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Z-80 SoftCard

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Z-80ソフトカードから転送)
Microsoft Softcard Z80 coprocessor for the Apple II
開発元 Microsoft
発売日 1980年 (44年前) (1980)
OS CP/M
CPU Z80
プラットフォーム Apple II
次世代ハード Premium Softcard IIe

Z-80 SoftCardは、マイクロソフトが開発したプラグイン式のApple IIプロセッサカード英語版であり、Apple IIコンピュータをZilog Z80 CPUをベースとするCP/Mシステムに変えるものであった。このカードは、1980年の最も人気が高いCP/Mプラットフォームの一つとして、マイクロソフトの最大の収益源となった。最終的にはMicrosoft SoftCardと改称され、Apple IIe英語版用のマイクロソフトPremium Softcard IIeへと引き継がれた。

概要

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Z-80 SoftCardは1980年にマイクロソフトの最初のハードウェア製品として発売され[1]Microsoft BASICプログラミング言語を同梱し[2]、Apple IIでデジタルリサーチオペレーティングシステム(OS)であるCP/Mを実行することができる、Apple IIプロセッサカードである。これにより、Apple IIユーザーは、いくつかの高級言語コンパイラインタプリタを含む、より多くのビジネスアプリケーションを利用できるようになった。CP/Mは初期のクロスプラットフォームOSの1つで、さまざまな補助チップや周辺ハードウェアに簡単に対応できるものの、Intel 8080互換のCPUが必要であった。Zilog Z80はこれに対応したが、AppleのCPUであるMOS Technology 6502はそうではなかった[3]。SoftCardは、Zilog Z80 CPUに加え、そのプロセッサバスAppleバス英語版に接続するために74LS00シリーズ英語版TTLチップをいくつか搭載していた。CP/Mはアドレス0からの連続したメモリを必要とするのに、Apple IIにはそれがないため、非RAM領域をメモリの先頭に移動させるためのアドレス変換が行われた[4]

歴史

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マイクロソフトのコンピュータ言語製品をApple IIに簡単に移植することを目的として[5]、同社の共同創業者であるポール・アレンがSoftCardを考案した[6]シアトル・コンピュータ・プロダクツ(SCP)のティム・パターソンがSoftCardを設計した。SCPがプロトタイプを製作し[7]、BurtronixのDon Burtisがカードの設計を修正、California Computer Systemsがマイクロソフト向けに製造した[8]。このカードが売れるかどうか不確かなまま、マイクロソフトは1980年3月に開催されたウェスト・コースト・コンピュータ・フェアで初めての公開デモンストレーションを行った[2][5]

マイクロソフトは、Apple IIe英語版用のバージョンであるPremium Softcard IIeも発売した。このカードは、64 kB RAMを含むApple 80カラムテキストカード英語版と同等の機能を持つため、CP/M機能、追加メモリ、および80カラムテキストを必要としたユーザーにとってはコスト削減につながった[9]

反応

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売上

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SoftCardは直ちに成功を収め、マイクロソフトを驚かせた。ウェスト・コースト・コンピュータ・フェアで注文を受ける準備はしていなかったが、マイクロソフトの幹部は初日に関係者から1,000枚の名刺を受け取り[5]Compute! 誌は「同社に注文が殺到した」と報じた[1]。SoftCardは1枚349ドルで、3ヶ月で5,000枚を売り上げて、1980年に同社最大の収益源となり[10]、その後も数年間にわたり高い売上が続いた。SoftCardはCP/Mを実行するプラットフォームとしてダントツの一番人気となり[11]、Z-80 SoftCardはApple IIの周辺機器として高い人気を維持した[12]。1981年までに、マイクロソフト、ライフボートアソシエイツ英語版Peachtree Softwareは、CP/MソフトウェアをAppleフォーマットのディスクで提供した[8]

批評

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1980年3月のウェスト・コースト・コンピュータ・フェアでSoftCardのデビューを目の当たりにしたCompute! 誌は、それを「Appleのブレークスルー(突破口)」と称した[1]。1981年のInfoWorld誌は、SoftCardを「魅力的なハードウェアの一枚」と呼んだ。同誌は、CP/Mドキュメントの専門用語を批判しつつも、「軽量で持ち運び可能なZ80コンピュータが必要なら、AppleとSoftCardの組み合わせは完璧なペアだ」と評した[3]BYTE誌は「Appleユーザーに柔軟性を提供するため、Softcardは素晴らしい買い物と言える。...価格も手頃で機能を果たす。」と書いた[8]

