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TT-500Aロケット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

TT-500Aロケット宇宙開発事業団(NASDA)(現宇宙航空研究開発機構(JAXA))が開発した微小重力材料実験用の2段式固体燃料ロケットである。

概要

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N-Iロケット運用後期にレーダ追尾系の総合的機能と地上設備の機能的な整合を確認する目的で開発されたTT-500ロケットに材料実験機能を追加したロケットである。1976年科学技術庁の依頼によって検討が行われ、1977年から開発開始、1980年に初飛翔した。ペイロードの増加に第2段ロケットモータの直径を第1段と同径にまで増やし推進薬量を増加させることで対応している[1]

最高高度到達から大気圏突入までの約6分間無重量状態を維持することが可能である。実験システム部には4台の電気炉が搭載され、それぞれの実験試料に合わせ1500℃まで任意で設定が可能であり、無重量状態初期2分間で加熱、その後2分間保温された後、ヘリウムガスによって2分間で強制冷却される。実験終了後はパラシュートを開いて海上に着水し、回収船によって回収される[2]。ロケットモータの開発は日産自動車宇宙航空事業部(現IHIエアロスペース)、実験システム部の開発は石川島播磨重工業航空宇宙事業本部が担当した。

主要諸元

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主要諸元一覧[1]
諸元
全長 10.5 m
全備質量 2.22 t
ペイロード 100 kg
到達高度 250 km
段数 第1段 第2段 実験システム部
各段全長 6.0 m 2.8 m 2.7 m
直径 503 mm 503 mm 503 mm
各段質量 1,342 kg 719 kg 316 kg
推進薬種 BP-31B BP-31B N/A
推進薬質量 1,021 kg 608 kg
海面上平均推力 11.3 tf 8.1 tf
真空中比推力 233.2 s 270.4 s
燃焼時間 21.2 s 23 s

実験概要

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10号機までの飛翔ではTT-500ロケット同様に地上設備の試験も並行して行われたが、11号機以降では材料実験のみが行われている。

飛行番号 号番 飛翔日時(JST) 場所 実験テーマ 加速度環境 回収成否
1 8号機 1980年9月14日 7:00 TNSC竹崎射場
竹崎第2射点
ニッケル合金製造実験・アモルファス半導体製造実験・VHFアンテナの温度測定 8.0 x 10-2G以下
2 9号機 1981年1月15日 7:00 TNSC竹崎射場
竹崎第2射点
ニッケル系合金製造実験・アモルファス半導体製造実験 1.0 x 10-4G ×
3 10号機 1981年8月2日 7:00 TNSC竹崎射場
竹崎第2射点
アモルファス半導体製造実験・単結晶化合物半導体製造実験 1.0 x 10-4G ×
4 11号機 1982年8月16日 8:15 TNSC竹崎射場
竹崎第2射点
ニッケル系合金製造実験・アモルファス半導体製造実験 1.0 x 10-4G
5 12号機 1983年1月27日 8:00 TNSC竹崎射場
竹崎第2射点
アモルファス半導体製造実験・単結晶化合物半導体製造実験・ハロゲンランプ機能確認 1.0 x 10-4G以下
6 13号機 1983年8月19日 8:00 TNSC竹崎射場
竹崎第2射点
ガス封入型電気炉機能確認及び炭素繊維強化発泡金属複合材料製造実験
攪拌装置付電気炉機能確認及び非混合系合金複合材料製造実験
小型イメージ炉機能確認及び粒子分散型ガラス複合材料製造実験・地球赤外線測定実験
1.0 x 10-4G以下

出典

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  1. ^ a b 財団法人 資源探査用観測システム・宇宙環境利用研究開発機構 平成17年度報告書 宇宙環境利用の展望 第7章 次世代小型ロケット実験システムの検討 [リンク切れ] 柴藤羊二, 黒田信介
  2. ^ 『IHI航空宇宙50年の歩み』 / 「IHI航空宇宙50年の歩み」編纂委員会 監修・企画・編集 石川島播磨重工業株式会社

関連項目

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外部リンク

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