Wikipedia:非公開依頼への対処と監査のための暫定チーム
この文書はウィキペディア日本語版でかつて利用されていた歴史的文書です。現在更新はされておらず主に記録のために残されています。この文書を復活させたい場合には、ノートページか、井戸端、コメント依頼、もしくはウィキプロジェクト プロジェクト関連文書で提案してください。 |
前置き
[編集]5月から、MiyaさんやTomosなどが扱ってきている一連の荒らし・嫌がらせ対策などの件について、取り組み方を考えたものです。
今回の件は、プライバシーに関わる部分が一部あるかも知れないことと、それからそうでなくても常識的に考えてちょっと公的な場での議論をためらわれるようなこととが絡んでいることがあります。また、被害の性質や進行状況などに照らして、依頼を受けてから他の人と連絡がとれない状況であっても独断で動いた方がよさそうに思った件などもありました。
基本的なアイディアは、
- 現在互いに連絡もとらず個別的に対応しているものを、暫定的に対処チームを設けて、チームとして対応できる部分はそのようにする。理事会が意見を求めている件にも、個別対応ではなくてチームとして意見を述べる。
- 管理者の対応、また財団理事の関与があった場合にはその対応について、事後的にも詳細を公開の場で報告できないことがあるので、監査チームを設けてコミュニティの代わりに対応ぶりを調査・評価する。
- 最近は一応の収束を見せている荒らし・嫌がらせの活動についても、近いうちにまた同じような行為が繰り返されることになるのかどうか、不確かな部分が残る。(そのような行為を行っている人に対する民事訴訟などが提訴されれば、心配なくなるかも知れませんが。)そこで、将来に備える。
という3点を実現することで、もうすこし依頼をうまく処理でき、また、コミュニティからも信頼が得られる仕組みをつくれるのではないか、というものです。
より具体的には、対処のためのチームと、監査のためのチームとを以下のような形で形成することを提案しています。
非公開案件への対処チーム
[編集]概要: これまで依頼を受けたことから非公開依頼の対処にあたってきた管理者をとりあえずまとめて、チームとして活動するようにする。
目的:
- 非公開依頼に対処すること。
ねらい:
- その都度依頼を受けた管理者が対応するのではなくチームを形成することで次のような目的を果たす。
- 単独の管理者の裁量ではなくて、情報の共有や意見の交換などを行い、単独で対処するよりもよりよい対処を行う。
- 作業を分担することで、事案の検討、対処の選択肢の模索、依頼人との交渉・意見調整・意思疎通、意思決定、コミュニティへの報告、調査、関係者との連絡などがより迅速に、質の高いものになる。
- 相互監視がある程度働くことが期待でき、内情を知らない人にもやや信頼できる仕組みになる。
- 管理者の対応ぶりに疑問や意見がある場合には、チームに連絡がとれる。
メンバーの条件:
- 依頼者から既に依頼を受けている管理者であること。または、以下の3つの条件にあてはまるウィキペディアンであること。
- 今回の件について、ある程度理解していること。
- 責任能力のある成人で、守秘義務を果たせること。
- 「対処チームの一員としてコミュニティの信任を得る」か、既に「管理者として信任されていて、特に反対がない」こと。
選出の方法:
- 自己申告(依頼を受けている場合)
- 現在管理者ではない人については、推薦または立候補の後、コミュニティーによる質疑応答、信任。この手続きは管理者の信任手続きに従う。
- 現在管理者だが依頼を受けているわけではない場合には、推薦または立候補の後、5日間ほどの質疑応答で、特に問題が提起されなければ着任。
- 現在管理者ではない人は、管理者信任の手続きに準ずる信任手続きを経て、着任。
- 個々のメンバーについて、理事会および依頼者との交渉を行う。理事会が拒否した場合はそれに従う。依頼者から強い要望があった場合にはそれを考慮して、理事会、対処チーム内で合意形成をはかり、最終的に決定する。
設置までの日程:
- 目安として、この案に大きな変更点がなければ一週間程度で案を正式採用。
- 正式採用された時点でMLを作成。既に案件処理にあたっている管理者は加入する。
- そのほかのメンバーの推薦・候補を募る。信任され次第随時MLに加入してもらう。
活動形態:
- 専用の非公開メーリングリストを作成し、受け取った依頼や関係者との連絡はそこで共有する。
- 案件の処理の仕方について意見や関連情報の交換、作業の分担、報告などを行う。
- 進行中の案件、対処を行った件についてメールを通じて意見を送るように呼びかけ、寄せられた意見を共有する。
- 依頼者、そのほかの関係者とのコミュニケーションもできるだけ共有する。(特に強い要望があり、妥当な理由があると思ったら共有しなくてもよい。)
- 記録を保管する。
