の機器でコピー制御を回避できた者だけが利便性を享受できるという構図になってしまっている。また、コピーを完全に防ぐ事は事実上不可能だという現実を踏まえ、テレビ各局では、著作権主張のため、ウォーターマークが採用されている。

録画機器側でのコピー制御の仕組みの詳細については、DVDレコーダーなどの当該録画機器の関連記述やコピーガードの記事なども参照。

ダビング10

このコピー制限については、アナログ放送と同様の利便性をデジタル放送にも求めるユーザーからの不満の声が強かった(B-CASの関連章なども参照)ため、1回しか録画できない「コピーワンス」をコピー9回さらにムーブ1回の合計10回まで可能とする回数緩和策(「ダビング10」)の実施を、2007年7月に総務省が要請。これを受けて電子情報技術産業協会は2007年12月20日、「ダビング10」に基づく放送の運用開始を2008年6月2日午前4時と発表した。その後、録画補償金の問題をめぐって電機メーカーと著作権団体が対立したことから、一旦は無期限延期となったが、改めて2008年7月4日午前4時から運用開始すると発表された。

消費者団体や家電メーカは緩和を、一方、著作権団体や放送局は3回程度までの制御規制を求めていた。この9回+1回という制限条件は、家族3人が3通りの機器(DVDレコーダ、携帯電話、音楽プレーヤー等)にダビングやコピーを行う利用条件を必要十分に満たす程度のものとして考案されたもの。ただし、この規制緩和採用後も海賊版や不正コピーが増えた場合は、更に制御のルールを見直すとしている。また、衛星放送の有料デジタル放送については著作権に配慮し、既存のコピーワンスが引き続き継続される。しかし、孫コピーは従来通り不可能(ただし、コンポジット端子S端子などのアナログ接続を介する場合は、孫コピーが作成できる可能性もある)なままであり、たとえばHDDレコーダーから記録型DVDなどにコピーした段階でレコーダーが破損、DVDのみにしか映像が残されていない状態になると、そのDVDからのコピーはできず、DVDが破損した段階で記録が失われるという問題が発生する可能性がある。特に、近年増えてきている中国韓国台湾など新興工業国生産のディスクメディアの中には粗悪な製品もあり、録画、あるいはムーブ時は正常に番組等が記録できていたにも関わらず、ディスクメディアが短期間の間に劣化し再生不能になるという問題も起きている。

字幕放送

地上アナログ放送では、文字多重放送の一つとして行われている字幕放送が引き続き行われている。この機能の受信機器への搭載率は地上アナログ放送よりも高い。日本語英語など多カ国語での放送も可能である。

字幕スーパー機能

映像信号とは別にニュース速報などの字幕スーパーの信号を放送にのせ、映像と合成して視聴者に見せることができる。受信機によってはこれは録画されない。地上デジタル放送開始当初はテレビ東京で使用が確認された。この機能はB-CASカードのID番号によって表示の有無を制御できる。これを利用して、NHKがBSデジタル放送では既に実施されているテレビ画面の一部に未登録者へ住所登録を促すメッセージを割り込ませる、新たな受信料未契約・不払い対策の検討に入ったと報じられた[14]

緊急警報放送

緊急警報放送が地上アナログ放送に引き続き行なわれている。

イベントリレー

スポーツ生中継など延長番組を別のチャンネルで行う場合、それを案内してくれる機能。録画機によっては自動的にそれに従い追従録画してくれる。

名称

地上波によるテレビジョン放送について、デジタル放送の開始が決定した当初、市場では「地上波デジタル放送」と呼称していた。その後、総務省が「地上デジタル放送」を呼称としたことにより、2002年12月頃より放送事業者側でも「地上デジタル放送」と呼称を変更している。その他メディアでは語感が良い、使い慣れているなどの判断から現在でも「地上波デジタル放送」と呼んでいるところもある(デジタル放送の一覧」の項目も併せて参照のこと)。

略称の「地デジ」は、公式な読み方は「ちデジ」となっている。一時期「じデジ」という読み方が用いられていた例もある[15]

受信方法(日本)

対応機器

地上デジタル放送対応のテレビ受像機ハードディスクレコーダー、単体チューナーあるいはケーブルテレビセットトップボックスが必要となる。PC用地上デジタルチューナーが2008年5月に発売されている。

地上デジタル放送はUHF帯の周波数470MHzから770MHz間の帯域で無線放送されるが、対応機器の仕様はこの帯域にしか対応していないものと、より広帯域の90MHzから770MHzまで対応とするものがある。後者はケーブルテレビ (CATV) でのUHF帯域外周波数変換パススルー方式でも視聴可能である(#ケーブルテレビでの受信を参照)。機器の仕様に受信可能範囲が「UHF13-62」と記載されている場合は前者である。「CATVパススルー対応」と記載されている場合は後者である。

テレビ受像機

テレビ受像機は、23 / 20型以上のものが大半で、それ以下の小型モデルのラインアップが2006年中盤までは少なかった事も普及の妨げになっている。

ハイビジョン画質で視聴できるかどうかは受像機の性能による[16]。また、既存のアナログ放送用の受像機にデジタルチューナーをつないで視聴する場合は、受像機がハイビジョン画質を再現できる能力を持つ事の他に、受像機とチューナーのHDMIケーブルやD端子ケーブル、コンポーネント・ケーブル接続など、ハイビジョン画質を伝えられる接続方法を採らないとハイビジョン画質にはならない。中にはコストダウンのため、解像度を525p, 525iに落としているチューナーを内蔵する受像機(ソニーの2004年前後の地上デジタル対応テレビなど)も少なからず存在する。

いわゆる激安薄型テレビの中には、BS・110度CSデジタルチューナーを搭載せず、地上デジタル・アナログチューナーのみを備えているものが多い。また、こういったモデルはデータ放送と双方向機能を持たない。

モニター・テレビやプログレッシブ・テレビなどと呼ぶ一部のハイビジョン・テレビは地上デジタル対応しておらず高品質画面を目的としたものもある。この種のテレビは、別途、地上デジタル放送に対応した単体チューナーなどの機器が必要となる。

