System/88
System/88(S/88、システム/88、しすてむはちじゅうはち)は、IBMが1985年にリリースした無停止コンピュータ(フォールトトレラント設計のコンピュータ)である。
名称
[編集]正式名称は「IBM System/88」である。
概要
[編集]IBM System/88は、ストラタスが開発したフォールトトレラント・コンピュータを、IBMがOEM提供を受けたものである。全てのハードウェア(部品)を二重化(多重化)し、オンラインの業務停止を最小化したい金融、小売、製造市場などで使用された。
歴史
[編集]- 1985年 System/88 発表
詳細
[編集]IBM System/88は、ストラタスコンピュータ(現 ストラタステクノロジー)のStratus/32をベースとし、IBMが以下の拡張を行ったものである。
- IBMの周辺機器サポート(PC、プリンター)
- ソフトウェアの拡張(多国語対応)
- ネットワーク(Systems Network Architecture)
IBM System/88は以下の4モデルがあり、モトローラの32ビットのマイクロプロセッサである68020 を搭載していた。
- Model 80 (1-WAY)
- Model 82 (2-WAY)
- Model 83 (3-WAY)
- Model 84 (4-WAY)
PL/Iで書かれた分散型のオペレーティングシステムは仮想記憶に対応しており、ユーザーアプリケーションを稼働させた。ハードウェア的には二重化(多重化)されていたが、ユーザーは単体でもネットワーク内でもシングルシステムイメージで使用できた。システムは統合されたトランザクション処理機能を維持し、ユーザーは6つの言語(PL/I、FORTRAN、COBOL、Pascal、BASIC、C)でアプリケーションプログラムを書く事ができた。
主な競合相手はタンデムコンピューターズのNonStopシリーズであった。しかし1987年頃からIBMは製品系列を4つ(PS/2、AS/400、RS/6000、ES/9000)に集約し始めた背景もあり、このSystem/88の以前にも以後にも、IBMはSystem/88のようなフォールトトレラント専用のコンピュータは出荷していない。