- 必要に応じて特定の関係者に意見の提出を呼びかける。時間に余裕がある場合は、案件への対処以前に行い、そうでなければ事後的に行う。
- 権限行使の報告の際には、誰が議論に参加し、内何名がその権限行使に賛成したか、反対したか、を報告する。
担当する依頼の範囲:
- 非公開を希望する依頼があり、法的な理由から公開に適さないもの。
- 緊急の連絡があり、他者の法的な権利保護のために迅速な対処が必要であるもの。
- 本当にその場で対処した方がいい件については、チーム内での相談などはできません。ただし、事後的に議論をしてその後の対応策を考えたり反省点があればそれをその後に生かすにはいいかも知れません。
※緊急性もなく、非公開にする法的な理由もなければ、ウィキペディア上で依頼を公開することになります。また、緊急性があって対処した依頼でも、公開してもよいものは事後的にでも公開で説明します。
設置するページ:
- Wikipedia:非公開依頼への対処のための暫定チーム 簡単な説明、最新のメンバーリスト
- Wikipedia:非公開依頼への対処のための暫定チームの準備 メンバーの選出のためのページ。
- Wikipedia:非公開依頼についての対処報告 報告、質疑応答などの場
解散:
- 以下の条件のいずれかが満たされたらチームは解散する。
- 対応中の案件がなくなり、新規の関連案件(非公開依頼、公開依頼問わず)も60日以上出ておらず、かつ、監査も終了している場合。
- 何らかの事情により、チームが解散すべきであると財団理事またはコミュニティの決定があった場合。
解散の際には、案件についての情報を整理した上でまとめ、財団に管理を委託する。MLのアーカイブは記録を抹消する。
備考:
- 中長期的には、こうした制度が常設されるのが望ましいと思いますが、そのためにはもっと時間をかけて議論をするのがいいと思うので、今回は既に出ている依頼に対処するための暫定チームとして位置づけています。
- 解散前に議論がまとまれば、例えばメンバーを一部または全部入れ変えて基本的な仕組みはそのまま、というような形でもよいかも知れません。
- 依頼を受けた人が、コミュニティとしては余り案件処理を任せたくなかった場合にはどうするのか、ということはひとつ問題点だと思います。法的な権利保護に関わる依頼であれば、管理者はきちんとした依頼を受けた場合にはそれに対処する義務が発生するように思ったので、一応依頼を受けている管理者であればチームに含めるという風に考えました。
- 設置までの日程は、あくまで目安ですが、少し急ぎすぎでしょうか。現に依頼が出ていることを考えるともう少し急ぎたいような気もしたのですが、それも無理そうなのでああいう風にしました。
- 現在どのようなメンバーになっているかなどについては、Wikipedia:非公開依頼への対処のための暫定チームに書いてあります。
- 対処チームに入る方は、管理者でなくても構わないと考えています。念のため。とっさの対応はできませんが、依頼への対応を決めるのは管理者ではないので。例えば、この人の判断は信頼できる、というような方がチームに入ることには、その人が管理者であるとないとに関わらず、メリットがあると思います。
監査チーム
[編集]目的:
- 非公開に依頼され、対処された件について、その手続きや判断を立ち入り検査し、案件の詳細などを伏せつつ検査結果をコミュニティ全体に対して報告すること。
ねらい:
- 依頼者の事情や案件の性質などにより、事実関係の詳細を公開することが難しい案件について、公開をする代わりにコミュニティの代表がその処理の過程について検証し、非公開性は保ちつつも、信頼できる案件処理が行われてきたことをコミュニティに保証する。(逆に問題のある案件処理が行われた場合には、その旨を報告し、解任などを検討する。)
メンバーの条件:
- 依頼、論争、案件処理などの当事者ではないこと。(上記の暫定的な対処チームのメンバーではないこと)
- 判断の中立性や公正さなどについてコミュニティの信頼を得ていること。
- 責任能力のある成人で、守秘義務を果たせること。
- 今回の一連の案件についてある程度の知識を持っていることが望ましい。管理者の権限や責任、守るべき理念や手続きについてある程度理解していることが望ましい。
選出の方法:
- 推薦または立候補の後、管理者の信任手続きと同じ形で信任手続きを行う。
- 個々のメンバーについて、理事会および、監査の対象になる案件の依頼者との交渉を行う。理事会が拒否した場合はそれに従う。依頼者から強い要望があった場合にはそれを考慮して、理事会、対処チーム内で合意形成をはかり、最終的に決定する。
設置までの日程:
- 1週間程度をめどに合意形成。
- それから2週間程度をめどにメンバー選出。
- MLを発足。
監査の手順:
1)準備段階 準備段階では、意見募集、そのとりまとめと発表を行い、監査の際にどのような点に着目するのかをある程度明確にします。
- 監査チームのみからなる非公開のメーリングリストを作成する。