DVDレコーダー

多くの場合、BS・110度CSなど衛星放送の受信やDVDHDD への録画、#双方向サービスの利用も行え、機能は豊富で録画が行える。従来型ではDVDへ録画・移動した場合は標準画質となるが、2007年にDVDにもハイビジョンで保存できる機器が登場した。ハイビジョン画質で録画・移動が可能なBlu-ray Discを記録メディアとして使用できるBDレコーダーが2008年から本格的に普及し始めた。この他HD DVDレコーダーも存在する。

また、この種の録画機は従来からのテープ方式録画機同様、映像出力として「コンポジット映像出力端子」、「S映像出力端子」、D3/D4などの「コンポーネント映像出力端子」を基本として持つが、2007年頃から「HDMI出力端子」の搭載がほぼ標準となっている。

2008年3月現在、DVDレコーダーは安いもので4,5万円台で販売されている例もある。

チューナー代わりに使用する場合は、起動に時間が掛かる機種が多いことや、4:3テレビへの対応(パンスキャン、サイドカット機能)が十分考慮されていない機種があることが難点である。

単体チューナー

チューナー」とは、放送を選局する機器またはその機能を言う。「単体チューナー」は録画機能・画像表示機能が無い機器。2007年7月現在、市販されている地デジ単体チューナーはワンセグ対応のものや車載用を除けば、ハイビジョン番組をハイビジョン映像信号で出力するものがほとんどである(2008年6月現在の市場実売価格:9000円程度)。

2007年末の最も低価格なチューナーは、ユニデンのDT100-HDMIとピクセラのPIX-XT030-P00の2製品で2万円弱で販売されている[17]

現在、単体チューナーを生産しているのは日立製作所(「IVR-1000」の1機種。iVDR対応なので、外部機器を接続しなくてもチューナー単体で録画も可能。)、パナソニック(「TU-MHD500」と「TU-MHD600」の2機種)、ソニー(「DST-TX1」の1機種)、シャープ(「TU-HD200」の1機種)、マスプロ電工(「DT610」と「DT400」の2機種)、ユニデン(「DT100-HDMI」と「DT300」の2機種)、アイ・オー・データ機器(「HVT-ST200」の1機種)、船井電機(「DIR510」の1機種)、オリオン電機(「DHV-T33」の1機種)の9社のみで、OEM製品を含めても種類は少ない。なお、ユニデンの初代モデル(八木アンテナ・AVOX・DXアンテナにOEMあり)は地上デジタル専用で、データ放送と双方向機能に加えてEPGも搭載していない(番組情報の表示は可能)。また、マスプロ電工のモデルはHDMI出力や光デジタル音声出力を搭載していないため、5.1サラウンドはできない。商品化されているのは、低価格の地デジ放送専用のものと、より高価だが地デジ放送に加えて110衛星放送のBS・110度CS受信可能のものがある。デジタル衛星放送も受信可能なものは、地上デジタルチューナー内蔵録画機の価格帯に近いものもある。

出力として「コンポジット映像信号出力端子」を基本として持つが、更に多くの出力方式を備えている。これらは、S映像出力端子、D3/D4などD端子コネクタ、コンポーネント映像信号の出力端子(緑、青、赤の3色、市販品でこの端子を持つ機種は少ない)、HDMIコネクタと呼ばれる。多くの機種はD1/D2/D3/D4までの出力機能を持ち、基本的にD3端子を備え、一段優れるD4端子のものもあり、固定と選択切り変えが行える。HDMI端子を備える機種は少ない(2008年1月現在)[18]

簡易地デジチューナー
  • 総務大臣諮問機関である情報通信審議会で、2007年8月2日に出された第4次中間答申の中の「受信側の課題」の1つ、「超低価格チューナーの不在」という問題がある。この答申の中で具体的な提言として「2年以内に5,000円以下の簡易な地デジチューナー等が……望まれる」としている。この提言を聞いたメーカー側は大反発した。5,000円以下ではほぼ作れないからである。
  • 2007年12月25日 - 総務省デジタル放送推進協会は「簡易地デジチューナー」製品の仕様のガイドラインを公表した。このガイドラインを基に、価格は5,000円以下を想定し2009年度中に発売するように家電メーカーに呼びかける。仕様ではハイビジョン映像やデータ放送は受信できず、画質は現行のアナログテレビと同等の標準画質となり、1台のアナログTVに1台の地デジチューナーが必要となる。また、2011年7月の地デジへの完全移行後も最大1,400万台のアナログTVが残ると予測され、安価な地デジ簡易チューナーを発売して大量のアナログTVの廃棄を避けることも考えている(外部端子入力必須)[19][20][21]
  • 超低価格チューナーの概算コスト(2007年末での価格、日経エレクトロニクス誌作成)
    上記の部品等の原価だけでも4,000円以上になる。これにメーカーの製造経費と利益、販売店利益、配送コスト、アフターサポート経費、安全審査費用、更に宣伝経費なども加えると5,000円以下ではとても販売できない。2年後に半導体チップの価格が下がっても、全体コストの変化はほとんどない。ただ、2011年の直前になって台湾や韓国のメーカーが数百万台~数千万台という日本の需要を目当てに、シリコンRFチューナーとISDB-Tの機能をすべて1チップに搭載した半導体チップおよびソフトCAS認証化で超低価格化を行い、5,000円というチューナーが現れる可能性がある[17]。日経エレクトロニクスが2008年に日本国内メーカーの状況を取材した感触では2009年夏の段階で最も下がっても8,000円程度ではないかとしている[22]
  • 低所得者への対策として、2009年度から生活保護世帯に地デジチューナーを無料配布する案が検討されている[23][24]。総務省は2008年8月末に2009年度の生活保護世帯向け地上デジタル放送の支援予算として128億円を要求し、2009年度に40万世帯、2010年度で残る80万の生活保護世帯に地上デジタル放送を視聴できるようにするとしている。予算にはアンテナ設置支援も含まれる[22]
  • 2008年7月19日 - 同日のasahi.com(朝日新聞社ニュースサイト)の報道によると、NECエレクトロニクスが、大規模集積回路(LSI)の生産コストを半分にする技術の開発に成功し、この秋にも国内のチューナー製造メーカーに供給することがわかった。NECエレクトロニクスは、この技術により、チューナーの5,000円程度での販売を目指すとしている[25][26]。NECエレ社のWeb上でも「簡易なチューナーで大幅コスト削減に貢献できる」とされていたものが、トーンダウンして、このニュースによって外部からNECエレ社に対して「すぐに5,000円チューナーが実現出来るような誤解を与える」というクレームがついたのか、2008年10月現在は「本LSIの価格は未定であります。また、簡易なチューナーは、今回開発されたLSI以外にも多くの部品やソフトウェアで構成されることになります。従い、簡易なチューナーの価格に関しては、弊社のLSI価格だけでは決まりません。」と変更された。[27][22]
車載用チューナー

