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Wikipedia:査読依頼/斗満虐殺事件 20170413

朝鮮戦争中に起きた虐殺事件の1つです。英語版(en:Chaplain–Medic massacre)ではFAに選ばれています。翻訳に問題がないかどうかを中心に査読していただければと思います。特に、軍事用語などの専門的な表現や固有名詞に誤訳はないか、日本語として不自然なところはないか、2つの戦略図に追加した説明などを確認していただきたいです。もちろん、翻訳面以外の指摘も歓迎いたします。よろしくお願いいたします。--SilverSpeech会話2017年4月13日 (木) 00:14 (UTC)[返信]

【査読】 ──専門家の方による審査結果。
【検証】 ──参考文献などと照合しつつ正確性を評価。
【書評】 ──専門外の方による評価および助言。
英語版と比較しながら読んでみました。全体的に上手に翻訳されている印象を持ちました。軍事関係の知識は持ち合わせておらず、英語力もさほどありませんので、その辺りは割り引いて以下のコメントを読んでもらえればと思います。確認した日本語版は斗満虐殺事件 2017年4月27日 (木) 10:02‎ 版、英語版は en:Chaplain–Medic massacre 16:51, 12 April 2017‎ 版となります。
  • §「遅滞行動」:「 これらのアメリカ軍兵士はほとんどが日本での任務を経験しただけで実戦経験がなく」
    • 英語版も "only occupation duty in Japan" ですが、「任務」よりも「占領任務」と記す方が「実戦経験がない」ということに上手く繋がって分かり易いかなと思いました。細かい話で恐縮ですが。
  • §「バリケード」:「重装甲部隊が大田からバリケードの反対側まで移動し、連隊の兵士500名が集められてバリケードが破壊されるのを待った。」
    • 対応する英語版は "Five hundred men from the regiment were gathered waiting to break the roadblock while heavy armor units from Taejon moved against it from the other side." となっています。"heavy armor units from Taejon moved against it from the other side." は「大田からバリケードの反対側まで移動」というよりも、「他の方向からバリケードに向かって移動」ぐらいが適切に思いましたがいかがでしょうか。自分としては、次ような訳文が浮かびました「大田から来た重装甲部隊が他の方向からバリケードに向かって移動している間、連隊の兵士500名が集められてバリケードが破壊されるのを待った。」
  • §「バリケード」および §「殺害」:「~~自隊の負傷兵をバリケード西の尾根沿いに移動させるよう命じた。」および「21:00に第19連隊の約100名の兵士が町の西方にある丘へと移動した。」
    • 英語版を見ると、 "the east of the roadblock" および "to the east of the town" なので、どちらも西ではなく東(バリケード東、町の東方)ではないでしょうか。
  • §「殺害」:「~~北朝鮮の部隊は彼の頭部に背後から銃撃を加えた。」
    • 英語版は "...the North Korean troops shot him in the head and back." なので、「~~北朝鮮の部隊は彼の頭部と背中に銃撃を加えた。」の方が適切なように思われますがどうでしょうか。
  • §「アメリカの反応」:「~~一連の虐殺事件の中でも初期のものだろう。」
    • これだとエッセイ的な言い回しになってしまっているので、「~~一連の虐殺事件の中でも初期のものだろうと推定される。」ぐらいでどうでしょうか。
  • §「北朝鮮の反応」:「この事件や同様の虐殺は「統制されていない」小規模な部隊や復讐者個人が行ったもの、もしくは捕虜を捕らえた側が次第に悪化する不利な状況に直面したために発生したものだと考えられている。」
    • 「統制されていない」を囲む括弧は引用を示す括弧だと思いますが、英語版における引用と上手く対応できていないと思いました。英語版は「The Chaplain–Medic massacre and similar atrocities are believed to have been conducted by "uncontrolled small units, by vindictive individuals, or because of unfavorable and increasingly desperate situations confronting the captors."」。いっそのこと括弧は無くして、日本語版の文では直接引用の形を取らなくてもいいように思いました。
  • 1回改行について
    • おそらくソースを読みやすくするために全体的に1回改行が使われていますが、1回改行を使うと半角スペースが入ってしまいます(WP:NEWLINE#1行改行の短所)。そのため、この記事でも前の文の句点と次の文の間に不自然な半角スペースが発生しています。1回改行を消して修正いただければと思います。(1回改行で半角スペースを作らないように仕様を変えれたらいいんですけどね)
--Yapparina会話2017年4月29日 (土) 13:36 (UTC)[返信]
返信 (Yapparina宛) 丁寧な書評を書いていただきありがとうございました。投稿前に校正してはいたのですが、単純な誤訳を見逃していてお恥ずかしい限りです。以下、個々の指摘に対する返信になります。
  • 「遅滞行動」:自分でも少し分かりにくいかもしれないと悩んだ部分でしたので、ご指摘通りに修正させていただきました。
  • 「バリケード」:少し手を加えて次のように書き換えさせていただきました。「大田から来た重装甲部隊が他の方向からバリケードに向かって移動し、その間に連隊から兵士500名が集められてバリケードが破壊されるのを待った。」
  • 「バリケード」・「殺害」:明らかな誤訳でしたので修正いたしました。
  • 「殺害」:明らかな誤訳でしたので、頭部と表現を合わせる形で「彼の頭部と後背部に」と修正させていただきました。
  • 「アメリカの反応」:ごもっともな指摘です。「初期のものだと推定されている」に修正させていただきました。
  • 「北朝鮮の反応」:括弧を外す代わりに、引用にならないように少し意訳する形で変更してみました。「統制されていない小規模な部隊が実行したものや個人的な報復、もしくは捕縛した部隊の状況が悪化し絶望的な状態に陥ったために発生したものだと考えられている。」
  • 1行改行:ご指摘いただきありがとうございます。一通り除去しました。
細かいところまで助言していただき本当にありがとうございました。--SilverSpeech会話2017年4月30日 (日) 04:15 (UTC)[返信]


