TC2000アルゼンチン選手権
TC2000アルゼンチン選手権 (El Campeonato Argentino de TC2000) は、1979年からアルゼンチン自動車クラブ (Automóvil Club Argentino) の認定とオートスポーツ (Auto Sports S.A.) の主催で行われているツーリングカーレースの年間シリーズ。
"TC2000"とは"Turismo Competición 2000" (ツリースモ・コンペティシオン2000) の略で、同名の選手権はチリ、コロンビアにも存在する。
概要
[編集]2012年にスーパーTC2000が誕生して以降、同シリーズの下位に位置づけられていたが、以降も独自のカレンダーを持つカテゴリとして存続したが、組織としては事実上の分裂状態にあった。スーパー2000と区別するため、本シリーズはメディアやファンによって『Joven TC2000』とも呼ばれた(Jovenは「若い」「ヤング」の意味)。
2022年に両者は一つとなり、スーパーTC2000は「TC2000」、従来のTC2000は「TC2000ライト」として再スタートを切った[1]。本記事は従来のTC2000についての解説となる。
排気量2,000ccエンジンの4/5ドアツーリングカーを採用するのがシリーズ名の由来であるが、実際は時期によって排気量は微妙に異なる[2]。また発足時のエントラントは全て後輪駆動車であったが、1980年代半ばに新興勢力として台頭したルノー・18に対する規制緩和が行われて以降はベース車両の事情も併せて前輪駆動車の参戦が一般的になり、現在は規定により全車が前輪駆動である。
シルエットタイプカーのTC2000(旧スーパーTC2000)に対し、TC2000ライトはあくまで市販車の骨格を用いたツーリングカーである。2007年時点では最低重量は1,050kg、エンジンは16バルブの2,000cc直列4気筒ターボで最大270〜320馬力を発生。最高速度は275km/hに達した。タイヤはピレリのワンメイクで、2004年からギアボックス・ロールケージ・ブレーキ・サスペンションも共通品を用いる[3][4]。可変バルブ機構(給排気とも)、トラクションコントロールシステム、アンチロック・ブレーキ・システムは禁止となっている。
2009年にはリーマン・ショックによる不況の煽りを受け、同国の名チューナーであるオレステ・ベルタが開発した、フォード(マツダ)製デュラテック2.2をベースとする共通エンジン『デュラテックbyベルタ』(310馬力/6500rpm)が導入されている[5]。これにより参戦コストを大幅に削減し、メーカーたちをレースに留めることに成功したものの、「フォードエンジンを積んだシボレー車」という世界的に見ても稀な存在を生み出し、市販車との関連性を重視するファンの興を削いだとされている[6]。しかし2020年現在もデュラテックエンジンが継続して採用されている。
2016年には「1レースでも勝利する」ことがチャンピオンの最低条件となり、戦術に少なからぬ影響を及ぼしている。
8バルブ車用の下位カテゴリとして、1997年に『TC2000ライツ』、1999~2001年に2009~2011年に『TC2000プライベートカップ』が開催されていた。
2000年代にはストックカー・ブラジルとの共催や、ウルグアイのプンタ・デル・エステでの開催も行われていた。
参戦チーム
[編集]2006年時点で、下記の自動車メーカーがワークス体制で参戦していた。
母体 | チーム名 | 車両 |
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フォード | フォード・YPF Ford YPF |
フォード・フォーカス |
GM | シボレー・エライオン Chevrolet Elaion |
シボレー・アストラ |
ホンダ | ホンダ・ペトロブラス Honda Petrobras |
ホンダ・シビック |
トヨタ | トヨタ・チーム・アルゼンチナ Toyota Team Argentina |
トヨタ・カローラ |
ルノー | ルノー・チーム・TC2000 Renault Team TC2000 |
ルノー・メガーヌ |
その他、プライベートチームがフォルクスワーゲンのボーラ、ポロ、フィアットのスティーロ、クライスラーのネオンを使用しており、ワークス体制で参戦している車両とは別にフォード・フォーカス、シボレー・アストラ、ホンダ・シビック、ルノー・メガーヌを駆って参戦しているプライベートチームも存在した。
かつては三菱自動車のランサーエボリューション、プジョーの307なども参戦していた。
最もタイトルを獲得したメーカーはフォード(9回)である。
2020年現在はフォード・シトロエン・トヨタ・フィアット・プジョー・ルノーが参戦している。
ギャラリー
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フォード・フォーカス(2011年)
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シボレー・ベクトラ(2011年)
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シボレー・クルーズ(2011年)
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ルノー・メガーヌ(2006年)
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ルノー・フエゴ(1986年)
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プジョー・307(2010年)
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フィアット・リネア(2010年)
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フィアット・スティーロ(2006年)
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フォルクスワーゲン・ボーラ(2010年)
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フォルクスワーゲン・1500(1988年)
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トヨタ・カローラ(2006年)
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ホンダ・シビック(2010年)
脚注
[編集]- ^ デビュー7戦目、わずか17歳のモンテネグロが最上最年少ポールポジション獲得/STC2000第4戦AS-web 2022年8月14日閲覧
- ^ SUPER GTのGT500・GT300がかつて馬力を表していたが、現在は形骸化しているのと近い
- ^ STOCK CAR: COM A VINDA DA TC2000 ARGENTINA, COMPARAÇÃO É INEVITÁVEL NESTE FINAL DE SEMANA2021年8月17日閲覧
- ^ Los 40 años del Súper TC 2000: datos, historias, hitos y sus pilotos más importantesinfobsr 2021年8月19日
- ^ 同国のもう一つのビッグツーリングカーレース、『トップレースV6』の直下カテゴリの『トップレースV6ジュニア』で先行採用されていた汎用エンジンだが、TC2000のそれは同カテゴリのものより強化されている
- ^ YPF, Fiat y Ford abandonaron el TC2000DEPORTE MOTOR 2021年8月18日閲覧