自動車に搭載されたディスプレイカーナビゲーションなど)に地デジチューナーを接続することにより受信が可能になる。ただし、ディスプレイにおいてハイビジョン(HD)映像に対応した機種は発売されていないためハイビジョン映像で見ることはできない。移動体での受信のため電波が滞る場所では自動的にワンセグに切り替わる機能を持つものも存在する。

機器接続方法

他の映像機器と地上デジタル対応機器に共通する端子を接続して使用する。下記の先に書かれた方式の端子を使用したほうが一般により高機能、高性能となる。D端子、コンポーネント端子はほぼ同等である。S端子以下は標準画質となる。それ以外の端子でも標準画質となる場合もある。詳細は各項目を参照

映像・音声・制御等の接続方式
HDMI端子D端子コンポーネント端子S端子コンポジット映像信号端子、RF端子

共通する端子がない場合はコンバーターや変換コードを用いる。異なる方式の端子の同時の接続が行えない機種もある。

これら各方式の映像出力端子は各社機種により方式ごと1系統1端子1系統2端子があり、1系統2端子の場合、2台の機器に同時に接続でき出力される。また先に書かれる方式順の端子であるほど2端子まで備える機種は少ない。

アンテナなど受信設備

地上デジタル・テレビジョン放送はUHF帯で放送されるので、アンテナ受信で視聴するにはUHFアンテナ(八木・宇田アンテナ)の設置の必要がある。地上アナログ放送も受信する地域の送信チャンネルによって、ローバンド(13~44ch メーカーによって異なる場合がある)、ハイバンド(25~62ch メーカーによって異なる場合がある)、オールバンド(13~62ch)対応のアンテナを選択する。また、ローバンドまたはハイバンド対応アンテナでアナログ放送を受信していた場合は、それぞれハイバンド、ローバンド対応アンテナを追加設置すればよい場合もある。新規に購入する場合は地上デジタル対応のアンテナが勧められるが、実際は従来のUHFアンテナでも(帯域が合えば)問題なく受信できる確率が高い。最近では放送区域内(強・中電界地域(電界強度60dB以上))向けに八木・宇田アンテナより小型で特殊なUHFアンテナが各メーカーから発売されているが、見た目を重視した製品で、これらのアンテナを必ずしも用いなくてもよい。地上デジタル放送が計画された後に製造されたアンテナで、地上デジタル放送にも使用できるオールバンド対応製品は、アンテナ先端部のキャップか、またはケーブル接続部の防水カバーが黄色になっていて古い非対応なものと区別しやすくなっている[17]

UHF帯に移行するための問題として、首都圏などで築年数の経っている家屋や古いマンションなどでは、共聴設備などがVHF[28]やUHFの一部チャンネル[29]にしか対応していないケースがあり、設備改修費用の捻出が問題となっている。一部のマンション管理組合からはその莫大な費用に、国の負担を求める声が上がっている。

また、これまでのアナログ放送とデジタル放送の送信所が大きく離れている場合は、アンテナの向きを変更する必要がある。例として、名古屋市ではアナログ放送は名古屋テレビ塔(VHF)・東山タワー(UHF)だったがデジタル放送は瀬戸デジタルタワーに、福岡市ではUHFで放送していた福岡放送TVQ九州放送鴻巣山からの送信だったが、デジタルは全局福岡タワーからの送信となり(これまで福岡タワーはVHFのみだった)、アンテナの向きを変える必要がある。

さらに首都圏では、建設中の東京スカイツリー(旧称「新東京 タワー」)への送信所移転が実現すると、従来の東京タワー向けUHFアンテナの向きを変える必要性が生じる世帯が続出する事になる。とくに移行期間中に現タワー向けに地上デジタル用アンテナを設置・調整した世帯では、新タワー向けにアンテナを改めて調整し直さなければならず、二重の負担となる[30]。また、東京スカイツリーの完成は地上デジタル放送への完全移行とほぼ同時期の予定であるため、東京スカイツリーの完成が少しでも遅れると、地上デジタル放送への完全移行に間に合わなくなる恐れもある。

一方で地域によってはこれまで開局毎に設置場所がバラバラだったアナログ送信所が、これを機にNHKと民放すべてがまとまり、1ヶ所からの送信となるところが多く、UHFアンテナ1本で済む様になって来ている。例として、静岡県浜松市ではアナログ放送時、NHKは牛山、静岡放送は富塚、その他の民放UHF局は入野の各所に分かれていたが、デジタルでは全局牛山送信所に集約された。これは先述の福岡市の例や北海道釧路市[31]なども同様である。

送信所の共同使用の例 - 北海道室蘭市
HBCSTVHTBUHBによる共同施設。右側は従来からのHBC地上アナログ放送送信施設。)※建設中に撮影。

他の地域でも建設費のコストを抑えるため、NHK・民放各局が共同で費用を出しているケースもある。また、既存の施設をそのまま利用する場合でもアナログ放送では局単独の施設であってもデジタル放送では同様の理由から複数の局で共同使用するケースも出てきている(例、読売テレビ生駒山本局(相乗りの局は毎日放送)、鹿児島放送本局(相乗りの局は南日本放送NHK鹿児島放送局)など)。