1984年のInfoWorld誌はSoftCard IIeを好意的に批評し、拡張80カラムテキストカード(Extended 80-Column Text Card)に取って代わることを認めた。同誌は、特にMicrosoft BASICを実行したい人やCP/Mを超える機能を求めている人にとって「市場にある幾つかの優れた候補の中でも優れたシステムである」と結んでいる[9]

競合

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マイクロソフトの成功に続いて、他の数社もApple II用のZ80カードを開発した。デジタルリサーチのApple CP/Mドイツ語版とAdvanced Logic Systemsが開発した「The CP/M Card」(6 MHz Z80、64 kB RAM)や、デジタルリサーチのCP/M Pro 3.0 向けのCP/M Gold Card(64 or 192 kB RAM)などがある。その他、Applied Engineering、PCPI(6 MHz Appli-Card)、Cirtech、IBSから個別に設計された製品が提供された。また、SoftCardクローンメーカーも約10社ほどあった。

脚注

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  1. ^ a b c Lock, Robert (May–June 1980). “An Apple Breakthru”. Compute! (Small Systems Services) (4): p. 6. ISSN 0194-357X. OCLC 637460999. https://archive.org/stream/1980-05-compute-magazine/Compute_Issue_004_1980_May_Jun#page/n7/mode/2up October 25, 2013閲覧。 
  2. ^ a b “Z-80 Board Puts CP/M on Apple”. InfoWorld (Popular Computing) 2 (6): 3. (April 28, 1980). ISSN 0199-6649. https://books.google.com/books?id=Wj4EAAAAMBAJ&pg=PT2. 
  3. ^ a b Hogan, Thom (March 3, 1981). “Microsoft's Z80 SoftCard”. InfoWorld (Popular Computing) 3 (4): 20–21. ISSN 0199-6649. https://books.google.com/books?id=jT4EAAAAMBAJ&pg=PT14. 
  4. ^ Apple II Softcard CP/M Reference”. August 14, 2020閲覧。
  5. ^ a b c “Seminar Spills Negotiating Secrets”. InfoWorld (Popular Computing) 2 (21): 24. (November 24, 1980). ISSN 0199-6649. https://books.google.com/books?id=mT4EAAAAMBAJ&pg=PT23. "Unsure of the demand for the product, Microsoft took a prototype to the last West Coast Computer Faire" 
  6. ^ Raburn, Vern (October 20, 1980). “Letters: Developed by Microsoft”. Computerworld 14 (43): 37. ISSN 0010-4841. https://books.google.com/books?id=1Um4zkCCo38C&pg=PA37. "It was one of the founders of Microsoft, Paul Allen, who hit upon the idea of putting a Z80 processor into the Apple." 
  7. ^ Freiberger, Paul; Swaine, Michael (2000). Fire in the Valley: The Making of the Personal Computer. New York, NY: McGraw-Hill. p. 329. ISBN 0-07-135892-7. https://archive.org/details/fireinvalleymaki00frei_0/page/329. "They brought in Tim Paterson of Seattle Computer Products, located across Lake Washington, to try to build a card for the Apple that would let it run Microsoft's 8080 and Z80 software. They called it the SoftCard. Paterson did a series of prototypes before Don Burdis took over the project." 
  8. ^ a b c Pelczarski, Mark (November 1981). “Microsoft Softcard”. BYTE: 152–162. https://archive.org/stream/byte-magazine-1981-11/1981_11_BYTE_06-11_Data_Base_Management_Systems#page/n153/mode/2up October 19, 2013閲覧。. 
  9. ^ a b Petersen, Marty (February 6, 1984). “Premium Softcard IIe”. InfoWorld: 64, 66. https://books.google.com/books?id=gC4EAAAAMBAJ&pg=PA64 January 25, 2015閲覧。. 
  10. ^ Ballmer, Steve. “Microsoft Surface Keynote”. YouTube. 2021年12月19日時点のオリジナルよりアーカイブJune 19, 2012閲覧。
  11. ^ Bunnell, David (Feb–Mar 1982). “The Man Behind The Machine? / A PC Exclusive Interview With Software Guru Bill Gates”. PC Magazine: 16. https://books.google.com/books?id=w_OhaFDePS4C&pg=PA16 February 17, 2012閲覧。. 
  12. ^ Markoff, John (May 1984). “The Apple IIc Personal Computer”. BYTE: 282. https://archive.org/stream/byte-magazine-1984-05/1984_05_BYTE_09-05_Computers_and_the_Professions#page/n283/mode/2up October 23, 2013閲覧。. 

外部リンク

[編集]
  • AppleLogic website - Microsoft Softcardなど、Apple IIシリーズコンピュータ用の周辺機器カードを展示している