コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

Super Socket 7

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Super 7から転送)
Super Socket 7
ソケット形式 ZIF
チップ形状 SPGA
接点数(ピン数) 321ピン
FSBプロトコル P5
FSB周波数 95, 97, 100 MHz
電圧範囲 2.0V - 2.4V
採用プロセッサ AMD K6-2 300 - 550MHz[注 1]
AMD K6-III
AMD K6-2+
AMD K6-III+
Cyrix MII (PR366/250MHz - PR433/300MHz)
IDT WinChip 2 (200MHz - 250MHz)
Rise MP6英語版

この記事はCPUソケットシリーズの一部です

Super Socket 7 (スーパーソケットセブン) または Super 7 (スーパーセブン) は、ZIFソケットのSocket 7仕様を拡張したものである。Super Socket 7は100MHzフロントサイドバスAGPポート、SPGAパッケージをサポートしている。Super Socket 7はAMDK6-2 300 - 550MHz[注 1]K6-IIIIDTWinchip 2の一部、Cyrix末期のMIIの一部、RiseのmP6に対応した。Super Socket 7はSocket 7に対して後方互換性を持ち、Socket 5およびSocket 7のCPUは、BIOSさえ対応していればSuper Socket 7のマザーボードでも動作した。逆に、Super Socket 7のCPUはSocket 7のマザーボードでは動作しない。また、Super Socket 7のCPUはSocket 7のCPUより消費電力が増えているものも多く、誤ってSocket 7のマザーボードにそのまま実装するとマザーボードの電源回路を焼損する危険性もあった[注 2]。Socket 5のCPUはSuper Socket 7とピン互換であったが、一部の Super Socket 7マザーボードはSocket 5のCPUが必要な電圧を供給しなかった。 以前のAMDは、自社製のプロセッサを動作させるために、インテルのソケットを利用していたが、Socket 7がAMDが法的権利を保持した最後のソケットとなった。インテルは Socket 7を廃止してSlot 1へ移行し、AMDを時代遅れのプラットフォームに取り残し、AMDのプロセッサの競争力を無くすことを期待していた。FSBを100MHzに拡張したことで、AMDが 独自のマザーボードSlot Aを開発する間、Super Socket 7で一時的に凌ぐことができた。

また、BIOSがうまく動作すれば、Socket 5やSocket 7のマシンに、外部電源回路やクロック倍率変更回路などが実装された「ゲタ」を用いることで互換性問題はある程度解決できた。バッファローアイ・オー・データ機器などの周辺機器メーカーは、このゲタにSuper Socket 7のCPUとCPUクーラーを実装した状態で市販のPentiumクラスマシンで動作確認を行い、既存のCPUと載せ替えるだけでアップグレードが可能な「CPUアクセラレーター」を発売していた[3][4]。この事もあり、CPUに限ってはSlot Aが登場した後もアップグレードパスとして機能し、Socket 7と共に非常に息の長いプラットフォームとなった。

このアーキテクチャは安価であるが、インテルの策略通りの役目を果たした。多くのサードパーティチップセットVIASiSや他のメーカから供給されたが、互換性や安定性は低いものであった。特にAGPの互換性や安定性が低かった[5]。不具合が多く、互換性の低いサードパーティチップセットによって引き起こされたAMDへの批判はAthlonAMDがチップセットに本格参入するまで長引いた。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ a b 300MHzはFSBが100MHzのCPUのみ、333MHzはFSBが95MHzのCPUのみ対応[1][2]
  2. ^ 後述のように、ゲタやCPUアクセラレーターを使用する必要がある。

出典

[編集]
  1. ^ AMD K6-2 300 MHz specifications” (英語). CPU-World. 2022年9月4日閲覧。
  2. ^ AMD K6-2 333 MHz specifications” (英語). CPU-World. 2022年9月4日閲覧。
  3. ^ “【懐かしのPCパーツ図鑑】Vol.048 AMD「K6-2+/500MHz」採用。現役稼働中のCPUアクセラレータ「HK6-MD533P-NV4」”. エルミタージュ秋葉原 (GDM). (2017年5月22日). https://www.gdm.or.jp/crew/2017/0522/207710 2022年9月4日閲覧。 
  4. ^ “アイ・オー・データ、K6-III/400搭載のCPUアクセラレータ”. PC Watch (株式会社インプレス). (1999年4月1日). https://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990401/iodata.htm 2022年9月4日閲覧。 
  5. ^ 元麻布春男 (1998年8月19日). “■元麻布春男の週刊PCホットライン■ AGPの互換性”. PC Watch. 株式会社インプレス. 2022年9月4日閲覧。