放送区域内(強・中電界地域、放送エリアのめやすのエリア内)の放送局を受信する場合は、地元局用の14~20素子程度のUHF八木・宇田アンテナまたは小型で特殊なUHFアンテナを地上10m程の高さに設置すれば受信できる。放送区域外(弱電界地域(電界強度60dB未満)、放送エリアの目安のエリア外)の放送局を受信する場合は、電界強度に応じて素子数の多い[32]アンテナを地上10m超の高さに設置する必要がある。30素子のUHFアンテナを設置しても受信困難な場合は地上デジタル放送対応のブースターを併用する。ただし、電界強度が極度に弱い地域は30素子のパラスタック型UHFアンテナとブースターを使っても、またいくら受信点を高くしても受信できない。強電界地域(電界強度80dB以上)は、八木・宇田アンテナの他に軒先アンテナ、室内アンテナ、簡易型アンテナなどを地上10m未満の高さに設置しても受信可能である。ただし、低い位置に設置されている室内アンテナは、風や移動障害物(歩行者・車など)の影響を受けやすい。移動体端末でワンセグを受信する場合、地上10m未満の高さでの受信になってしまうため放送区域内でも電界強度が弱い場合は受信できない。アンテナの腐食やケーブルの腐食・断線などによっては交換が必要である。

共聴受信設備で受信する場合、アンテナ線・混合器・ブースター・分配器・壁面直列ユニット(アンテナコンセント)などはすべてUHF帯域対応タイプに交換しなければならない。「地上デジタル対応」をうたったものに必ずしも交換する必要はない。ブースターはUHF帯域に対応しているだけではなく、一般的にUHF帯域を使ったチャンネル数が増えるため、多くのチャンネルが増幅可能なものでなければ正常に視聴できないことがある(詳細は2011年問題 (日本のテレビジョン放送)#地上アナログ放送での受信障害参照)。

また、多数の送信所からUHF放送を受信している家庭では、地上デジタル放送が上手く受信出来ない場合がある。例として大阪府等の関西地区では、在阪局のVHF波に加えてテレビ大阪サンテレビなどを受信している家庭が多いが、通常のミキサーで混合するとゴースト障害を起こす場合が有るため、特定地域向け混合機が使われている。しかし、地上デジタル放送が開始される前に製造・発売された物は、関西地区の地上デジタル放送で使われるチャンネルをカットしてしまい上手く受信する事が出来なくなる。このような設備ではアンテナ設備の取替えが必要となる。

地上デジタル用のアンテナ線接続は、もしアナログのビデオやDVDレコーダーへの分配が必要な場合、地上デジタル対応の高性能型分配器を用いる必要がある。これに対して地上デジタルチューナー内蔵のDVDレコーダーやビデオデッキにはアナログ・デジタル双方の分配器が内蔵されているので、録画機器からテレビへは従来のアナログ機器と同じ感覚で接続可能である。

アンテナ設置における地上デジタル化の利点

地上デジタル移行以前は、各種放送を楽しむためには最大で5種類のアンテナが必要である。即ち、TV放送ではVHF用八木、UHF用八木、BS・110度CS用パラボラ、スカパー用パラボラの4つであり、そしてFMラジオ放送用八木である(V/U/FMでは八木以外にも選択肢はあるが本項では省略)。移行完了後はVHF TVアンテナは不要となり、最多でも4種類のアンテナで済む。現実にはFMラジオ用に屋外用指向性アンテナを設置する家屋は極少数であり、多くの世帯で今後使われるアンテナは最大3種類となる。さらにBS/CSを視聴していない世帯も多く、従来2種類の八木アンテナを設置していた世帯は、1本のUHF TV用アンテナですむ事になる。

アンテナを壁面(軒先)やベランダではなく、屋根上などに設置する理由としては「特に中・弱電界地区において、より良く電波を受信する為にできる限り高くする必要がある」事が挙げられるが、それ以外に「VHF、VHF・UHF共用、FMラジオ帯の屋外用八木アンテナは、小型化が難しいので設置場所が屋根上に限定される」のも大きな理由の一つである。

都市部のVHF帯のみでTV放送がなされていた地域、またVHFとUHF両方が聴取可能な地域では、VHF帯が受信可能なTVアンテナが屋根上で大きなスペースを占める(当然ながら、CATV導入世帯、共聴システム利用世帯を除く)。VHF・FM・VU共用のアンテナ(商品例:マスプロ 162B58・162C58・462C58、日本アンテナ AW-85M、パナソニック TA-85UVYN(2006年7月を以て生産終了)など)は、波長の長いVHF帯の受信のため、波長が短いUHF帯専用アンテナと比べてどうしても横幅(水平偏波の場合)が大きくなる(波長が短ければアンテナ素子は小さく、長ければ大きくなる)。このため、ベランダや軒先など狭い空間への設置は難しい。さらに、幅が広くなれば受風面積も大きくなることから、台風並みの強風が吹いても簡単に向きが変わったり脱落しないよう、屋根上への固定は一層強固に行わなければならないし、アンテナ自体の構造も、大きなアンテナほど頑丈に作らなくてはならない。大きくて重いVHFアンテナをアンテナマストの一番上に取り付けると重心が高くなり、風の影響も梃子の原理で大きくなるので倒れやすくなる。よって、一般的には小さくて軽いUHF TVアンテナは一番上、VHF TVアンテナはマスト中央部、FMラジオ用アンテナはマスト下部へ取り付けることになる。やむを得ずVHFアンテナをマストの高い位置に取り付ける場合、屋根馬や支線(ステーワイヤー)張りを強化する必要があるが、これは益々屋根上の空間を占有することに繋がる。結果、VHF帯で放送されている限り、アンテナはどうしても大きくなってしまうのである。

また垂直偏波送信地区においては、垂直偏波対応のVHF・FMアンテナを直接アンテナマストに取り付けるのではなく、垂直偏波用片支持ブーム(補強金具)を用いて、横幅をマストより離して取り付ける必要があり、更に大型化する(UHF・FMアンテナと併用した場合はH型になる。この場合高さは抑えられる)。ちなみに、VU共用アンテナ及びゴーストキラータイプの大型VHFアンテナは水平偏波地区専用である為、用途が限定される。UHFアンテナは一部小型を除き、ゴーストキラー型も含め全て両偏波に対応できる(パナソニックTA-DUF01は内陸地域&水平偏波専用)。