- とりあつかう案件について、コミュニティーから意見や質問を募る。意見は、原則メールで受け付ける。ウィキペディアンであれば誰でも表明してよい。
- 公式に表明することが明らかに問題のない意見・疑問などは、公式に表明してよい。
- メールでの意見表明は、「なりすまし」などによる混乱を防ぐために、次の2点の条件を満たすものだけを採用する。
- ウィキペディアのアカウント名が明記されていること
- 寄せられたメール内に、それがウィキペディアン本人のものであることの確認手段が提供されていること。
- 例:「このメールを送信後30分してから、このアカウントから自分の利用者ページに以下のような編集をします。」
- 例:「自分の利用者ページに、このメールの書き出し部分について記載し、『ABCDEFで始まる意見を監査チームに送りました』と書きます。」
- 集まった意見、質問をもとに、(監査チームのメンバーの意見や質問などもふくめ)監査の手引きとなる質問・意見をとりまとめる。明らかに的外れなものなど、考慮に値しないものについてはそのように判断して除外してよい。
- まとめた結果の内、公開に適していないと判断した部分以外はコミュニティーに公開する。判断に際して、監査チームは、財団理事、そのほかの利害関係者の意見を聞くことにしてもよい。
- チーム内で特に意見が分かれた点、扱いが難しいと合意があった点など、この段階で特記すべき点があればあわせてそれも報告する。
2)監査
- 非公開対処チームは、監査チームに対して報告を行う。
- 非公開対処チームは、保存されている記録の写しを提供するか、非常にセンシティブな部分を削除した上でコピーを提供する。後者の場合でも、監査チームによって選ばれた特定の一人に対しては、削除されていないコピーを提供する。
- 監査チームは、必要に応じて関係者に質問を行う。
- 監査チームは、何がコミュニティーへの公開に適さない情報であるかについては特に関係者から意見とその理由を聞く。
3)結果の報告
- 事前にとりまとめた主な意見、質問について、それらの意見が妥当であるかどうかと、質問に対する回答とを述べる。
- 特に意見が分かれた部分や意見が一致した部分について述べる。
- 他に個々の所感を述べる。
- 必要に応じて管理者に対するコメント、ブロックや保護の解除、削除されたページの復帰、管理者の解任などの依頼をおこなう。
4)質疑応答
- 監査の準備段階と同じ方法で意見や質問を募り、質疑応答を行う。
- 非常に大きな疑問点などが残っていると監査チームが考えた場合には、追加的に事情聴取などを行う。
設置するページ:
- Wikipedia:非公開依頼への対処の監査チーム 簡単な説明、最新のメンバーリスト
- Wikipedia:非公開依頼への対処の監査チームの準備 メンバーの選出のためのページ。
- Wikipedia:非公開依頼への対処についての監査報告 報告、質疑応答などの場
解散:
- 監査が終了後、監査チームは解散する。
- 監査の過程の記録(メールでの議論など)は、整理した上で財団に渡し、管理を委託する。他は廃棄する。
備考:
- 非公開案件処理に、チームによってあたることでも、多少の信頼性確保は望めるのではないかと思います。(信頼性確保、というのは、つまり、コミュニティから見て、きちんとウィキペディアの理念にのっとって権限行使などにあたってくれているだろうと信頼できるということです。)また、処理チーム内にオブザーバ的な役割の人をおいてそのは一切の権限行使をせず、単に報告や評価のみを行う、という仕組みも考えられるように思いました。ですが、2つの理由により別立てのチームを提案することにしました。
- ウィキペディア上でも、外部サイトでも、非公開案件処理についての不信が比較的多く述べられているのに対して擁護の声は少ないようであること。
- 今回の件は少なくとも数ヶ月に及んでおり、財団も関わっているため、調査も大変で、チームとしてあたる方が望ましいと考えられる事。
- 監査をいつ始めるのがよいのか、進行中の案件処理も全て監視するべきか、それとも一段落した段階などを見計らって監査が始まる方がよいか、などはよくわかりません。
その他:
- いずれのチームについても、メンバーの解任手続きは決まっていません。
- 監査チームの信任投票には、案件対処チームのメンバーの投票を禁止する方がより厳格になるかも知れません。
- ジンボ・ウェールズさん(理事長)は、コミュニティの代表による監査を受けるという案に賛成しています。一部の案件については理事が対処するのではなくチームを編成して、理事とチームとで意見を交換しつつ対策を決めるのがいいのではないか、という意見もありました。但し、案件が取り下げられていたりするので、実際にそういう作業はないかも知れません。他の理事や依頼者の方はまた別の意見を持っていたりするようにも思うので、多少調整が必要かとも思います。