コメント翻訳にもかかわらず、日本語として乱れがなく、きちんとした文章だと思います。ただ、英文解釈の面でいくつか気になった点があります。私は英語の専門家でもなんでもないのですが、複数による相互チェックがなければ翻訳の質は上がらないと常々思っていますので、とにかく気づいたことを書かせていただきます(こういう査読がもっと盛んに、気軽に行われればいいと思うのですが)。なお、軍事用語にはまったく知識がありませんので、チェックしておりません。素人目には適切な用語が使われているように見えます。

  • 導入部
sources detailing the incident are almost exclusively from the United States and other United Nations allies.
この事件について詳述している情報源はほとんどがアメリカ合衆国のものであり、残りもアメリカ以外の国連軍のものである。

このandは「the United States」と「other United Nations allies」を等置するもので、その二つが「exclusively from」にかかっています。直訳すると「アメリカおよびその他の国連軍を情報源とするものがほとんど」となると思います。つまり、例外的に国連軍以外の史料が存在するかもしれません。原文の著者が具体的な例外を意識していたかは分かりませんが。


  • 北朝鮮軍の攻撃
Following an initial penetration to the north, the retreating 34th Infantry moved south to Nonsan.
第34連隊は最初北に向かった後、退却して論山へ向けて南下した。

「penetration to the north = 南(米軍)から北への侵攻」と解釈されたのだと思います。しかし、penetrationを行ったのは第34連隊ではなく北朝鮮軍だとする方が文脈に合います。大田の戦い#公州道(第34連隊)およびen:Battle of Taejon#First North Korean attackを読む限り、渡河して侵攻してきたのは北朝鮮側で、34連隊がpenetrationと呼べるような戦果を挙げたように見えません。またen:Battle of Taejon#Second North Korean attackでは、明らかにFirst North Korean Attackを指してthe initial penetrationと呼んでいます。ここの「to the north」は、「北へ」ではなく、「(○○の)北側での」の意味ではないでしょうか。


Stretched thin, the 19th Infantry was unable to hold the line at the Kum River and simultaneously repel the North Korean forces.
薄く展開した第19連隊は錦江線を維持することができず、北朝鮮軍を撃退できなかった。

simultaneouslyが訳出されていないように見えます。「AもBもできなかった」ではなく、「AとBを同時に行うことは不可能だった(片方だけならまだしも)」という構文ではないでしょうか。


  • バリケード
By 16:00 supply columns were also piling up at the block, unable to proceed as armor and airstrikes attempted to dislodge the North Koreans.
16:00までには補給の列もまたバリケードのところで停滞しており、北朝鮮撃退を目的としていた機甲部隊や航空機は先に進むことができなかった。

unableの主語は、主節の主語の「補給の列」だと考えるのが自然です。asは付帯状況(理由)を表す接続詞でしょうから、「機甲部隊や航空機が北朝鮮軍を撃退しようとしていたため(戦闘中だったため)、補給部隊は先に進むことができなかった」という意味だと思います。