一方でUHFアンテナは波長が(VHFよりも)短いので、VHF帯受信用のアンテナよりも素子は短くでき、結果、横幅が小さくできる。よって屋根上に限らず、壁面(軒先)やベランダにも設置できるものも、主として強電界地区用の少素子のものとなるが、多数発売されている。中・弱電界地区の場合はVHF用アンテナと同様に、従来どおり屋根に上げる形が多いが、これは多素子化(14・20・25など、素子を増やすことで利得を高める)により受風面積が増えることや、アンテナの向き(放送アンテナに指向性を向ける)によって、壁面やベランダに設置が困難となることと、やはり他の障害物(家屋など)を避ける必要があることからである。

特に地デジ開始以後は小型UHF屋外アンテナの充実が目覚ましく、屋根上に取り付ける場合であっても小型の屋根馬や少ない支線で済むなど、部品代や工事費の軽減に大きく貢献している。受風面積が八木アンテナより広いパラボラ衛星アンテナは屋根上の八木アンテナと同一マストではなく、屋根上よりも強風の影響を受けにくいベランダや軒先に取り付ける場合も多いが、小型のUHFアンテナはそれらと同様に取り付け可能である(家屋によっては、屋根上に上がること自体が困難な場合もあり、屋根の構造によってはアンテナ設置自体ができない場合もあるが、そういった場合にも小型のUHFアンテナは有効である)。この場合は屋根馬や支線も不要となり、また強風後の保守なども手軽になる。特に(送信塔に近く電波を遮る物が無い)強電界地区の場合、(ベランダ・室内用)小型アンテナを使用する場合は屋根に上がる必要が無くなるので負担はさらに軽減される。

また屋外用UHF・パラボラアンテナの場合、本体は出発前に店舗にて予め箱から出して(本体を)組み立てた状態で営業車に積み、現場到着後はマスト・屋根馬(又はサイドベース)・支線・ケーブルとアンテナ本体を接続する作業のみで済む場合が多く、アンテナ工事はVHF・FMより簡素化が可能(これに対し横幅の大きいVHF・FMアンテナは分解した状態で営業車に積み、現場到着後に本体を組み立てたのちマスト・ケーブル・支線接続を行うので手間がかかる)。

ケーブルテレビでの受信

ケーブルテレビ(CATV)経由で視聴する場合はCATV局によって送信方式が異なり、「トランスモジュレーション方式」と「(同一周波数または周波数変換)パススルー方式」がある。トランスモジュレーション方式は、STBを経由させなければ受信不可能なため、CATV局との契約が必要となるが、パススルー方式は、個別受信同様に市販の地上デジタル対応機器のみで視聴が可能[33]

集合住宅での受信未対応件数

日本CATV技術協会では、2007年2月と3月に4階建て以上の集合住宅での地上デジタルTV放送の受信対応状況を調査した。日本全国でおよそ518,000棟あると推定される4階建て以上の集合住宅の内、約23,000棟での調査結果では、改修不要が30.8%で改修済みが23.4%であり、改修計画が未定のところが40.8%もあった。改修不要でも71.1%が、改修済みでも68.3%がCATVによる対応であるため、内実は多くの集合住宅が工事を行なった訳ではない点である。2011年までそれほど長い時間が残されていないが、全国の改修計画未定の40.8%に該当する集合住宅が2011年の直前になって、一斉に改修工事を行なう事態が予想される。日本CATV技術協会では、地上アナログ放送停波の直前になって工事依頼が殺到しても工事業者の人手不足などで対応できないと、既にマンション組合などへの啓蒙活動を行っている。

また、改修工事にかかる費用も1戸あたりに直すと数千円から古い建物では10万円以上かかる場合があり、年金生活者の居住が多く古い団地のケースでは、チューナー等の購入予算も合わせてデジタル放送への移行が危惧され、老人のささやかな楽しみであるTVさえも奪うことになりかねない[17]

複雑な初期設定など

地デジ受信機はデジタル家電であるため、特に初期設定の項目は、従来の地上アナログ放送も受信できる機器の場合やデジタル放送の新機能も使用したい場合、当然のことだがアナログ受信機より増え、その方法も複雑である。以下に地上デジタルTV放送受信機に特徴的な設定項目や設定方法を示す。

郵便番号の設定

地上デジタルおよびBSデジタルではデータ放送が実施され、自分の住む地域や行きたい地域の情報を家庭で受け取れる。チャンネルやデータ放送の初期表示など、地域別の情報は郵便番号により振り分けるため、初期設定時に自分が住む地域の郵便番号を正しく入力する必要がある(メーカーや機種によっては電話番号市外局番・都道府県入力も合わせて必要となる)。

電話回線もしくはインターネットへの接続

双方向番組への参加や、現時点で地上波では特番のみでレギュラー編成番組では導入されていないものの、有料チャンネルの視聴料金やりとりのためには、電話回線への接続、もしくはインターネットに接続できるLAN回線接続が必要である(ケーブルテレビ局によっては、電話回線の問題上双方向番組の機能が使えない場合もある)。

地上デジタルテレビジョンチューナー(テレビ、HDDプレーヤー内蔵含む)には、電話回線の分配器が同梱されている場合が多いが、電話回線に通信機器(電話機など)が2台以上接続されている時は、ナンバーディスプレイが使えないことがある。メーカーに分配器使用時のナンバーディスプレイ使用可否を確認すると、切り換え機を使えと説明を受けるが、テレビと電話が別部門のため、実機でナンバーディスプレイ使用可否の動作は検証はされていない様である(2006年現在)。

個人情報の適切な管理

受信機やチューナーは、内部に高度なソフトウェアを使用しており、受信できるチャンネルの設定やテレビショッピングに関わる様々な個人情報が不揮発性メモリに蓄積されている可能性があるので、受信機やチューナーを廃棄したり転売する時に適切な処理(画面上にメニューを呼び出して「個人情報の消去」といった項目を選ぶ)を行わないと、機器内の個人情報が漏洩し、悪用される可能性がある。

購入後に製品添付のハガキもしくは各メーカーサイトでユーザー登録をしておけば、製品に関する最新情報をメールもしくは郵便で受け取れる。

電源プラグは抜かず、機器の主電源は常時「入」

地デジチューナー(内蔵テレビおよびDVDレコーダー)には、視聴待機状態時にも動作するソフトウェアが組み込まれており、この間に各種データが最新の状態に更新される。このため、視聴を終えて電源を切る際はリモコンで電源を切る事が大切である。機種によっては、プラグを抜くなどして電力供給されない状態が1週間以上続くとこれらのデータが消え、再度郵便番号などの設定を行わなければならなくなる。また、設定は消えなくても番組表情報は1週間分しか保持されないので、電源を入れてから数秒~数分間は番組表を利用できなくなる(当該チャンネルに合わせる事により優先的に番組表情報を受信できる)。

接続した録画機器の初期設定

従来のアナログ受信機とは録画方法も大きく異なる。特にデジタルチューナーには、Irシステムと呼ばれる録画機器側に於ける設定を一部簡素化する便利な機能がある。ただし、これを動作させるには録画機器とデジタルチューナーとを専用のIrシステムケーブルで結び、接続した録画機器の情報をデジタルチューナーに登録しなければならない。

一部地域での受信方法

一部の中継局で、アナログ放送停波までにデジタル放送開始が行われないなどのことがあり、受信できない地域に限って、衛星放送やIP放送による地上デジタル放送の再送信を行う予定である。送信所や中継局を多く抱える北海道に於いて、スカイパーフェクト・コミュニケーションズと通信衛星を保有するJSAT(いずれも現・スカパーJSAT)による通信衛星での再送信実証実験を行った。その結果を踏まえ、B-SATの放送衛星を用いたセーフティネット放送を行うための省令改正がなされた。また、光ファイバーを利用したIP放送では2006年までに標準画質(SDTV)、2008年にはデジタル放送と同じ高精細な映像で再送信する予定である。

北海道では山間部における受信対策として、2007年3月より、受信点から光ファイバーケーブルで伝送した信号を、「ギャップフィラー」と呼ばれる携帯電話基地局に似た小型の送信機で再送信する実験を開始した。これが実用化されれば、新規に中継局を設置することなく、安価に難視聴地域を解消することが出来るようになる。この「ギャップフィラー」方式の実証実験は富山市中心部の地下街で総務省北陸総合通信局北日本放送が共同で日本で初めて実施。地下街など地デジ電波の届きにくい場所でも災害情報等が確実に入手出来る可能性が期待されている。

デジタル化およびアナログ波停波に関する問題

開始時期

日本

日本国内の各放送局の親局は、以下の順に放送を開始している。

2003年

2004年

2005年

2006年

2007年

  • 10月1日 北海道の函館・旭川・室蘭(NHKと民放全局)、帯広・釧路・北見(NHKとテレビ北海道を除く民放4局)の各地区で開始(アナログ放送を行う既存のローカル局としては事実上最後の開始となった)。これにより、北海道内全世帯の約8割で地上デジタル放送の受信が可能となった。

2006年12月1日以降は全ての都道府県庁所在地で地上デジタル放送が受信可能になっている。全国各地の中継局は、親局設置以降、2010年に掛けて順次設置中である。中継局がまだ整備されていない市・町・村離島では視聴できない場合もある。

  • 広域圏内を除いた地方局は、富山(NHK・KNB)→静岡→東北→甲信越・福岡・沖縄→北海道・北陸→中・四国(岡山・香川を除く)→九州の大半・岡山・香川という順序で開始された。
    • これは中・四国(特に岡山や香川)や九州には他の地方に比べて中継局が多く、また瀬戸内海有明海を伝播してのスピルオーバーも多数見られる事から、アナアナ変換に時間が掛かる事が原因となっている。しかし、中継局が少なく、スピルオーバーの影響がない福岡と沖縄の両県は九州地方の目標開始月の2006年12月ではなく8ヶ月早い4月にNHKで先行放送が開始された(しかしすべての局で開始されるのは12月)。逆に、海を隔てて2つの県に跨って放送しており他県でも視聴者が多い岡山・香川地区(特にTXN系列のTSC)は中・四国の他の県の放送開始である10月より2ヶ月遅い12月に放送が開始された。

全市町村別、視聴できるとする世帯数の2010年末までの計画

総務省では次の2つのサイトで日本全地域の都道府県別、放送事業者別、市町村別、および各市町村の全世帯数と2010年末において視聴できる世帯数を案内している。

また、デジタル放送推進協会は次のサイトで都道府県別の視聴できるエリアの地図を案内している。

海外

  • 1998年9月 イギリスで公共放送のBBCがSDTVで多チャンネル放送を開始し、続いて11月には商業放送のON Televisionが有料・多チャンネル放送を開始した。
  • 同年11月には、アメリカで20都市の42の放送局で地上デジタル放送が開始された。同国では日本と同様、HDTVによる高画質放送を重視している。
  • 他に、スウェーデン(1999年)、スペイン(2000年)、オーストラリア(2001年)、フィンランド(2001年)、大韓民国(2001年 ATSC方式)、オーストリア(2006年10月)などで放送を開始している。中華人民共和国では北京オリンピックに合わせて2008年に放送を開始した。
  • 2006年6月 ブラジルが日本方式を元にした独自方式(SBTVD-T)を採用する事を決めた。
  • 2005年にスウェーデンの一部地域でアナログ停波が実施され、以後イタリア(2006年末)、フィンランド(2007年9月1日)、オーストリア(同年3月)、スペイン(2010年)、ドイツ(同年)、フランス(同年以降)、イギリス(2012年まで)など欧州各国でアナログ放送の停止が進む見込みである。また、台湾では2008年、アメリカは2009年2月17日、大韓民国では2012年、中華人民共和国では2015年までのアナログ放送停止が予定されている。
  • 2008年9月、ブラジルの働きかけにより、アルゼンチンが日本方式を採用する見通しとなった[34]

放送の方式(世界)

世界の地上波デジタルテレビ放送は、アメリカ方式ATSC)、ヨーロッパ方式(固定向けDVB-Tと移動体向けDVB-H)、日本方式ISDB-T)日本方式を改良したブラジル方式(SBTVD-T)、韓国方式T-DMB、韓国では先にATSC方式でハイビジョン放送を開始してしまったため、移動体向けのみに採用されている)、中国方式DMB-T/H)に分かれる。これらは多重化にMPEG-2 TSを利用する事、映像符号化にMPEG-2ビデオを利用する事では同じ条件であるものの、以下の様な違いがある。