  • 殺害
The regimental medical officer, Captain Linton J. Buttrey, and Chaplain Herman G. Felhoelter remained behind with the wounded
連隊の衛生兵リントン・J・バトリー (Linton J. Buttrey)大尉と、ヘルマン・G・フェルホルター (Herman G. Felhoelter)大尉はこのとき負傷兵の後方に残っており

「remained behind the wounded」だったらその通りかもしれません。しかし、behindの直後にwithが来ているので、behindは前置詞ではなく副詞だと考える方が自然です。「負傷兵とともに、背後に残された」という意味だと思います。

もう一つ、細かいことですが、半角カッコの後にも半角スペースを入れるようWikipedia:表記ガイド#丸括弧・波括弧・角括弧で推奨されています。


  • アメリカの反応
The incident would be one of the first of a series of atrocities
一連の虐殺事件の中でも初期のものだと推定されている。

このwouldは推量ではなく、willの過去形だと思います。「最初のもの」ならともかく、「初期のものの一つ」であるのを確かめるのは簡単なはずで、推量の余地はありません。この事件が起きた時点ではシンギュラーな事象だったが、後に似たような事件が続発したため「一連の虐殺事件の皮切りの一つ」という位置づけに変わることになる、ということです。


  • 北朝鮮の反応
the division's troops
別行動している部隊に

「division's=分割されたもの」とする文法がよくわかりませんし、その場合、theが指し示すものが明確ではありません。「troops of the division = その師団(3rd Division)の部隊」の意味ではないでしょうか。


以上です。--Deer hunter会話2017年5月1日 (月) 10:56 (UTC)[返信]

返信 (Deer hunter宛) 細かいところまで確認していただきありがとうございます。自分で校正するとどうしても見落としがでてしまいますので助かります。以下、個々の指摘に対する返信になります。
  • 導入部:英語版を確認してみたところ、当該記述はノートで参考文献のうち7個がアメリカの文献で残り1個がイギリスの文献というのは偏っている(WP:NPOV)と議論になった後に付け加えられたものでした[1]。したがって、編集者の意図としては(文法的には間違っていそうですが)「some _ and the other _」と同じ感覚で「参考資料のほとんどがアメリカの文献で他(残り)が国連軍(イギリス)の文献」という意図で書いたものと思われます。加筆された経緯を反映して『この記事の執筆に用いた参考文献のほとんどはアメリカ合衆国の文献であり、残りも国連軍側で参戦した国の文献である。』と書き換えてみました。
  • 北朝鮮軍の攻撃1:大田の戦い#公州道(第34連隊)も確認してみましたがご指摘のとおりだと思いました。少し言葉を補って『北側で北朝鮮による最初の侵攻があった後、第34連隊は退却して論山へ向けて南下した。』と変更いたしました。
  • 2:ここも翻訳に悩んだ部分でした。当初はsimultaneouslyがrepelを修飾していると考えて『薄く展開した第19連隊は錦江線を維持することができず、同時に北朝鮮軍を撃退することもできなかった。』と訳した覚えがありますが、少し口語的に感じて現在の形に変更した覚えがあります。いくつか英語辞書などをあたったところ、A and simultaneously Bだと「Aと同時にB」と翻訳する形の方が一般的なようでしたので、一先ず前述の古い記述に戻しておきました。
  • バリケード:解釈ミスでした。『機甲部隊や航空機は北朝鮮を撃退しようとしていたので、補給部隊は先に進むことができず16:00までにはバリケードのところで停滞していた』に修正いたしました。
  • 殺害:「余波」の説で"volunteering to stay behind with the wounded"(自ら負傷兵と共に残ったこと)というフレーズがあったのでそちらに引っ張られたのかもしれません。こちらの文脈ではご指摘のとおりだと思いますので修正いたしました。表記ガイドの件についても修正いたしました。
  • アメリカの反応:その解釈は思い浮かびませんでした。日本語で正確に表現する記述が思いつきませんでしたので、とりあえず断定形に変更してみました。
  • 北朝鮮の反応:明らかに誤訳でした。修正いたしました。
1人で翻訳しているとどうしても先入観や思い込みが発生してミスを見落としてしまうようで、書評で丁寧に確認していただけたのは本当にありがたいことだと思います。ありがとうございました。--SilverSpeech会話2017年5月2日 (火) 02:22 (UTC)[返信]
【感想】 ──専門外の方による感想。
【その他】 ──表記・文体など