世界の地上デジタルテレビジョン放送規格
  ATSC DVB-T ISDB-T/SBTVD-T DVB-H T-DMB DMB-T/H
仕様
映像 MPEG-2 (SBTVDはH.264) 不明 H.264 不明
音声 ドルビーデジタル MPEG-2 BC
ドルビーデジタル
MPEG-2 AAC
外符号 リード・ソロモン符号
R-S(207, 187, 10)
リード・ソロモン符号 R-S(204, 188, 8)
外符号インターリーブ 52セグメント畳み込みバイトインターリーブ バイト畳み込みインターリーブ(深さ12)
内符号 トレリス符号
(符号化率: 2/3)
畳み込み符号(符号化率: 1/2, 2/3, 3/4, 5/6, 7/8)
内符号インターリーブ 12トレリス ビット、周波数 ビット、周波数、時間
搬送波 シングルキャリア マルチキャリア(COFDM マルチキャリア(BST-COFDM
変調方式 8-VSB QPSK、 16QAM、MR-16QAM、 64QAM、MR-64QAM DQPSK、QPSK、 16QAM、64QAM
機能・特徴
マルチパス耐性 ×
同一周波数中継(SFN) ×
移動時の受信 ×
インパルスノイズ耐性 ×
セグメント単位での運用 × × ○(※)
主な採用地域 北米大韓民国 欧州豪州南アフリカインド 日本ブラジル 欧州 大韓民国(移動体向けのみに採用) 中国

※13のセグメントに分割し、それぞれに対して違った変調をかける事ができる(最大3種類まで)。簡易な受信機による部分受信(通称ワンセグ)が可能。

パソコン・携帯電話による受信(日本)

パソコンチューナー機能を装備して地上デジタルテレビジョン放送を受信する場合(の問題)については限定受信システムの項目を、携帯電話端末などでワンセグを受信する場合についてはワンセグの項目をそれぞれ参照の事

デジタル放送のデジタルデータを暗号化されない汎用バスPCIUSB)に流す事はARIBにより制限されている。また、アナログRGBビデオ出力や、従来のDVIビデオ出力からハイビジョン映像を出力する事は禁止されている(2005年12月までは制約付きで出力できた)。このため、パソコンでデジタル放送を利用するためには次のような措置が採られている。

  1. SD解像度(800×600(4:3)、960×540(16:9))へ変換した上汎用バスに流す。ただし、ハイビジョン高画質は得られない。
  2. チューナーカードからディスプレイへ直接専用ケーブルないしD端子ケーブルで流す。ただし、全画面表示になってしまい、「ながら見」ができない。改善されているものもある。
  3. チューナーカードでHDCP暗号化し、HDCP対応DVIないしHDMIでディスプレイへ流し、ディスプレイで暗号化を解除して表示する。ただし、HDCP対応ディスプレイは若干高価である。
  4. 本体とディスプレイが分離できない一体型パソコンとする事によって接続ケーブルを廃する。
  5. 本体と受信機でやりとりされるデジタル映像信号を暗号化する。

日本国内の大手メーカー製のパソコンでは、1番目と2番目の措置を組み合わせて利用されている事が多い(ながら見は1番目で、高画質は2番目(全画面表示)で)。自作PCでも利用できるワンセグ以外のチューナは、ソニーから3番目と5番目の措置をおこなった VGF-DT1 が発売された。2007年にリリースされたWindows Vistaでは、デジタル放送対応機能が強化されるが、ARIBの運用規定を満足するには至らず、当面は現状からあまり変わらない。2008年に予定されている第二世代リリースでのサポートが期待されている。

上記のように、条件が厳しく制約が多いパソコンでの地上デジタル放送であるが、2007年11月に発売されたフリーオでは、ハードウェアでのHDCP対応などは一切必要とせず地上デジタル放送を受信することが可能である。

2008年4月8日、デジタル放送推進協会パソコンで地デジ放送のフルセグメント(12セグメント)が受信できる機器「PC用デジタル放送チューナ」のガイドラインを発表した[35]。 これによって自作機を含むパソコンのオプション機器として視聴、録画およびその再生が可能となる。この「PC用デジタル放送チューナ」はUSBの外付けオプション、またはパソコン本体に内蔵するオプションとしてPCIバスに接続できる[36][37]

2008年5月14日にバッファローアイ・オー・データ機器などの製品、5月17日にピクセラの製品が発売された。今後も新たな製品が市場に投入される予定である。

ハイビジョン対応上の問題(日本)

他のデジタルテレビ放送と共通内容が多いので、詳細はデジタルテレビの当該記述を参照のこと

地上デジタル放送推進大使


関連項目

脚注

  1. ^ 日本経済新聞』 2007年7月10日朝刊は総務省が地上アナログ放送を地域によって段階的に停止することを「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」の答申案に盛り込むと報じた。
  2. ^ 朝日新聞』 2007年7月24日朝刊は総務省が、アンテナ工事の集中や機器の品切れを防ぐために対応機器の普及率の高い地域から前倒しでアナログ放送を終了する方向に傾きつつあることを報道。
  3. ^ 平成13年法律第48号。アナアナ変換の費用に電波利用料を充当する事が柱となった
  4. ^ “地デジ移行後3~5年、CATVはアナログ放送受信可能に”. YOMIURI ONLINE. (2009年1月7日). http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090107-OYT1T01003.htm 
  5. ^ 映像データの高圧縮化を実現することで、一般的には画質の鮮明化に必要とされるビットレートの割り当てを高めることが容易に可能になる。ただし、「高圧縮な規格=高画質」という意味では無い。当該技術におけるデータ量の制限(データ記録量、あるいは伝送能力など)の関係で、その条件下で高圧縮の規格を用いた場合、高圧縮ではない規格を用いた場合と同程度の画質の実現に必要なビットレート数は相対的に下がる。したがって、高圧縮の規格を用いた場合は、それまでのデータ量の上限値(つまり割り当てビットレート数の上限値)が相対的に引き上げるため、さらなる高画質化が可能となる。なお、解像度との絡みもあるため、同じ解像度の条件下でビットレート数を上げるほど際限なく高画質になるわけではないことに注意。
  6. ^ ハイビジョン製作されていない番組でも、マルチ編成用や、2008年現在でも多くが標準画質映像での放送が多いCS放送などの非アップ・コンバートの放送信号を受信した場合は、テレビ受像機側の機能で自動的にピラーボックス形式に表示される。
  7. ^ 岩手・宮城地震:地デジ2秒遅れ 緊急速報間に合わず? 毎日新聞 2008年6月22日
  8. ^ 緊急地震速報の送信、地デジの遅れ解消へ”. 読売新聞. 2008年12月1日閲覧。
  9. ^ 地デジ放送違法複製防止、ICカードも個人登録も不要
  10. ^ 新RMP対応の地上デジタル放送,新たな放送設備の設置が放送事業者の負担に 現行の地上デジタル放送のスクランブル解除に必要なB-CASカードの発行や運用に必要なコストは、放送事業者などが負担している。
  11. ^ インテル、デジタル放送のB-CASにかわるソフトCASの導入を目指す
  12. ^ イメージ画像はNHK「受信確認メッセージ」を参照。
  13. ^ この使用例では、デジタル放送受信チューナーを搭載した録画機で意図的にアナログ信号に変換後に記録保存するものは存在しないので、実質的には受信器機と録画器を接続コードで繋いだ場合に限られる。
  14. ^ 受信料不払い、NHKが視聴登録で捕捉・来年度にも導入計画
  15. ^ 例えば、2006年上半期に放映されていた東芝の地上デジタルテレビのCM では後者の読み方が用いられていた。
  16. ^ 2008年5月現在、車載用・ワンセグ端末を除いた業界最小のデジタルテレビは東芝のSD-P120DT(DVDプレーヤー内蔵)だが、画素数が800×480なのでハイビジョン画質ではない。16:9でハイビジョン視聴が可能なモデルはシャープのLC-16E1だが、画素数は1,366×768。画素数1,920×1,080でフルハイビジョン視聴が可能なモデルはシャープのLC-22P1。
  17. ^ a b c d 日経エレクトロニクス 2007年12月3日号「アナログ停波に死角あり」 p.47-p.65
  18. ^ チューナー単体の比較表UNIDEN DT100-HDMI、YAGI DTC-10、AVOX YDIT-10など少数機種、価格.comでの調査を含む。
  19. ^ 地デジ完全移行に向けた「簡易チューナ」の仕様のガイドラインの公表、(PDFファイル形式)平成19年12月25日]
  20. ^ 総務省とDpaが地デジ完全移行に向けた「簡易チューナー」の仕様ガイドラインを公表
  21. ^ 地デジ簡易チューナーの仕様ガイドライン - 総務省が公表 - (ユーザーから見た仕様)
  22. ^ a b c 『5000円の簡易地デジチューナーは実現するか?』 日経エレクトロニクス2008年10月6日号
  23. ^ 地デジチューナー、生活保護世帯に無料配布へ 情通審答申、ITmedia、2008年6月30日
  24. ^ “50ドル「地デジチューナー」米で登場「日本逆上陸」はあるのか”. ジェイ・キャスト. (2008年2月4日). http://www.j-cast.com/2008/02/04016315.html 
  25. ^ 地デジ対応、5千円チューナー実現へ NECエレ、asahi.com、2008年7月19日
  26. ^ 地デジ受信用「簡易なチューナー」仕様に準拠したLSIでアナログ停波に対応NECエレクトロニクス
  27. ^ NECエレクトロニクス 「アナログテレビで地上デジタル放送の受信を可能とするシステムLSIの開発について」
  28. ^ 首都圏(特に東京都)では独立U局を視聴する習慣が根付いていない世帯が多いため、東京タワー向けVHFアンテナしか設置していない家屋や建物が未だに多く、また、独立U局の送信所の関係から東京タワー向けUHFアンテナは設置していない家屋や建物も未だ多い。関西圏中京圏でも後発のUHF波親局準キー局が開局した当時、これらの局がエリア内でのUHFアンテナの普及に苦労した逸話がある。
  29. ^ また、関東の独立UHF局で使われているチャンネルとデジタル放送で使われているチャンネルは周波数が大きく異なる。
  30. ^ 東京スカイツリー完成予定の2011年半ばは、地上デジタル放送への移行の最終期限であり、大部分の視聴者が東京タワーに合わせて地上デジタル放送に移行したあとになって、送信場所を変更するというのはタイミングとして望ましくない。また逆に、送信場所変更を見越して地上デジタル放送への移行を遅らせる視聴者が出て、スムーズな移行を阻害する恐れもある。東京スカイツリーへの移行を行うのであれば、地上デジタル放送が東京で開始された2003年までに東京スカイツリーを完成させ、デジタル放送波は東京スカイツリーから、アナログ放送波は東京タワーから送信することで、視聴者が送信場所変更への対応とデジタル化への対応をあわせて行える環境を整え、スムーズに移行できるようにすることが望ましかったと言う意見もある。
  31. ^ 釧路市の場合、アナログ放送ではNHK・札幌テレビ放送は緑ヶ丘、北海道放送は城山、北海道テレビ放送は貝塚、uhbは桜ヶ丘の各所に分かれていたが、デジタルでは全局がuhbアナログ送信所とほぼ同位置にあたる春採送信所に集約された。
  32. ^ 最大で30素子、場合によってはパラスタックアンテナ、素子数が増える程アンテナが大型となり、アンテナの設置・維持管理が困難となる欠点があったが、最近は小型で30素子並みの動作利得があるアンテナ(マスプロ電工の「LS14TMH(東・名・阪専用)」など)が発売されている。
  33. ^ UHF帯域外周波数変換パススルー方式で実施している場合は機器(主に初期に発売された機器)によっては受信できない。
  34. ^ 日本方式の地デジ放送 アルゼンチン採用へ”. CNET. 2008年9月11日閲覧。
  35. ^ 受信機メーカーを対象とした「PC用デジタル放送チューナのガイドライン」を策定デジタル放送推進協会
  36. ^ 地デジ放送、パソコンで高画質――推進協会が外付け受信機解禁、Niikei Net、日本経済新聞
  37. ^ バッファローも単体地デジチューナーを発売へ、USB外付け型も投入、日経ITpro、日本経済新聞

外部リンク


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